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タユカの身体

 本日2回目の転移反応、ということは。


「タユカのお迎えかな?」

「いえ、迎えが来るなんて話は……」


 ……その時、地面が揺れて爆発音が響いた。


「なに、地震でも起きているの!?」


 違う、これは地震じゃなくて。


「戦闘が始まったんですよコルネリア様、でもなんで!?」

「そりゃあこっちから先制攻撃を仕掛けたからナァ!」


 携帯型の通信デバイスからユキヒコの声がする。

 っていうか……。


「先制攻撃って何してくれてんの!?」

「いいえ、遺憾ながら今回ばかりはユキヒコが正解です。 それに、最初の一撃はセルアさんのものですし」

「ごめん、もうちょっとわかりやすく!」


 少なくともこの会談中に戦闘なんて仕掛けていいわけがない。

 そんな中こっちから戦端を開くなんて……。


「突撃する、お前ら背中は任せたぜ。 うおりゃあ、超大振動剣!」

「この通りユキヒコが暴れているので僕から説明します、確かに攻撃は我々からでしたが先に攻撃指示を出したのは向こうの指揮官です」


 はい?


「えーとつまり、指揮官が指示を出してから兵が動く前にセルアが攻撃したってこと?」

「そういうことになります」


 まって、色々まって……。


「そんな迅速な対応できるものなの?」

「最初から平和的な話し合いで終わるなんて思ってなかったもの、ラストには悪いけど私達は敵の言うことなんて微塵も信用してなかったの」

「今背中から撃たれなくて本当に良かったと思ってマス☆」


 結局のところ、この場にいる3人を除けば両方とも最初からヤル気満々だったわけだ……。

 だとしたら余計にわからない。

 捕虜解放の会談を装った奇襲作戦なら使者は間違いなく犠牲になる。

 でもその役目でタユカに白羽の矢の立てるのはどう考えてもおかしい。

 だってタユカは……。

 いや、今はそんなことを考えてる場合じゃない。


「格納庫に行きます、緊急事態だからタユカも一緒についてきて!」

「は、はいっ!」


 違う、焦るな。

 ここにリーリオを転送してタユカも乗せてしまった方が早い。

 タユカなら乗ってもリーリオ動くし。

 訂正してリーリオを転送しようとしたその瞬間。


「天井が!?」

「危ないっ!」


流れ弾でも飛んできたのか、天井の一部が崩れる。


「コルネリア様! タユカ!」


マズイマズイマズイ。

ガレキの下敷きになった2人を助けないと!


「大丈夫……、ですよ」


 声のした場所にあったガレキが下から持ち上げられ、タユカが現れる。

 そこにはコルネリア様も一緒にいた。


「貴女、わたくしを庇って……」

「先輩が……ようやく見つけた……ひとなんです、死なせるわけには……いきません」

「わたしからもお礼お言わせて、ありがとうタユカ」

「せん……ぱい……」


 タユカが倒れる。

 マズい、意識がシャットダウンした。

 それに傷口から軽く火花も散ってる。


「ラスト、これって……」

「話は後です」


 コルネリア様が息を飲むけど今はタユカを治すことが先決だ。

 理由は不明だが幸いにもこの基地の地下にはアレがある、なんとかなるハズだ。


「コルネリア様は先に格納庫へ行ってリーリオで待機しててください、わたしはタユカを治療できる場所へ行きます」

「それなら役目は逆の方が良いのではないの? ラストは戦力のアップのためにも出撃した方が」

「見ての通りタユカの治療は人間に対するやり方じゃ駄目なんです、地下への行き方はわからないでしょう?」

「わかったわ、じゃあリンナにやらせなさい。 あの娘ならわたくしやラストよりこの基地に詳しいもの」

「わかりました、リンナちゃんに引継ぎ次第リーリオを転送します。 だから先に行っててください」


 コルネリア様は頷き格納庫へ向かって走ってゆく。


「別に急がなくたっていいんだぜ、その分だけオレ様の取り分が増えるんだからな!」


 通信デバイスから声!?

 今までの全部聴かれてたのか。

 

「そういうこと、こっちは気にしないで人命救助を優先してくれていいわ」

「ラストちゃんがいなかったから負けたなんてカッコ悪い姿は見せないからネ☆」

「この程度の数、僕達4機だけで十分だと敵に教えてやりましょう!」

「皆、ありがとう……」


 わたしも通信デバイスでリンナちゃんを呼び出す。


「ラスト様、いかがなさいましたか?」

「怪我人、運ぶためのストレッチャーも持ってきて!」


 女の子にこんなことはあまり言いたくないけどタユカはエルトレオ王より遥かに重い、1人で背負って運ぶのは不可能だ。

 ストレッチャーも一緒に持って来てもらわないといけない。

 そして、しばらく待っているとリンナちゃんがやってくる。


「ラスト様、この方はっ!?」

「うん、ちょっと事情があってね。 人間に対する治療じゃ駄目だから地下にある施設に……って何してるのリンナちゃん!?」


 振り向いた時、わたしの視界に飛び込んできたのは。

 タユカに対して銃口を向けているリンナちゃんの姿だった。

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