合法ロリの何が悪い
「ここがこれからあなたの部屋よ、常識と良識の範囲で好きに使って頂戴」
そうしてわたしにあてがわれた部屋は昼に入ったコルネリア様の部屋には劣るものの、まるで夢を見ているのかと思ってしまうくらい豪華だった。
マジでこれまでのこと全部夢だったなんてオチないよね?
「それから専属の世話係もつけるわ、入ってきなさい」
そう促されて入ってきはのは……。
「し、失礼します……」
「あ、お昼に服を持ってきてくれた!」
あの時のオドオド系美少女メイドだ!
「よく覚えているわね……」
「勿論、こんな可愛い女の子のこと忘れるわけがありません!」
「え、えっとその……あの。 よ、よろしくお願いします……」
いかん、オドオド系にガッツくのはよくない。
慎重に、向こうからも押してもらえるようになる関係を構築せねば。
「なにかあったらこの娘に言って頂戴、ただしお手付きは厳禁ね」
後半滅茶苦茶冷たいトーンで言われた。
「そんなご無体な!?」
「釘を刺しておいてよかった……」つぶやかれた、うん言われなかったら間違いなく口説いてたけど。
「ラスト、あなたってそんなに見境いないの?」
「そんなことありません、可愛い女の子だけです!」
これだけは言っておかなければならない、好みではない女の子相手とまで深い関係になりたいなんて思わない。
「そう、わたくしはラストから見て可愛いのね……」
コルネリア様は顔を伏せ身体を震わせながら呟く。
あれ、急に空気重くなった?
「わたくしはこれでも姫です、国のために身を捧げる覚悟はとうにできています」
「でも……」と続け。
「この体形のわたくしにはそれができなかった、これまであった婚姻の話は相手がわたくしの姿を見た途端に全て破談になった……」
「姫様……」
メイドさんまで泣きそうになってる、この空気は良くない。
「そうして少しづつわたくしは何の役にも立たない姫と呼ばれるようになっていったわ……」
ダメだ、この人を泣かしてはいけない!
わたしは駆け寄って視線を合わせるようにかがみ、そっと手を握った。
「そいつらは女性を見る目がなかったんですよ」
「えっ?」
「コルネリア様は可愛いです、わたしが保証します!」
「ラスト……」
「わたしは、コルネリア様と結婚したいんです!」
伝わるだろうか、伝わってもさっきまでメイドさんにコナかけようとした身だから信じてもらえないかもしれないけど。
「そうね、そうだったわ。 あなたはわたくしの年齢を知ってガッツポーズするような人だものね」
「そこ思い出さないでください、ちょっと恥ずかしいので」
「いいえ、忘れてあげない。 だって本当は嬉しかったんだもの」
笑顔が戻って良かった、美少女はやっぱり笑ってた方がいい。
「さっきの言葉も忘れてなんてあげない」
だったら恥ずかしいことを言ってしまった意義もあるのかもしれない。
「だって、これでやっと国の役に立てるんだもの」
「!?」
今声を出さなかった自分を褒めてやりたい。
今度はわたしが泣いてしまいそうになる番だった。
コルネリア様にとってはわたしも自分自身も国を良くするための道具でしかない。
国の役に立てるなら今日出会ったばかりの相手と結婚することだって平気で受け入れてしまう。
「わたしのことも好きになって、その上で結婚してほしい」なんて言ってもきっと困惑させるだけだろう。
わたしは結局それ以上何も言えなかった、我ながら情けない……。