分からない女子心
バン!
カランカラン!
その場のテーブルの上に置かれたお金と共に野谷山はこの喫茶店から出ていき完全に御立腹な状態で俺はどう声をかけていいか分からず困惑している。
「な、何であんなキレ方をしていて出ていったんだ。俺何か変な事言ったか?」
「大いに言ったわよ。全く一星はどうしてそう女の子に対して無頓着というか、わきまえ方が分かっていないのかしら。」
完全に幼馴染モードとなった美森姉はみんなの憧れモードの琵心蕾先輩の状態を解除しながら店員が持ってきたイチゴパフェを頬張る。
「意味がわからん。第一ちゃんと弁解しているのに何で水をかけてきたんだ。普通に女子として見ていないって言われた方が寧ろ自分に興味がないから安心しきれるというのがあるんじゃないのか?」
「それ、何情報なのよ。例えそう思って言ったとしても女の子にとっては好かれてもいない男子でもあんな言い方をされたら誰だってキレるし呆られるわよ。あなたはそこら辺もう少し言葉を選んで弁解という言い方をするべきだったわね。」
「………いやだけど。」
確かに言い草的には少しばかり女子に対して失礼だとは思う。というより俺と野谷山はそこまで関わり性があるわけじゃない。ただのクラスメイトでしかないんだ。それひ憧れの的であるアイツなら俺に何言われても対して心に何も思わないと思っていたんだが…
「まぁ今のあれこれの言い方をしてまずいけなかった事は火花ちゃんのスカート覗きの件ね。」
「それが何か?」
「何かって…あなたその事で火花ちゃんに謝りたかったんじゃなかったの?」
「いやそうなんだが、それがああなってしまったわけで……ちゃんと謝れてなかったって事なのか?」
「弁解なんだから謝るも何もただ分かって欲しいって事になるんじゃないの?でもそれにしたってあの言い方はないわよ。あからさまに興味がありませんなんて言い方。」
「実際にそうなんだが…まぁ野谷山みたいな女子ならほとんどの男子なら魅力にされるとは思うが、いかんせんあの顔でまさかうさちゃんパンツを履いていたとはな〜まぁストッキングを履いてたからギリギリセーフなんだとは思うんだけど…」
「それ以前に女子の目の前で自分の性癖を晒すのはどうなのかしらね。」
「おいおい、この話の要素にどうやったら美森姉に俺の性癖を暴露したみたいな話になった。一言もまず言ってないしな。」
「じゃあ〜ストッキングの履いてる女の子は嫌いなのなかしら?」
「………その質問はズルくないか?」
「否定はしない。それが答えなのね。」
そこで否定しまったらしまったで絶対煽ってくるのは間違いない気がする。それでも男子なのかって、ついてるもんはちゃんとついてんのかって美森姉ならいいそう。
「ちょっと今妙な事を考えなかった?私そんな下品な事この年では流石に言わないわよ。」
「何も言ってないんだが…また顔か?」
てか顔を見ただけで、何で下ネタだって分かるんだ。幼馴染の勘か?いやそれでも色々と無理がある気がする。
「顔かしらね〜というよりせっかく、火花ちゃんが相談あるからと言ってここで待ってもらったのにこれじゃあここに待ってもらった意味がないじゃない。」
「相談?」
「そうあの子も実は悩みを抱えているっぽいのよ。それが1番頼れるあなたになら何とかなれると思ってここで待っていたのに、そんな小学生みたいな事で喧嘩しちゃって…はぁ〜」
「小学生みたいな事って、さっきは女子なら当たり前みたいな事とか言ってなかったか?」
「それよりもよ!」
無理矢理話しを切らせた。
「後でトリームでまた謝っておきなさい。本当は彼女からあなたに相談を話す予定だったんだから、分かりかしあなたの事を信頼しているみたいよ。」
「信頼って…別にアイツに何か認められる様な事は何も…」
「そうかしらね?これまでの経緯であの子は色々とあなたと接点はあったと思うわよ。私の件にあしからず、川兎ちゃんの件もね。どこかしらあなたに何か一歩歩み寄ろうとしてたんじゃないかしら?」
「アイツが?」
いやでも確かに美森姉の件では学食でわざわざ聞きやすい所にまで移動してもらったし、宇佐木田の件も忠告みたいなのはしてくれた。………あれ?もしかして意外にアイツとの接点あったりしていたのか?
「………」
「まぁそれが何なのかは私には分からないけど…」
「そうだな。何かとアイツにはそれなりに俺の事を助けてくれたかもしれない。だとしたならそれは俺のミスだ。やっぱり後でちゃんともう一度謝っておくよ。」
「うんそれがいいと思うわ。あ、私次チョコレートパフェね。」
「美森姉、今いい締め方をしたのに全くもって花がないよ。」
勝手にチョコレートパフェを注文する美森姉に俺は少なからず持っているお金が大丈夫かどうか再確認し何とかなると分かった瞬間美森姉からは別の話題を俺に振るう。
「所でなんだけど、一星。あなた私と川兎ちゃんを含めての幼馴染を見つけてきたじゃない?コレからの幼馴染の事については何か検討するものとかあったりするの?」
俺に復讐をしていた美森姉がそれを言うか?いやまぁありがたいと言えばありがたい話に持ってきてくれてはいるが……とりあえずどう話すべきだろうか。
「いやコレと言って特に何かあるわけじゃないけど、また何処かしらひょっこり現れてきたりするんじゃないかって思ってるんだ。美森姉や宇佐木田みたいに…」
「確かに私や川兎ちゃんの場合あなたに直接関与して身元バレをしてしまったわけだけど、でもそう言った感じであなたに次の幼馴染が現れるわけじゃないわ。」
そんな事言うんだったら、直接会わしてくれた方が1番いいんだけどな。
「はい減点1、合わせればそれで済む様な顔をしたから、次に抹茶パフェ奢ってもらいます〜」
「何て外道なんだ。」
つうかだから何で心が読めるみたいに話してくるんだ。この幼馴染は…
「まぁ抹茶パフェを奢ってもらうのはひとまず置いといて…」
「おいとかなくてもいいんだけどな。」
「私や川兎ちゃんの場合あなたに接触して、身元がバレてしまった。でもそれは結果としてはあなたに加担した誰かが私達の詳細を話した事になる。となれば大方の予想はできるわけだけど…」
「幼馴染の誰かが美森姉達の事を話したと言いたいって事なんだろ?」
「あら話が分かってもらえて助かるわ。その通り、因みになんだけどあなたからの視点では幼馴染の誰かがあなたに私達の事を話したとは思っているのかしら?」
「……というと?」
「直感よ直感。あなたに私達の事を裏で話した誰かがいる。可能性としてはあなたはまだ残りの3人の幼馴染の顔は知らない。となればその人物がおおよそあなたに接触して私達の事を話したというのが話し的にはセオリーだと思うの。」
「それはないと思うぞ。もし仮にまだ顔バレしてない幼馴染の誰かが俺に美森姉達の事を話したなら、すぐ様にそいつが美森姉達を含む幼馴染だって事は察する事ができたはずだ。」
「でもそれを上手く誤魔化して私達の事をバラしていれば?」
「いやそんなバカな事は……あり得るのか?」
「なくもないわね。正直な所私達幼馴染は確かにあなたに復讐心を抱いているのは間違いないわ。でもそれでも私や川兎ちゃんを売ってまでの復讐が一星に繋がる道筋が分からないのよ。」
「………俺への復讐が美森姉達を犠牲にしての復讐になる……でもその復讐云々は前もって5人とかで話していたんじゃないのか?」
「へ〜よくわかってるじゃない。その通り私達はあなたがこの学園に来ると言うことは予め知っていたの、それも私が一星にあの時道端でナンパから守ってくれる前からね。」
あれは守ったというカテゴリーに入っていいのか?主に美森姉が片付けたようにも見えるんだが…
「?ちょっと待ってくれ前から知っていたっていったいいつから?」
「悪いけど、そこまでは話をする事はできないわ。私はあなたに私達幼馴染関係の一部を話すそして聞きたかっただけだからこれ以上の譲歩はできないわね。まぁそもそも別の話しで本来今日はするつもりだったのに、誰かさんが誰かさんを怒らせちゃったからね。」
居た堪れない…というより何も言い返せない。
「まぁとりあえずは今日帰ったら必ずトリームをする事。じゃないと一生火花ちゃんとは仲良くなれないわよ。」
「いや俺は別に!」
「はいはい〜それじゃあ今日はご馳走様。ちゃんと謝る事ができたら、また3人でお話ししましょうね。けど、別に私がいなくてもいい話だとは思うんだけど…」
「?」
今のはどう言う意味だ?
俺は結局野谷山がいったい俺に対して何の相談をしたかったのか分からず仕舞いに終わり、美森姉と今の幼馴染の在り方みたいなのを話あいながら今日一日が終わる。
「………てか何も得られず、ただ単に美森姉にたかられたパフェを奢っただけだった。しかもパフェ2ついい値段だし…」
…………四月一日美森帰宅路
「さてさて、私が上手く事を進めたのはいいとして問題はここからなのよね。一星の背後に私達幼馴染の事を暴露させるというのはあまりにもよろしくないわ。1番の目的はどうやって一星とあの子が関わるかにはなるけれど……正直あの子の復讐心が私にも分からない。それに達が悪いのは、どこで何をどうやって仕向けるかなのよね。」
仮にあの子が一星との幼馴染としての関係がバレたとしても今の段階では何も問題はない。でももしあの子に損傷された場所に影響が出たら?……そう思うと少しばかり不安になってくるわね。
「………とりあえず一星がまだあの子との接触が曖昧な中で何とかしないといけないんだけど……本当に弱ったわね。最初っからつまづく状況に陥ってしまうなんて、別の意味で前途多難だわ。」




