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俺の幼馴染達が復讐を終えるまで姿を現さない件について  作者: Phantom
第三章 新たな復讐の惨劇新幼馴染達による反撃
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山茶花にはもう1人の山茶花がいた。


「美森ちゃん。さっきも言ったけれどあまりしつこい悪戯はよくないよ。あくまでも一星君との付き合っていたという関係の話はもう終わったはすでしょう。」


「そうよね〜いったい()が終わらせたのかしらね〜」


「………」


ん?今の話をしているんだよな?

まるで随分前の話をしているような。


「あなた記憶を取り戻してからやたらと機敏に昔の事を調べるようになったわよね。」


「そりゃあ勿論だよ。だって、昔の私なら何が何でも自分のしたい事はしていたと思う。それも今の皆んなともっと仲良くなる為にはこうやって実行もしておきたかったしね。」


「……そう。……ねぇ覚えてたらでいいんだけど、昔私とあなた…一度だけ大喧嘩した事があったのよ。それが何なのか覚えているかしら。」


「ごめんね。流石にそこまでは覚えてないかな。でもその話今関係ないよね?今は美森ちゃんと一星君の関係…」


「こうやって突っかかってくるのって、昔のあなたでしかできない事なのよ。この前のファミレスでの件…やたらと食いかかってくるからちょっと珍しい事もあるのねと思っていたんだけれど……やっぱり不審でしか無かったわ。」


「え?何の事言ってるのかな?」


「……あなたちゃんと別れてないわね。昔の山茶花と…もしくは条件反射かしら。一星を取られたくないという一心で体が勝手に動いてる。……あなたの中にはまだ昔のあなたの亡霊がいるって事かしらね。」


「………」


待て待て…何を言ってるんだ。

昔の山茶花の亡霊だと?

既に記憶がいなくなった山茶花の事を言っているのか?

……また妙な話が出てきたな。

頭が痛いぜ。


「………ふふ、嫌だな美森ちゃん。さすがに話しの脱線をしすぎじゃない?だから何?それでいったいどんな風に話が繋がるの?」


「私と一星が春半ばで付き合っているという噂が広まっていってそれが尾ひれはひれがつかなくなった頃…私思ったのよ。あまりにも周りが一気に気にしなさすぎていたんだなってね。」


「そう言えば確かに一時は色々と俺がもう垂らしやらなんやらで話しになっていたからその辺に関してもただ美森姉に迷惑がかかってるんじゃないかと思っていたけど…途端に止んだなその話し…」


「ええ。だからある子にどうしてこんなにもスーンって誰も気に留めなくなったのかを聞いたのよ。それで何て答えたと思う?」


「………」


「何て答えたんだ?」


「山茶花が周りに吹聴していたって言ってたのよ。」


「は?山茶花が?」


「……」


「ええ。それを聞いただけで、単に幼馴染の為で周りに妙な誤解を解く為だけかなって思っていたりもしていたんだけどね。…いや寧ろその方向性で信じたかったのよ。……でもそうじゃなかった。あなた何で私の悪口みたいな事もいったのかしら?……ねぇ山茶花…いえまだこの世の未練を断ち切れていない山茶花。」


「………えへへバレちゃったか。そうだよ〜私は昔の山茶花だよ〜えへへ何だか自然と出て来られるって不思議だよね。コレって最早怪奇現象みたいなことだよね。というよりもこんな非科学的な事が起こっていいのかな?いや寧ろこうでなくちゃいけないよね。」


え?なんだ?

コイツ誰だ?

山茶花じゃない。

昔の山茶花にしても全然面影がないというか…寧ろ別人というか…


「山茶花なんだよな?何だか雰囲気が違うというか…」


「えへへ、そうだよ。何だか久々な感じがするね。というよりも私の成長した姿どうどう?」


「いやどうと言われてもな…」


性格がガラッと変わったというか本当に山茶花なのかどうかが怪しい。

でも本人の姿だから間違いなく山茶花だから間違いないんだよな。


「昔の山茶花…正直信じたくはなかったのだけれどね。昔に一回だけあなたと大喧嘩したのを思い出したわ。それでもしかしたらって思っていたけれど……まさか中身がこんなにおっちゃらけた性格になっているなんてね。」


「いや待て待て話がとんでもない方向へ飛躍しすぎてないか?昔の山茶花は今の山茶花とは全然違うんだぞ。ましてや昔の記憶を維持していたなら今の山茶花は…」


「ええ確かにおかしいわ。でもそれが現実に起こったのでしょう。成長し切った山茶花がここにいる。どう言うわけかは知らないけれど、私の嫌な性格な子が出てきたしまったという事に変わりないわ。」


「そんな露骨に嫌がらなくてもいいじゃない。……こうやって昔みたいに嫌がらせする為に記憶が元に戻ったわけじゃないんだから…」


「二重人格って事か?それなら話は分かるんだが…」


「二重人格ね……多分というよりも前から山茶花の記憶はずっと維持し続けられているのよ。通常じゃありえない方法で山茶花は山茶花でちゃんと私達の前に接してきた。」


「……副作用の影響か?でも副作用なら山茶花の記憶障害の話は…」


「記憶障害と言っても完全な記憶障害じゃないのよこの子…どう言った記憶障害なのか…私詳しく聞いた事があるのよ。成長するにつれてこの子の中にあるもう1人の記憶がなくなってしまってる方にも影響がでてきてしまう可能性がある。それも一緒なって成長していく上で昔の自分に戻り兼ねないみたいな話をね。」


「……ならあの時山茶花が昔の山茶花が消えてしまったみたいな話は…」


「嘘じゃないよ。昔の山茶花は確かに消えた。そして今現在に至る私はふた通り存在しているんだよ。」


「ああ?意味が全く分からないぞ。お前は記憶をなくしていた後の山茶花の記憶を継承して今の山茶花があるんだろ?なのに何故か…その…」


俺はチラッと美森姉の方に視線を向ける。

最早わけのわからない事なので、正直丸投げしたいというのが本音なんだが…


「はぁ〜そう。私のもう1人嫌いな山茶花。小さい頃にどうしても好きになれなかった山茶花。……山茶花は既に2度記憶喪失を起こしてるのよ。」


「……な、なんだと?いや待て俺そんな話し聞かされた事がないぞ。山茶花は2回記憶を失っている?じゃあ山茶花には3通りの山茶花がいるって事なのか?」


「そう。わりかし前に出たがらないとは思っていたけれど…こう言った邪魔や嫌がらせをする面白い事に関しては前に出たがるのよ。そして後は素知らぬ顔をして知らんぷりってね。」


「えへへ〜そう言われると何だか照れちゃうね。1番古い私がいなくなって、生成はしているけど…まさかあの子から先にいなくなるなんてね。それも一生記憶が戻らないとばかり思っていたんだけど……何故か急に小さな頃の私の記憶が戻ったのよね。なんでかしら?」


そうか。

だとするなら昔の山茶花では2人の…もう1人の山茶花の存在について何も知らずにいたんだ。

そして、知らないまま記憶を無くしたもう1人の新山茶花の方に後を託した。

……いやいや漫画か何かの世界かよ。

完全に色々と置いてけぼりなんだが…


「それでどうして私の事に対してやたらと悪戯な事をしてくるの?」


「う〜ん?そりゃあ勿論。大好きな大好きな星君の為にやってる事だよ。というよりも美森ちゃんこの前のファミレスで煽った時のあれわざとだよね?そのせいでもう1人の私がどんな気持ちになったのかわかる?」


「……ええ、分かってるわよ。」


「分かっててあんな事をしたんだ!たちわるーい!あはは、それだったらこの私が出てきても文句は言えないよね。まぁ正直あの時から嫌な気持ちになっていたからああいった事をしたまでなんだけど……」


「それって、ただの腹いせよね?そんな事をしていったい何がしたいのよ。」


「それを美森ちゃんが言うのっておかしくない〜人の気持ちに揶揄してくる人って、相当自分に追い込まれてる証拠なんだってって知ってた?」


「それはあなたも同じ事じゃないのかしら?」


「あはは!まさかまさか!寧ろココからが私の本領発揮だよ。星君は全力を持って私の物にする。もう気持ちは伝えたんだし別にいいよね。」


「そ、それは私だって一緒よ!……あ。」


「ふ〜ん。まぁそうだとは思っていたけれど……とりあえずこの事に関しては保留にしようか。今は美森ちゃんの問題然り…後は美々ちゃんの問題だよね?」


そうウインクして俺に合図を送ってくる山茶花。

最早本当に違う人間にしか思えないな。

でも2人の気持ちに関してはひとまず保留にしてくれるのはありがたい…正直今はそれどころじゃないし…また妙な問題が起こったりもしたしな。


「ああ…美森姉。放課後なんだが…グラウンドを1つ借りたい。」


「え?別に構わないけど、1年と2年と3年で分かれてるからどっちを使っても問題はないけど。」


「いや1年の方を借りたい。そこで山崎には思い知ってもらうんだ。」


「思いしる?いったい何を?」


「それはまぁ放課後のお楽しみという事で……てかもうすぐ昼休み終わるじゃねぇか。さっさと飯を食わねぇと…」


急いで俺は飯をかきこみこの妙な長い昼休みを終わらせる。

……しかしもう1人の山茶花か…完全に解決したと思っていたが…どうやら悩みの種はつきないみたいだな。

さて…ココからまたどうしたものか…


「ふふ、いい食べっぷり…やっぱり男の子はこうでなくちゃ…ね?美森ちゃん。」


「本当あまりにも違和感しかないわねあなた。ひとまず色々と話は後にするけれど……もしまた私に迷惑をかけるような事があれば容赦しないわよ。」


「はぁ〜その威勢…どうにかして陸上に出ればいいんじゃないの?」


「何ですって?」


「もう無理。諦める。仕方がない。それだけで決めつけるんだったら…今の美森ちゃんなんかに価値はないと思うよ。その辺よく考えておくべきだね。」


「何を言って……もしかしてあなた私に…」


「ふぇ?あ、あれ?私寝ちゃってたの?」


小悪魔な山茶花との意識が途切れた。

逃げたわね。

………でもその言葉どうにもグサッてきたのよね。

私が気にかけてる?いやまさか…もう覚悟は決めているんだから…今更何を……本当に今更余計な事を言わないでちょうだい。

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