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世界会議 前編

ラストが基地に潜入する前で時間が遡ります

「まず始めにクロベイン村の者から『遠くに知らない建造物が見える』との報告が入りました、ドリューナルの領土内でありながら我々国の人間が一切関知しないモノです」


 リンナちゃんの故郷が襲撃されてから一週間、この世界における首脳達による「世界会議」が開かれていた。


「この建造物の持ち主とコンタクトをとるために陛下自ら出向くことになりました、万一に備えレーゴに搭乗してのことです」


 エルトレオ王の意識が未だに回復していないためドリューナルからは代理として補佐官のロンゲが参加している、あとわたしとコルネリア様。


「そして建造物に向かう途中、クロベイン村付近で敵部隊と偶然遭遇、問答無用で攻撃をしてきたため村を巻き込んでの戦闘となりました」


 今はロンゲが事の顛末を各国の首脳に説明している。


「我が国代表ラスト殿の救援もあって敵部隊の撃退はしましたが、その時の負傷もあって陛下は今も意識不明です」


 なんか撃退したのがわたしの手柄みたいになってるけどまあいいか、この後のことを考えればプラスは要素は欲しいし。


「陛下と行動を共にした者達が村人の避難誘導を行いましたが、民にも少数ながら被害が出てしまいました。 以上です」


 リンナちゃんの家族は助かったけど死者は出てしまったらしい。

 わたしの故郷の人間がこの世界に侵攻してきたことによって……。


「すまない、この件については我の失態だ……」


 しばらくの沈黙の後、1人の男が口を開いた。

 でも誰かわからない、アリユさんの隣にいるんだからアリユさんが身を置いてる国の国家元首だと思うけど。


「我が国オーベルロードは以前から連中が侵攻してくることを知っていた、だがまだ時間があると油断していたのだ……」

「『まだ時間がある』とは、どういうことでしょうか?」


 ロンゲがツッコむ、うんそこはわたしも気になる。


「元々此度の我々が侵攻されるという情報はアリユからもたらされたモノなのだ、そして我はそれを信じた」

「彼女の持ってきた情報が偽物だった、と?」

「こうなってしまった今となってはそうなのだろうな……、全ての責任は我にある」


 あの人アリユさんを庇う気なのか、本当かどうかはともかくスパイだったとかなんとか言って切り捨てた方がこれ以上追及されないだろうに。

 いや他人の心配してる場合じゃないんだけどさ、わたしもアリユさんと同じく向こうの出身だから疑惑の目は間違いなくこっちにも来るし。

 コルネリア様が全力で弁護するとは言ってくれたけど……。


「最初は我がオーベルロードが戦争を勝ち抜き序列1位になることで皆をまとめるつもりだった、そうでもしないと異世界から軍勢が侵攻してくるなどと言っても信用されないと考えたからだ」


 会議の会場全体がザワついている。

 今でこそもう攻められた後だから信じるしかないけど、事前に言われて信じられるかって言われたら無理だと思う。

 向こう側の人間だったわたしも2つの世界が行き来可能だったなんて知らなかったんだから。


「それで、その女が敵のスパイで最初から嘘をついていたという可能性は無いのかね?」


 どこの国かはわからないけど偉そうな人がオーベルロード王に問う。

 できれば話をそっちの方向に持っていかないでほしい、わたしも一緒に追及されそうだから。


「先ほども言ったが我はアリユを信じた、だから彼女がスパイであろうとなかろうと責められるべきは我である」

「誤魔化さないでいただきたい!」


 うわあ語気が荒くなってきた、これヤバいんじゃ……。

 そう思ってたところに割って入った声があった。


「その女は嘘をついてもいねえしスパイでもねーよ」


 発言者は追及してた偉そうな人の隣に座っていた男だ。

 なんか見たことある顔だけど誰だっけ?


「強いヤツっていうのは嘘をつく必要もなければ騙す必要も無いんだ、だからその女はスパイなんかじゃねーよ」

「こらユキヒコ、またお前はそんな根拠もなくいい加減なことを!」


 ああ、ユキヒコだったのか。

 もうちゃんと顔覚えてなかった、久しぶりだし。

 っていうか今わたし悪口言われた?


「いい加減とは限りませんよ」


 口を挟んだのはメガネの美形お兄さんだった。

 なんか声をどこかで聴いたことあるような。


「強い弱いはともかくとしてアリユ・ランフィールが本当にスパイだとしたらこの場にいるハズがありません、とっくに逃げ出して敵と合流していることでしょう」

「意見が合うとは嬉しいぜクレオ!」

「合ってませんよ……」


 あのメガネが初戦で当たったクレオだったのか。

 そういえば対戦相手の中で1人だけ直接の面識無いから顔を知らないわけだ。

 男だから面識あっても覚えてられたかは怪しいけど。

 セルアもいるし代表パイロットも皆参加してるんだこの会議。


「ぐぬぬ……」


 ユキヒコの国の王様は納得したというより今は反論が思いつかないといわんばかりの態度で引き下がった。


「可能性としては最初にオーベルロード王の仰る通り偽情報を掴まされたか、もしくは彼女がこちら側についた事で慌てて予定を前倒ししたのかもしれません」


 クレオの更なる追撃で会場内が静まりかえる。

 他の国もこれ以上追及する気はなさそうだ。

 それってつまり、次はわたしの番ってことだよね……?

長いの次回後編へ続きます

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