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俺の幼馴染達が復讐を終えるまで姿を現さない件について  作者: Phantom
第一章 幼馴染達との再会(仮)と復讐
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トラウマに縛られた水の中で証明する才では気付かない理由での己自身に気付ける気付け方

ざわざわざわざわ…


ザバンザバンザバン!


「ほぉ〜さすがは昔子どもの頃全国出場候補に選ばれただけの事はある。あれほどの泳ぎは中々並大抵の人間には不可能だ。」


「……はい。正直自分自身も驚いています。」


「せ、先輩カッコいい!」


「……うん、なんだか惚れ直したかも。」


バシャン!バシャン!


くっやっぱり、久々に水の中を泳ぐのは抵抗があるな。身体はまだ感覚だけで泳げてはいるが、俺自身吐き気がする程気分が悪くなる。誰かの為にやすみやすみに引き受けるもんじゃないな。


僅かながらに火花とのタイムがそれほど変わらないというぐらいに泳げていた一星は自分自身にトラウマが未だに残っているのを堪えひたすら前へ泳ぎ続ける。


ピッ!


「折り返し地点…うんやっぱりそうだな。」


「はいそうですね。」


「やっぱりって何がですか?」


「記録タイム。彼私と同じタイムで泳いでる。しかもワザとだとは思うけど、まだ力を隠し持っている。」


「それって本気で泳いでいないって事?」


「……だろうね。」


この泳ぎを見て私のタイムがどうして伸びないのか自分で見極めろみたいなことを言ってはいるけれど、これじゃあ何がどう見比べたらいいか分からない。同じ才同士とは言うけど、根本的に違う部分はお互いにもある。それを自身の目で判断するのはそれなりに難しいと思うんだけど。


「あれ?何か先輩と野谷山先輩の泳ぎ方そっくりだけど、何処かしら違和感みたいなのを感じますね。」


「え?」


「そういえば…何かこうズレてるというか幅に大きな変化みたいなのが気になる。」


「嘘…何であなた達が気付けるの?私何て何処から何処まで一緒の様にしか見えないんだけど。」


というよりも同じ才同士だから気付けるもんだとばかり思っていたのに、この子達が先に気付き始めるっていったい…


「成る程な。才という意味はこういう捉え方もあったわけか。」


「どういう事ですか?同じ才同士なら気付けるそう彼は言ったはずですよね?なのに私には気付けない理由とかあるのですか?」


「逆の発想で考えてみろ野谷山。神楽坂は同じ才同士なら気付けるとそう言っていた。つまり似た境遇な2人だから気付かない部分も含まれるという事もあるんじゃないのか?それも同じ水泳をやっていた者同士…違う者の視点強いて言うなら違う部分でやっていた奴等側で見れば気付く部分があったりするかもな。」


「そんな事が……けれど、確かに盲点でした。てっきり水泳経験者側から助力を得ればと思っていましたが、まさかこの様な展開に持っていくなんて…」


客観的な視点で見るか…今の私には到底思いつかない見解だったな。でもそれで他の人からの意見を貰えるなら願ったり叶ったりかな。


ザバァン!


「タイム……驚いた野谷山より0.5秒だが早く泳げている。さてはお前辞めたと嘘をついて密かに特訓とかしていたんじゃないのか?」


「はぁ、はぁ、はぁ……それは、ない、ですね。」


「……大丈夫か?やたらと心身共になんだかやつれた様な顔をしているが、見てる限り何処も負傷という部分は内容にも見えていたんだが…」


「ええ、勿論です。怪我なんてしていません。コレは俺の問題なんです。この身体が水泳としての要素を覚えていたとしても、精神的には終わってるんで…」


「……その精神的何かは聞いてもいいやつか?」


「………すみません今は話したくありません。」


「まぁそうだろうな、話せるんだったらとっくの最初に話しているだろうし、なによりもお前はわざわざ野谷山に自分の持つコンプレックスを抱きながらそれを見せた。つまり明確な答えはそこの違和感を持つ2人に委ねたという事だな。」


「そんなつもりはありませんよ。俺は本当に才ある者にしか分からないから、ただ単に何かしら違いがわかるかもしれないそう思って勝手出ただけです。」


「ん?じゃあ何かそこの2人も何かしらの才があったという事なのか?」


「ああ、その2人は女子陸上の中で唯一実力候補として選ばれ、自分の部活を守った勇士ですよ。」


「そうだったのか。全然気付きもしなかったな。いや陸上女子の顧問の先生は確かいなかったはず…というよりも大方の審査は陸上部長達に一任していたような。……まぁひとまずそれは置いとくとして…」


おいとくのか…普通にそこはおいちゃいけない部分な気もするが…


「所で神楽坂君。私今の泳ぎを見ても全然ピンと来なかった。何処の何がおかしかったというの。僅かな0.5秒差と言っても何もしてこなかったあなたに負けたというのは流石に我慢ならない。」


「そこまで気にする所じゃない。俺のは単にそういう風にされただけだ。練習しようがしまいが、もう水辺での泳ぎはどんな事をしてもモチベによって結果が変わる。だから俺はお前の為に泳いで色々な意味で試行錯誤して気付いてほしかったんだ。」


「気付いてほしかった……でもそれを気づけたのは…」


「うん私と…」


「私ですね。」


そう正直俺が分かる部分は大まかな場所にしかならない、身体の動き動きには何かしら欠点が残る。その欠点を補うには誰かしら野谷山と同じ様な実力者が泳いで手本を見せるしかない。けれど、あくまでもそれは参考になるかは別だ。自分自身で気づけるのなら何も困った事はない。だが、そんなのはただの仮定だ。だから、俺はちょうどここにいた春野原と東郷に見てもらって、ある部分の違和感に気づいてもらう必要があった。結果、見事に成功したわけだけど…俺とは違った認識ではどう応えるのかにかかっている。


「正直な感想を言ってほしい。というよりももう気付いていると思う。さっきは才がどうのこうのとは言っていたが、ある程度の奴等は直ぐ様に分かったはずだ。」


「うんでもそれって、タイムがどうのこうのと言うよりも野谷山ちゃんが不利なだけだと私は思うよ。」


「同じく私もです。」


「ん?どういう意味?」


「先生もお気付きなんじゃないんですか?数多の水泳選手を見てきた先生だからこそ俺が泳ぐ前に気付いて欲しかったんすけど。」


「ああそうだな。完全に盲点だった。しかしそれでも私は野谷山に可能性があると信じてこれまでタイムの更新をあげる為に無理難題を言っていた。しかしそれでも伸びない理由が、自身へのメンタル面もあると総量として私はそう意識してしまっていた。」


「まぁタイムが伸びない理由はおそらくそれもあるかとは思いますが、根本的にその0.5秒の差は関係ありませんね。」


トントン


野谷山のタイムの記録が更新しないという話を議論していた最中背中から手でトントンと叩く野谷山がムスっとした顔でこちらを睨む。


「ねぇ勝手に私のタイムの差の講義をしないでくれる?私にも分かりやすく話してほしい。」


「分かりやすくって言ってもな…まぁなんだ、単に…」


「男子と女子の身長の差…」


「え?」


「はい0.5秒の差は主に身長の差だと思います。野谷山先輩が泳ぐのと神楽坂先輩が泳ぐのとではスピードは確かに同じでした。しかし僅かな差でタッチする距離が足りなかったんです。」


「いやちょっと待って、でもそれは単に同時に泳いだ場合の話なんじゃないの?私がそれよりも早く泳げばタッチの差だなんて…」


「いやそれは多分無理な話だ。」


「……何でそんな事神楽坂君に分かるの?」


あれ?何か今神楽坂君と野谷山ちゃんの間で空気が淀んだ様な?


「分かるも何も、お前今の実力で今度の全国出場している強者の人達に勝てるなんて思っているのか?考えが甘すぎだ。」


「あますぎ?じゃあ言わせてもらうけど、神楽坂君ならその全国出場している強者達に勝てるんですか?」


「誰も俺が出場する話しなんてしていないだろう。お前のポテンシャル云々の話をしているんだ。それにその事に今まで気付かなかった己自身に甘さがあったとしか俺は言いようがないと思っている。まず俺に相談する前に自分自身のタイムがどうして伸びないのかを確認するべきだったな。」


ギュ!


野谷山は拳を深くに握りながら、一星の言われた発言に納得がいかなかったのか、感情が表へと出てしまう。


「だから、それが分からないから神楽坂君にお願いしたんでしょう。それに私は無理強いはしていないし、なによりも相談にのってくれるといったのはそっちじゃないの。」


主にお前の脅しでそうなったんだがな…まぁそれは今言ったら余計に飛び火が跳ね返ってきそうなんで伏せてはおくが、言わないと分からないみたいだから言うだけ言うしかないな。


「ああ確かに言った。でも現にこうして相談に乗った上でのお前の評価を俺は述べている。言ってしまえば、お前の可能性はそもそも万の一つその競合相手には絶対に勝てないぞ今の段階では…」


俺は小萌志先生から見せてもらった記録帳を野谷山に見せながら最初から今までとっていた記録のタイムを見せる。


「これが何?」


「タイムが伸びていないのは既に一目瞭然だな。」


「そんなの自分自身が1番知っているけど?」


「なら次はこれを見てくれ。」


俺は近くに置いてあったスマホを予め開いていたページを野谷山に見せる。


「これは、何の記録?」


「お前が次に模擬試合としてやる競合選手達の記録だ。それも割と新しめのやつ…」


「!?な、どうしてそんなものを神楽坂君が?」


「小萌志先生に俺のスマホへ送ってもらう様お願いしたんだ。まぁ小萌志先生が直接見せてもらった方がよかったかもしれないが、そろそろ充電が切れるとか何とかで…というか最新記録は普通一般の人にはみせてはいけない様になっているのに、あんな堂々と渡してきて、本当にこの人でここのコーチって大丈夫なのかと思ったりもしたけど…まぁそこは敢えてスルーしとくとして…俺が結局何が言いたいのかは…」


!?


「こ、これって…」


気付いたな。


「そう今お前が最高に出しているタイムとその競合が出している記録、お前が全力で出した最高タイムでその競合達との記録は俺がさっき泳いだ時と同様僅かな0.5秒差しか変わっていないんだ。」

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