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俺の幼馴染達が復讐を終えるまで姿を現さない件について  作者: Phantom
第一章 幼馴染達との再会(仮)と復讐
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才ある人間にしか分からない気付きもあればそれに繋がる為の証明の仕方

小萌志睡蓮先生から威圧のある脅しのプレッシャーに屈しなかった俺は既に準備運動をしている野谷山の方へ向かって歩き声をかける。


「野谷山。」


「あ、話は終わったの?」


「ああ、てか何でお前はそんな平然とこっち側でしていた話をスルーして準備運動なんかし始めたんだ?」


「え?だって、正直どうでもいい話しをしていたんでしょ?私の事で記録が伸びる伸びないかなんて、結果の所は私の問題だよね?ならそれをそっち側でやあやあ言った所でどうしようもないと思うんだけだど、違う?」


「いやお前それを言ったら俺がここに呼ばれた理由の意味がなくならないか?第1お前が俺に相談を持ち掛けたんじゃないか。」


「だとしても、私は私の力自体を発揮しなければ神楽坂君に相談した意味がなくなる。コレは私自身で突破しなければならないというケジメみたいなのがあるのよ。」


「悪い何を言っているのか俺にはさっぱり分からん。」


「つまり見ててって事、私の泳ぎもし神楽坂君が参考にできればというていで泳ぐから、気付いた事があったら言って欲しい。」


「いやマジで意味がわからん。何で俺がお前の泳ぎを見て参考にしなきゃならないんだ。」


「よーし!それじゃあ準備はいいな野谷山。」


「はい!」


「え、いやおい、まだ話は…」


ピーーーー!

ザバン!


まだ話は終わってないと言おうとした瞬間、先生のホイッスルの音がこの施設内に響き野谷山は一気に水上の中へ入り見事な飛び込みを決める。


「アイツいきなり飛び込みで水飛沫をかけさせやがって………でも。」


バシャンバシャンバシャン!


見事なクロール。見た感じスランプを抱えている様な動きじゃない。寧ろ本当の選手かの様にして泳いでいる様にもみえる。


「どうだ?見た感じ何か違和感は感じるか?」


「いえコレと言ってまだ何も…寧ろ良好にも見えますね。」


「……まぁ最初の方はな…」


小萌志先生は何やら測ってるタイムを見ながら、まるで雲行きが怪しくなったかのような目つきをしてあまり幸先が良くなさそうな表情をする。


「……あ、折り返し地点。」


バシャン!


野谷山はそのまま水中で1回転しながら、壁に向かって反動をつけながら一気に蹴りを入れそのまま垂直に泳ぎ出す。そしてそこからクロールではなくバタフライで泳ぎ出す。


「コレは個人メドレーで泳ぐんですかアイツ?」


「ああ、リレー競技でも十分な有力候補ではあるけれど、あまりにもバランスが保たれない事になるから彼女自身のスタイルでやってもらっている。少なからず団体よりかは個人派でやる方が性に合ってるな。」


「個人か……因みにこれまでの野谷山の記録って測っていたりしますか?」


「うん?まぁ一応はな。しかし何でそんな事を?」


「……見せてもらっても?」


「それは構わないが、いいのか今はまだ野谷山が泳いでいる最中だろ?」


「お願いします。」


「………分かった。」


小萌志先生はたまたま持っていた個人の記録名簿を俺に渡し、渡された名簿で野谷山のこれまでのタイム記録を観察する。


「………やっぱりそうか。」


「何か分かったりしたのか?」


「いや多分ですけど、色々と問題点がありそうですよ野谷山の記録が伸びない理由が…」


バシャン!

タッチ!


野谷山が見事に泳ぎきったと言わんばかりの顔をしながら、息を切らして俺の顔を覗き込む。


「どうだった?私物凄い早かったでしょ?」


「ああ少なくとも高校生とはいえないレベルの泳ぎ方では一段に越えてはいるな。」


「本当!じゃあタイムも。」


「ああ〜野谷山悪いが、タイムは相変わらずだ。さっきの状態から何も一変してはいない。寧ろまた0.01秒タイムが落ちたな。」


「……またですか。」


そう野谷山の今のレベルの泳ぎなら、確実に高校男子が泳ぐベストを出す程の記録のタイムが出ている。しかしそれはあくまでも学生というていでの話し、野谷山にはこれから一般公開されていない、全国水泳選手達が集まる中の1人に選ばれた人間…つまり今の野谷山の泳ぎ方やレベルではその競合選手達に程遠く届かない位置にいる。僅かな記録差でそれが野谷山の足枷になっている何より…記録が下がっていっている。


「野谷山一旦上がって水分補給してこい、今のお前は明らかに体力の消耗が激しすぎる。」


「え?な、何で…私普通に泳いでいたよ。それも全力で…」


「そうくるか…」


「どういう、事?」


息を切らせながら、どうにも腑に落ちない野谷山。それはそうだ、何せ彼女自身自分が本領発揮で泳いでるのを錯覚して、確実にポテンシャルが落ちている事に気付いていない、それに気付かないという事はまず選手としては1番疎かにしてはならない事…当然水中で泳ぐという事はそれなりに呼吸の乱れや粗い息切れを起こす。けれど、おそらく野谷山はまずそこら辺をキープして激しい息切れは起こさせないはず…なら何でそこまでの息切れを起こすのか…まずはそこを重点的に指摘しないといけないな。


「とりあえず、スポーツドリンク飲んでくる。」


納得のいかない顔をしながらスポーツドリンクを飲みにいく野谷山。


「さて、どうしたものか…」


「ねぇ?今の野谷山ちゃん何か悪い所でもあったの?アレでも十分に速い思ったんだけど。」


東郷の言う通り、誰もが見てもアレは普通に速い泳ぎ方だし、折り返し地点での軌道力も何も問題はなかった。だが一部としてはそう見えるかもしれんが才を持っていた人間側としては見逃せない部分があった事をおそらく俺以外は気付けていない。


「その顔才あるだけが気付ける顔だね。もしかして私達には分からない事でも気付けたのかい?」


「………正直口で言うよりかは体感や目で気付く他ないかもしれない。あまり気乗りはしませんがね。」


「どういう事ですか?もしかして、何か録ってあるものでも見せて分からせるとかそういう事ですか?」


「いいやそうじゃない。……小萌志先生、男子の水泳着ってありますか?」


「ん?ここは女子しかいない施設だぞ。そんなのがあると思っているのか?」


「まぁそうですよね…わかりました。また次回の時でも…」


「な〜んてな。勿論あるに決まっているだろ。ちゃんとそれぞれのサイズも別の更衣室にある。そこで着替えてこい。」


「………」


「どうした?何か他に足りないものでもあったりするか?」


「いえ別に…」


何で男子水泳着がここにあるんだとツッコミたい所だが、ツッコんだらおそらく聞いちゃいけない事を聞いてしまう気がして、敢えて聞くのはやめた。


「何で女子しか入れない場所に、男子水泳着があるのですか…」


「シッ!それ以上は禁句だ。自分の大事な部分を守りたかったらここは黙っておいた方がいい。」


「な、何でですか?しかもそんな必死に…」


そりゃあいやでも必死になるだろう。東郷の今の気の回しの言い方はナイスだ。ここでその発言が問えば多分もう2度とこの先生には関わりたくないと思っていただろう。


………それから10分後


「あのう、神楽坂君は何処にいったの?もしかして、帰ったんですか?」


「いやアイツは直ぐに戻ってくるよ。何やらお前に見せたいものがあると言って少し更衣室に行っている。」


「え?何で更衣室に?」


「悪い待たせたな。」


「神楽坂君……な、何で水着に着替えているの?というよりどうして、男子水泳着なんか…」


「ふふ、それは私がだね。」


「あ、別にいいです。今ので神楽坂君がおかしくなかったというのが分かっただけで十分分かりましたので。」


「なんだ、なんだ、さっきからお前達は、私がこう説明しようとしたら、直ぐに断る素振り何か関わりたくない事でもあるのか?」


一般的に誰も関わりたくないんだよ。常識外な部分があってどう反応したらいいか分からないからな。


「それで、何で神楽坂は水着に?」


「お前に見せたいものがある。今からそれを見てお前が今起こってる不具合を改善するよう見つけろ。」


「え?ちょっと待って、それってつまり…神楽坂君が実際に泳ぐって事なの?でも神楽坂君は…」


「ああ元の泳ぎ方でできるかどうかはわからんが、少なくとも何かしらの参加になるかと思ってな。」


そう言いながら一星は体の屈伸や準備運動をして目の前の水の上に若干躊躇いながらも定位置に移動する。


「ちょっと何あれ、何で男子生徒があそこにいるの?」


「というよりさっき不法侵入してきたやつじゃない。何勝手に野谷山先輩の邪魔してくれちゃってんの。」


「けれど、何で先生は何も言わないんだろ?普通ならとっ捕まえて生徒指導室に連れていかれるはずなんだけど…」


「きっと自分が凄いとか何かカッコつけたくて、泳ぐ姿をみてくれとか何かいったんじゃないの?てか、あの野谷山先輩の泳ぎを見てよく泳ごうとか思ったわね。」


「………ねぇさっき下でチラッと聞いたんだけど、あの男の人苗字が神楽坂って名前みたいなんだけど、何処かで聞いた覚えないかな?何か引っかかるんだよね。」


「神楽坂?………あれ?そういえば私も何処かで聞いたような?」


「神楽坂ってこの前隣のクラスに編入してきた子だよ。あそこにいる東郷と同じクラスだから、話も聞いてるし何か女子陸上の方でも絡んでいたって話も聞く。でも編入してきて早々何やら色々と周りの噂が広まってるらしいね。何かは全然興味ないから知らないけど…」


「いや多分それじゃなくて、昔その名前を聞いた事があるようなないようなという感じで引っかかるんだ。」


「昔……昔……うん?ちょっと待ってあの人もしかして…」


「それじゃあ準備はいいな。」


「………」


俺は小萌志先生の準備という言葉に合わせて水面へ潜る様に体を曲げながらダイビングする構えをとる。そして小萌志先生の合図と同時に…


ピーーーーー!

ザバァン!


水の中へと潜り、昔の嫌な気持ちを抱きながら泳ぐ。

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