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少女と希望  作者: R
3/4

HOPE

彼女は機械兵の地形把握ソフトウェアの機能であるマップ機能を使い次の目的地を定めた。

その場所は-


-エンドアースL-1エリア "機械兵検査施設"-


彼女はこの機械兵についての情報を得る為に、セタス商会等の機械兵を生産する企業が利用する機械兵検査施設、通称"機検"を目指した。

機検では、企業から生産予定の機械兵を預かり、テストして性能をデータ化、MPやAMなどの選別を請け負っている。


だが現在いるK-50エリアからはそこそこの距離があり、道中には険しい道もある。懸念されるのはモリス自身の操縦技術である。モリスは幼い頃から集落の作業を作業用機械兵"バール"を使って手伝っていた。

そのお陰もありガドゥスの操縦は難なく出来たが、この機械兵の操縦系はかなり複雑なものであった。

歩行する為には出力解放レバーを奥に倒し、出力調整つまみによる出力調整を行った後にアクセルを踏む。

この3動作でやっと歩行が行えるのである。ガドゥスやバールのような機械兵では、起動した瞬間に出力が自動で調整され、アクセルを踏めば前に進むという、非常に安易な操作性である。

モリスはこのような複雑な操縦系を搭乗時に脳内で動作を考えるように、感覚的に操縦することができた。

モリス自身も不思議で仕方なかったが、そのお陰で今ここに居る。そう思えば不思議よりありがたさの方が勝った。

そこから何日も彼女と機械兵は歩き続けた。

食事は戦争の跡地にあるキャンプから非常食を頂き、

薄く透き通っているかのような色白の視覚的に柔らかさを感じてしまうような小さい身体は、稀にある比較的水質の良さそうな小川で洗い流していた。

2日経ったある日、彼女と機械兵はついに他の機械兵に出会ってしまった。コンパクトで小型な機械兵装ライフルの銃口は彼女と機械兵に向けられていた。相手はRE軍の主力MPである"ナーバレス"小型の兵装を扱い、小回りの効くMPだ。彼女は焦り機械兵の武装リストを確認したが、この機械兵に搭載されている武装は無く、彼女は絶望した。ナーバレスがトリガーを引いた。その瞬間!!

彼女は死にたくない一心で操縦を始めた。

機械兵は素早く伏せた。

発射された弾丸は虚無を貫いた。

発車直後のナーバレスの硬直を、彼女は見逃さなかった。素早く距離を詰め、ライフルを持つ右腕を拳で突き上げた。それによりナーバレスはライフルから手を離した。再びナーバレスが手に取ろうとした時には、ライフルは機械兵が握りしめていた。少女はナーバレスの頭部に向け瞬時に3発の弾丸を撃ち付けた。放たれた3つの弾丸は全て頭部を貫いた。ナーバレスは起動を停止し、地面に倒れ込んだ。

彼女は初の戦闘に勝利を収めた。

機械兵には何も武装が無かったのでナーバレスからコンパクトライフルと対実弾シールドを取り再び歩みを始めた。

2日後

彼女と機械兵はL1エリアを取り囲む巨大な壁に辿り着いた。L1エリアに侵入するためにはこの壁を超えなければ行けないが、壁の前には複数もの護衛用機械兵が配備されていた。その他にも固定砲台や電気パルス網など、生半可な機体では近づくことすらも出来ないようになっていた。本来ならば入場許可証を入口の門番に提示し入門するのだが、もちろんそんなものはなく、武力行使でしか侵入することが出来なかった。

もう止まれない。戻れないところまできた。

彼女は覚悟を決め、出力調整を緩め、70%くらいの出力にし、バーニアを噴かせた。

機械兵はものすごいスピードで壁に向かってブーストし、一応取っておいたナーバレスの腕に内蔵されている物質軟化グレネードを前方になげ、それをライフルで撃った。グレネードは壁にぶつかる直前で爆発し、物質軟化グレネードの性質である軟化の性質が働き、爆風が当たった箇所は接着剤が融解し、脆くなった。

そこに機械兵はスピードを緩めず突撃した。

実にここまでの動作を完了させるのに3秒、護衛の機械兵と固定用砲台は反応が遅れ、電気パルス網はグレネードの爆風で一瞬歪みが発生し、その箇所は網が脆くなっていた。

少女と機械兵は無事に壁の中に入り込み、止まることなく入口の方まで回り込んだ。響き渡るアラート音。

張り詰めた緊張感をくぐり抜けるかのように機械兵は進み続けた。

入口から入り、ハッチをシールドで突き、中に侵入した。中にいた研究員らは腰を抜かし驚き、恐れたが、少女が機械兵から出てきた時にそれらの感情は一瞬にして消え去った。研究員の1人、"ガラバ"は少女に語りかけた。"この機械兵は嬢さんのかい?"

少女は応える。ガラバは早急に検査ケージに収容するように言った。少女は大人しくそれを聞き入れ、検査ケージに収容した。約3分後、アラート音は停止し、ガラバが機械兵の前に現れ、検査をしてくれた。

検査中に少女は尋ねた。なぜこうも親切にしてくれたのかと。ガラバ曰く、この機械兵はどの機械兵のカテゴリにも当てはまらない規格外の機械兵だと言うのだ。この機械兵に乗った経緯についても話したが、そもそも0番ハッチというデータは全世界の共有データベースに存在しておらず、カイラムの自作なのか、そうでないのかすらも、カイラム無き今で知る由もなかった。

検査が終わり、データを見せて貰った。

どうやらこの機械兵の背骨にあたる部分にこの機械兵のデータが刻まれており、それを読み取ったらしい。

名は希望(ホープ)、武装を最初から持っていない非武装型機械兵で、他の機械兵の装備を装備することが出来るという特徴があり、そのおかげでナーバレスの装備を使えたらしい。これまでこのような機械兵を見たことが無かったのか、ガラバは必死にメモを取っていた。少女は思い出したように尋ねた。

"この子が扱える武器はありますか"と。

ガラバと研究員らは互いを見合わせ、意を決したかのようにバールに乗り込み、どこかへ行ってしまった。

10分経つ頃に、バール4機で1つの巨大なコンテナを運んできて、そのコンテナの中には機械兵用のブレードが収めてあった。少女は希望に乗り込み、そのブレードを手にする。ガラバはこのブレードを、"超音波パルスブレード"と説明した。超音波で刃を高速で震わせ電子パルスの密度を大きくし、機械兵の装甲を軽く切ることが出来るブレードだという。

少女は研究員らに感謝を述べた後に検査施設を後にした。

少女は力を手にした希望と共に世界を平和にする旅に出た。


今回はキリを良くするのに約3000文字となりました。

ここまで読んでくださった方はありがとうございます。

希望のメカデザインはご想像にお任せします。

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