幼馴染形式バトルその4
…………
「え?何故お前らそこで無言になるんだ?」
「それはさておき…」
「だな。」
「もうやだ俺コイツら嫌い…」
ひとまず蒼脊の無理矢理なツッコミに関しては置いて、今この現状にどう対応すればいいのか、少し真剣に考える。
「全くあれほど、釘をさしておいたのにいまだに僕の事を探せないなんて……やる気あるの?」
少し苛つきながらも真面目なトーンでの放ち方。あちらは俺が不真面目でやっている様に思っていたらしく、コチラの様子を伺ってなのか痺れを切らしてこっちに登場したらしい…
「いやいや勿論あるさ、でもそんなすぐに見つけられるなんて思ってもいないし、何せ周りからはこちらを敵視しているから尚更そっちに集中なんてできないだろ?」
「そうみたいだね。でもそんなの蒼脊君を盾にすればいいだけの話しじゃないのかな?」
「おい何気に俺を差し出せば解決するみたいな提案を提示してくるな。何て卑劣な奴なんだ。」
「悪いが蒼脊には色々と役に立ててもらう必要があるんでな、そう言った仲間を売る様な提案はごめんだね。」
「…………」
「なんだ?何か思う所でもあるのか?」
「………ううん、ただ昔の神楽坂君と今の神楽坂君…僕はあまり変わってないなって思っていたけれど、やっぱり何処かしら変わってる部分があるみたいだね。」
「どういう意味だ?」
「ここでの神楽坂君にとって12年間離れていたわけだけど、僕達が今知っているのは昔の神楽坂君…いや僕と海未ちゃんはかな…残りの3人はちゃんと時間有効してそれなりに理解はしていってるみたいだけど…3人は今の君に対してどう言った感情が芽生えてるのかなって思ってね?」
「それはお得意の心理戦か何か?恋愛的要素は全く皆無だけどな今の俺達は…」
「そうとも言い切れないかもよ。分かるんだ今の僕なら幼馴染の中で1番君に恋焦がれているのかが…」
「は?それはまさか新手の戦略の一つか?悪いがそれで負けたりなんかは絶対しないぞ。成り行きとは言えこのゲームに参加した以上お前を全力で捕まえさせてもらうからな。」
「あちゃちゃ〜どうやらその辺に関しては無頓着なんだね。コレは3人が大変になるってわけか…と言ってもこのゲームに関しては色々と駆け引きが要になるから、僕にとっても試し甲斐があるってもんだね。」
「何を言って…」
タタタタタタタタタ!
「おい!いたぞ!」
「ありゃ?時間切れかな?」
東小橋川さんとゲームに対しての話しをする最中教師達が東小橋川さんに気付き急いで、こちらへと駆け寄って走ってくる。
「それじゃあまだ時間はあるから、できるだけ早く見つけてくれると嬉しいかな。」
「それが鬼ごっことして成り立つ言い方なのか?」
「寧ろかくれんぼに近いよね。でもどっちでもいいかな僕にとっては…」
「2人で問答する意味なくないか?コレ考えたのそっちだよな?」
「でももう半分は神楽坂君の考えでもあるよ。」
…………
「こら!!!逃げるな!」
「おっとやばいやばいそれじゃあ今度こそまたね。後1つだけ教えてあげる。」
「何をだ?」
「この20分の間で、美森さん達の所はもう半分もリタイアしたらしいよ。秘密のカードでここまで追い上げられるなんて、全く予想だにしていなかったよ。」
「え?半分も?」
「早くしないと、あっちはあっちで次の段階に移行してしまうかもしれないから、僕達が考えたゲームの裏側…つまり隠し要素があるゲームになる可能性もあるから早く僕を捕まえないとだね。」
「おい!いったいどこから出ようと…」
シュ!
パリーン!
「ああああ!!!」
「アイツまた窓ガラスを割って行きやがった…」
何て破天荒な奴なんだ。それも大概だけど、隠し要素?それが今初めて聞く言葉で、全滅したら負けになるんじゃないかとそう思っていたのたが…何やら俺の知らない所で幼馴染による変な導入組合があるらしい…
「何だかはわからんが、その辺は何とか阻止しないとだな。」
「いやそれよりもだな…」
「え?」
「……目の前の事に色々と対処した方がいいと思うんだが…」
「は?」
蒼脊が何を言ってるのかさっぱり分からずにいた俺は、1人の教師がこちらへきて、やたらと怒り狂った表情をしながら俺達に怒鳴り始めてくる。
「おいお前ら、何で窓ガラスがもう一枚割れてるんだ?」
「え〜と、これはその…アイツがやったといいますか…そのイベント開催したのもアイツでして…」
「何やらチラッと聞こえたんだが、お前らもこのイベント形式に仕組んだ共犯者とも聞いてるぞ。」
「え?だれがそんな事を情報源は誰ですか?」
「そんなのどうだっていい!お前らこの散乱した窓ガラスをかき集めて反省文を書いて提出するまでこのイベントには参加させないからな!」
「う、嘘だ!?」
「………早くも前途多難だな。」
まさかの東小橋川さんのとばっちりがコチラに返ってくる事となり、俺達は反省分をかけさせられ時間制限までに間に合うかどうか怪しくなりながら一旦イベントの中止が決定した。
「というかこのイベント制限時間切れどれぐらいなんだ?」
「下校時刻までらしいぞ。」
「…………まぁ何とかなるか。」
それぐらいまで続くとは思わないが、ひとまずそれまでに終わらない事を祈りながら、目の前の処理をする事に専念する。後もう一つ気になる俺達のイベント関与している情報網それがいったいどうして先生に漏れたのか、そこも気になるため、早めにこの後始末を処理しなければと急いで対処する。
…………水泳施設
ザバァン!
グルグル〜
「いや、最早川じゃないかコレ!」
ザブン!ザブン!ザブン!
「ふぅ〜確かにコレじゃ川同然だね。プールなのにこんな設備が設置してあるなんて不思議。」
「不思議じゃありませんよ野谷山先輩。もう大半の部活の子達が離脱しちゃいましたよ。こんなのできるの私と3年の先輩2人に先輩と同じクラスの先輩ですよ。」
「あはは、そうだね。でもコレをしたのって…」
「うん私だよ。あわよくば火花をそのまま流されればいいかなって思ってそうしたんだけど……失敗だったか…」
「何が失敗なんですか!?正気ですか!?せっかく協力してくれた子達に申し訳たたないんですか。」
このやたらと礼儀正しく生真面目な子は一年でありながら生徒会役員の子でありながら、書記を努めている。鳴神木葉ちゃん。私と同じ性格な子なかと思っていたけれど、やたらと注意深く周りからはとっつきにくい子だと言われてあまり相手にされなくて困ってるらしい……私からしたらいい子なんだけどな〜
「申し訳も何も寧ろ鬼ごっこしている最中で私達と同様にこの地位に立てられないのならリタイアした方がマシだと思うよ。それに、こんなふざけたイベント早々に終わらせたいのが本音かな。」
「先輩!?」
「あはは…」
そしてやたらと気落ち…ううん、めんどくさい言い方をして少し厳しい言い方をするここの子は私と同じ学年の芹沢純子ちゃん。よく水泳での部活ではたまに言い方はキツイ事を言うけれどとても気がきいて優しくしてくれる部分もある。今回の件に関してもそう…私達天才に付き合ってくれる子達が何かしら力になれないかなって思って参加はしてくれてはいたけれど、やたらと男子の子達のスピードであっかんされてリタイア者が続出…それを見かねてたまたま純子ちゃんが見つけたカードでルールでこのプール施設を川みたいにして続々と参加者を再起不能にさせてはいるんだけど…
「少しやりすぎかもしれなかったね。」
「物凄くやりすぎですよ。それに、こんな事をして怪我人が出たらどうするんですか!?それと溺れた死人とか出たりしたら洒落にならないですよ。」
「大丈夫よ。それならあそこにほら、流れていった場所にちゃんと水の排出装置があるじゃない、それでほんの数十秒我慢したら助かるんだからそこまで気にする事じゃないよ。」
「あの人達をあなた達みたいな強靭扱いみたいにしないでもらえますか?一応天才ではありますが、次期候補という建前であるだけなんですよ。」
「それを言ったらあなたや私だって同じだと思うんだけど?」
「私達は水泳部であって!あっちは何の関係もない部活関係の人達じゃないですか!違って当然なのは当たり前ですよ。」
「ありゃこりゃ失敬…でも勝手に参加したのはあっちなんだけどね?」
「……あなたには情と言うものがないんですか…正直驚愕していますよ私…」
「物凄い溜息なつき方だけど、そうでもない人材はこちらへと押し寄せてきてるよ。」
「へ?」
ザバァン!
ザバァン!
ザバァン!
「ゲ!あれは男子水泳部の方達…まさかあっち側に参加していたとは…」
「書紀ちゃん言葉使い汚いよ〜……でも確かに何であっち側なんだろ?どちらかと言えばこっち寄りの方が絶対に有利なのにわざわざ勝負しようだなんて……脳みそ沸いてるのかな?」
「いや先輩の方が言葉使い下品じゃないですか。」
「……あはは。」
でもそうだね珍しい事もあるものだと思うけど、何で今更男子水泳部が私達と勝負したがってるんだろ?
「はぁはぁはぁ…ようやく追い詰めたぞ!野谷山火花!」
「………え?私追い詰められてたの?」
「さぁ?」
「今の状況的に理解が追いつかない思考回路!?超天才はそこはかとなく天然なんですか!?」
「何をごちゃごちゃ言ってる。いいかまずお前に言いたい事がある野谷山火花」
「あ、はい…」
「いいか!模擬試合で行われて天狗になってるつもりかもしれんが、あれはたんなるまぐれだ!本当なら男子の方がちゃんと上位にたてるぐらいの実力がある。今度お前に……」
「え〜とその……流されていってるんだけど。」
「ぎょええ!!!」
「途中から何言ってるか聞こえませんでしたね。」
「というよりこの流れについていけないとなると、対等にやるのは無理なんじゃないかしらあの男子部員…」
「………え?でも待ってくださいよ。私達も延々とコレが耐久できるわけじゃありませんよ。待って後5分が限度です。それまでにローテショーンで何処かしら休憩を取らないと…」
「まぁちゃんと隠れる場所と水分補給もあるみたいだし、それにまだ3年生の先輩達がいるから問題ないでしょう。」
「それはそうかもしれませんが…」
「大丈夫だよ。この流れるプール(川)状態はもう少ししたら収まるはずだから…」
「え?先輩、そんな何を根拠に…」
「ふふ、私にはよーく知ってる幼馴染がいるからね。それで何となくわかるの。だからそれまでもう少し頑張ってね。」
「うっ…そんな言い方されたらやるしかないじゃないですか。先輩の為にも…」
「え?私の分まで頑張ってくれるの?」
「誰が芹沢先輩の為だって言ったんですか!」
「誰も野谷山先輩とは言っていなかったでしょう?」
「後輩の揚げ足を取らないでください!!というか話す会話で大体わかるでしょうに!」
「ふん〜ふん〜」
「鼻歌まじりに勝手な行動しないでください!あっ!待ってください先輩!」
「ふふ、仲良いな。よ〜し私ももうひと頑張りするぞ。後少しで川兎ちゃんの出番だもんね。」




