112 じゃれ合い…とは
「もう酔いは覚めてるやろがい!」
そう言われてみると、アゲートさんが解毒していたはず。アルコール成分も解毒できている…はずだよね。
「お母さん!お父さん、子離れした方が良いと思うの!」
「子離れって難しいらしいよ、聞くところによると。少しずつ、徐々にね。一気にやろうとすると、反動がくるから逆に危ないと思う。あと、男の子たちが目覚めて、落ち着いたタイミングで一度オーラ国の冒険者ギルドに発見の報告をする際には、また家族で凱旋することになるから、今は諦めてね」
「嘘でしょ…あれ…なんか…眠い…スヤァ」
「ん?珍しい。リンが3歳児らしく体力を沢山消費したからって寝てるわ。ちょっと血液とか髪の毛とかサンプル貰っておこう」
アゲートさんがリンを実験動物のように言っている…。
「クロ~モフモフさせて~」
クロが突然部屋に現れた。リンが寝ぼけて転移魔法を発動させたらしい。
クロが呆れた顔で周囲を見渡すと、リンを見つめ、お尻をリンの顔の上に乗せた。
「アホな事いってんじゃねぇ!こんの馬鹿主!」
「捕まえた~」
「は・な・せぇ‼」
クロが巨大化して対抗しているが、リンも腐ってもS級冒険者。クロをモフモフと撫でまわしている。クロが頭に来たらしく、リンを蹴りぐるみのようにゲシゲシと蹴りだした。
「肉球…ぷにぷに~…」
ガジガジ…ガジガジ…
今度はクロがリンの頭をかじりだした。出血していないから、甘噛みだろうけれど、ビジュアルが凄い…。ソクズとシュガーがドン引きしている。
「さて、あっちは放っておいて大丈夫。黒猫に見えるのは、アブソーブという危険度B+の魔物。魔力を吸い取ったりもするし、戦闘能力も高いの。リンが許可を出した時以外は近づいたり触ろうとすると、ガチで死ぬ可能性があるわ。気を付けてね」
コクコク…凄い勢いでソクズとシュガーの頭が上下したので、安心だ。
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