リーリオVSディヴァースタイレンタ 決着
地上へと降りてディヴァースタイレンタと対峙する。
グラーボセイバーが刺さったままのフライトユニットはパージされていた、デッドウェイトになると判断されたんだろう。
こっちは両腕を失って射撃武器使もえない、向こうは五体満足。
空中にいたって判定負けを待つだけだ、だったら攻める!
左脚のワイヤーを射出、だがあっさりと躱される。
ワイヤーはそのまま後方へ飛んで行った。
「脚にもワイヤーが仕込んであるのは初戦の記録映像で見てるから知ってるぜ、そいつで首をへし折ろうっていうんだろ」
割と口数が少なかった初戦のクレオと比べて本当におしゃべりな奴だ、少し乗ってみるか。
AIの「アクセス開始」という発言を確認してから口を開く、わたしにしか聴こえないっていうのはこういう時便利だな。
「流石だよ、外れて後ろへ飛んで行ったワイヤーになんて見向きもしないなんて」
「そうやって意識を逸らそうたって無駄だぜ、後ろなんて確認してたら右脚に残してるワイヤーを避けられないからな」
「じゃあさっきの言われた言葉を返してあげる、まさしくそう動いてほしかったんだ!」
「あん? なんだ……、背後から高エネルギー反応!?」
気が付いてももう遅い。
「あんたが肩口から腕をそのもの切り落としてくれたおかげで破壊されずに済んだからまだ使えるボムバードバスターだ!」
「バカな、遠隔操作は禁止行為だぞ!?」
「ところがぎっちょん、これは有線による直接操作だ!」
「有線……、このワイヤーかぁ!」
ワイヤーを切断するために超振動剣を振り下ろそうとするが、焦り過ぎだ。
「さっきまでしてた右脚への警戒はどうした!」
最後に残された右脚のワイヤーで拘束する、今度はしっかり超振動剣を持つ右腕を狙って。
「こんな、こんなことが……。 チクショオオオオオ!」
発射されたボムバードバスターがディヴァースタイレンタの胴体を吹き飛ばす、その直前に頭部から脱出ポッドが射出された。
「あー、なんとか勝てた……」
前回とはまた別の意味でギリギリの戦いになってしまった。
帰ったらまたおっちゃんの説教か、いや今回はゲンコツの一発くらい覚悟しないといけないかもしれない。
自陣まで戻ってリーリオから降りるとコルネリア様が迎えてくれた。
「本当によくやったわ、ありがとう!」
体当たりのような抱き着きを受け止める、勢い余って一回転してしまった。
「ご命令通り、ちゃんと勝ちましたよ」
昨日の約束を確かに果たせた、よかった。
「それじゃあ、命令を完遂したラストにはご褒美をあげないとね」
ご褒美? なんて考える間もなくほっぺたに何かが触れた。
「え? あっ!?」
い、今のはまさか。
「今日は特別、ね」
コルネリア様の顔は真っ赤だ、ということはやっぱり……。
あああああ、不意打ちだったから感触覚えてない。
「も、もう一回」
「ダーメ、また次も勝ったら考えましょう」
ぐえー、これは次も絶対勝たなくては!
なんてやりとりをしているところに声が掛けられた。
「ラストっていうのはお前か」
「そうだけど」
知らない顔だ、けどその声は。
「アンタがユキヒコ」
ディヴァースタイレンタのパイロット。
「言っておきたいことがあってな、お邪魔させてもらった」
本当に邪魔だよ、もっとコルネリア様とイチャイチャしたいのに。
「オレ様は最強を目指す、だがオレ様を負かしたお前にリベンジしなければ最強は名乗れなくなった」
なんだそれ、アンタの都合なんて知らんが。
「だから絶対決勝トーナメントまで勝ち上がってこい、そこで今度こそオレ様が勝つ」
なんだそんなことか、この戦争と関係ないところでもう一度戦えっていわれるのかと思った。
「だったらここで負けたアンタの方が勝ち上がってくるの難しいでしょ、なんでわたしに要求するのさ」
「オレ様は残りの闘いに全部勝つ、それだけの話だ」
なんて自信家だ、わたしに負けてるっていうのにここまで言い切れるのか。
「男と約束なんてする気ないから勝手に勝ち上がってくればいいじゃない、何度挑まれようとわたしはわたしの都合で勝つだけよ」
「戦いの時といい、付き合いの悪い女だ」
「そりゃあ付き合うなら可愛い女の子一択だからね」
「お前の言うことはたまによくわからんがそれだけ伝えておきたかった、だからオレ様以外に負けるなよ!」
ユキヒコはそう言って去っていった。
変な男に気に入られてしまった、変じゃなくても男には気に入らたくないけど。
塩対応しても中々諦めてくれない奴たまにいるから面倒なんだよな。
まあひとまず忘れよう。
「さあ、帰りましょうコルネリア様」
「ええ」
手を取る、恋人つなぎはさせてもらえなかったけどいつかできる日が来ると信じてこれからも戦い続けよう。
わたし達を見守っていたリンナちゃんがユキヒコに銃を向けるんじゃないかとヒヤヒヤしたのはまた別の話。




