手紙のヒント?
俺はその手紙を持ち帰りヒントとなるものを必死に考えるが、特にそれと言った Nature=自然というワードに心当たりがなくわけのわからないままほったらかし翌日の昼休み蒼脊に聞こうと、それならば一緒に学食がてらに聞くぞと言われ翌日学食で蒼脊に昨日の事を話す。
「へ〜そう言う手紙をね〜」
「ああどうにも腑に落ちなくてな。それで蒼脊ならこの手紙の真意を理解できるかもしれないと思ったんだが…」
ピ!
「言いたい事は分かる。けど俺もその5人がお前に対する復讐?みたいなのは分からないな。」
蒼脊は学食のカレーライスセットの大盛りを頼んでスイッチを押した食券を手にし俺と入れ替わる。
「…………なぁこの学食ほとんど大盛りメニューしかないんだが。」
「当たり前だろ。この学園ほとんどがスポーツ部なんだから大盛りメニューがたくさんあるのは仕方がない事だ。」
そうなのか?運動部でも女子とか食事バランスとか考えたらかなりやばいと思うんだがここの食堂。ほとんど高カロリーなものばっかだし主に男性が好きそうなものばっか。
俺はとりあえず唐揚げ定食にし大盛りのやつを選ぶが後で学食の人に普通モリに減らすようにいう事にし食券を買いそのまま食券を渡しにカウンター窓口に移動する。
「それよかさっきの話しなんだが、名前のヒントだったか。お前何もピンと来たりしないのか?」
「いやそれが全く。だからお前に相談しに聞こうとしたんだが…」
「まぁそうだよな。」
にしてもアイツらまた周りくどいやり方で一星に変な手紙を出しやがって、こちとら別にどうでもいい事に振り回されて困るんだよな。普通にまた仲良くとか遊ぶとか考えたりしないのかよたく。
「………一応俺からお前に伝える部分というより補足できる部分が1箇所だけある。」
「補足説明って事か?今の会話でいったい何を説明できるっていうんだ?」
あいよお待ち!
俺達は食券で渡した学食の定食を抱えつつ空いてるテーブルに座りそのまま補足説明を蒼脊にしてもらう。
「言ってしまえばアイツらの名前に関しては全員確かに珍しい名前の苗字だ。普通だったら即座に分かるレベルって言っても過言じゃない。でもその名前を知られない為にわざと偽るというやり方もある。」
蒼脊は近くにあったソースの瓶をカレーに注ぎながら名前についての補足説明を続ける。
「ああそれが芸名みたいに名前を変える戦法だろ?でもこの学園にそういった芸名の名前ってありなのか?」
「ありなんだよこういう学園ではな。それにアイツらの場合そう言った感じの芸名っぽい名前にしているとは言うが実際にはそうじゃない。」
「というと?」
「言葉遊びだ。」
「言葉遊び?」
「ああ、アイツらは芸名という名ばかりの自分の名前を言葉遊びでつけてそれを別の名前で似た様な名前にしているんだ。そうだな例えば花に例えると季節、この関係に並ぶ季節関係の名前だと蒲公英とくれば季節は何だと思う?」
「そんなの春じゃないのか?」
「そう。つまりアイツらは春=蒲公英という微妙に噛み合わせる様な名前にして自分を偽ってお前に現れる可能性があるんだ。いやもう会ってるという場合もある。」
「言葉遊びというよりも言葉並びのようにも聞こえるな。」
「それは別に大した事じゃない。名前に関してはアイツらがお前に対してどう気付くかが問題なんだ。言葉遊び、言葉並びコレをどう捉えるかはお前次第ではある。でもそれに気付いてもし仮に誰か1人でも総当たりしたら?」
蒼脊はソースでかき混ぜたカレーのスプーンを俺に突きつけそれだったらどうする?というような物言いをしてくる。
「確かに可能性としたらそのまま全員接触できる可能性もあると言う事か…」
「まぁそれはないだろうなあむ。」
蒼脊は再びかき混ぜたスプーンでカレー掬い上げ自分の口の中に入れ一星の言い分を否定する。
「何でだ?誰かの正体に気付いたら、全員とは言わなくても残りの誰かと接触する機会があるって事だろ?ならアイツらとそのまま…」
「はぁ〜もっと頭を使え一星。俺よりも頭がいいならコレぐらいの事は簡単に処理しないと俺の助言も意味がなくなるぞ。お前はアイツらに復讐される側だ。つまり復讐心があるアイツらがそう簡単に心を許してというよりも仲間を売るという選択肢なんてあると思うか?」
そういえばそうだよな。じゃないと5人同士幼馴染が結託して俺の事を復讐するわけがない。
「けど他に何か手掛かりを探さないとやっぱりアイツらに会える方法がないのではないかと俺は思ってるんだ。そんな変なヒントなんて俺には分かりっこないし何よりも言葉遊びや言葉並びでややこしくなるなら他の手立てを探す他ないしな。」
ごもっともな意見だ。確かに一星の言う通り今の会話でどうやっても幼馴染5人を探すのは不可能だ。寧ろ頭の中がこんがらって余計に考えが纏まらなくなる。そんなの一星にとっては地獄だ。やっぱりあまりスポーツ系とかテレビを見ていないこいつが悪いと言えばそれまでなんだが、幼馴染の5人の顔をちゃんと認識さえしていればこんなめんどくさい事に……
「はぁ〜〜」
「何故溜息を!俺何か妙な事言ったか?」
「あ〜いやそうじゃなくてだな。お前ってもしかして女難のそうとかじゃないよな?」
「?何でそこで女難のそうなんだ?」
「いやだって…」
思いっきりトレーに載せてる女子2人がもの凄いオーラでこちらを睨んできてるからな。
「あら?」
「ん?ゲ!」
「あ、蕾先輩。……げ?」
「げ?」
思わず俺と蕾先輩は蒼脊のゲ!という言葉に反応し何でゲ!何て言ったのか蒼脊の顔を俺と蕾先輩は覗き込む。
な、何でここに蕾琵心が!普段ここの学食に来ないから一星と一緒にここで話しがしやすいと思ってきたのに何でこんなタイミングに!
「あらら?その顔もしかして私がいたら何か不都合な事でもあったのかしらね涼風君?」
「い、いや何でもないですよ琵心先輩。単に後ろにひょっこり現れてきたもんで、それで驚いただけなんで。」
「ふぅ〜んにしては相当慌ててた様にも思えるんだけど、2人していったい何の話しをしていたのかしら?」
「あ、いやその男同士の話しっていうか琵心先輩にはちょっと話せない内容といいますか。」
「いやそんな事ないだろ。単に幼馴染5人についてどうしたらいいか相談に乗ってくれているって話しだから別にそんなやましい話はないぞ。」
馬鹿野郎!本人目の前にして幼馴染の話題は禁句なんだよこの場合だと!それを俺は上手く話を取り繕うってのにこいつ………ん?
「お前琵心先輩の事知っていたのか?」
「お前こそ蕾先輩と面識あったりしているのか?部活とか入ってたけお前?」
「いや俺の話は今どうでもよくて……」
「ふふん〜何だか面白そうだから私も混ぜてもらおうかしら。ね2人とも?」
「はい。」
「ええ。」
ストン
ストン
「へ?」
あ、あれ?何だろういつのまにか俺の隣に同じクラスの兎川菟さんと野谷山火花さんが間で挟んで座り込んで来てるんですか?後……
「さて先ずは何処から何の話しをしていたのか詳しく聞かせてもらおうかしら。」
いや急に声のトーンの圧よ!そこで何故か蒼脊の隣りに座った蕾先輩が真剣な顔でこちらの顔を伺う。というか何でこんな状況になったの。
ざわざわざわざわざわざわ
それに何か周りの視線がやけにこっちに集中されているというか。寧ろ蕾先輩の方に視線が向いている?でも何で蕾先輩?この2人ならまだしも何故なんだ。
「おい琵心先輩いいのかよ。こんな所にひょっこり座り込んで、アンタただでさえ周りの注目の的なのにこんな変哲もない俺達と関わったら誤解が生まれるだろうが。」
「別にそんな事気にしたりしないわよ。それにそんなの勝手に言わせとけばいいじゃない。私特に何もしていないし。」
今ここで問題を起こしてるだろうが!この蛇女が!
「今私の顔を見て蛇女とか思わなかったかしら?」
「エスパーかよ!」
蕾先輩は蒼脊にもの凄く冷たい視線を送り続けながら蒼脊はそのまま萎縮し何も返さずにいた。あの蒼脊が何も返せずなんて珍しい事もあるもんだな。
「ふふ、それじゃあ話の続きといきましょうか?確か幼馴染5人についてかしら。神楽坂君もしかしてその幼馴染5人と何か進展があったの?」
「いや進展というよりその……」
どうしようこの人にこの事を相談してもいいのだろうか?でも以前にこの事を話してちょっと心理的に答えてくれた事があったから親切な先輩というのは分かる分かるが……
ガルルルル
周りの視線がどうにも気になってとてもそれどころの話じゃない!それに…
ジーーー!
ジーーー!
こっちの2人の視線も俺に突き刺さってそれもそれで話しづらいというか何でこの2人は俺を挟む様に座ったの!
「何だか話しづらそうだね。兎ちゃんも火花ももうその辺にしといてあげなさい彼が可哀想よ。」
「べ、別に私そんなに熱い視線を向けてたわけじゃないしそもそもここに神楽坂君がいたのがいけないのよ。」
「うーん、それはあまり理屈が通らないセリフだよ火花ちゃん。」
「ちょっと!兎ちゃんはこっちの味方でしょう!神楽坂君の味方してどうすんの!」
「ごめんごめん!でもやっぱりコレがアイドルとしての本業といいますか癖でもありますから。」
「そんな事聞いてないわよ!ちゃっかりアピールはやめてよね!」
何だろう物凄くどうでもいい喧嘩なのにその2人からの板挟みで更に周りの視線が倍に増して痛いんだけど、マジでこの2人何処か行ってくんないかな。
「はいはい2人ともそこまでそこまで、それじゃあ神楽坂君の悩みも打ち解けるのにも打ち解けられないじゃない。やっぱり私達には言いづらい事なのかしらそれなら別に……」
「いえそう言う事じゃないんです。ただそのこんな事相談してどう捉えてもらえるのかと思うんですが……」
いや俺は何を弱気になってるんだ。幼馴染5人は俺に復讐する。それはつまり内容を俺がちゃんと理解していないのが原因じゃないか、それを安易に関係ない先輩に相談するのは何か間違っている気がする。
「………ごめんなさい。やっぱり俺話せないです。」
「ちょ!」
「神楽坂君?」
「あら?それはどうしてかしら?」
「これは俺の問題何で、ちゃんと自分でよく考えて見ようと思います。蒼脊も悪かったな無茶な相談に乗ってもらって」
「いや俺は別に…」
「それじゃあ俺もう行きます。次移動教室なんで、てかあんまし食えなかったな。先輩良かったら食べます?」
「え?それ本気で言ってるの?そんな大量のおかず食えるわけないじゃない。」
「え?でもここの学食にいるって事はそれなりに食べるタイプなんですよね?ここにいる2人も含めて…」
「そんなわけないでしょう!」
「そんなわけないじゃないの!」
「あ、あれ?」
「はぁ〜神楽坂君はもっと女の子の事見てあげないとダメだよ。アイドルとして神楽坂君には減点1をあげます。」
何の減点?
「まぁまだ移動教室には余裕があるしよ、俺も食べるの手伝うからもう少し頑張ろうぜ。」
いやまだ食べる気かよお前。その量でも大概だぞ。
「そうだ蕾先輩って周りからの注目浴びてますけど、やっぱり陸上で有名だから皆んなに注目されるって事なんですか?」
「え?まぁその何というか、自分で言うのも何だか恥ずかしいわねこれ。」
「?」
何だ?いったい何が恥ずかしいんだろ?陸上でそれなりに有名なのが恥ずかしいのか?
「ああ一星お前が考えてるようなそんな些細な事じゃないぞ。この人学園と外で相当な一躍有名人だからな。」
「え?」
「えへへ、実は私この学園で5人の内の中で一躍注目される中の1人なのごめんね隠していて。」