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攻勢準備 前編

今回は長いので前後編に分かれます

 前回の戦闘から1週間。

 タユカの修理もとい治療も終了し元気にメンテナンスルームから帰ってきた、のはいいんだけど……。


「ボクたち……」

「お付き合いすることになりました!」


 いきなり交際報告をブチかまされた。


「はっや!?」


 いや焚きつけたのはわたしだけどさ。

 リンナちゃんが行動に移すのとタユカが陥落するの、両方とも早いよ!?

 以外と魔性の女だったりすのか。

 初めて会った時とはまるで別人みたいになっちゃったけど、これはこれで!


「おめでとうリンナ、貴女にも心から決めた相手ができて嬉しいわ」

「姫様……」


 少なくともリンナちゃんに恋愛感情が無いことを知っているわたしとしては微妙な気分だけど。

 この関係をお膳立てした身だからツッコむ権利なんてないしね。

 この話題を長く続けられてもアレなのでちょっと真面目な話にシフトさせてもらおう。


「タユカ、この基地にメンテナンスルームが存在していることについて何か心当たりある?」


 そのおかげでタユカが助かったとはいえ、その理由は謎だ。

 直球で受け止めるなら、まだ形式上は候補生であるタユカを前倒しで戦場へ出すことを意味している。

 いくらタユカが特殊とはいえ単機で戦局を左右できる程大きな存在ではないハズだ、ドゥークタードの性能なら尚更。


「いいえ、本物の戦場に出るなんて話は全然知らないです。 でも……」

「でも?」

「なんか偉い人から『君はもうすぐ救世主になる』って言われたことはありました」


 救世主、なんかのコードネームだろうか。

 こんなワードひとつじゃ何もわからないな。


「それにしても元あっち側の人間増えてきたよネ、タユカちゃんもパイロットなら半分もいることにナッチャウ☆」


 タユカには今のところ使う機体がないけど確かに多い。

 あとタユカには「使い捨ての駒として使われたから帰っても居場所なんてないよ」と嘘を教えてある、本当は大歓迎されるだろうけど。


「それだけ連中のやり方に不満を持っている人間が内部にもいるってことなんじゃないかしら」

「そうですね、だとしたら本土にも反政府勢力が存在しているかもしれません」


 うーん、そうきたか。


「敵の敵は味方理論は少々危険かもしれませんが、もし存在していたとしたら協力まではいかないまでもお互い利用価値があるでしょう」

「多分いるだろうけど、どうヤッテ連絡とるノ?」

「ボク多分できますよ」


 えっ、ちょ。


「いいのタユカ、それ教えちゃって……」

「いいんです、ボクの居場所はリンナさんの隣ですから」


 知ってた、知ってたけど本当にわたしの同類だな。


「今はもういませんけどボクの両親は反政府勢力の人間でした、そしてその仲間達への連絡手段が身体の中にあります」

「身体の中、とはどういうことですか?」

「言葉のまま埋め込んであるんです、ボクの身体は大半が機械なので」

「「「……」」」


 事情を知らない人皆絶句しちゃったよ、当然だけど。


「正確なことはわからないですけどボクを改造したのは両親らしいです、何かの兵器として利用しようとしていたとか」


 どっちもどっちだ、結局軍も保護したフリしてタユカを何かに利用しようとしていたんだから。

 事情を知らない指揮官に捨て駒として使われた結果、自分でそのチカラの使い道を見出したのは幸運なことだと思う。

 リンナちゃんの掌の上であることを見ないことにしたらだけど……。


「だからボクが本土へ行けば反政府政府の生き残りに連絡が取れます、といっても文章を送信できるわけでもないので単純な合図だけですが」

「それでも我々だけで戦うよりはマシになるでしょう、協力に感謝します」

「トコロでラストちゃんはアタシも知らないような機密をなんでご存じナノカナー☆」

「それはまあヤることヤっていればカラダの違和感は気づいちゃうわけで……あれ?」


 今、わたしはなんて言った?


「ヤることって何かしら、具体的に言ってもらわないとわからないのだけれど」


 ぎゃああ、やってしまった!?

 コルネリア様のいる前でなんてことを……。


「その件については夜にゆっくりと訊かせてもらうわ、同じ部屋なのだし」

「なんだったらカラダに訊いてくださってもいいんですよ!」


 滅茶苦茶睨まれた、勢いでつい。


「話が横道に逸れ過ぎです、タユカさんについては現状使える機体が存在しません。 ですからパイロットが増えたといっても戦力アップにはなりませんね」

「ボクが乗って来たドゥークタードじゃ駄目なんですか?」

「いや棺桶だからねアレ、彼女さん置いて死んだらダーメ☆」


 わたし達に欠員が出ていないのはドゥークタードを圧倒する機体性能と各国の代表の名に負けない技量を持ったメンバーが揃ってるからだ。

 タユカだって裏技があるものの性能が敵と同レベルだと物量に押しつぶされて終わってしまう。

 だから現状前線に出すわけにはいかない。


「ならヅガルのところに行ってみましょう、リーリオ整備のためにこっちに来てるはずだもの」


 困った時は専門家を頼る、確かにその通りだ。


「アルセも到着したみたいだし丁度いいわ、格納庫へ行きましょう」


 アルセちゃんが来たならわたしも行かざるを得ない。

 結局この場にいる全員で格納庫へ向かうことになったわけだけど、何か朗報があるといいな。

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