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俺の幼馴染達が復讐を終えるまで姿を現さない件について  作者: Phantom
第三章 新たな復讐の惨劇新幼馴染達による反撃
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美森姉を謀った手口・悔いのない試合に向けての一発逆転

800メートルリレがもうすぐ始まる最中。

急いでトラックへと走る美森。

その場にいなかった美々の事だけが気に掛かりいったいどうなってるのかを確かめるのだが…


「お待ちしていました。蕾先輩。」


「美々ちゃん!……いたのね。」


「はい。ここで待機してなければ先輩に会えませんからね。それにここでは先輩の為にするという協力という同盟も結んでいますし。」


「同盟?……一星の事ね。」


「察しがいいですね。」


「こう言ったくだらない事を考えてそうなのはあの子ぐらいしかいないわよ。……それで、どうして自分が立つ場所にあなたは立っていないのかしら。」


パン!


長く話してる時間はない。

今し方800メートルリレが始まるスターターピストル音が聞こえた。

手短にこの子を元の立ち位置に戻さないと。


「そんな事を話してる暇はありませんね。……率直にいいます。……ゴタゴタ考えていないで!自分の真っ先な気持ちで前に立って走ってください!あなた自身の立場でありながら後輩に休み休みに後を託さないでください!」


急な後輩からの激励…いや訴えに美森は一瞬心を動かされてしまいそうになりながらどうにかして踏みとどませる。


「……後輩が先輩に向かって言う言葉ではないわね。……そんな事で私が出場すると…」


しかしそんな事を話す最中…外では大盛り上がりになっており自分のチームがピンチになってるのを聞く。


「くっ…何やってるのよ。順位が3位って……今どこの立ち位置で走って…」


「ここで見ていてもモヤモヤしますよね。それに出来損ないの後輩が走ってるんです。それをミスミスと任せて良い結果がでるとおおもいですか?」


売り言葉に買い言葉ね。

私に喧嘩を売ってるとしか言い表せない表現だわ。

………本当なら私らしくないやり方ではあるんだけど…


「すぅ〜はぁ〜決心して決心して…ようやく覚悟を決めたというのに……私って本当馬鹿ね。」


そう言って深呼吸しながら自分の前に立っていた美々の肩に手をそっと優しく叩く。


「せっかくのチャンスだったのに棒に振るうなんて……後悔しても遅いわよ。」


「!はい!」


美々は美森の闘争心溢れるオーラみたいなのを感じとったのか勢い余ってはいと答える。

そして美森が先に立った場所で走ってくる人達を目にし自分が走る場所へバトンが来るのを待つ。


ざわざわざわざわざわざわ


アンカーとして出場される場所で待機する人達。

そして応援席で応援していた人達。

または美森の存在を多く知っている人達。

そしてそれを昔から知っている幼馴染達。

彼等彼女達はその姿を見て期待の眼差しと蔑む眼差しが向けられていたのだが…彼女個人はそれを気にせずその場に立っていた。


「いやいやどのツラ下げてここに立ってるわけ。今更あなたと勝負した所で勝ち目なんてないわよ。」


隣で同じく待機していた陸上女子。

当然ながら彼女がここに立つ事を全く気にとどめていない形で罵声を浴びさせる発言をする。


「かもしれないわね。でも私はそうは思ってないわよ。今まで優柔不断だった事での償い…全力を持って走るつもりだから。」


知り合いの陸上部なのか美森に話しかけ嫌味を言う。

それに関して美森は特に何も動じずに自分が走る体制を整える。


パン!

パン!


形勢は一気にひっくり返ってしまい。

アンカー2人が先にバトンを受け取って、自身のチームの順位が下へと落ちる。


「ふふ、やっぱり。いくら優れた代わりのチームがいたところで無意味だったのよね。」


「そんな事を言ってる場合なの?あなただって、自分の地位が危うい状態になってるんじゃないのかしら?」


「あら?もしかしてご存知ではないの?私あなたと同じ記録を出した女子陸上部…早坂(はやさか)薫子(かおるこ)よ。」


「ふーん。知らないわね。」


「な!?」


先輩!

パシン!


相手側の1人が早坂薫子へバトンパスをしそれを受け取る早坂。

しかし早坂はそこから一歩も動かずにいた。


「せ、先輩?」


「ええ、大丈夫よ。ご苦労様。」


バトンパスを渡した後輩女子はポカンとしながらその場を離れ不思議な顔をする。

そして、美森の陸上チームは現在4位にまで落ちピンチへと陥る。


「……なんで走らないのかしら?」


「信じてくれてないみたいだからね。私とあなたどっちか上か決めるには丁度いいと思ったのよ。」


「そんな事言って、後で後悔しても知らないわよ。どれだけの距離が開くかくらい分かってるはずよね?」


「上等よ。……まぁ怖気付いて逃げかけた人に負けたりはしないんだけどね。」


「ふふ、大言壮語ね。」


「はぁはぁはぁ…美森ちゃん!後は任せたわよ!」


パシン!


京子からバトンを受けとる美森。

それと同時に早坂同様に走り出す。


「え!嘘!」


「な!?」


2人は一気に前に出ていた2人を追い越し並んで平行になって走る。

それを追い抜かれた2人は唖然として、必死になって追い抜こうと走るが…あまりにも速すぎる為距離が開き追いつける事ができずにいた。


「………」

「………」


2人はまだ同じ一定の距離を保ったまま走り続け走る体制を崩さないように気にしながら走り続ける。そして互いにゴール付近近くまで一気に近づいた瞬間。


ビューンー


嘘でしょう!そんな!


パン!


一気に群を引いて前へと突っ切る美森に早坂は完全に追いつく事ができず敗北を断念する。


「………ま、負けちゃった。」


「………」


相対する相手にまさかここまでの差が開くとは想定していなかった早坂。

それをまるで美森は自身の力がここまで歪に上昇していたことに驚き本当に病があるのかと心配していたのが嘘のように感じる。


今までよりもずっと良かった。

寧ろ気分がいいわ。

私どうかしちゃったのかしら?

後にくる後遺症か何かのリスクが私をここまで急上昇するぐらいの速さを出させたって言うの?

だとしたら本当に今までの心配がなんだったのか……


「先輩!」

「蕾先輩!」

「琵心!」


ガシ!

ガシ!

ガシ!


「ちょ!あなた達!」


結果的に自分のチームが一位を取る事ができ…仲間達はそれを歓喜しながら美森に抱きつく。

彼女も今はそれでいいやと思いつつ仲間達と一緒に笑いながら勝利に対する余韻を噛み締める事にした。


「………ふぅコレで私の役割も終わりですかね。」


「いいや終わりじゃないぞ。山崎はまだ自分の種目で出る奴があるだろう。それでやり切ってこそ最後のお役御免ってやつだ。」


「え?てっきり私800メートルリレーで蕾先輩を出させる事だけに使われるのかと思っていたんですが…」


「それじゃあ何の為に色々と頑張ってきたんだよ。ちゃんと役目を果たした後は自分の最も重要な役目を果たさないといけないだろう。……個人リレーがまだ残っている。そこではちゃんと2人が出場するんだ。」


「2人って……もしかして、蕾先輩もですか?」


「他に誰かいるとでも?」


「………日暮先輩達とか?」


「そりゃあ出るだろう。でも同じ種目で出るとは限らないだろう。というよりもその辺に関しては山崎が1番詳しいはずだろうに…」


「いいえ。私が興味あるのは蕾先輩と私だけです!」


堂々と何を偉そうに……いや山崎らしいとえば山崎らしいか…


「そ、そうか。でもまぁケジメをつけただけじゃなくて、今度は満足に自分のやりたい事をやり遂げないとな。」


「……本当いけすかない人ですね。」


そう微笑みながら山崎は次の種目に出る為の準備をする為移動する。

そして一星は皆んなと勝利の分かち合いをする中で余韻がなくなるのを待ちながらあるものを用意する。


「あ、一星。」


「よう。どうだ気兼ねなく思いっきり走った気分は?」


「あなたコレを見越しにあの子を利用するのはやめなさい。いくらなんでも非道すぎるわよ。」


「非道?いったい何のはなしだ?」


「惚けないでちょうだい。美々ちゃんを仇にして私を出させる魂胆だったんでしょう。…あれだけ私が決意とケジメをしたというのに結局無駄になったじゃないのよ。」


「でもおかげで悔いは残さずに走れたんじゃないのか?何もかもが悪いってわけじゃないはすだ。」


「ああいえばこう言うよね〜それで誤魔化したつもりなら私の体に関してもっと気を遣って…」


「ああそれなら問題ない。その為にあるものを用意してるんだ。」


「用意って……まさか。」


「そうそのまさかだ。」


「いやでも…私血なんて…」


「あの時一緒に寝ていた時があっただろう。その時にコッソリとな。」


「嘘。だって、あの時あなたの方が先に寝て…!?もしかして寝たふりしてたの!」


「いや軽く少しだけ寝ていた。その後にやるなら今だって思ってな。」


「とても仲の良い幼馴染がやる事じゃないわね。」


「だとしても…この後の種目に出る為の応急処置には十分な措置だろう。」


「本当あなたには色々と至れり尽くせりね。いったいどこまでの先読みをしていたのよ。」


「そんな事が俺にできるわけないだろう。あくまでもただの仮定だ。それと幼馴染の勘ってやつかな。」


「その勘に私は救われたってわけね。……おかげで足はガタガタよ。」


そうやっぱり平川先生が言っていたのとあそこの医者が言っていた通り美森姉には限界がきていた。

出る種目は1つだけならおそらく何も問題はなかっただろう。

でも出る種目は1つだけじゃない。

目玉となる種目100メートルリレーが残っているんだ。

そこまでは持たない。

だから平川先生に頼んで血清を作ってもらった。

それで美森姉は次も走れる。


「美森姉次で最後だ。本当の本当に悔いが残らないように走れよ。」


「言われなくてもそうするわ。あなたの手のひらで踊らされていたのには腹が立つわけだけど……感謝するわ。」


お互い歯痒い感じで微笑みながら最後の試合に挑むための準備をする。


「あ!待って!私君津家君に自分が出る種目の訂正の紙を渡したままだったわ。」


慌てふためく美森姉。

しかし俺はこの事も含めて事前にお願いをしてある。

おそらくあの人はそのまま訂正をせずにいるはず。

後はこのまま美森姉を出場させるだけ……それで今回俺は美森姉との関係性をいや役割を終える事ができる。

……一時的という意味ではあるけどな。


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