101 誰か来た
ふぅ、リンが起きて良かった。これ以上、思わぬ事態を引き起こす可能性は少なくなった…はず。危険度Sランク冒険者、歩く非常識だけど!
『で、この後は育成担当が来るまで待ってりゃ良いんだよね?』
『恐らく今の騒ぎを調べに飛んでくるぞ。お前が倒したのが分かると不味いから、リンちゃんハウスへ転移させろ』
『りょーかい』
ソヌスのカメラ映像を見ていると、男たちを転移させた後にリンは何事も無かったかのように壊したものを修理して、檻の中にちょこんと座っている。うん、座っている姿は可愛いよね、3歳児だし‼
黄緑色のローブを目深に被って、お面で顔を隠した人物がやって来た。カメラ越しでは、男女の区別も分からない。イタリアのベネチアンマスクのように派手で、顔を全面的に隠している。声を出さないが、慎重に何があったか探っているようだ。
『どうする?睡眠魔法掛けて大暴れしようか?私が』
『かなりの手練れだろうから、少し様子を見よう。リンも油断すると危険だから、ザザザ…ツ
気をつけろ』
音声が乱れた…。正体不明の人物が何か魔法を使用したようだ。通信が上手くつながらない。
『なるほどね…魔法妨害か…。どうする?物理解決でいく?このままだと、RTA続行不可になるんだけど』
『相手の記憶などはこの様子だと、こっそり抜き取ることも出来ないだろう。戦闘を許可する!そして、倒せ!リンちゃんハウスへ連れてこい!』
『りょーかーい!「音声通信が切断されました」』
『映像通信、音声通信再開!魔法妨害無効化!さーて、本気出しますか!』
相手の黄緑ローブは相変わらず無言だが、何かを感じ取ったのか、戦闘態勢に入っている。
構えを見るだけでも、相当強い人だと思う。冒険者だとすると少なくともA級以上じゃないだろうか。
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