自称偽の彼氏彼女?それとも本物の彼氏彼女?
苦渋の選択…今の菟が思う場面はおそらく彼の安全性…ならここでの決定点は彼を偽者としてではなく本当の恋人として振るう必要がある。でも菟にはそれができないそれは私だからよく理解できる事…こんな展開なんて予想だにしなかったし私としても不甲斐ない気持ちになってしまう。やっぱり今からでも私が庇って周りの反感を受けるべき…
「え〜とちょっといいですか?」
「神楽坂君?」
「え?」
「へ〜」
何でアイツここで割って入ってきてんのよ。ここでアンタが入ってきたら私が庇いたてできなくなるでしょう。
「しずちゃんここはカグラっちに任せてみよ。もしかしたら何か面白い事が起きるかもよ。」
「萌アンタこんな状況でよく…」
「原因は私達にあるけど、カグラっちだったら何か翻す事をするかもしれない…私達の立場じゃどうあってもあの皮肉野郎に話は通らないと思う。」
「それなら彼だって同じ…」
そう言おうとした瞬間一星は雫が思っている様な展開とは裏腹の展開をまさか予想だにしない発言を耳にする。
「悪いが今君に質問はしていないんだ。質問なら後にしてくれるかな。」
「………」
一星は側でワナワナと震えている菟の様子を伺うと確実な確信で物事を隆盛にぶつけた。
「はぁ〜難儀だな。質問はしなくても彼女の代わりに応える権利はあると思いますよ。何せ自称偽の彼氏ですからね。」
ざわざわざわざわざわざわ…
「え?」
「ふふ、コレは面白い事が起きちゃったね。」
「あの馬鹿何でそんな紛らわしい言い方を…」
「ふふ、中々良い顔をしているわね彼ちょっと気に入ちゃったかも。」
「はぁ〜ここから面倒な事が起こるのか…いや既に起こっているんだけどな。」
一星の発言に周りからのざわめきやどよめきが引き起こりその中でも隆盛が一星のある言葉に敏感に反応する。
「自称だと?それはつまりどう言う意味での自称なんだ?」
「そのまま意味ですが、他に何かありますか?」
「あるから俺は聞いてるんだ。自称…その意味に関してこの場の誰もが騒ぎ立てているのがわからないのか?君は今偽者だったとしても彼氏になるいや彼氏だと言い張ってるようなもんだぞ。その意味がわからずに言葉を口にしたわけじゃあるまい。」
「それはまぁ各々の想像した通りでいいんじゃないですか?確かに俺は自称とはいったけれど、何の自称なのかは言っていません。コレから違う自称何とかになるかもしれないと言っても過言じゃないかもしれませんしはたまたそれ以上それ以下の関係での自称の意味かもしれませんよ。」
「へ、屁理屈だ。ただの屁理屈じゃないかそれ…」
そうこんなのはただの戯言であり屁理屈だ。俺はそこまで賢くはない。だからその場凌ぎという勝手な思いつきをあのふざけたナルシスト野郎にぶつける他ないとそう思って口にしている。まぁ最もこれが学園内なら俺確実にクラスや他クラスにリンチに合ってるだろうけどな。
「なら前へ出てきてまで彼女の代わりに発言をするという権利なんて尚更君にはないはずだ。そうだろ?自称の意味を色々な意味で捉えるなら君は寧ろ厄介者側の立場だ大人しく引き下がってろ。」
ギュ!
「そんな事はありません!彼はそんな人じゃありません!勝手な事を言わないでくれますか!」
彼女は拳を握りしめた状態で一星の悪口を言われたのが気に食わず、隆盛に対して爆発した思いをぶつけてる。
「な、何をそんなに怒っているんだ菟ちゃん。君なら分かるだろ?状況的に立場的にどっちが正しいのか、偽りの関係でいたいなら何もそいつにじゃなく俺にお願いすればいいって言うのが分かるんじゃないのか?」
動揺…成る程な。あの男自分の地位もそうだけど、どうやら兎川の立ち位置に関しても利用しようとしてわざわざ場を掻き乱して兎川を自分の側に置かせたいというのが本命なんだろうな。まぁそこに関しては同情する余地はないし何よりももっと鮮明的に発言をすれば少しは利点が変わるかもしれなかったのに…お願いすればいいって言う発言がもうその時点で終わっているんだよな。
「お願いすればいい?それってどうしてあなたにお願いしなければならないんですか?自分の地位や立場が気になるからですか?それとも私の利点の為とかですか?」
「ぐっ!」
ああ〜俺が思った事をそのまま直球に言っちゃたよ。そこはもっとオブラートに包み込んで言わないと後が怖いのは自分だって気付かないのか兎川は…
「おい兎川別に俺に関して怒らなくていいから、お前はもう喋らなくても…」
「ううん、そう言うわけにはいかないよ。こう言うときだからこそ言わないと私は思うの。ストーカーに狙われているという原因で神楽坂には迷惑をかけてるんだからさすがに黙りなんていう事は私にできない。寧ろようやく言いたい事が言えたって感じだから気にしないで。」
それは別のいい意味で捉えたらいいのだろうか、顔は笑っているが裏の面では恐らく微妙に笑ってない気がする。
「ふーん、そうそうなのか…君がそう言う態度ならこちらもこちらでそれ相応の対応をさせてもらうよ。いいかい君は今ミスを犯したんだ。俺というカリスマ性のある人間に泥を塗ったんだ。いいかいこれはとんでもない致命傷だぞ。それが分かっていての発言なら君はこのまま地獄に…」
「はいはいそこまでそこまで隆盛ちゃんあまりにも酷い顔よ。そんなポテンシャルで収録なんてできるの?」
「うっ…そ、それは…」
「人に対して自己主張で物語る…それがあなたの長所であり短所でもある。今まさにそれが滲み出ちゃったわね。周りをよく見てご覧なさいあなたに対する視線…あなたは周りにいったいどう思われたいの?」
「!?」
隆盛は今自分に何をしでかしたのか何を血迷ったのかを冷静に考え蓮監督の言われた通り周りを見渡すと自分自身に哀れと言わんばかりの視線が自分に飛び交っているのが自負する。
「お、俺は……」
「分かったらもうそこまでにしときなさい。あなたの地位がどうのこうのというのはあなた自身の力ではないでしょう。あなたは単なるその親の子であるだけにすぎない…そこはちゃんと大人なんだから理解しないといけないわね。」
「くっ……分かりました。」
「はい賢いいい返事ね。物分かりがよくてお姉さん助かっちゃうわ。」
物分かりで賢い返事っていったいどう捉えたらそう聞こえるんだ。明らかにヘソ曲がった返事じゃないのか?
「さ!気を取り直して皆んないったん外の空気を吸いに行ってらっしゃい10分後再び台本チェックから始めるわよ。」
は〜い。
蓮監督の言われた通り大半の人はこの場から外の空気を吸う為に出ていき、淀んでいた空気の場所から離れたかったのかほとんどの人は一目散にその場から撤退しだした。
「…………」
続いて隆盛という男の人もさっきので相当来たのだろうか何かに取り憑いたかのようにこの場から出ていく。
「………はぁ〜疲れた。とりあえずは何とかなったかな。」
「うん!ありがとう神楽坂君おかけであのナルシストタレントさんの言う通りにしなくて済んだわ。本当にどう言ったら感謝の現しを表現したらいいのか分からないわね。」
「いやそんなのはいいが、兎川はもう少し危険を察知した方がいいと思うぞ。まぁ今ので大体大半の人はこちら側だと信じてくれてるとは思うが…」
「ふふ、そうね。私目の前で嫌な事が起こってるのを無視できない性格だから、どうしても神楽坂君を悪者にしようとする彼が許せなかったの。それに神楽坂のあの言葉私少し嬉しかったんだ。」
「嬉しかった?俺何か兎川に言ったか?」
「ううん!大丈夫なんでもないから気にしないで。」
何故か慌てふためく兎川に何で赤面してそこまでの否定をしたのか俺にはよく分からなかった。
「それでアンタ達はコレからどうするわけ?とりあえず今日が期限だけど、犯人の目星はついたの?」
「えーと、私の個人の意見ではひとまずまだ続けて欲しいかなって思うかな。神楽坂君さへよければだけど私はまだ神楽坂君に頼りたいなってそう思うの。」
「………」
「神楽坂君?」
「ああ、悪い少し考え事をしていた。」
「考え事?もしかしてカグラっち犯人を特定できたんじゃないの〜」
「か、カグラっちって、前はほしっちとか言ってなかったか?…いや名前に関してはもうこの際どうでもいいんだが…とりあえずは今日までの話しだから何とかここの状況を把握して犯人は見つける。でももし見つからなかったらマネージャーさんや監督さんそれにおまえ達にはもうしばらく続けるようお願いする。てかそうするしかない…」
「ありゃりゃ〜てっきり今日で締めくくれるとばかり思っていたのに、ざ〜ね〜ん。」
「アンタね…そう言うアンタがもしかして菟のストーカーじゃないんでしょうね。」
「失敬なやるなら私はとことん徹底的にやるよ!寧ろコソコソせずに真正面からやるね!」
「え〜とそれは困るからやめてね萌ちゃん。」
「ガーン!ふ、振られた。」
「振られたも何も今のアンタが完全に悪いわよ。」
……そんな感じで少しばかり3人の結束が良くなったというよりかは溝がなくなってきたと言えばいいのか…でも仮にコレが紛い物の関係だったらどうなるのかと俺は内心この3人の結束が今でも嘘のように思えて仕方がない…何故ならこの3人がストーカーの犯人枠に入っているからだ。
「………いや確証も無しにそう断言するのはまだ早まりか…でもそう思う他ないんだよな。前回はああいったがいやああいう他しかなかったと言うか…」
「どうかしたのか神楽坂くん浮かない顔をして何か困ってる事があるなら良かったら相談してくれても構わないからね。コレでも長年、彼女達のマネージャーをやっていた身だから嫌と言う程体に叩き込まれている。それに今回の件はお世話になったしなんならご飯でも奢って…」
「いやマネージャーさん1つお願いしたい事があります。」
「うん?勿論構わないけど、いきなりとは中々の遠慮無さだね。それでどんな事が聞きたいんだい?」
「それは…」




