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もうひとつ機体、レーゴ

 輸送機に乗ってお城へ帰る途中。


「戻ったらそのまま城下町で凱旋パレードよ」

「はい?」


 コルネリア様にそう言われてどうしようかと思った。


「その話初耳なんですけど」

「あら、言ってなかったかしら」


 からかってる口調じゃない、ということは本当に連絡ミスかなにかでわたしに伝わってなかったのか。


「ギリッギリの戦いした後でヘトヘトなんですけど……」


 帰ったらさっさとお風呂入ってリンナちゃんに膝枕してもらいながら眠りにつきたかった、いやリンナちゃんに膝枕してもらったことなんか一度もないけど。


「あら残念、二連勝しての凱旋となれば女の子からの黄色い声だって沢山浴びれるでしょうに」

「やります!」


 釣られてるとわかっていても食いつかなければならない時がある、我ながらちょろい。


 帰還したわたし達を待っていたのは本当に歓声、歓声、また歓声だった。

 当然女の子の声もしっかり聴こえてくる、やったぜ!

 そんな城下町を両腕を失ったリーリオでコルネリア様に指示された道をゆっくりと歩いていく。

 こんな大きな機体が入って大丈夫なのかと不安だったが今の戦争が始まってから城下町全体がもう機動兵器が歩ける前提の設計になったのだと後で説明された。


 全然打ち合わせや説明なんか無かったのでとりあえず頭部のコックピットをオープンにしてそこから手を振る、主に女の子がいる方向に向かって。

 今は隣にコルネリア様も一緒にいる、というか何したらいいかわからないから誰かいてくれないと困る。

 そういえばと、ふと気になった疑問を投げかけてみた。


「わたしとコルネリア様の結婚の話ってこの国の人達はどれくらい知ってるんですか?」

「この城下町の住人なら知らない人はいないでしょう、国境沿いの小さな村になるとわからないけれど」

「知ってて皆こんなに喜んでくれるんですね」

「一番の理由は勝ってるからでしょう、女性と女性の結婚はこの国だと過去に例がないけれど少なくともラストが戦争に勝ってくれるなら些細なことだもの」


 えっ?

 驚いたけど落ち着こう、リーリオのパイロットが見つからなかったという時点でこっちでは馴染みがないっていうのはなんとなくわかる。

 でもそんな国であろうと勝つことができれば平然とまかり通ってしまうのか。


「王族と救国の英雄の結婚なんて表立って反対する者はいないでしょう」


 また出た救国の英雄、なんというか重い……。


「結婚するならラストとお兄様がなんて声も最初は上がったのだけれどね」

「男との結婚なんて断固拒否します!」


 そんなことになったらわたし故郷へ帰らせていただきます、帰り方わからないけど。


「そうね、もしラストが決勝トーナメントに進出でもしたらそんな声無視しても問題ないもの」

「この戦争で勝つ代表パイロットの扱いはそれだけ特別なの」とコルネリア様は言葉続けた。


 そうしてしばらく城下町を歩かせていたらお城から何か出てきた。


「あれは?」

「レーゴよ、ドリューナルが保有するもう一つの機体。 こういった催事の時にしか動かさないモノだけれど」


 なんだろう、コルネリア様の口調が固くなったのうに聴こえたのは気のせいだろうか。

こっちへゆっくりと歩いてくるレーゴを見やる。


「うーん?」


 何か違和感がある。

 今は凱旋パレード中で代表パイロットとしての役割もあったしそこまでじっくり観察できたわけでもなかったけど。


「レーゴは王族専用機なの、だから今乗っているのはお兄様ね」


 まだこっちの文化にそこまで明るいわけじゃないけど催事の時だけ動かす機体に乗るのが王様というのは多分おかしくない。

 違和感の原因は多分そこじゃない。

 あれはまるで……。

 結局のところ凱旋パーティが終わるまでレーゴに対する違和感はずっとなくならないままだった。

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