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俺の幼馴染達が復讐を終えるまで姿を現さない件について  作者: Phantom
第三章 新たな復讐の惨劇新幼馴染達による反撃
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陸上部の絆

おっと…まさかの君津家先輩と美森姉がいたか。

どうやら君津家先輩も同じ事を思っていたらしいが…それを思ってるのは俺達だけじゃないはず。

他の子達ももしかしたら気にかけてはいるはずだが…その辺気にしてないって事は美森姉が出るというのはほとんど分かっているとかかもしれない。

……けど美森姉はもう出ないと自分でそう言っていた。

でもそれはあくまでも建前的な話しだ。

色々と御託みたいな事を言ってたからほとんど痩せ我慢だな。

コレで君津家先輩の言葉で正直になってくれたらいいんだが…


「ああ〜多分間違ってそのまま反映されてるんじゃないかしらね。後で私が係員の人に言って訂正するよう言っておくわ。まぁわりかしあったりするもの…そういうミスはよくないわよね。」


「ほお?本当にそうかな?ならこの用紙はどう言う事だ?」


君津家は懐に持っていたエントリー用紙を美森に見せ出場する欄に美森の名前がそのまま残っていた。

訂正されていた部分はなく現在言っていた事とは裏腹での言葉そのままになっておらず美森はチッと舌打ちしながら溜息を漏らす。


「全く余計な事をしてくれて……それで何?その用紙を私に見せて何が言いたいの?」


「出ないという決心したと言っておきながら出場したいというのは自分自身まだ心ここに在らずじゃないのか?出たいんだろ?迷惑をかけたとしても…」


「……ふぅ〜あなたには関係のない事よ。ほらとっととあっちに行ってちょうだい。私個人でみたいからここにいられちゃ迷惑なのよ。」


美森は一呼吸しながら自身に溢れる想いを留まらせ落ち着きを取り戻し君津家にそのまま帰れと促す。


今の私に何を言っても無駄よ。

単にあれはただの用紙ミス。

私が本当に未練があるのだったらもっと違う形にしてるわよ。

そう例えばこの800メートルリレー…出場者が全員揃ってなかった場合…予備のランナーが代わりに……ん?


美森はトラック全体を見渡しながら自分のチームに違和感を感じとる。


何で…どうしていないわけ?


「どうかしたのか?」


「ねぇ800メートルリレーで常備している選手って男子にいたりするの?」


「ああ?当たり前だろう。もし誰かが怪我をした場合その代わりに走る代役がいる。それは君の所も一緒じゃないか。だから君の代わりに後輩が出ているんだろう。」


「……いないのよ。」


「はあ?」


「だからいないのよ!4人目の選手…アンカーであるあの子が…美々ちゃんがいないのよ!」


「……な、なんだって?」


ようやく気付いたか。

まぁそれが俺の…いやあの4人と話した作戦だからな。


………4人が800メートルリレーで走る少し前


「どう言う事ですか?美々ちゃんは800メートルリレーは出さないのですか?」


「代役をたてたのに出さないって…いったい何を考えてるの?」


「まぁまぁ2人とも…言いたい事は分かるけど、ひとまず彼の話を聞いてみようじゃないの。」


春野原と東郷の最も疑問に日暮先輩からのフォローが入る。


「今言った通り山崎には800メートルリレーには出さない。と言ってもちゃんとした理由があるんだ。……皆んな知っての通り琵心先輩は最後の試合にもかかわらず自分の足の事で試合には出ないと言っている。その中でも一定多数の人達が疑問に思ったはずだ。何で当日になってそんな事を言うのかと……でも出ないって分かってる奴はほぼほぼここに出る奴が知っている。」


「そうですね。大まかな事は知りませんが、確かに蕾先輩は美々ちゃんを出る事を押していました。その原因がまさか足の病気だとは今日まで知りませんでしたけど…」


「うんうん。それに美々ちゃんがもしかしたら800メートルリレーに出るんじゃないかと思っていたのもあるね。それがまさか蕾先輩の代わりだとは思っていなかったけれど…」


「あらあら?それだとまるで私が除外されているみたいなんだけど…あなた達私という先輩の事敬ってる感じは無さそうね。」


日暮先輩の僅かに見える怒りのオーラみたいなのが見え2人はその圧に怯えつつ自分の言った発言に後悔しながらひぇーーと言う。


「は、はは…」


「笑ってる場合じゃありませんよ。あれだけ私の事をマネジメントしといて、結局私は出さないって、あまりにも酷い話しだとは思いませんかね?」


「そうだな。でもそれはお前自身も納得していただろう。」


「それはそうですが……まぁ私もそれで納得はしましたけれど……」


「不満があるって事なのか?」


「不満ですか。……あくまでも妥協はできますよ不満がないと言えば嘘にはなります。でも蕾先輩を納得させる場所を用意できるのは難しいと思うんですけどね。それに蕾先輩は決意したんですよね?なのに無理矢理出させると言うのはあまりにも無慈悲すぎるんじゃありませんか?」


「ああ確かにその通りだ。俺もその話については散々話をしたし決断ができたと本人から聞いた。」


色々と誘惑がありつつやばかった部分はあったけどな。


「それなのに出させるって…それでも幼馴染なんでしょうか。」


「痛い事を言われるな。……でもそれが幼馴染なんだから仕方がないだろう。確実に裏腹な事を言ってる幼馴染に俺は助け舟を出してやりたかったんだ。あれこれ御託を言いつつも結局の所は悔いが残ってしまっては意味がない。だから隠れて色々とやるしかないだろうと俺はそう思った。だからまず最初に日暮先輩。そして長崎に話をしたんだ。」


「え?私2番目だったのですか?」


「え?……ああそうだな。先に先輩の方に話をしたら色々と都合をつけてくれると思ってだな……長崎どうかしたのか?」


「いいえ別に…そうですか…私は2番目だったのですね。」


何やらご不満がある様子の長崎。

何をそんなに気にしてるのだろうか…本人は何かお気にし示さないでいるらしい。


「ふふ、美々ちゃんも籠絡されちゃったのかしらね。本当彼にはたぶらかすフェロモンでも出ているのかしらね。」


「そ、そんなじゃありません!私は単に先輩がコソコソとばかりしているから男らしくでもありませんし全然正義っぽくないから気に食わないだけなんですよ!」


「はいはいそう言う事にしておいてあげるわね。…それで美々ちゃんを出さない話しなんだけど、2人に説明が必要なんじゃないかしら?」


色々と拗れてしまった部分はあるが、日暮先輩がまたもやフォローしてくれる。

……主にこの人が場を掻き乱しているのがあったりする気がするんだが……まぁそこを突っ込んでしまったらまた拗れるから言わずに話を戻そう。


「春野原と東郷には詳しい話はしてなかったな。確かに琵心先輩を抜けての代わりに山崎を出させるのがセオリー通りではあった。けど山崎には理由を話してそれっぽい形での琵心先輩を騙す演技をしていたんだ。」


まぁ健康面だけはちゃんと管理はしていたから演技だけでやり過ごしていたわけじゃないんだけどな。


「演技ですか。……とてもガチに見えていたのは気のせいでしょうか?」


まぁ本人は演技なんてのはできないって言ってたからそのままいつも通りでいいよって言ったからな。

その後のアフターケアが大変だったのは敢えていうまい。


「私はそう言った演技は得意じゃないので真面目にやりました!えっへん正義の騙し合いは不要なんですよ!」


「良い意味で善良なのよね〜まぁそこが美々ちゃんの良い所ではあるんだけどね。」


「演技とか出来無さそうな子だなと思ってはいたけれど……まぁ美々ちゃんらしいか。」


「いつでも積極面的だったからね。周りからはやばい子だって言われてたっけか。」


「あの!私の話でそこまで盛り上がらないでくれますか!別にそこ重要でも何でもないはずなんですけど!後地味に私の事ディスってますよね!」


皆それぞれ、山崎の事を分かっているからの主張で褒めている。

それを見ているだけで、陸上部の熱い絆があるという事をまにうけるわけだが…今はひとまず置いておこう。


「こほん!演技が上手くいったことで、まぁそれっぽい形でここまで事を運ぶ事はできた。そして今目的を果たす事ができる。」


「……蕾先輩を出すように私達は促せばいいんだね。」


「……そう。でも単純に出すだけでは意味がない。だからギリギリの所を狙って、琵心先輩にはトラックの様子を見てもらう。」


「今この状況を見たら全員出るという確信が持てるんだものね。となれば琵心ちゃんには衝撃的な展開サプライズが必要となるわけね。」


「つまりどうすればいいのですか?また姑息な手段を使うという事ですか?」


「姑息って……でもまぁ本人が焦ってここに来て様子を伺うはずだ。そのタイミングでラストアンカーとして出てもらう。」


「急に出て欲しいと言われてでますかね?」


「出るさ……俺の幼馴染は頑なに頑固な性格をしているからな。」


あれだけ御託を言い合っても心中はまだちゃんと納得していない。

ちゃんと決心したという言葉と外側の上っ面だけで誤魔化してはいたとしても俺には誤魔化せはしないんだ。


…………そして現在


「くっ!どう言う事もうすぐ試合が始まるのよ。いったい何を考えて…」


「時間がない。もう始まる時間帯だ。急いでトラックへ急ぐんだ。」


「ええ!分かってるわよ!」


そう言って美森はその場から急いで出場するトラックへと向かおうとする。


「ふぅやれやれ……こっちはこっちで事を済ましておくか…全く女子陸上部は世話のかかる奴が多い…コレだから(女子)陸上は楽しくてやめられないんだ。」


美森がトラックへと向かって急ぐ中アンカーとして出場する予定だった美々がとある場所で待機していた。


「すぅ…はぁ〜私は私でちゃんと覚悟を決めなきゃいけない。蕾先輩の為にも……そして遺憾としませんがあの人の為にもね。」

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