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作戦会議

 次の対戦相手が決まった。

 またあのウヌっていう胡散臭いロンゲの男が次の相手に関する資料を持ってきた。

 どうにもあの男は腹にイチモツ抱えてる気がするんだよなぁ、王様の側近というとその内裏切るっていうイメージが強い。

 小さい頃読んだおとぎ話や漫画のイメージ引きずってるからかもしれないけど。

 それはまあ一旦横に置いといて、その資料を基におっちゃんと作戦会議だ。


「これはまた尖ったのと当たったね……」


 機体名「フラティーノ」、射撃特化型だ。

 でも初戦の相手だったネヴンケブラとはある意味真逆のコンセプトをしている。

 携行武装のエネルギーライフルが主力で内部武装が小型機銃しかない。

 ひたすら撃ちまくって少量でもダメージを与えたら後は防御に徹するだけだったネヴンケブラと違ってしっかり射撃で打ち取りにいくスタイル。

 それを支えているのは。


「パイロットのデタラメな精密射撃……」


 セルア・アーウィンス、フラティーノのパイロット。


「逃げ回りながら脚を打ち抜くとか化け物かいな……」


 わたしには逆立ちしたって真似できない。


「どうしたラスト、調子悪いのか?」


 おっちゃんが心配そうに声をかけてくる、調子悪いってなに?


「いやどこも悪くないけど」

「何言ってんだ、お前さんがこんな綺麗な姉ちゃんに反応しないなんてどう考えてもおかしいだろ」


 え、なに。 わたしそんなに見境ないって思われてるの……。


「わたしの好みは可愛い系だからね、この人みたいな美人系にはそこまで興奮したりしないかな」

「へぇ、誰でもいいわけじゃねえんだな」

「そりゃそうでしょ、ほら今はそんなことどうでもいいから作戦会議作戦会議」


 改めて記録映像に目を向ける。

 初手で脚を狙って機動力を奪いその後他の部位を破壊して抵抗不可能になったところへ胴体へのトドメ。


 これだけ正確な射撃ができても首を狙わないのは照準が少しでもズレたらコックピットに当たってしまうリスクを考えてのことか。

 細い部位にも正確に当てられる精密射撃だけならどうとでもなる、二戦目だと実際に対処されちゃってるし。 でも……。


「このセカンドウェポンは反則じゃない?」

「装着後も戦闘が続いてるんだからルール違反じゃねえだろ」

「そういう意味の反則じゃなくて、いやコレがルール上アリなのもちょっとビックリだけど!」


 さりげなく初の有人セカンドウェポンだけど別のところでインパクト強過ぎて薄れちゃってるな。

 二人乗りになったことでメインパイロットの弱点をカバーしてる、これは手ごわい。

 二人でひとつの機体を操縦なんてとてつもなく難易度高いだろうに違和感なく息ピッタリで操縦しているように見える、よくもまあこんなコンビ揃えたもんだ。

 リーリオのまだ一回も使ってないセカンドウェポンも有人だけどあれはリーリオ機関を作動させるためであって二人で操縦することを目的としてるわけじゃないからちょっと違う。


「んでラスト、コイツとどう戦うんだ?」


 おっちゃんのその質問にわたしは……。


 わたしの作戦を伝えたらおっちゃんは驚きで固まってしまった。

 数秒後、フリーズが解除されたおっちゃんがようやく口を開く。


「おい、そんなもの作戦っていうのか?」


 えー、反応悪いな。


「ワシは技術屋だから戦闘に関しちゃ素人だ、だからお前さんが何を考えてそんな作戦を考えたのかよくわからんが……」


 おっちゃんは一拍置いて。


「そんなんで本当に勝てるのか?」

「むしろわたしが考えうる限り一番勝率が高いんだけど」

「でもよぉ、トリックスターらしくないというかなんというか……」

「おっちゃんまでその呼び方するの!? わたしはその二つ名受け入れてないんだけど!」


 甚だ遺憾である、わたしはペテン師ではない!


「おいまさかお前さんそれでムキになって今回の作戦考えたんじゃないだろうな?」


 おっちゃんの疑問はもっともだけど違う。


「いやだってもう今までみたいな戦い方じゃ多分通用しないだろうし」

「どういうこった?」

「これまでの戦いで身にしみたんだよ、わたしの戦い方は読まれやすいって」

「あんな勝ち方しておいて何言ってるんだ、しっかり裏とって勝ってるじゃねえか」


 おっちゃんにはそう見えてるのか。


「それは最後だけ、二戦とも途中までは相手の掌の上だったよ」


 流石国の代表というかなんというか、これまでわたしが下してきた同じ候補生とはワケが違う。


「それに変な二つ名まで付けられちゃったし、これからは色々と警戒されるからね」

「だからってそんな戦い方しなくてもいいだろうに」

「でもさっきも言った通りこれがわたしの考えうる限り一番勝率が高いの、それに最初に言い出したのはおっちゃんなんだよ」


 おっちゃんは一瞬言葉を詰まらせた後。


「ああ、そういやそうだった。 見方によっちゃお前さんはワシの言った通りにしてるだけとも言えるのか、なんか騙されてる気がするが」


 人聞きの悪い。


「じゃあそういうことでよろしく!」

「わかったよ、部下にはワシから話つけとく。 その代わりちゃんと勝ってこいよ」

「わたしだって結婚がかかってるんだから戦う前から負ける気なんかないよ」


 弱気になることはあるけど。


「そうだな、じゃあお前さんは私利私欲のために勝ってきな。 ワシらは利害が一致してるんだ」


 私利私欲とはなんて言い方するんだ、その通りで否定できないけどさ。

次回からリーリオVSフラティーノ始まります

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