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初めての友達

 別れ際にセルアが連絡先を寄越してきた。

 勿論下着すら下だけで着の身着のままこっちに来てしまったわたしが自前の連絡ツールなんて持っているワケなかったので新しいモノを用意してもらうことに。

 ただしわたしの立場が立場なためリンナちゃんの監視がある時しか使えないという制約つき。

 これについてはわたしだってまだ現場に出てない見習いだったとはいえ軍に身を置いていたので不服ではある、公私混同で機密を漏らしたりなんてしないよ。


 それはそれとして。


「今日はアルセちゃんいないんだね……」

「用事があるのよ、内容は話せないけど」


 なんかお互い時間が空いたらちょいちょい話すようになった。

 あっという間に敬語も取れてまるで友人のようになっている。

 いや、まるでじゃなくて友人そのものか。

 考えてみればこっちでの人間関係って様づけするかされるかばかりで対等の友人と呼べるような人はいなかったな。


 コルネリア様とは「お友達からよろしくお願いします」って関係でもないし。

 ヅガルのおっちゃんは仕事仲間であって友人じゃないし、他のメカニックスタッフともあんまり交流ないし。


「当人が言うのもおかしな話だけどラストってちゃんと同性の友人を作れたのね」

「恋愛対象なのはあくまで好みのタイプの娘だけだからね、そりゃあそうでない女の子とは友達になるよ」


 わたしは見境のない女狂いではない、こっち来てからは刺さる女の子との出会いが多いだけである。


「でもアルセのことは狙うのよね」

「可愛いからね」

「だったらペルヴァンシアに来たらよかったのに、そうしたら私達二人セットだったわよ」

「それ前にも言われたけどどこまで本気だったの?」


 いくら強い女性が持ち上げられる国とはいえそんな簡単なことなんだろうか。


「アルセもラストのことを気に入ったみたいだしペルヴァンシアに来ていたらあり得ない話でもなかったわね」


 ジョークかと思っていたのにまさか本気でアリだったとは。

 なんてこった、こんなことなら即答で断らずに「考えさせて」って保留にしておけばよかった!

 そういえば、気になった話題を振ってみることにする。


「そっちの国って男からの反応どうなの?」

「どうって?」

「強い女性を屈服させるのが趣味みたいなヤツに絡まれたりしない?」


 これは体験談だ、軍という場は腕っぷしに自慢がある男が多いからか主席であるわたしを屈服させようと喧嘩を吹っかけてくる趣味の悪い男はちょいちょいいた。

 当然全員二度とそんな気が起こらないよう逆に地へ這いつくばらせてやったけどそういえば一人だけ何度負けても懲りなかったヤツがいたな。

 それからユキヒコもアイツらとはちょっと違うと思う、多分男女関係なく強い人と闘うのが好きな人種だ。


「逆ね、私達みたいな立場の女の役に立ちたいって男が多く集まる国になってるわ」

「それはちょっと羨ましい」


 下心無しで友好的な男ならまだセーフだけどそれ以外は基本相手したくないからなぁ……。

あとこれもついでに訊いておこう。


「セルアとアルセちゃんの関係ってやっぱり?」

「ラストの考えてる通り愛し合ってるわよ」

「あー、やっぱり」


 なんとなくそうなんじゃないかと思っていた、わたしとコルネリア様のことに関しても察しが良かったし。


「それ国としてはどうなの?」

「問題ないわね、ペルヴァンシアは強い女が立場を得る都合上世襲制じゃないし」


 子孫の問題なんて最初からないのか、ドリューナルとは全然違うな。

 ちょっと話がズレたので戻していこう。


「それで二人の仲にわたしが加わちゃってもよかったの?」

「ラストなら特別ね、私達に勝ったわけだし強い女に抱かれるのもやぶさかではないわ」


 改めて凄い国だなペルヴァンシア。

 本当に勿体ないことをしてしまった、とはいえコルネリア様と天秤にかけたらコルネリア様に傾くからどうしようもない二択ではある。

 どこかに両方を選べる選択肢はなかったんだろうか、なんて今更考えても仕方ないけど。


「じゃあ、アルセと合流しないといけないから今日はこれで失礼するわ」

「うん、じゃあまたね」


 通信を切られる。

 気軽に話ができる友人っていうのは良いモノだね、お互いの立場上話せないことだって当然あるけど。

 この友情が長く続くことを願って通信機の電源をオフにした。

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