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俺の幼馴染達が復讐を終えるまで姿を現さない件について  作者: Phantom
第三章 新たな復讐の惨劇新幼馴染達による反撃
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まだ拭えきれない想い…

俺はどうにかして、長崎の事を自分がコレからマネージャーとしてやっていくという事を証明する為に春野原と東郷にお願いして、長崎にギャフンと言わせる為同じ部活仲間同士による勝負をしてもらった。

そして、長崎はどうにかして認めてくれたのだが…いやいや仕方なくという形で俺の事をマネージャーとして認める。


……現在・グラウンドによる長崎の様子では…


「はぁはぁはぁはぁ…」


「………」


本人のバイタリティ的には問題ない。

俺が何をしなくても勝手に伸びてゆくというのが答えが出てしまっている。

コレじゃああの時した勝負が無駄だな。

じゃあ今の俺って何をすればいいの?と誰かが言ってきてもおかしくはない。

寧ろそう言う目線が俺にささって痛いわけなんだが…


「先輩先輩。」


「あ?ああ春野原か…」


「もう夢葉でいいって言ってるじゃないですか。」


やたらと甘ったるい声を出す春野原。

以前にもまして俺に対する接触度が多いのは気のせいだろうか…何故だか増してる気がしていて単なる気のせいとは思えない。


「な、なぁ。何でそんなに俺の事を気にかけてくるような感じで話しかけてくるんだ。普通に話してくれていいんだが…」


「ええ〜普通ですよ。普通。にしても先輩今ここにいるというのが心ここにあらずって感じですね。」


「わざわざ言う事かそれ…言われなくても周りの視線で分かってるんだけどな。」


「ですよね〜だからこうして話しかけてるんですよ。最早意味すらないこの状況で本当に自分が必要なのかどう一緒に考えてあげてるんです。寧ろ感謝してほしいぐらいですね。」


まぁそれは確かに言えるかもな。

ここで変に長崎に声をかけて気を紛らすよりも…ここで棒立ちしていてただ長崎を見ているよりかは春野原に声をかけてもらってラッキーと思った方がいいかもしれない。


「はぁはぁはぁ……あの人。」


何なんですか。

私の事をマネジメントすると言っておいて、結局は自分が蚊帳の外になっているじゃないですか。

挙げ句の果てには夢葉ちゃんとお話しをしてばっかり……本当ムカつくったらありゃあしませんよ。

ここでのウォーミングアップが終わったら一言言ってやるんですから。


「でも先輩…私やっぱり思うんですけど、美々ちゃんじゃなくて、何で夏姫先輩じゃなかったんですかね。」


「ん?どういう事だ?」


「いやね。美々ちゃんも確かに負けず劣らずの実力を持っていますよ。でも蕾先輩に匹敵するレベルかどうかと言いますと…」


それを俺に聞かれてもな。

陸上に関してはからっきし分からないわけだから…選択したのは美森姉の方だ。

俺が変に口出ししたらなんかヤバい事になりそうだから敢えて話題を上手く逸らしながら話そう。


「まぁそこら辺に関しては陸上部での部長権限であゆ琵心先輩が決めた事だしな。俺がとやかく言う資格はないと思ってるよ。それに春野原はあの子の事を期待していた言い方をしていなかったか?」


「あれれ?そうでしたっけ?でもでも、今の感じを見てたら私が思っていたよりもやっぱり駄目といいますか。」


珍しいな。

あまり人の事に関してダメ出しを言う奴じゃなかった気がするんだが…何か試しているのか?


「ちょっとそこの悪で女垂らしな先輩。」


「おっと噂をすれば何とやらですね。私はここで失礼しますね。」


そう言ってそそくさとこの場から離脱する春野原。

アイツ面倒事を回避していきやがったな。

ここでくっちゃべってた事なしにするつもりでいるのかよ。


「………」


無言からの圧。

そして険しい睨みつけ。

まるで仕事せずにサボってんじゃないですよ言わんばかりの感じだな。

でもまぁ事実なわけだし…ここは素直に謝っておいた方がいいな。


「すまない。確かにこんな所で油売ってる場合じゃないよな。何の為のマネージャーだよって話になる。」


「へ〜そこは素直なんですね。別にいいんですけどね。」


あれ?私何でこんな事を?

別に彼が誰と話をしようが別にどうだっていいのに…なんでしょう…この妙なざわつきは…


「……所でお前の走りを見ていて思ったんだが、他の人とは別で歩幅の間隔を上手く調整して走ってるんだな。」


「……そうですね。その方が怪我とかもしませんし…何より自分のペースを維持できるんです。だからかえって妙なアレンジを加えるよりかは今のハイペース分でやった方が効率がいいんです。」


「そうだな。普通の選手ならそうだな。」


「……言い方が妙ですね。私の走りに何やら指摘したいって言わんばかりに聞こえるんですが…」


「いや別にそうじゃない。お前ならもっと踏み込んでもいいんじゃないかと思ってな。」


「はい?私の話しを聞いていましたか?これ以上の無理難題は身体を痛める事になります。そもそもあなたにあれこれ指図される筋合いはありません。」


「俺一応マネージャーなんだけどな。」


「素人をつけ忘れていますよ。後陸上に経験がないマネージャーですね。」


「けどそれだけがマネージャーじゃないだろう。選手のアシストをするのも立派なマネージャーの仕事なはずだ。」


「ああ言えばこう言うですね。どんな事であれ何もかもを対等な理由さえつければそれでいいとあなたは思ってるかもしれませんが…残念ながら選手とマネージャーは対等ではありません。そこら辺きちんと頭に入れておいてください。」


「……ああ分かったよ。なら俺は必要無さそうだし別の所へ行っていいか?」


「はい!?ちょっと待ってください。どう言う意味ですかそれは…」


「そのままの意味なんだけどな。今ここにいる理由がないと言われたのなら俺は別の所へ行った方がいいいだろう。ちょっと気に掛けてる事があるしな。」


「……つまりそれは私をおいて他の人の所で所用を満たすという意味ですか?」


「言い方よ。……別にそういうわけじゃない…お前はお前自身で自分のペースでやればいい。見たところ特に俺がああやこうやと言うよりかは幾分かまだマシにやれるだろ?」


「それは放棄すると言う意味ですか!」


「放棄じゃない。任せるって言ってるんだ。」


「それを放棄と言うんですよ!ああもういいです!何処へでも好きな所へ行ったらいいじゃないですか。あなたなんて知りません!」


何か勘違いさせてしまってるな。

でも今はあっちが気になる


俺はご機嫌を損ねてしまった長崎の事を後回しにし気になる人物の方へと向かう。


「はぁはぁはぁはぁ……くっ!やっぱり駄目ね。」


自己ベスト更新が全然達成できない。

このままじゃ本当に…


「後を託した人が自己練なんてするとは…とても託した奴とは思えない一生懸命だな。」


「一星。」


一星は美森にスポーツドリンクを渡す。


「あら?美々ちゃんの方はいいのかしら?あっちが1番の課題でしょう。」


「課題だって?嘘をつくんじゃない。あの子は勝手に成長して勝手に伸びていく。我ながら正義の味方とか意味不明な事を言ってるわけだよ。」


「はい?そんな意味の分からない理由で成長なんてしないわよ普通。」


「普通の人間ならな。美森姉みたいに山崎は普通の人間なんかじゃない。ただ単に気持ちの問題なんだよ。」


「気持ちの問題ね。……ならあの子はどうして私や夏姫ちゃんそれに夢葉ちゃんに負けたのかしら。」


「ベストコンディションじゃなかったと言えば納得してくれるか?」


「無理ね。あれこれとコンディションが整ってない…気持ちの問題と足掛かりな言い訳な話を聞かされているけれど…人間はそんな気分屋でどうにかなる問題じゃないわ。適当にあしらってあんな言い方をしているとしか思えないわね。」


「さ〜てどうだろうな。美森姉の言う通り人は単純に気分的とかコンディション的に上手くいくわけのパターンで優勝に繋がるなんてのはそこまで多くない。でもあの子はちょっと違うんだよな。」


「違う?」


「そう。と言うより俺よりも陸上部である美森姉達がよく見ているだろう。それを俺に聞くのってどうなんだ?」


「あなたは色々と聡い所があるから。それで聞いてしまうのよ。元水泳選手だったとしてもね。」


ごもっともな言い分だ。

でも俺が何かを言うよりかは断然部活の奴がアドバイスする方がいいんだけどな。

今の美森姉の考え方に違和感があるのは俺だけか?


「水泳云々関係なくてだな。……はぁ〜まぁいいや。価値観の相違という事で今はそれで納得してほしい。今は美森姉の事だ。……何で今更自己練を?」


「そりゃあ陸上部だもの…ウォーミングアップするのは当然でしょう。」


「さっきもいたが…後を託したのにする必要性はあるのか?」


「陸上部の人間が何もしないままここにいたら変でしょう。カッコウだけでもつけとかないと部長の立場がないじゃないの。」


そんな事を気にするタイプだったけか?

いやまぁ美森姉らしいと言えばらしいか……でもやっぱり確信した。

美森姉はやっぱり…


「……そう。なら別にいいんだけど…あまり無理はしないでくれよ。いくらバトンパスしたからって、自分に大怪我なんてしたら意味がないからな。」


「ええ。それよりもちゃんとあの子の事面倒見てあげなさいよ。何の為にあなたをマネージャーとして選んだのか意味がなくなるわ。」


「ああ分かってるよ。当日の試合楽しみにしといてくれよ。」


そう言って一星は美々の所へと戻っていく。


「………楽しみね。自分が走らない人の走りなんて何が楽しいのかしら。そりゃあ育てた相手を見届けるというのなら分かるけれど……やっぱり自分が走らない競技はつまらないわね。」


そう言いながら空を見上げて吐露する美森。

本人が下した決定なのにやたらと不安を隠さない自分自身。

今ある気持ちは単なる嫉妬なのかそれとも倦怠感なのか…それは本人にしか分からない想いなのであった。

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