誤解の弁解と弁解という名の勘違い
………放課後
「はぁ〜ようやく放課後か。」
昼休みに屋上で小橋と昼食しつつ色々と宇佐木田さんについて話し、自分が宇佐木田さんだけじゃなく幼馴染がどう言う今の在り方として存在しているのかをまさかの宇佐木田さんに思い知らされ、挙句の果てに自分自身が悪いのだが宇佐木田さんの好きな相手がいないのかどうかを聞けなかった罰として1つ頼み事を聞く事ととなったのだが…何故かそれを言おうとはせず後日のお楽しみという事で、俺達はそのままお開きになった。そして現在…
「………今しかないよな。」
教室にはまだ宇佐木田さんがいる。他の連中もいるにはいるが目標を達していない最中覚悟を決めるしかない。いややらざるを得ないんだ。
ガタン!
ガタン!
ガタン!
ガタン!
ガタン!
ガタン!
「うっ…」
俺が立ち上がると何故か周りの奴等が立ち上がって、まるで宇佐木田さんに近づけさせない様にしようとしてるのか、いやしているのだとは思うが、こちらを物凄い目つきで形相してくる。
「………仕方がない。今日は諦めて帰るとするか。」
まぁまだ期限は大丈夫だと思うし、後は上手くトリームを使って呼び出せばいけるか。それにアイツは俺の事を復讐している最中。これ以上アイツがこっちに絡むとなれば余計ないたこざが増えかねない。こっちから声をかけようとしたが、まぁやっぱりよろしくなかったな。
「それじゃあ皆んなまた明日ね。」
宇佐木田さんざクラス内に帰りの挨拶をし手を振ると、周りの男子達はそれに応えるかの様に手を振り返す。だがそれを見て困っていた俺は宇佐木田と目があい…
パチン!
「うっ…」
ギロ!
ギロ!
ギロ!
ギロ!
ギロ!
更なる敵視とされる視線がこちらへ向いてくる。
「くそ、これじゃあ話しかけない云々の問題じゃなくて、ただのとばっちりで精神的にまいっちまうぞ。」
やはりこれじゃあいけないと思った俺はひとまず、今ある復讐を何とかして宇佐木田さんにクラスのみんなに弁明するよう声をかける為急いで教室を出ようとしたその時…
ガラガラ!
「うお!」
「きゃ!」
ドサ!
ドサ!
「わ、悪い急いでいてぶつかってしまった。怪我は……!?」
「いたた、大丈夫だよ。何処も怪我してないから。」
咄嗟にぶつかった彼女、野谷山火花にぶつかった俺はお互い地面に尻餅をついてしまい特に怪我はないと彼女からの言葉を受け取ったのだが、それよりも眼前に映る光景、彼女のスカートの中から細かに見えるストッキング越しに見える下着を見てしまい口元が吃ってしまう。
「うん?どうかしたの神楽坂君……!?」
バサ!
野谷山は捲り上がったスカートを勢いよく隠し顔を真っ赤にしながら顔を膨らませこちらを睨みつける。
「いや待て野谷山これは不可抗力だ。決して善意で見たくて見たわけじゃ…」
「サイテー!」
バシン!
「そりゃあ今のお前が悪いよ。もう少し女子の扱いには慣れろよ一星。」
野谷山に引っ叩かれるのを見て通り過ぎる蒼脊にそう言われながら、何故か当たり前のような口上で特に大した事で心配してくれる要素もなく俺はただ理不尽に周りからの憐れみの視線と嫌悪感のある視線を向けられ今日1日悲惨な日を過ごす事となった。
…………帰宅校門前
「くそ〜いてて、全くとんでもない1日だった。」
結局あのまま野谷山には訝しみな視線でこちらを見ながらそそくさと教室を出ていき、クラス中には残念なやつだとかざま〜みろだとか散々な言われようをされ並みの人間なら凹んでまる1週間いや1ヶ月不登校になって引き篭もってしまう可能性もなきしにあらずだ。
「保健室に行って、手当はしてもらって帰りが遅くなっちまって、保健の先生にはこれからもっと悲惨な怪我をしてくるんでしょうねと、既にブラックリストになるような感じで言われやれやれと呆れた顔をされるとは……俺この学園でどうコレからやっていけばいいのか……これもそれも俺のコンタクトに気付かないあの人が悪いんだけどな。」
「そりゃあ〜どうもすみませんね。私のせいで、そんな風に独り言を言うくらい口を滑らす後輩君。」
「え?」
まさかの独り言を聞かれたくない人物に聞かれてしまった人物に校門前で待っていや待ち伏せしていたのか鞄を持ち手をクロスにしながら満面な笑顔でこちらを見てくる美森姉本人が何故かその場にいた。
「み、美森姉何でここに?」
「ふふ、そりゃあ話があるから待っていたのよ。トリームを送ったのに返事もないから下駄箱であなたの靴があってまだ帰っていなかったからもしやと思ってこうして待っていたのよ。そしたらねぇ〜ふふふ…」
あ〜やばいコレ完全にキレちゃってるやつだ。
「え〜とご一緒に喫茶店へいきませんか?何か奢りますよ。」
「え〜そんな悪いわよ〜私そういう感じであなたの事待ってたわけじゃないからね。」
どの口が言うんだどの口が。
「はい今嫌な顔をしたから、イチゴパフェとチョコレートパフェ奢りね。う〜ん楽しみだわ。」
「…………俺やっぱり顔に出やすいのかな?自分ではポーカーフェイスぐらいできてると思ってたのに…」
美森姉に言われ早瀬川に分かりやすい顔と言われた事を思いだし、直接美森姉に言われたわけではないのだが、やはりそう捉えてしまう自分がいると思いながら、成すがまま美森姉お気に入りの喫茶店へと向かう。
カランカラン〜♪
「美森姉頼むからあんまり高いのだけは頼まないでくれよ。俺まだここに来てバイト先すら決まってないんだから。」
「え?一星バイトする気なの?」
「まぁやる事がない以上お金を貯めておきたいと思ってるからな。因みに美森姉のオススメのバイト先とかない?」
「うーん?まぁない事はないんだけどね。私も一応バイトはしているからそこで人手に関しては事足りてるみたいな事も聞かなかったり聞いてたり…」
「いやどっちだよ。」
でも俺あまり接客する側の面じゃないからな。ていうかあまり人と関わることが好きじゃない。色々と引っ越したせいか、若干人間不信にも思えてくるというのはここ最近家にいる事が原因だとは思う…
「まぁもしその枠が空いてたら誘ってみるわね。私も受験も控えている身だから、寧ろこっち側は助かるのもあったりするかもだし。」
「だからどっちだよ。」
ひとまずバイト先の事は後回しにし美森姉にたかられてしまう場所の席へと移動する。
「後その美森姉はこの後禁止ワードだから、そこは蕾先輩にしといてね。」
「え?何で?」
「コレから3人で話し合うのに私の本名を聞かれたら元も子もないでしょう。だから2人きりの以外は私の本当の名前は禁句…というより気をつける事わかった。」
「いやそれなら先に言ってくれよ。待ち合わせしているなんて一言も言ってなかったじゃないか。」
「言ってなくても流れ的に私が校門前にいたのは不自然だったでしょう。そこはほら上手く勘繰らないと。」
「無茶苦茶すぎる。」
そんな当たり前のいう美森姉に最早自分だけのルールかの様にして話ながらその待ち合わせている席の場所へと移動する。しかしその場所にいた人物は…
「ゲ!」
「ゲって…」
何故か野谷山が座っており、あからさまに嫌そうな顔をしながらこちらを見ていた。というか野谷山からは聞いちゃいけない単語を聞いてしまった気がする。
「何で神楽坂君がここに?」
「それはこっちのセリフなんだが…コレはどういう…コホン!どう言う事ですか、蕾先輩。」
「ふふ、まぁまぁ2人ともそんなに嫌悪感を出さない出さない。寧ろ2人は側からみたら仲良く見えるわよ。」
そんな風に美森姉に言われるが俺はともかく野谷山からは特にそう言った関係性を求めていないような気がする。いや俺自身も別に野谷山と仲良くなりたいわけではないんだが、いかんせん野谷山は俺に突っかかってきてとっつきにくい為接し方が分からん。
「はぁ〜まぁ仲が悪いというわけではないのはそうなんだけど……む〜〜」
あ〜これは明らかにあの教室で起こったハプニングで怒ってる膨れた頬の顔だ。完全に警戒しているな。
「……野谷山1つだけ弁解をさせてほしい。」
「え?弁解?」
「え?え?何があったの2人とも。」
美森姉は俺達がさっき起こった事情を全く知らない。だから下手したら美森姉にまで妙な誤解を生まれ兼ねない。よって俺がここで上手く弁解をはかるには。
「さっきの起こった教室での件あれは完全に不可抗力だ。決してお前のスカートの中が見たいからあんな事故を起こしたわけじゃない。お前ならあんな事起こるなんてまず信じないと俺はそう思ってる。違うか?」
「…………」
よし僅かながらこちらの指摘した言葉に心が動かされてるような顔をしている。コレならワンチャン…
「えーと一星君?」
「待ってください蕾先輩まだ話は終わってないんです。実はここからが重要で…俺はその際に野谷山のスカートのタイツ越しの下着を眼前にしてしまった。だがこれといって欲情がかられる様な事はまずないんだ。」
あ、コレはまずいわね。
「つまり俺が何が言いたいのかと言うと…」
「待って一星君それ以上は!」
「お前の下着が子供っぽい下着だったから、そこまで男の興奮を煽る事はなかった。だからお前にとっては寧ろコレは完全なる男としての欲情とする対象を剥奪したような事になったと言っても過言じゃない。要するにお互い忘れようって…」
バシャン!
「………へ?」
今何をされたのか?彼女から思いっきり水をかけられ顔がびしょ濡れになり野谷山は物凄い怒りの顔をしながらこちらへ向けてくる形相とした視線に萎縮し放たれた言葉は…
「サイテー!!」
「はぁ〜〜」
軽蔑されるサイテーの言葉と何故か美森姉からは深い溜息を吐かれ何がなんだか頭が追いつかずにいた。




