幼馴染友好会・その捌
しかしツーショットぐらい今更な気はしたりするんだが……昔よく一緒に撮ってたのを記憶があるぞ。まぁ母さん達同士が仲が良かったからそれで、率先して撮ってたのが一番思い出深い記憶だな。
「まぁそのツーショットに関しては後程という事で、まずは私の言うこと聞いてもらわないとだよね美森。」
「いやいやお願いされたのはあなたの方なのに、どうして私が言う事きかないといけないわけ!」
「だって、神楽坂君を他の所へ行かせずここに連れて来なかったから今頃美森は神楽坂君を探して途方にくれていたでしょう?そう考えたらやっぱり私に感謝しないといけないんじゃないのかな?」
「理不尽すぎる回答ね。それで潔く頷けとあなたはそう言うのかしら?」
「うん頷いてくれなきゃ、今考えてる恥ずかしいお願い事よりもっと凄い事を要求してしまうかもしれないよ。それでもいいなら…」
「あーー!!もう分かったわよ!今回は特別にあなたの言う事を聞いてあげる!いい!これっきりだからなんだから次は絶対にないと思いなさいよ!」
「何かの悪役の捨て台詞かな?まぁどっちでもいいけど……それじゃあね〜」
それじゃあね〜って…この言い方だと何か一つだけじゃ無さそうな気がするんだが…
「じゃあ、まずはそのハンバーグを美森が神楽坂君に食べさせてあげて。」
…………
「はあ!!」
「はあ!!」
「な〜に2人して自称恋人同士なんでしょ?何を今更そんなに驚く必要が?」
「その自称恋人同士だから驚いてるのよ!あなたいい加減悪ふざけも大概にしなさいよ。何で私が一星にあーんをしてあげないといけないのよ!寧ろ一星が私にあーんをするのが筋じゃないかしら!」
「いやそこかよ!どっちも恥ずかしいというデメリットは何も変わってないと思うぞ。」
「何言ってるのよ。私の方がお姉ちゃんなんだからそれぐらいで恥ずかしるような器なんて持ってないわよ。いったい私を誰だと思ってるわけ?」
「急に上から目線はやめてくれないか。昔の美森姉そのままを思いだすから勘弁してほしい。」
「ちょっと、本当にどう言う意味で言ってるのかしら?一星は昔の私に何かトラウマでもあったりするのかな〜」
「おいその熱々なハンバーグの切れ端をこっちに向けるな!本当に火傷したらどうする!」
「あら〜だってこう言う条件で私は京子ちゃんに言われて仕方な〜くしてるのよ。寧ろ光栄に思って私に食べられてほしいわね〜」
くっ!完全に美森姉が怒りモードになってやがる。自分の羞恥心とかそこら辺全部どっかへ行ってもはや邪念での行為で俺に熱々のハンバーグを差し向けてやがる。
「ほ〜ら、ほ〜ら一星の好きなハンバーグよ。いいのかしら?こんな美人な恋人姉先輩にこう言う事させて最早ドギマギしか感じられなくなっちゃってるでしょう。」
それをわざわざ口に出していうか普通?というより何ら恥ずかしさなく仕向けてくるのはやはりどうかと思うぞ女子的に…しかし食べなければ美森姉の怒りもおさまらないのも確かだ…ここは覚悟を決めて…
「あ、あーん!」
ハグ!
「あ…」
うん熱々かと思いきやお互い食べさせるという意見をしたせいで少し冷めており、ちょうどいい熱さの為火傷せずに済んだ。
「うん…中々に良い味だ。それにオニオンソースが良く効いていてまさにこのハンバーグの良さを表しているな。」
「私のあーんでいっさい照れる事なく、普通に食レポみたいなの始めちゃったんだけど!少しは躊躇って!」
「ほ、本当に面白い子ね神楽坂君って…普通女の子からそういう風に食べさせてもらうのは抵抗があったりするものなんだけど…さっきの慌てようは何だったのって話になね。」
まぁさっき山茶花にたこ焼きでのロシアンルーレットをして慣れたというのがあるけれど…この場合美森姉の殺意と言わんばかりの圧のあるあーんに何をどこを照れる要素があるというのか、俺は普通にハンバーグを味わって食べる事に専念した方がいいと思い無視した。
「……なんか、やっぱりムカつくわね。そんな素っ気ない態度されると、少しばかり傷ついてしまうわよ。」
いやどの口が言うんだ。普通に目がやばかったのに自覚は無かったのか?………いやでも。
「うん?神楽坂君どうかしたの?」
「いやこんな事言ったら美森姉怒るかもしれないから言わない方がいいかもと思ったんですけど…」
「なになに!聞かせて聞かせて!」
「ちょっと本人を目の前にしてそのガッツキようの聞きたがり方おかしくないかしら?」
「じゃあ美森は聞きたくないの?」
「…………」
「いや無言でこちらを見ないでくれるか?プレッシャーの圧が物凄く感じる。……まぁ別に黙っておく事もないんだが…その、美森姉俺に食べさせた時のあって言った瞬間少しばかり可愛らしい女の子の反応して、ちょっと食べる途中戸惑った。」
「そ、そうなんだ……」
少し照れ臭そうにしながら目線を逸らし髪を整える美森はさっきまでの威圧のある雰囲気は何処かへいきお互い顔を横に向けながら気恥ずかしさをしずめる。
「へ〜へ〜へ〜うんうんいいねいいね!そういう初々しさを待ってたんだよ。これで次の段階にいけるね!」
「ちょっと待ちなさい、あなたまだ何か要求する気なんじゃ?」
「当たり前でしょう。これで終わってしまったら、私の苦労が一気に紙切れの様に吹いていってしまうわよ。」
「それはとてもとても悲惨ね。悪いけどこれ以上は本当に…」
サ!
しかしテーブルの真ん中に、ある一枚の写真が裏側を向けられたままシュッとおかれ何の写真なのかと俺はその写真を表側にして見てみると…
「え?この写真って昔の美森姉…」
サ!
は、早!
「今のみたかしら?」
「いや、見たというか見てしまったというか…中々可愛い一面もあるんだな美森姉って…」
「うわああああ!!それ以上何も言わないで!!」
やたらと大きな声で騒ぎ始めた美森姉。何故急に騒ぎ始めたのかと言えば今すかさず取った写真、その写真には子どもの頃の写った美森姉の魔法少女になりきった美森姉の姿があったからなのだ。
「いやでも昔の事だし、よくあるだろ。俺も昔は美森姉と一緒にライダーごっことかしてたじゃん。それとおんなじだって…」
「気休めの慰めなんて要らないわよ!寧ろ不憫すぎて私のプライドがズタズタよ!」
何でそこまで、自分の昔の過去にプライドを持ちたがるんだ。いやでも確かに昔の美森姉って男勝りなところがあったよな。もしかしてそれのせいでトラウマというかあまりにも昔の頃の自分にギャップの差があってだいぶ心が抉られてショックを受けてしまっているからこうも取り乱してしまうというのが現状なのかもしれん…
「というか何であなたがそんな写真を持っているのよ!それ私が嫌だから破棄しといてって言ったはずよね?お母さんがあなたのお母さんにそう伝えるように私はいってたつもりなんだけど。」
「え?そんなのお母さん達が本当にするとでも思うわけ?そんなの信じちゃダメだよ〜美森。何事も弱みを握るものはちゃんと隠し通さないといけないしね。」
そう言って日暮先輩は何枚かの写真を裏にして、美森姉をまるでてまだにとるかの様にして操る。
てかそれを出してる時点で隠し通せてないのでは?
「な、何て人の心がない子なの!私こんな子の友達に何でなってるのかしら一星!」
「いやそれは俺が聞きたいんだが、何で美森姉はこんな人と友達なの?」
そんな意味の分からない漫才をしながら、とりあえず過去の自分の恥ずかし差を無理やり隠し通す美森姉はこのまま日暮先輩の言う事を聞く他なかった。
「まぁそんな嬉し恥ずかしい写真を神楽坂君に見られたくなかったら大人しく私の言う通りにしてね美森。」
「何故かな?どう考えてもこの子の得になりそうな事なんて何一つないはずなのに、何でこんな嬉しそうな顔をするのか意味が分からない。」
「それを甘んじて受け止めている美森姉にも俺は意味が分からないんだが…美森姉ならコレぐらいお得意の腹黒さで何とかなるんじゃないのか?」
「誰が腹黒ですって?まぁひとまずその含みのある言い方に関してはスルーするとして、この子に関してはちょっとばかり私のやり方じゃ効かない事があるのよ。まぁそれでもどちらかが有利に立つ立場というのがあったりなかったりだから、お互い五分五分の立場なのよね。今はあっち側みたいだけど…」
成る程本来なら美森姉が1番の腹黒差が上回るという事もあるけれど、今回は頼んだ部分いや日暮先輩の功績のおかげで今は立場が向こうの方が上って事になるなのか…でもそんな頼んだ事って俺をここに連れてくるのが目的だったんだろ?なら別にそれだけの事でおくれをとるという事にはならないと思うんだが……理由がさっぱりわからん。
「こらこら勝手に盛り上がらないでくれるかな。まだ私は話題を何も言ってないんだから、勝手にチャチャを入れないように…でもそうだな〜2人のツーショットを撮るにしてもまだこの段階ではないと思うし…そうだ!どうせならここで色々なオプションで盛り上がってもらおうかな。」
「物凄く嫌な予感がするんですけど、日暮先輩…美森姉に何をさせる気なんですか?」
「ふふふ、それはね。」
あたかも不敵な笑みで俺達を不安がらせる日暮先輩。その不安はなんとも容易くあたってしまい、このまま美森姉は俺に色々なご奉仕的な事をさせながら恥ずかしがる美森姉をみつつ嬉しそうな顔をして満足する日暮先輩の顔を見て、この人相当自分の友達にこう言う事をさせる趣味があるんだなと垣間見る。
「うんうん!私は物凄く満足だよ!いや〜いいものが見れて大満足!」
「はぁはぁはぁこっちは不満だらけよ。色々と嫌だって言ってるのに無理やり押し付け挙げ句の果てには恥ずかしい写真で脅す手口を使ってくるんだから、こちらはたまったもんじゃないわ。」
「それでも彼はいい思いはしたはずだよ。ね神楽坂君ってあれ?ど、どうしたの神楽坂君!」
「い、いえ、その…何だか気分があまりすぐれなくて物凄く俺は見てはいけないものを見てしまったのではないかと半ば心の中で色々な葛藤をしながらざわつきが止まりません。」
「つまりあまりいいものを見れなかったって事なんだね。う〜んまぁそれは美森が悪いよね昔と比べれたらやっぱり昔の面影があって可愛げがないし。」
「あ・な・たね〜喧嘩うってるのかしら〜さすがの私も我慢の限界なんだけど〜後一星、あなたにはさんざん言いたい事があるから、ここから逃げられると思わない事ね。」
「いや理不尽だ!それに俺が何をしたって言うんだ!」
「さっきの言い方含めて諸々よ!言いたい事は遠回しかもしれないけれど、その遠回しな言い方で私に対しての悪態が物凄く伝わったわ。ふふ、もちろんそんなの容赦するはずないわよね?」
頼むからちょこちょこ昔の美森姉を思いださせる仕草をやめてくれ、ガチで心臓に悪いから。
「まぁ今回ちゃんと2人のツーショットも撮れた事だし、後でコレを送るにしてもこのままじゃ不完全燃焼だよね?」
「いやまぁでもそろそろアイツらと合流もしないとだし…時間的にアトラクションとかに乗るとしたら1つが限界だと思う。」
「それもそうね。ここで無駄に2時間を過ごしてしまったし、あの子達にも会わないといけないのよね。だから悪いけど京子ちゃん今日はもう…」
「いいや!まだダメに決まってるじゃないか!2人にはもっともっと良い写真を撮らないといけないんだからこのままあの場所へ…」
「おいお前そこで何している?」
「ええ、何ってそりゃあこの2人の観察もとい…尾行…もとい遊ぶ為に決まってるじゃん。」
いや今2回も言い直したぞ。思いっきり嘘なのがバレバレだ。でも日暮先輩に声をかけている男の人いったい誰なんだ?かなり身体がごついが…
「あ、あなたは…」
「え〜ちょっと待ってて今写真の種類整理してるからもうちょっとで話し聞いてあげるから待って…」
「誰がまつだって?」
ガサゴソガサゴソ…
「ビク!待って今の声もしかして…」
「あちゃ〜やられちゃったわね。万事休す…最早ここまでね京子ちゃん。」
「な、何がここまでなんだ?てかあの男の人誰!?」
「あわわわわわ、お、お父様…」
「お父様!?」
まさかの日暮先輩のお父様登場に阿鼻叫喚してしまう俺は何故にここでお父様がきたのが意味不明で理解に苦しむ。
「いやあ久しぶりだね美森ちゃんいや琵心ちゃんと今は呼んだ方がいいのかな?」
「いえ美森で大丈夫です。ここでは今私の昔の知り合いしかいませんので叔父様。」
「相変わらず礼儀正しい子で実に娘に欲しいところだな。ところで君は…」
「あ、俺はその神楽坂一星といいます。1ヶ月前にここへ引っ越したきたものです。」
「ほう〜そうか君が昔あの天才だと言われていた元水泳才子の子か…お目にかかれて光栄だよ。しかし1ヶ月前とは言うが転入生なのかな?」
「いえ時期的には少し後に編入してきました。ちょっとした手続きで遅れがあって本当は転入生扱いが編入生扱いになったんです。」
「え?それ初耳なんだけど、本当なの?」
「ああ俺自身も4月始めに登校してのはずだったんだが…何故かそうなったんだよ。まぁ学園側の事情だからとやかく言う権利はないけど、まぁちょっとしたことで浮いてしまっちゃったんだがな。」
「ああ〜それは災難だったわね。」
「ふむ…学園側での設営顧問としてはそう言った話しはとくに聞いていたりはしてないんだが…本当に学園側の手続き不足なのか?」
「え?お父様って学園の設営顧問なんですか!?それも驚き隠せないんですけど!」
というか本当になんなのこの人?
「お父様か…ふっまさか将来の息子にそう言われるとはな…私ももうおじいちゃんになるのか…」
「ちょっとお父様!?何言ってるの!」
いや本当に何が言ってるんだ。日暮先輩がお父様って言ってたから俺もお父様って呼んだだけなのに…寧ろおじさんと呼べばいいのか?いや名前呼びの方が良かったのか?……駄目だ。どちらも歯止めが効かなさそうで無理な気がしてきた。
「いやいや娘にこんな有名な子と知り合うなんて夢にも思わなかったからな。とうとう色恋に手を出したのかと思うとパパ嬉しくて嬉しくて…」
「だー!!勝手に盛り上がらないでもらえるかな?ちょこちょこツッコミ所が多すぎて困るんだけど!」
それはこっちのセリフなんだが…てかこの人何しにきたんだいったい?
「まぁ冗談はさておいて、京子お前ここでどれだけ騒げば気が済むんだ?いくら娘権利が融通が効くとしてもやりすぎは良くないとあれほどいったはずだが?」
「いやそのそれは…」
「まぁひとまずこのまま事務所に寄って洗いざらい話を聞かせてもらうとしよう。あ〜美森ちゃん達はゆっくりしてくれて構わないからね。なんなら好きなものを頼むといい店側からは私が頼んでおいたから大丈夫だよ。」
「いえ!そこまでしていただかなくても俺達もすぐに出るんで!」
「遠慮はしなくていいんだよ。何せ久しぶり帰っての幼馴染の再会なんだろ?ならここでまったりしていってくれ私はこのバカ娘に説教をしてやらんといかんのでな!」
ガシ!
「あああああああ!!!」
ガッツリ頭を鷲掴みにされる日暮先輩。いや本当に嫌がってるのもあるが、苦しそうにも見える。
「では皆さま方ご迷惑をおかけして申し訳ありません。ごゆっくりお過ごし下さいませ…」
「いやだ!!離して〜〜!!」
ありがとうございました!
…………
「な、何だった今までの出来事は…てか日暮先輩って本当に何者なの?お嬢様だったの?」
「ええ、あの子は生粋のお嬢様よ。あの子も色々と訳ありでね、昔あの子の周りにはそう言った経緯で仲良くしてくる輩がいたのよ。正直いってうざったいったらありゃしなかったわ。」
「でもじゃあどうして美森姉は日暮先輩と仲良くしてるんだ?美森姉の事だから日暮先輩を裏から操ってそうにも見えるんだけど…」
「あなたね…いったい私をどう言う風に見えてるのかしら?」
「復讐で俺の事を蔑ます形で周りを利用する悪い美森姉さん?」
「………ひとまず彼女は私の大事な友達なのは確かなのよ。」
「無料やり話しを切りやがった。図星だったくせに…」
「こほん!とりあえずあの子と私の過去についてあなたにとやかく言う事はないわ。さここを出てアトラクション巡りの続きをするわよ。」
「とは言ってもな…いまので大体時間が過ぎたから待ち時間を考えて1つしか乗れないぞ。」
「そうよね…お昼を食べてからここで1時間半近くいてしまったしどこのアトラクションも最低2時間はまた続けないといけない…となれば私達4人で何事もなく楽しめられる場所は…」
「場所は?」
美森姉がやたらと意気込みをかけてお得意の場所なのか、下調べした場所へ山茶花と宇佐木田さんを呼んで集まりその場所へ向かうと…
「え?ここ?」
「いやーー!!お化け屋敷!」
「いやーー!!お化け屋敷!」




