クレオとネヴンケブラの誇り
本作はGL作品ですが男性キャラを不当に扱うことはしません。
なので今回の様な男性キャラメイン回もあります、ご了承ください。
それでもあらすじに書いてある通り男女恋愛は一切発生しません。
*クレオ視点
「相手は支援機だ、マガジンを交換しつつローテーションで撃ち続けろ!」
絶え間ない砲火に晒されて、このままでは身動きがとれない。
こちらから攻撃しようにもアンブレイカブルシールドを解除しなければならない、しかし解除したらそこで終わる。
とでも、思っているのだろう。
「アタッカーと組まれれば厄介この上ないが単独ではバリアーの中に引きこもるしかない、エネルギー切れになれば我々の勝ちだ」
確かに、ディヴァースタイレンタとのコンビネーションは素晴らしいものだった。
僕が背中を守っていれば後はユキヒコが殲滅してくれる、僕がいるからユキヒコは背後を気にせず暴れられる。
ネヴンケブラを開発した時には想定できなかった運用だ。
けど、仲間と分断された今原点に立ち返る。
「ネヴンケブラを支援機呼ばわりとは随分と舐められたものですね。 では教えてあげましょう、元々ネヴンケブラは支援機などではなく1対1で勝利するための機体であるということを!」
外部スピーカーをオフにしているため僕の声は外に漏れないが言わずにはいられない。
ラストさんと闘った時といい、自分で思っている以上に熱くなりやすい性格なのかもしれない。
早速ですが、新しく搭載された機能を使わせてもらう。
「チェンジ、弾丸モードスイッチオン!」
叫ぶと共に弾丸モードを起動する。
脚部が胴体に格納され新しく搭載したホバークラフトによりネヴンケブラが地面から浮かび上がった。
「な、なんだ!?」
動きを見せたことにより動揺の声は発せられるが無視。
包囲している内の1機に体当たりを敢行する。
だが機体同士が衝突する前にアンブレイカブルシールドに阻まれる。
こちらは当然無傷だがドゥークタードはアンブレイカブルシールドとの衝突に耐えられずそのまま爆散した。
「何がどうなってるんだ、あんなもの聴いてないぞ!?」
そして想定外の形で反撃を受け動揺している今がチャンス。
そのままの勢いに乗せて次のドゥークタードへ体当たりを敢行する。
「2機、3機、4機!」
敵が浮足立っている間にできるだけ数を減らしておきたい。
動揺で砲火が止んだのを確認してからアンブレイカブルシールドを解除しミサイルを一斉発射する。
古代戦争が始まってから改修し、元々はセカンドウェポンだったプロペラントタンクと同時に搭載が可能になった武装。
ネヴンケブラ内部に搭載されているモノより大型だから当たればひとたまりもないハズだ。
「ひるむな、攻撃している間は向こうも防御できん。 撃て撃て!」
「そんな隙を晒すわけがないでしょう!」
アンブレイカブルシールドを再展開、突撃を再開する。
先に指揮官を狙って更に乱すか。
指揮官機に方向転換し突き進む、機動力の差で逃げても無駄だ。
「くっ、プリフォートティーゴシステム起動!」
スピードが上昇した指揮官機にギリギリで回避される。
だがラストさんの情報によればアレは時限性。
仕留め損ねたが使わせたと考えればまあいいだろう。
時間切れまでは逃げられる以上、取り巻きを先に撃破した方がいいか。
ドゥークタードの数は既に最初いた20機から既に半分を割っている。
ネヴンケブラがエネルギー切れになるのが先か、敵を殲滅できるのが先かの勝負だ。
「撃ってこないのなら、こちらからいきますよ」
ネヴンケブラの武装は外付け式のミサイルポッドだけじゃない、腕部のガトリングガンだってある。
攻撃せず距離をとろうとするならガトリングガンで撃ち抜き、ひるまず攻撃を続けるならアンブレイカブルシールドを展開し突撃で粉砕する。
「さあ、残るはあなただけですよ」
周りを固めていた一般仕様のドゥークタードは全て撃破し後は指揮官機を残すだけ。
だがこちらもガトリングガンと大型ミサイル共に弾切れ、弾丸モードによる突撃も逃げられる。
しかし敵もアンブレイカブルシールドを突破する手段はない、これは膠着状態か。
「ユキヒコと闘った時を思い出しますね」
あの時も攻撃は全て回避され、こちらは全て防いだ。
お互い無傷で引き分けになってから、ユキヒコにはよく絡まれるようになった。
「でも、今回はあの時とは違う」
古代戦争に制限時間なんてものはない。
どちらかが死ぬまで続く。
そしてお互いに決定打を持たない以上、アンブレイカブルシールドとプリフォートティーゴシステムのどちらが先に展開不可になるかで戦局が大きく変わる。
そして、終了したのは同時だった。
「くっ、時間切れか……」
「同時に切れるのは予想外でしたね……」
お互いに動きが止まり、戦場を静寂が包む。
その短い静寂を先に破ったのは、ドゥークタードだった。
「まだだ、まだしばらくは動く!」
弾切れになったアサルトライフルを捨て、ハルバードを構える。
残りのエネルギーを振り絞り、確実にネヴンケブラへ近づいて来る。
そして目の前でハルバードを振りかぶり……。
「もらったぁ!」
「いいえ、それは僕のセリフです」
ラストさんが見せてくれたおかげでプリフォートティーゴシステムが切れた後もまだ少しの間動けることは知っている。
だから……、確実に倒せるこの瞬間を待っていた!
「全砲門解放!」
装甲が展開され、ネヴンケブラの内部武装が姿を見せる。
そのまま全弾発射、当然目の前にいて攻撃の構えをとっているドゥークタードに回避することなどできない。
機関砲と小型ミサイルの砲火に包まれ、パイロットの断末魔も聴こえぬまま最後の1機となった指揮官機も爆発四散した。
「ふう、なんとか勝てましたか……」
アンブレイカブルシールドは展開不可、弾薬も使い切ってしまった。
これでは自力で皆と合流するのは困難か。
「まあ、救援が来るまで敵の追撃が来ないことを祈りましょう」
分断されてしまった他の皆も同じような状況に陥っているのだろう。
「無事でいてください……」
機体がエネルギー切れを起こした今、僕にできるのはそう呟くことくらいだった。




