負けず嫌い
ケジメ?いったい何のケジメだというんだ?そもそも昔のしがらみなんて無かったはずなんだが…というよりコイツは俺の知ってる昔馴染みの誰かだと言うのか?だとすれば、その正体まさか残りの幼馴染の2人の内の誰かか?いや2人の内の誰かというなら、確実に断言はできる。コイツは…
「おっと!まだ私の正体をここで言うのはストップだよ。もう少し吟味してからお互い余韻に浸ろうじゃないか。」
「何が余韻に浸るだ。そもそもお前、俺の知ってる幼馴染だろ?」
「ふふん〜それをYESかNOと答えるにはあまりにも愚の骨頂。面白くないとは思わないかい?」
「悪いが残りの幼馴染をさっさっと見つけ出して復讐というのを全て終わらせたいんだ。あるんだろうお前にも…」
「いいやないよ私には…」
「は?いやそんなはずは、だってお前達幼馴染は昔の約束をほっぽらかしていた俺にムカついて仕返しみたいな事をしているんじゃないのか?」
「いやいや、神楽坂君私がさっき言った事もう忘れたの?私に復讐心はない、あるのはケジメだけだって…」
「いやそう言っていたが、それも建前なんじゃないのか?」
「は〜全く周りの幼馴染の影響でやたらと訝しむ様な癖がついちゃったね。でもまぁそれも仕方がないと言えば仕方がないけど…ひとまずは誤解を解かなきゃだね。」
「誤解?」
「そう。確かに私達幼馴染は君に対する復讐で徒党を組んだ仲であるのは間違いないよ。でもね5人がそれぞれ復讐だけで君に接触するというのはまずこの概念はあり得ないんだ。」
「どう言う事だ?」
「言ってしまえば復讐という名の変わり身…3人は確かに君に復讐心を抱いてはいたけれど、それはあくまでも君が彼女達3人を気付かせる為の道化にすぎなかったんだよ。ようは騙す対象をまずは味方から行ってその後に相手を上手く騙しとる戦法のやり口…神楽坂君、コレまでに君は1人だけで、3人の幼馴染を見破ったというわけでここまで来たとは思ってないはずだよ。」
「ああ、それはちゃんと自負している。でもそれがどうしたんだ?俺は確かに自分の力でここまで成り上がってきたというわけではないのはもちろんお前や蒼脊のおかげでここまで来たという事は十二分に分かってるつもりだが…」
「はいそこ〜、そこなんだよね。神楽坂君が理解していないところ…まぁ言ってる事自体そのまま正解ではあるんだけど、私実はその協力対象に対してどちらも双方に加担していたわけじゃないんだよ。」
「ん?いやそれは……え?どう言う事だ。お前は俺にわざわざヒントを出して幼馴染の事を教えてくれたんじゃなかったのか?」
「うんうん、まぁ普通はそう思うよね。でも残念実はそれ、私が神楽坂君に対しての対抗意識として憚っていたんだよ。どう言う事かと言うとね。私昔から君にあるゲームにだけどうしても勝てない事があったんだ。だからそれを糧に今まで神楽坂君が帰ってきたらどうやって見返してやろうかなって考えていたの、それが今の状況…幼馴染関係を利用しての神楽坂に対するコレまで勝てなかった分のお返しかな?」
「……それってただの逆恨みなんじゃ?」
「う〜ん……そうとも捉えるのかな?でもまぁそれで私は上手く君にようやくやり返せる事になったんだ。結果的はオーライオーライだね。」
「待てそれをするにあたってアイツら山茶花達の気持ち的なものはどうなるんだ?必死に考えて俺に対して復讐に対するアイツらの気持ちに何かしら罪悪感というものがなかったのか?」
「………神楽坂君今言ってる事矛盾しているという事に気付いてる?君は山茶花ちゃん達の肩を持つつもりなの?」
「そう言うわけじゃない…ただ単にお前に人の心はあるのかと聞いてるだけなんだか?」
あくまでも利用していての行いなら、それは紛うごとなき幼馴染に対する冒涜での行い方だ。ただ仲が良いからってやって良い事と悪い事がある。俺からして何を言ってるんだと思うかはしれないが、この場合の小橋の言い方によって状況が変わってくるものがある。それに対して許せる許せないは別問題…本当にただの逆恨みならそれはアイツらと同様単なる復讐心があっての行為だとそう認識せざるおえない。
「いやいやそんな怖い顔をしなくても、私はちゃんと山茶花ちゃん達の味方だよ。それに復讐したいというていでの話ならもちろん承諾はしているし、邪魔もしていない。なんなら私は協力している方だと思うな。」
「協力って?いったい何を協力しているというんだ?」
「ん〜まぁ私は恋愛関係に関しては恋してる乙女の味方でもあるからね。その辺に関してはちゃんとゴールデンウィークでのあのディステディスタニーランドでお返しはしてるよ。何せ私負けず嫌いだからね。」
「あ〜?」
よくは分からないが向こう側も納得しての小橋での行為なら問題はないのか…というか自分で負けず嫌いっていうか普通…
「分かった。ならお前の言ってる事に関して嘘偽りはないって事だな。アイツらの事をちゃんと友達として見ているって事でいいんだな?」
「君は疑り深いね〜寧ろ根に持つならあっち側なはずなのに、何で私に矛先が向けられるんだか理解不能だよ。」
「同感だ。でもそうしないとちゃんと俺達の関係に溝が深まったら意味がないだろ?ならちゃんと正さなければ後悔してしまうからな。」
「そうだね。君の言う通り溝が深まっちゃいけないよね〜」
「おい何か馬鹿にしてないかその言い方…」
「いいんやそんな事ないよ。それよりも私としてはもうそろそろ自分の正体明かしちゃってもいいかな?」
「だからなんでさっきから自分の主軸で物事を運ぶようにしているんだ。全然ペースが追いつけていないんだが?」
「いやもうそろそろいいかなって思って、もう私に対して聞く事何もないでしょう?」
「いいやまだだな。確信というより、お前が俺に対するケジメについて何も聞いちゃいないぞ。そのなんなんだアイツらの復讐に付き合っての俺の見返すみたいなセリフ…それについての説明をまだ全然聞いてはいないぞ。」
「ああ〜というか薄々勘付いているんじゃないの?というより既に気付いてるよね?私の事…」
ああ恐らくな。でもそれでもし本人が違うと言ってしまったら、そこで俺はとんだ大恥をかいてしまう。まぁ山茶花達の事を名前で呼んでいるなら、そんなミス的な事はないと思いたいんだが…
「まぁなそんか負けず嫌いな言い方をわざわざ口に出して俺に言うって事は十中八九お前は東小橋川(ありこばしかわ林音なんだろ?そんなまわりくどいやり方なんてしなくてもこんな根気負けするようなお遊びお前ぐらいしかいないからな。」
「ふふ、パンパカパーン!せいかい〜パチパチその通り〜私が君が求めてるもう1人の幼馴染、東小橋小林音だよ。いや〜1ヶ月ようやく我慢した甲斐があったというものだよ。」
「我慢ね〜その割にはやたらと楽しんでたように見えたりしたんだけどな。まぁあの時の俺の勘はあたっていたって事にはなっていたがな。」
「いやいやアレはギリギリだったと思うからセーフだよ。上手く誤魔化せたつもりではあるけれど、それに気付かなかった時点で勝負は私に制した。つまりちゃんと見抜けなかった神楽坂君の負けだね。」
「そんな勝負はしていたつもりはなかったんだがな。というか物凄い今更なんだが、お前らの今更までの名前の由来って何かしら自然よりに偽装していたんだな。」
「おりょ?もしかしてその事も気付いた感じ?」
「ああ事の発端は蒼脊からくれたヒントだったんだが、アレに関しては全く皆目検討がつかなかった。けど何でそんな分かりにくい偽装な名前を使ったんだ?」
「まぁ主な目的は神楽坂君から私達の存在を打ち消す為に使ったものよりにはなるかな。そうじゃないとゲームとしては面白くないからね。」
「成る程な。つまり名前の偽装の由来は東小橋川さんだったって事なんだな。」
「そんな他人行儀な…名前呼びでいいんだよ?僕達の仲じゃないか。」
「いやそんな急に言われてもな…てか何でいきなり一人称僕呼びなんだ?昔そんな風に言ってなくないか?」
「ああ実はね僕もこう見えて、裏での立ち振る舞いや表での自分の振る舞いを分けているんだ。幼馴染同士や君の前ではちゃんと素の自分を見せている。とても合理的な事だとは思わない?」
「どう言う所が合理的かは謎だが、お前に関しては別に名前を隠す必要性もなくないか?恋愛云々に関しての有名どころでのテレビ番組とか見た事ないぞ。」
「ありゃ、コレは失念だったね。僕がどうして他の幼馴染達同様本当の名前をふせていたのか、ちゃんと説明していなかったか。まぁ話す機会がなかったからちょうどいい頃合いかなって感じかな。でも蒼脊君辺りから聞いてるんじゃないのそこら辺は…」
「ああ話は聞いている。東小橋川さんがその天才的な1人だったとは知らなかったが…まぁ話を聞いて妥当はしたかな。世界で最も希少な存在であり数多のゲームのタイムスコアやバグによる攻略、そして幾つかの対戦相手形式に負けを劣らずの天才肌の少女東小橋川林音いや今は小橋小寧々でいいのか?」
「………ふぅ〜改めて幼馴染からそんな風に聞かされるとこう〜ゾワッとくるものがあるね。でもそれは君だからというのもあるかもしれないけど…でもその通り僕は君があの時引っ越してから色々なゲームに没頭してどんな事だったら神楽坂君に勝てるかなって研究していたんだ。でも何1つ君に勝てる要素が見当たらなかったんだよ。」
「え?でも今の東小橋川さんは…」
「そうだよちゃんと全てのゲームを制覇して優勝を施した強者だよ。」
それを真顔で言われると何故か腹がたつな。
「でもね。神楽坂君にそれで勝ったとしてもきっと何も芽生えないなってそう思った事があったんだ。だから僕は次の工作に手を打った。君が帰ってきて尚且つ私と対等に渡りあえるかどうかそれにかけて今の僕が存在しているんだ。」
「?すまんその事で今対等に渡り合う様な勝負が俺には理解できないんだが。」
「ふふ、まさにそれなんだよ神楽坂君。私が求めての勝負、それは君の鈍感差と私がコレまで長年培ってきた物…今現在進行形でもある勝負…幼馴染式バトルだよ。」
「…………は?」




