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俺の幼馴染達が復讐を終えるまで姿を現さない件について  作者: Phantom
第一章 幼馴染達との再会(仮)と復讐
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限界を超えるその先には天才での違った限界がある

そんなピンポイントな差って…そんな馬鹿な事…


「有り得ないという様な顔をしているな。けれど、事実な話なんだ。お前は自分の記録タイム更新に無我夢中になっていて、全国出場者の記録を垣間見えていなかった。それが?とは思うかもしれないが、そこをどう改竄するべきなのかもっと考慮すべきなんじゃないかと俺は思う。」


「改竄って…こんなのどうしようもないんじゃ…」


「私もそう思う、陸上では最初にかけるスタートダッシュもしくは中盤からの追い上げで距離を縮ませていけばいいけれど、これと同じ類いの話になるなら、短距離走でいきなりのスタートダッシュをミスればその時点で終わりなのと一緒だと思う。」


「でも、得意のスタイルで泳げばまだいけるんじゃないんですか?確かにタッチの差で言ってしまっての身長差に問題はあるけれど、僅かに追い上げるスピードがあればまだ勝てる余地は…」


「ないとも言い切れないしあるとも言い切れないな。お前の言う陸上での在り方は確かに水泳と似た極地にもなっている。しかしそれ以前に本人の問題にもなるだろう。」


「本人の問題?」


「……限界という言葉だろうな。」


「!?」


限界…そう言われて、野谷山は聞きたくもない言葉を耳にしショックを受けながらただただ下を俯くしかなかった。


「限界?え?でも野谷山ちゃんって女子水泳の中でも抜群に誇れる選手なんじゃ?」


「ああ…だが人間にも限界はある。例え才能があったとしても、それを超えられない壁は必ず存在するんだ。」


超えられない壁は存在するか、か…


「でもそれじゃあ何の為に先輩をここへ呼んだのか分からなくないですか?」


「いや寧ろ来てくれてありがたいと思っている。野谷山には今後水泳リレーの方で活躍してもらう。その方が限界を超えられない様な壁は存在しないし他の奴等の事もカバーできる。こんな事を言うのも申し訳ないが…やはり模擬試合には野谷山にとって荷が勝ちすぎたかもしれんな。」


確かに個人メドレーで任される責任の重さが存在する事もある。それは団体メドレーでも同じ事任される責任を一任してしまえば、プレッシャーは更に増大されてしまう。そんな事は野谷山自身百も承知な事だ。


「先輩何とかならないんですか!」


そんな無茶苦茶なことを藁にもすがる様にして頼み込む春野原はそこまで面識がない野谷山の事を心配して俺にお願いをする。


「………正直天才肌ならこの限界ぐらい乗り越える余裕ぐらいはある。寧ろ何とかなるって思ったぐらいにしか俺はコイツにちょっとした違和感を伝える他ならないんだ。逆に陸上とは違ってやりやすいフォームですぐ様にやれと言われてすぐさまにできるほどスポーツは甘くない。仮にそれができるとしたら本当の天才でしか無理だろうけどな。」


「!?……え?それって…」


「僅かなチャンスにかけるなら教えてやる事はできる。今のやり方で記録が伸びないならお前が水泳の天才ならまだ可能性はあるんじゃないのか?」


「いや待てそんな可能性は万に一つもないぞ。野谷山は今あるフォームを変えずつもりはないと水泳をやった頃からそう言っていたと聞いた。だから私は今あるフォームで限界を超える様に今まで指導をしてきた。なのにいきなり違うフォームでやるだと?あまりにも馬鹿かげてる話しだ。」


「そう普通なら全ての泳法は確実に体に染み込ませながら自分に合ったやり方の泳ぎ方で勝負に挑む。と言っても四つとも使わなければならない試合もあれば指定された中で泳ぐ様に指摘するのもある。でもそれを今までしてこなかったのはある意味運がいいかもしれませんよ。主に何で今まで違った泳法をしなかったのかは謎ですが、試す価値はあるのでは?」


「本当に…本当にそれでいけるのだったら試したい。でも本当なら今あるクロールとバタフライを保存するなんて事考えはしたくないけれど、僅かに可能性があるなら試したい。」


「野谷山はどうしてそこまでバタフライとクロールに拘るんだ?何か理由でもあるのか?」


「バタフライとクロールは)私の憧れている人から見て学んで、そこから小さな頃に水泳を始めて習得して得た泳法なの。まぁやっぱり3年近くは辛かったけど、それでも頑張ってきてここまできたんだけどね。」


「ん?ちょっと待て、それじゃあお前独学でこれまで1人でやってきたのか?」


「うん。だって私水泳の天才とか言われたのって3年後の小さな大会で勝手に言われた頃だから…これといって誰かから教わったのはなかったな。」


独学であの水泳の速さとテクニック…いや確かに天才なら可能かもしれんが、それでも誰かから学んである程度は実力を一緒に育ててくれるやつが必要な部分はあるはずだ。なのにコイツは一人でここまで上がってきたのか…


「それで、大丈夫なのか?そのクロールとバタフライをひとまず休めても…」


「うん。どちらにせよ候補は残り2つしかないしね。それで伸ばせるならやってみたい。ううん、やらなきゃダメなんだと思う。」


野谷山の熱意みたいなのが、俺の心へ僅かにながら伝わりその心意気に少し情が移ってしまったのか、そのままゆっくりと目を瞑りはぁと溜息をしながら、野谷山の方へ真っ直ぐ向く。


「分かった。けど、もし泳法自体に何かしら違和感があれば俺はお前にある勝つ戦術を教えてやる。」


「勝つ戦術?それって何なの?」


「まぁひとまずまだ慣れてない平泳ぎと背泳ぎをやってから俺が考えた泳法で実践しようと思う。試合内容はこっちにも伝わっていたし野谷山ならきっと何とかなるって思ってひとまず後回しにする事にした。それでいいか?」


「いいも何もまずは実力を測ってからって事でしか、その戦術が授けられるとかどうかわからないんだよね?ならやるしかないじゃない。」


「さすがだな野谷山。ならさっそくだが…」


こうして、俺と野谷山の泳法による特訓が始まり来る模擬試合に向けてひたすら才がある人間にしかできないやり方を無理矢理やっていくのであった。


それから1週間が経ち、やれるだけやってとうとう野谷山に頼み込まれた試合、模擬試合が始まる日がやってくる。


「いや別に俺は呼ばなくてもよかったんじゃ…」


「いやいやそういうわけにはいかんだろう。何せお前はこれからうちのコーチになってくれる逸材候補なんだ。これに関わっといて損はないだろう。」


「そんなの別にいりませんし興味もありませんよ。」


野谷山のいる待合室で俺と小萌志先生は着替えが終わるまで待つ事にし、つまらない雑談をする。


「けれど、やたらと観客がいないわりにはマスコミやら写真を撮る人達は多くいますね。」


「そりゃあそうだろう。何せこの千載一遇のチャンスほとんどの記者は見逃さんだろうし、どちらが先にアプローチかけられるかも勝負になる。まぁ言わずもがなだが、もちろん全国出場の競合相手である奴等の方が1番期待されてはいるがな。」


「何で期待されているんですか?」


「考えてもみろ。こんなくだらない集まりの為にわざわざ競合選手達を集めたんだぞ。しかもそれが、野谷山という餌をつるして利用したんだ。ともなれば、そいつらは釣られてしまうのも仕方がないという事だ。」


「じゃあ、野谷山は完全にカモ扱いとして利用されたという事ですか?」


「さぁどうだろうな。野谷山を餌にしたアイツらも、もしかしたら予想外な事が起こって場を狂わされて慌てふためく可能性もあったりするかもしれんぞ。それもこんな大会なんて無かったことになる可能性が覆されてしまうかもしれんしな。誰かの手によって…」


「え?じゃあこの模擬試合ってもしかして初めっから…」


「ああ、こんな大会そもそも優遇されるというのが無理だと言うものだ。才能がある人間が1人しかいないんだぞ。そんな女子1人しかいない大会なんて寧ろ何の意味があるって言うんだ。アイツら競技委員会達は私達の事を甘く見ている。だが、それもこれで終わりだ。ふふふ今見ていろよ競技委員のクソジジイ共!私の野谷山が今お前達に吠え面をかけせてくれるわ。」


俺が憧れていた小萌志選手の姿が何か何処かに行ってしまった様な感じに見えて、少しばかり冷めた気持ちなってしまう。


「あの〜思いっきり中まで聞こえているんですけど、あまり大声でそんな事言わないでくれますか?妙な気分になってくるんですけど。」


「おお、すまんすまん、わざとじゃないんだ。と言うよりも準備はいいか?」


「一応は……あ、あの少しばかり神楽坂君と2人っきりにさせてもらえませんか?」


「え?」


「お?これはこれは、ふふ、そういう事ならお邪魔虫はここで退散するとしますかね。神楽坂、野谷山のこと頼んだぞ。」


何か物凄い誤解を受けたまま勝手な事を言って会場の方へと向かって行ってるんだが…まぁ何か話があるみたいだし、ひとまず野谷山と話すとするか。


「ふふん〜そうか、そうかコレは面白いものが見えてきた様にも思えてきたぞ。まさかアイツらがそういう関係だったとはな…?」


「お久しぶりです。睡蓮コーチまたこうやって会えるのをどれほど待った事か…」


会場へ向かって歩いてる最中インタビューを受ける1人の男から声をかけられ挨拶をしてくる選手が頭を下げながら睡蓮の名前を呼ぶ。


「………ああ、久しぶりだな露光(ろっこう)。やはりお前もここへ来ていたのか。」


ざわざわざわざわ


「あ、あの〜左馬儀(さまぎ)露光(ろっこう)選手この方はいったい…」


インタビューの人が露光へ睡蓮の事について尋ねると、露光はインタビューの人の胸ぐらを持ちながら威圧する。


「あんた、この人をご存知ないのか?」


「い、いえ、私はそのまだ入った新人な者で、この業界に詳しくないんです。


「はぁ〜」


露光は深く溜息を漏らしながら、その新人記者にこう言い放つ。


「あんたこの業界に入ったのならもっと詳しく調べてこいよ。舐めてんのか?プロの記者ならそれぐらい知っておけ。」


露光は記者の男を勢いよく突き飛ばすと、そのまま一斉に他の記者達もその場から離れていく。


「やれやれ、相変わらずその無駄な短気はなおっていないのか?私はその無駄な短気をなおすよう水泳を辞めた時に言ったはずなんだがな。」


「申し訳ありません!しかし、この短所があっていまこうして水泳を続けられているんです。できる限りではありますが、できるだけ、表に出さないようには気をつけています。」


「やれやれ…」


それが1番の欠点打というのを気付いているのにも関わらずあえてそれを糧にして実力を引き伸ばしているというのも変わってはいなさそうだな。


「所で話は変わりますが、そちらにあなたの育てあげた生徒が今回来ていると伺っているのですが…いったいどれほどの実力持ちなのでしょうか?」


言い方がわざとららしすぎる。コイツ明らかに挑発しているな。


「さぁな、それはそれは実際に対戦してみてどの様な実力かを見極めてみたらどうだ?お前そういうの得意だろ?」


「はは、これはお見それ致しました。ではそれは後程の楽しみという事で…いやはや楽しみですね。私を野放しにした後の鍛えた生徒の実力との競い合いは…」


「ああ因みにだが、今回は私が鍛え上げたというのはしていない。主に指摘をしただけにすぎん。まぁ元は天才の持った能力だからな。これといって指導する部分はなかったともいえる。」


「ん?ではいったいだれがその生徒を鍛えたのですか?」


「神楽坂一星といえばわかるかな?」


「………ほぅ〜」

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