成り上がりの提案
ヒソヒソヒソ…
「うんコレは紛れもなく噂されてるな。」
「うんそうだよね…正直私こうやって周りからの視線浴びるの苦手なんだよね。」
「いやアイドルなんだから別に苦手なんて事はないだろ…見た感じ人見知りって感じでも無さそうだしな。」
「まぁ、昔の私を知らない神楽坂君にとってはそうかもしれないね。うん別に咎めるとかそういうわけじゃないから気にしないでいいからね。」
いや何か圧みたいなのがかかってきてるんだが…え?これって昔の兎川を聞いた方がいいのか?
「あ!うさちゃん!」
「あ、萌ちゃん。」
こちらに気付いて駆け寄ってくる月見坂に兎川も月見坂の所へ駆け寄り友達みたいな感じで挨拶の交わし方をするのかと思いきや…
「いひゃい!いひゃい!何!何!何でこんなひょこしゅるの!」
「何でだと思う?ねぇ何でだと思う?」
無理矢理ほっぺを引っ張られながら何で兎川が怒っているのか全く気付かない月見坂。まぁ当然と言えば当然の報いだが…こっちに視線で何で怒ってるのと訴えかけているが俺はそのまま甘んじで受け入れろと首を横に振りながらスルーする。
「にゃんへへへ!!」
「ふぅ、全く騒がしいわね。萌はもう少し落ち着けられないのかしら。」
「その騒ぎの発端を作ったのは他ならぬお前と月見坂なんだけどな。」
ビク!
無害である俺の所へ早瀬川が近づき横で月見坂の愚痴をこぼしていたが、その原因は2人にあるとつきつけると体がビクっと反応する。なんて分かりやすいやつなんだ。
「な、何の事かな〜私には全然分からないな〜」
「場を掻き乱すだけ掻き乱して知らぬフリって、いったい何がしたいんだお前らは…」
「手助け的な?」
「それを信じろと?」
「やっぱり無理?」
「無理だな。」
「えーとそのごめんなさい!本当はここの人達にバラすなんてつもりはなかったのよ。ほんのちょっと悪戯的で萌と話してたら何かこんな事なっちゃって…」
「経緯を聞こうか…」
「その〜このバラエティー収録メンバーの[トリーム]に皆んなにこの事話したらどうなるかなって萌が下らない事をいいだして文章だけ入力してみてほしいって言われたの……それで…」
「それで?」
「その入力した文章端末を置いたまま、うちの猫がその端末の上に乗っかって…」
ピコン!
「………」
ボト!
「にゃ〜〜」
「マダカスカルなにしてるのよ!」
…………
「取り消そうとした思った時には時既に遅く拡散されてしまってこういう事が起こったの……」
「すまん…状況が何故そうなったのかよく理解できん。昨日今日で何でそんな事が起こるんだ。話しを聞くとお前らずっと一緒にいるみたいに聞こえるんだが…」
「あ私達同じ寮に住んでるのよね。だからこの衝撃的出来事を文章に残そうと思ってやった矢先が……あれ?でも何でトリームに入力したんだっけ?まぁやってしまった事は仕方がないし寧ろこれで、今日誰かがストーカーが判明するから問題ないわよね。」
「おおいにあるわこのポンコツ女アイドル。あと猫の名前もポンコツすぎてまさに主人と飼い猫そのまんまだな。」
「ちょっと!聞き捨てならないんですけど!」
実際に起こった事を覆す事なんて事はいくら人間の諸行でも無理がある。しかもそれが即既読での取り消し不可なら尚の事、こんな早瀬川というどきつい女は単なる天然なら許し得たんだが…
「はぁ〜内面層が俺には受け付けられないから腹しかたたんな。」
「ちょっと何気に私の事ディスってないかしら?」
「ディスってはいるのか…いやそんな風に思っているなら若干罪悪感はあるんだな。」
「え……まぁその一応はね。」
「ならこれからの事で色々と突っかかる様な問題が起こるとは思うがお前達は関係ないとか言って俺との関係性はいっさないなしと切り捨てろいいか?」
「はぁ?どういう意味なのそれ?普通はそこは協力しろとかじゃないの?」
「たった1日でしか知り合ってない関係性の相手にいったい何をどう協力してくれって頼むんだ。お前達に何をどう頼んで何も変わらんさ。」
「それはそれでまぁその違う意味で腹がたつけど、でもならさっきの罪悪感の意味はどうなるのよ?」
「そうだな………まぁ俺はともかく兎川に何かあったらお前達がアイツらの味方になってやってくれと言った方が少しははれたりするか?」
「はぁ?あんたそれ本気で言ってるわけ?さっきから自分のメリットなんて一度もないじゃないの。何かそれ気に食わないわね偽善者ぶってるにも程があるわよ。」
「そうだなコレは単なる俺の身勝手な言い分だ。後はどうするかは自分で決めてくれ、ただし絶対にこっちとの関係性は話すな。例え1日での会合が合った仲でもそれはお前達にとっては恐らく因果関係が全て壊れる。」
「は?は?は?何でそうなんのよ…」
「早瀬川分からないのか彼の言ってる事が。」
「マネージャー?」
「神楽坂君の言ってる事は、早瀬川達の立場上を利用される可能性があるから敢えて自分とお前達の相互関係を否定しているんだ。でないとここでのお前達の便宜をしようものならほとんど誰も聞いてはくれない寧ろそいつらと一緒になって影で悪口言ってた方が幾分かマシって事になるな。」
「ふざけないでよ。確かに悪ふざけした部分はあったかもしれないけどこんな集団リンチを食らわせる様なやり方は私は好きじゃないわよ。」
「ならどうする?ここで自分の地位を落としてまで神楽坂君と兎川の味方をするか?悪いが、俺が守ってやれるのも最低限に限られるマスコミ云々に関してはある程度でまかせでなんとかなれるが…ここでの関係性のアイツらはいったいどうだろうな。」
それに甘んじるっていうのが気に食わないって言ってんのよ。ああもうムカつく!いいわよアンタがそういうならその言う通りにしてあげる。こっちに非があるものそっちに主導権があるのは当然。当然だけど…
「はーい!皆んなよく集まってくれたわね。それじゃあコレからバラエティー番組の撮影始めるから台本持って私の所に集まって頂戴。」
「あの現場監督の人ここでも監督やってんのか……てかいったい何者?音響監督ならぬ何か凄みのある人なのか?」
「ふふん!それは当然よ神楽坂君。何せ現場監督さんは現場監督さんなんだから!」
「すまんその言い方では分からんし馬鹿な発言で理解する奴にしか分からんと思う。てかわざと言ってるのかそれ?」
「わざとだったらどうする?」
何で若干ニヤケ顔でこっちを覗き込む…意味不明だ。
「あの〜ちょっといいすか。」
…………
周りの芸能人の中で一際目立つと言っても過言じゃない男性タレントみたいな人が手をあげちゃらそうにしながら現場監督に質問をする。
「あらどうかしたのかしら隆盛ちゃん。」
「ここに関係のない奴がいるんですけど、そいついったい誰ですか?」
まぁそうだよな見慣れない男がこんな所にふと現れたらそりゃあ警戒というか怪しむよな。
「………」
「ああ隆盛さんこの人は私の同じ学校のクラスメイトなんです。因みに今日ここに来ているのは社会見学の為にきたお試しというだけなんであまり気にしないでください。」
「あははは嘘をついちゃいけないな菟ちゃん。俺知ってんだぜ、いや少なくともここにいるバラエティー番組を収録している奴等はな…そいつ菟ちゃんの偽彼氏なんだって?」
「いえ別にそういったわけじゃないといいますかその…」
「そうだよな〜何せそんな事嘘であってもまかり通る話しじゃねぇもんな。じゃああのトリームで流れた通知は何だってて事にならねぇか?萌ちゃんに雫ちゃん?」
「くっ!」
ガシ!
「!?」
フルフル
早瀬川が隆盛に何か言おうとしたのを、月見坂が首横に振りながら駄目だと黙りつづけてと無言で意図を伝わらせる。
私アイツが1番の嫌いなタイプなのよね。人の心の中にズケズケと入り込む無神経タイプな男……男子の中で1番最低な人間。なのに何で神様はこんな奴なんかをタレント出演のオファーなんか入れたりしてんのよ。
「すみません〜萌が〜勝手に間違って送った通知なんです。コレといって他意とかはないんで、あまり騒ぎを起こさないでほしいな〜」
「ああ〜OKOK。まぁそう言った感じではぐらかそうとするのもまたアイドルの特権だしね。別に構わないさ…ただここではっきりさせておきたい事があるんだ。と言ってもコレは菟ちゃんの気持ちの問題になると思うんだけどね。」
「うさちゃんの気持ち?」
「隆盛ちゃんその辺にしたらどうなの?この後の撮影に支障が出たら私困っちゃうわ。」
「蓮さん大丈夫ですよ。既に場の雰囲気を掻き乱したのは他ならぬあのユニットなんです。と言ってもコレが嘘かどうかなんて事は些細な話し問題なのはそれを一般人である彼に偽の彼氏を頼んだ事が問題だと俺は言ってるんです。少なくともここの連中の中なら例えスキャンダルが起こったとしてもある程度ほとぼりが冷めるまで大人しくしていればいい…だが一般人である彼はどうなんだ?寧ろ被害が増大になると思うんだけどな?」
「何が言いたいんですか?」
「ちょっとしずちゃん!」
痺れを切らしたのか、早瀬川は隆盛というタレントの男の言い方が気に食わないのか彼の発言に対し突っかかていく。
「何って簡単な話しさ、ここにいる俺達まぁ誰が勝手に挙手する奴がいるとは思えんが、まぁこの中の誰かに頼めば良かったんじゃないのか?そうすれば彼よりかはいくらかマシな解決方法にもなり得るしなにより今売れている俺を使えば全て解決にもなると俺は言いたいんだよ雫ちゃん。」
コイツ自惚れるのも大概にしなさいよ。アンタに実力があると言わんばかりの口調に対して誰もがそうだなんて言うと思ってるの?権力と金とコネだけで成り上がった成金野郎が…
「さて本題に入ろうか、菟ちゃん君にはまだチャンスがある。ここで誰に偽の彼氏をお願いするんだい?」
「そ、それは……」




