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いざ、出陣!

「というわけで出撃だ、各自当日まで準備を怠るなよ」


 書類に目を通す、異世界なのに言葉だけでなく文字まで一緒なのはとても助かる。


「メイルさん、質問があります」

「なんだ、夜の誘いなら断ったハズだぞ」

「いや真面目な話ですって、それはそれとして1回断られたくらいじゃめげませんから」


 うーん、キツイ……。

 美人なんだからもっと態度を柔らかくしたら可愛げがあるんだけどなぁ。

 わたしの好みでアレコレいっても仕方ないんだけどさ、母国に彼女いるって言ってたし。

 そんな相手にコナかけようとするわたしもわたしである。


「セルア、本当になんなのこの女……」

「私達に勝ったのは事実ですので実力は折り紙付きですよ、そもそもペルヴァンシアに勧誘しろと指示したのはメイルさんでしょう」

「確かにそうだが、今は断ってくれて良かったと思ってるよ……」


 本人がいる前で酷いこと言ってくれる……。

 でも許す、美人だから。


「それで、質問とはなんだ?」

「作戦がこう、向こうに転移して暴れるだけっていうのはいかがなものかと」

「仕方がないだろう、古代戦争なんてどれだけ昔のものなのか。 この世界で戦略や軍略なんてモノを考えられる人間は全然いないんだよ」


 100年どころじゃないくらい長い間、競技形式で1対1の闘いばかりやっていたから世界全体がそうなっちゃったのか。

 送り出される側としては不安要素でしかない。


「なら貴様が作戦を考えればいい、お手の物だろうペテン師?」

「個人単位でセコいこするならともかく、戦場全体を戦略的視点で見るなんて無理ですってば。 元一兵卒未満なので」

「なら、遺憾ながら正面突撃しかないな」


 これが祖国なら勝つ気があるのかと問いたいところだけど、そういうことを考える人材が不在だと言われたらどうしようもない……。

 好きじゃないけど機体性能のゴリ押しでいくしかないのか。


「いいじゃネェか正面突撃、オレ様好みだぜ」

「ユキヒコはそう言うと思いましたよ、けど毎回背中をカバーする身にもなってください」

「何言ってんだ、クレオに背中を守られてるから暴れられるんだろうが。 背中と命を預けられる相手なんてそういないぜ」


 ユキヒコはノリノリである、わたしも見習って切り替えるか。


「それじゃあもう1つ」

「なんだ、言ってみろ」

「いつまでこの5機で戦わないといけないんです、他の国の機体はまだ修理終わらないんですか?」


タユカ用の先行量産試作型リーリオは大改装中だからわかるけどさ。


「それをワタシに言われても困る、作戦のこともそうだが所詮は連絡係だからな……」


 中間管理職の悲しみに触れてしまった……。

 ちなみに上とわたし達パイロット組の間に入るのが女性のメイルさんなのはわたしがやる気を無くさないためらしい。

 失礼な、向こうにいた時の担当教官は男だったしそんなことでやる気を無くしたりしなかったよ!

 わたしの知るブリーフィングとはあまりにも違ったけどこれもこの世界の歴史からくるものなのか。



 そして出撃当日。


「準備はいいか、野郎ども!」

「メイルさん、女性の方が多いです!」


 野郎だなんて失礼しちゃうわ、なんて。


「これからはおねーちゃんと一緒だね!」

「こらアルセ、殺し合いに行くんだからあまり嬉しそうにしないの」


 そう、わたしにとってはまた同胞を殺すことになる。

 自分で決めた道だし後悔もしてないけど、やっぱり気分のいいものじゃない。

 それはそれとして。


「転移装置にロックがかかってて飛べないとかあったりしないの?」

「そもそもそんな機能は無いカラ問題なく転移できるヨ☆」


 ロックなんてできるんならそれで断絶しちゃえばもうそれで終了だし当然か。


「待ち伏せされているのは確定ですが、我々としては正面から食い破るしかありません。 皆さん連携は乱さないように」

「敵の罠を正面から食い破る、それでこそ最強を目指すにふさわしいシチュエーションだぜ!」

「食い破れずわたしに負けたが人が言ってもカッコつかないよ」

「次は負けネェからいいんだよ、敗北は次の勝利への糧だからな!」


 はいはい、じゃあそういうことにしとこう。


「いいか、世界を跨ぐ通信はできないから陣頭指揮はとれん。 転移後はお前達の判断でなんとかしろ」

「基本的には僕の指示に従ってもらうことになります」

「そういやクレオがリーダーってことになってたか、全員生き残るように動かしてくれよ」


 ユキヒコにしては素直に人の下に就くね。

 前線基地攻略戦の時もそうだったけどアイツはアイツなりに古代戦争に対して思う所があるのか。


「それじゃあ転移装置を起動するぞ、愉快な遠足の始まりだ!」



 転移を完了し、大地を踏みしめる。

 まさか敵対関係になっての帰郷になるなんてコルネリア様に出会った頃は思いもしなかった。

 そして悲しいかな、わたしがこの世界の敵であることを証明するようにもう包囲されている。

 でも……。


「数が少ないな、ざっと数えて20機くらいしかいないんだけど」


 5対20とか一方的な蹂躙でしかしないぞ。

 もう疲弊し切ってしまっているのか。


「こちらも周囲に味方機の反応なし、この場にはリーリオしかいません」

「はい!?」


 今AIはなんて言った?

 孤立してる?

 ならそれはここにいるわたし達だけじゃない、間違いなく全員がバラバラに転移してる。

 分断されたか。

 皆、無事でいて……。

次回から5人それぞれの戦闘に入ります

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