婚前交渉はアウト
……一旦冷静になろう。
目の前の、わたしの好み直撃な美少女と結婚できる。
それはとても魅力的な話だ。
だけど……。
コルネリアと名乗った少女をもう一度じっと見やる。
これまでの会話から王族ゆえなのか大人びてはいることは感じるものの背は低く人によっては幼いと判定する人もいそうだ。
本当に結婚なんてしていいだろうか……?
「表情がコロコロ変わる人ね、嬉しそうだったのが今度は本当にそれ大丈夫なのかと不安そうに見えるわ」
あー、昔から言われてるけどやっぱり顔に出るんだわたし。
「言っておくけどわたくし23よ、結婚というのならむしろ遅いくらいね」
「23んん!?」
この幼い見た目で年上なの!?
ダメだ、もっと好きになりそう。
「わたくしの年齢知ってガッツポーズしながら喜ぶ人は初めてよ……」
しまった、つい喜びのあまり。
部屋のドアがノックされる。
「入りなさい」
「し、失礼します……」
入ってきたのは美少女だった。
いや違う、メイドの美少女だった。
「お召し物を用意してまいりました」
「ほらラスト、着替えなさい」
「あ、はい。 ありがとうございます」
「それは一応のものだから、後で下着込みでちゃんとしたのを用意させるわ。 だから身体のサイズも測らせなさい」
とてもありがたい申し出だ。
オドオドしながら渡してくるメイドさんから服を受け取る。
いやしかし可愛いな、でもわたしよりもアイツの方が好きそうなタイプだ。
そんなことを考えながら着替えようとした手も止める。
「なんで後ろを向いているんですか?」
「嫁入り前の娘の裸を見れるわけないでしょう!?」
「その嫁入りの相手がコルネリア様本人なんですからそんなこと気にしなくても、なんなら見るだけじゃなくて触ったっていいんですよ♪」
「なんてこと言うの、そんなの式を挙げてからすることでしょう!」
マジトーンで怒られた、お堅い国だな。
あと呼び方には言及されなかったからコルネリア様呼びでいいんだろう、多分。
着替えるついでにメイドさんに採寸もしてもらった。
いやしかしメイドさん可愛いな、若干オドオド系な辺りどちらかというとわたしよりアイツ好みだけども。
「よし、それじゃあ行くわよ」
そうだった、元々あんな恰好では国王に謁見できないっていう事情で着替えとかしてたんだった。
中身が違う戦争や結婚のことで色々吹っ飛んでしまっていた。
国王陛下、将来お義兄さんになる人か。
国家元首にしては若く見えたけどコルネリア様も年齢の割に若いのでそういう家系なのかもしれない。