ここに教会を建てよう
アフターストーリー連続投降2日目です。
「はい、スロースロークイッククイックスロー」
リズムに合わせて足を動かそうとするものの、見事に自分の足を引っ掛けてすっころんだ。
「大丈夫、コルネリア?」
「ええ、ラストが下になってくれたもの」
そういうのは咄嗟に動けるんだけどなぁ。
ダンスって難しい。
「これ、覚えなきゃダメ?」
「折角ペルヴァンシアに協力してもらってわたくしとラストでも踊れるカタチにしたのよ、それとも男性と踊りたいの?」
「いえ、頑張って覚えます」
パーティとかのダンスなんて未経験だからマスターするまでの道のりは遠そうだ。
「今日はこれで終わりにしましょう、ラストはお兄様に呼ばれているのでしょう」
「うん、珍しいことに」
基本わたしを政治に関わらせる気が無いらしい義兄さんから執務時間中に呼び出しがかかるなんて、何の用だろう?
「よく来てくれた、掛けたまえ」
義兄さんに促され適当に座る、作法がまだわからない。
「それで義兄さん、わたしを呼ぶなんて何があったんですか?」
ちなみに「義兄さん」呼びはエルトレオ王からの要望だったりする。
それについて実はシスコンなのではないか訊いてみたものの、「唯一の肉親が妹だけなのだ、そうもなる」と。
そうあっさり返された、そしてわたしもカウントされた。
「話は他でもない、教会を建てることになった」
「はい?」
意味がわからない、というか教会を新しく建設することとわたしに何の関わりがあるのか。
「陛下は結論を急ぎ過ぎです、王妹殿下にはわかりやすく説明いたしましょう」
あ、いたんだロンゲ。
この男胡散臭いんだけど古代戦争時も結局怪しい動きは全く見せなかったな、雰囲気がアレなだけで実際にはイイヤツなんだろうか?
「まず姫君に神の声が聴こえる件ですが、これは民にも周知の事実なのです」
「そしてその声から提供されたリーリオ機関が戦争と古代戦争、双方で我が国の躍進に大きく貢献した」
「これが民の耳に入った結果、姫君はある種『神の使い』として認識され始めたのです」
久しぶりのローテーショントークだ。
「だから教会を?」
「本当にコルネリアを教祖とした新宗教を立ち上げるわけにはいかないが、その神を祀る場所は必要だと判断した」
「古代戦争後に国内で姫君と同じ声が聴こえると自称する者が現れ始めています、何もしないというわけにはいきません」
「どうしてコルネリアを教祖にしないんです、そっちの方が国としては良いんじゃないですか?」
「国と宗教が一体となって良いことがあるのは最初だけだよラスト、これは民間でやってもらわなければならない」
そういうモノなのか、わたしにはわからん。
「教会の運営は先程申し上げた通り声が聴こえる人物に任せるつもりです、ただ偽物がいる可能性もあるのでそこは姫君に選定して貰わなければなりませんが」
「そういうことだ、コルネリアが関係してくるとなれば君の耳に入れておく必要がある、だから今日呼んだのだ」
確かにそれだったら無関係じゃない、のか。
コルネリアの仕事が増えた、くらいの認識でいいのかな。
「話は以上ですが、王妹殿下にはもうひとつ」
「数日後から城の改装を予定している、丁度いいから新婚旅行に行ってきたまえ」
「結構急ですね、しかも邪魔者だから放り出されるっぽい」
「君とコルネリアの寝室を一室にする改装なのだが、不満かな?」
「行ってきます、義兄さん!」
そうか、これからは寝室がひとつになるのか。
テンション上がってきた!
「でも、新婚旅行なんてどこへ行けばいいんだろう?」
わたしはまだこっちの地理に詳しくない。
新婚旅行で行く場所なんてさっぱりだ。
とりあえずリンナちゃんに訊いてみるか、なんて考えながら今の部屋に戻ってくる。
「あれ、セルアからメッセージ?」
なんか都合がいい気がするけど、そのメッセージを読んだことであっという間に行き先が決まった。
海だ!
開幕のアレは単なるパロディで深い意味はありません、例の幻聴が聴こえたら幸いです。
ラストはウヌの本性(リンナちゃんの同志ことラスコル過激派)であることをまだ知らないので「胡散臭いロンゲ」から印象が変化していません。




