2人の歪みあい
あの日、山茶花… 日根野谷山茶花の水泳による一件で事が済んだ翌日、学園の登校している最中物凄い勢いで蒼脊が俺の背後から勢いよく飛びかかってくる。
ダダダダダダダダダ!
ダン!
「ぐぇ!」
勢いよく突っかかてきた後ろの蒼脊に俺は成すすべもなく前へ飛んでいってしまい受け身すらとれず地面に突っ放し倒れる。
「な、なんだいきなり!」
ガシ!
「なんだいきなりはこっちの方だ!」
突然胸ぐらを掴まれてしまいいったい何のことだか全く分からずにいた俺は、これは紛れもなく冤罪なんじゃないかとそう思ってしまう。
「くっ!ここじゃ一目が気にかかる。ひとまずこっちに来い!」
「お、おい蒼脊!?何処へ行く気なんだ。」
訳もわからずのまま俺は蒼脊に引き摺られ近くにある公園のベンチに座らされ、そのまま何故か自販機で飲み物を買いに行きそのまま2つ買ってこっちへ戻ってくる。
「すまんさっきは悪かった。お前を見て取り乱してしまってなそれでつい後ろからアタックしちまった。」
そう言いながらすまなさそうにして俺に缶コーヒーを渡してくる蒼脊は本当に何があったのかとこちらも内心心配にもなって蒼脊の言葉を待つ。
「いやマジでいきなりすぎてビックリしたわ。ちょっと反応が遅かったら地面に顔を突っ込んで大怪我だったぞ。」
「本当すまん。いや実はあるトリームからこんなのが送られてな。」
俺は蒼脊のスマホからトリームのアプリのメッセージを見せられある文章を読み上げるそこにはなんと…
[私達幼馴染3人が一星にバレてしまいました。という事なので蒼脊にはコレから、ゴールデンウィークが終わってからの色々な準備をしてもらいます。勿論アンタに拒否権はないからそこは覚悟しておくことね。]
…………
え?これ脅迫状?それを蒼脊に?いや問題はそこかもそれないがそうでもない気もしない気が…
「お前美森姉に何したんだ?」
「俺が何かできるとでも思うか?というか寧ろこの1ヶ月経たない内に幼馴染3人も見つけ出すお前の方がやりまくってるにしか思えんぞ。てか3人が気付けられて俺にとばっちりが来るのっておかしくねぇか?」
「ごもっともな意見だ。」
半ば可哀想な気持ちもあるけれど、それよりもこの文章を俺に見せてもいいものなのか…後で怖い目に遭うのは本人だという事は敢えて俺はくちにはしなかった。
「で、これはいったいどういう事なんだ?」
「俺が知るかよ。詳しい詳細は後ほどって言うんだぜ。俺お前に幼馴染達の事を黙っておけって言われたのも美森姉なんだぞ!何でこんなあからさまな脅しメッセージを受け取らなきゃならないんだ。」
「そう言われてもな〜……で、それを俺に言ってお前はどうして欲しいんだ。」
「お前美森姉ともっと親密になって、俺を上手くこんな脅迫みたいな事をするなって説得してくれないか。」
「え?そんなの無理に決まってるじゃん。」
「何でだよ!お前あれから美森姉とだいぶ、仲が良くなってきてんだろ!なら!」
「いやそう言う問題じゃないんだよ。だいたいお前俺とあいつらの事情知ってんだろ?それを知ってそんな発言しているなら、相当と無理言ってるのが分からないか?」
「………た、確かにそうだな。お前何故か昔の因果か幼馴染達に復讐されていたんだよな。でも、もう復讐は済まされてんだろ?なら何も問題なんて…」
「……正直言うと五分五分だな。美森姉は俺に復讐を果たせて一応は許してくれた立ち位置なのかもしれない…宇佐木田さんは俺に対して偽彼氏彼女として疑惑を学園にひろませながら場の空気を乱すという現在進行形の思いつきの復讐…そして山茶花の方は永続復讐という意味の分からない復讐…未来現在進行形みたいな発言をされた。」
「………どういう事だその復讐は?」
「………俺が聞きたいよ本当に…」
復讐という概念は本当に達が悪い。アイツらはただ単に楽しんでやっているんじゃないかとそう思ってしまうぐらいちょっとばかりの遠慮差のカケラも持っていなかった。だから俺はそれに対してどうにか復讐をやめさせてくれないかとも考えたが打開策が全く思いつかない。
「そもそも復讐するまでは姿を現さないとか何とかほざいてたあの手紙はなんだったのか…そんなの関係なしに正体を明かしてくるんだもんな。全く意味がわからん…」
「いやお前がその正体を明かしたんだろ?なら復讐するまで以前に正体を明かしてしまったら、明かした=それは復讐が終わるまで関係なく明かされてもし続けるって意味になるんじゃないのか?」
「…………」
「…………」
も、盲点だった!まさかそんなコスイ裏の屁理屈があったとは…俺はアイツらが単純に素直なのかとも思っていたが、そう言う意味での捉え方もあながち間違いではなそうだ。
「まぁあくまでも予想だけどな。アイツらはもっと違う何かの意味で姿を現さないとか何とか変な所で嘘をついてる可能性もあったりするからあまり俺の言葉を間に受けるなよ。」
「ああ、そうだなサンキュー…」
……けど蒼脊お前の言う言葉あながち間違いじゃないかもしれないぞ。…あの時山茶花が俺にヒントみたいなのをくれたあの言葉の意味、もしかしたら本当に何か別の意味で俺の知らない過去のアイツらという意味でのそう言った互換性があったりするんじゃないのだろうか?ただの憶測にすぎないが、少しばかり気にした方がいいかもな。
「所で話しは戻るんだが……」
「え?………あ」
「どうにかして美森姉を何とか亡き者にしてはくれないか!」
「いや待て蒼脊…今は…」
「いや駄目だ!今ここでお前に言わなければ俺が亡き者にされてしまう。」
「ふ〜んじゃあ今すぐ亡き者にしてあげようか?」
「マジか!それは助かるがいったいどうするつもりなんだ!」
「……蒼脊今のは俺がいったんじゃなくてだな。」
「え?」
「ふふ、私がいったのよ蒼脊〜」
「ひーーーー!!!?」
蒼脊は必死になって俺に頭を下げながらお願いしている最中、背後からまるで幽霊の様に現れ蒼脊のお願いする発言に対して代わりに受け答えし始める美森姉に気付かずにきた蒼脊は時すでに遅く、物凄い笑顔のまま蒼脊を虫のような目で見下しながら怯えさせる。
「後生です!後生なんでマジで許してください!」
「私まだ何も言ってないんだけど、いったい何に謝ってるのかしら?」
「いやそりゃあ勿論あのトリームじゃあない…」
「馬鹿!蒼脊それを今言ったら…」
「は!?」
「ふ〜ん見せたんだ。一星に見せちゃったんだ。一応口外しないようにって伝えてたんだけどな〜蒼脊はお姉ちゃんの言うことが聞けない子だったのかな?」
「ゆ、誘導尋問だ!」
「いや今のは完全に自爆だろ。」
ガシ!
「さてゆっくりと話をしようじゃないの、アンタには色々と話しがあるしね。」
「や、やめろ!俺は無実だ!!!」
「あ、一星昼休み幼馴染3人交えて話があるから逃げたらどうなるか分かってるわよね?」
「コクコク!コクコク!」
「宜しい。あ、後校門前に何故か2人が歪みあってる姿があったからちゃんとおさめときなさいよ。じゃないとまたよからぬ噂が流れるわよ。」
「え?2人?校門前?いったい何の話だ?」
そう美森姉に言われ俺は急いでその場へ駆け足で急ぎ、よからぬ噂がなんなのかは分からないが、また妙な噂が流れる前に阻止しようと急行したのも束の間…
バチバチバチ!
何故か山茶花と宇佐木田さんざ目をバチバチさせながら一触即発な雰囲気を漂わさせ近寄り難い状況を作り出し校門前でいったい何を話しているのか2人に声をかけるが、俺はその声掛けに後悔してしまう。
「おい2人ともいったいどうした…」
「遅い!」
「遅い!」
「え〜〜」
何で2人に遅いなんて言われなきゃならないんだ?俺別に2人とも待ち合わせしてないんだが…
「その…なんか悪い。もしかして俺がまだ学園に来てなかった事で怒っていたってわけじゃないんだよな?」
「……別にそうとも言い切れはしないんだけど…私が先にここで待ち合わせていたら菟ちゃんも何故か待つって言い出して、いったい誰の待ち合わせなのかって聞いたら神楽坂君の事を後から言い訳する様な形でいいだしたの。」
「それは語弊よ。私は単に本当の事を言っただけなんだから、と言うより火花ちゃんがちゃんと正直に話せばいいのに、それを何故か言い訳みたいな形でいうからついカチンときちゃったのよね。」
やばい話の流れが全く分からん。とりあえずこの2人のトラブルになった原因…まぁ俺が原因かもしれんが話を聞かないとな。
「えーと具体的にどう言った事で喧嘩になったんだ?」
「神楽坂君について好きなものとかどんな服が好きなのか、何をしたら喜んでくれるのかなとかを聞いたんだ。でもね逆に菟ちゃんが私に何て聞いたと思う?惚れたのかって聞いてきたんだよ?いったいどうやったらそう言う話になるのかわけがわからなくない?」
「………あ、ああそうだな。」
てか本人を目の前にしてそんな話し合いの内容を暴露していいわけなのか?寧ろ俺いない方がいいんじゃ…
「訳がわからないのはこっちだって同じよ!かえって私にそれをふっかけるのも意味がわからないし火花ちゃんってそこまでヘソが曲がっていたのかしら?」
「ヘソが曲がっているのはそっちだと思うんだけどな。神楽坂君を学園の晒し者にさせている諜報人がそんな態度取れるわけないよね?」
「それを言うなら神楽坂君をまるで自分の所有物みたいな扱い方をしてずっと引っ張り回すというのもある意味達が悪いんじゃないかしら?そう考えると今のところ私の方がましだって事が鮮明に分かるかな。」
「ぬぬぬぬ!」
「ぬぬぬぬ!」
………え?何かどうでもよくないかその話し…というか2人が歪み合ってる原因って主に自分達で場数踏んで勝手に妙な雰囲気になっただけじゃないか。こう言っちゃあれだけど……声を掛けて損した。




