意味が違う戦争
少女に連れてこられた部屋はやたらと豪華だった。
「ここはわたくしの部屋よ、今のあなたの姿はおいそれと他人に見せていいものではないので。 ここならわたくしの許可がないと入れないから安心してね」
そう言われて自分の姿を見やった。
「あっ!?」
まさしく昨晩就寝に入った時そのままの姿だった、下着も下しか身に着けていない……。
これを気にしててくれたのか。
「そいうこと、勿論服はすぐに持って来させるわ。 それまでは事情の説明をといきましょう」
そう言うと少女は姿勢を正し。
「まだ名乗っていなかったわね、わたくしはコルネリア・ドリューナル。 この国の王の妹よ」
「えっ!?」
王ということはこの国の国家元首、その妹っていうこと!?
どうしよう、さっき少しだけとはいえタメ口きいてしまった……。
首とか飛ばないよね?
「えっと、わたしはラストです……」
名乗られたからにはこっちも名乗る、んだけどなんとも不思議そうな表情をされてしまっている。
「それだけ?」
「はい、わたしは孤児院育ちで今はもうその孤児院もなくなってしまっているのでファミリーネームを名乗っていません」
自己紹介の際よく指摘されることなのでそう返すのは慣れたものだった。
「そうなのね」
わたしの説明に納得したようでホッとする、孤児院の名前をファミリーネームとして使う人もいるけどわたしはなんとなくそれをしなかった。
じゃあラストと呼ばせてもらうわね、と前置きして。
「まあ家名があってもなくてもあまり関係ないけれど、働き次第とはいえラストもドリューナルを名乗ることになるんだし」
「はい?」
この流れからしてドリューナルというのは王家の姓なのではないだろうか、それをわたしが名乗る?
「ちょっと話が飛んじゃったわね、これからラストには国の威信を懸けた戦いに参加してもらうわ」
要約するとこういうことらしい。
ここでは10年に一度それぞれの国の威信を懸けた戦いが行われる。
それぞれの国は代表となる機体とそのパイロットを選出して1対1の戦いを行う。
この結果如何によって次の10年後までの各国家間の序列が決まる。
ここではこのことを「戦争」と呼ぶ。
言葉が通じるのに戦争の意味が私が知っているものと違うのは少し引っかかるけど、今考えるべきはそこじゃないだろう。
「そして、ラストの成果次第ではわたくしと結婚する権利が与えられるわ」
「はいぃ!?」
その言葉にはそれまで考えていたことが全部吹っ飛んだ。
け、結婚!?
いいの?