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1つの進展と1つの停滞

「転移反応を感知、転移反応を感知。 総員即座に戦闘態勢へ!」


 オペ子ちゃんことイレーヌちゃんから久しぶりの出撃コールきた!

 以前食事に誘ったら断られた上にリンナちゃんにバレた。

 しかも尻に敷かれてるタユカまで加勢してきて逃げられなかった。

 見事にお説教を食らいました、はい。


「あれから1ヶ月くらいかしら、どっちだと思う?」

「返事を持ってきたんだといいんですけどね」


 コックピット内で出撃準備をしながらそんな話をする。

 停戦申し入れの返事なら万々歳だ。

 そしてまだ攻めて来るなら、もう勝てないことを徹底的に教えるしかないわけだけど。


「こっちは各国の代表機体が全機投入可能になったので、どれだけの戦力で侵攻を再開されても返り討ちにできると思いますが」


 おかげで前線基地も最初と比べたら結構な大所帯になった。

 女の子のパイロットは全然増えなかったけど!


「ほら、いくわよ」

「はい、リーリオ2機先行します」

「いってきまーす!」


 飛行可能で機動力もあるわたしとタユカのリーリオが先に出て偵察に向かう。

 さて、どっちだ?



 そうして、転移装置の前にいたのは……。


「1機だけね」

「先輩、あれ」


 タユカにも見覚えがあるのなら間違いないだろう。


「あれは、先生専用のドゥークタードカスタムだ」

「周囲に他の反応はありません、伏兵はいない模様です」

「ありがとうリンナちゃん、じゃあ迎えに行こうか」


 リーリオを降下させて先生の前へ降り立つ。

 タユカは念のため上空で引き続き見張りを任せた。


「久しぶりじゃのラスト、儂1人だし非武装だから警戒は不要じゃぞ」

「まあそうなんでしょうけど、先生が単独で来たってことは……」

「ああ、今日の儂は停戦協定の使者じゃ」



 警戒態勢が解除された前線基地に戻る。

 この前線基地にいる人じゃなくて後方にいるもっと偉い人に会わせないといけないが、受け入れ準備が整うまでは先生もここに滞在するらしい。

 勿論監視つき、行動制限もあるにはある。

 そんな先生に一番最初に話しかけたのユキヒコだった。


「あの女から話は聴いてるぜ、あんた強いんだろ。 1戦やってみないか?」

「面白い提案じゃがもう帰るまで機体への乗り込みは禁止されてるんじゃ、儂も興味はあるがまた次の機会じゃのう」

「チッ、面倒クセェ」

「ほら行きますよユキヒコ、僕らも暇なわけじゃないんですから」


 と、用事があったのかクレオと一緒にすぐどこかへ行ってしまった。

 アルセちゃんとセルアもいないしここにいる代表パイロットは元あっち組だけか。


「ランフィール殿、噂には聞いておったがまさかこんな形で再開するとは、人生はわからないもんじゃ」

「アタシは今の侵略と略奪を止めたかったんです、止めたその先に何があるかも考えないまま。 でも今は違います」

「そういえば座学の成績はイマイチだったかな、実技では同期の中でも最強をほしいままにしておったが」

「いやーん、脳筋みたいな言い方はヤメテ☆」


 シリアスモード一瞬で終了した!?


「だから隊を任せて貰えなかったのよね、そのおかげであたしはアリユと出会えたわけだけどっ」

「ハレルソン殿!? 戦死したと聴いていたが……」

「そんな反応が帰ってくるなら偽装工作は上手くいったみたいね、アリユと一緒であたしもこっちにつきました。 何を言われても構いません」

「なに、会談が上手くいけばお主達が帰ることも……。 おっとイカンこれオフレコじゃった」


 先生がポロっとこぼしたのを聞き逃さなかった。

 というこては今のところ前向きに考えてくれてはいるのかな。


「ラスト、こっちへ来なさい」


 っとコルネリア様に呼ばれ意識をそっちへ向けて、ついて行く。


「さっきの話、ラストはどう思うの?」

「どう、とは?」

「またわたくしたちを騙す可能性は?」

「ああ、そっちですか」


 停戦の話を持ち掛けた本人が警戒してどうするんだという気もするけどタユカの時の前例があるしな。

 疑り深くもなるよね。


「先生本人に騙すつもりはないでしょう、タユカの時みたいに先生も騙されている可能性は否定できませんが」


 先生とは長い付き合いだ、その辺りはよくわかってる。


「一緒に騙されていた場合わたしにはどうにも……ってどうしました?」

「ちょ、ちょっと距離近くないかしら?」

「そうですか?」


 少しだけとはいえ後ろに下がられてしまった。

 どうして、最近好感度が下がるようなことしちゃったっけ?

 ああ、イレーヌちゃんを口説こうとしたのがリンナちゃんを通してバレたのか……。


「気持ちも自覚すると色々意識してしまうものなのね……」


 思い当たるフシがあって思考の沼に落ちていたこの時のわたしの耳にその言葉は届かないまま、虚空へ消えた。

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