マジな喧嘩・一触即発?
長崎が俺に不審と思われてる。
単純にやってきた転校生というだけでは納得してくれなかったのか…はたまた最初っから疑っていたのか……まずいな。
こんなどうでもいいとこで、どうでもいい疑いをかけられるなんて……
「何を疑ってるのかは分からないが、俺は普通の高校生だぞ。」
「普通のですか…ならあの泳ぎ方…なみならぬ普通の人ではない…そうまさにプロといえそれ以上と言わんばかりのプレイヤーでした。それを誰もがあなたの事を普通と呼びますか?いいえ呼ばないはずです。だから蕾先輩は私にあなたを託すような形でマネジメントを頼んだ。……とてもじゃないですが、お互いこのまま秘密を隠したまま蕾先輩の言う通りに試合へと持ち込ませる気ですか?」
「お前がそれを言うのか……はぁ〜俺は元ジュニア水泳選手の1人だ。俺の名前に身に覚えがないのはおそらく何かしら裏の関係者が名前を剥奪した可能性がある。マイナー所でも俺の名前を知っている奴はごく一部だ。だから山崎は俺の事を知らないわけだし…怪しんだりもする。」
「それで秘密をぶつけたつもりですか?そんなので納得は…」
「だけどある時俺は絶望を経験してしまった。」
「え?」
「そのせいで俺は水泳を辞めて勉強という道に逃げ込んだ。勉強は誰しもを裏切らない。自分自身の実力でやっていける。…まぁそれでも追いつけない奴はいるんだけどな。」
「………ただの腰抜けですね。」
「別にそう思われても構わない。俺は逃げた。ただそれだけの話しだ。」
そう自身の身体を引き換えにするほど俺は馬鹿じゃない。
結果が何であれどんな理由であったとしても体での不確かな副作用なんてものは絶対に寄せ付けるわけにはいかない。
……色々な意味で遅かったけどな気付くのが…
「……はぁ〜腹を割っていただきありがとうございます。……だとしても辛い道から逃げようとしたあなたに教えをこうというにはあまりにも納得不足ですね。」
クソ。コイツの頑固さにはあまりにも鬱陶しい部分がある。
最早コイツに納得させる話しなんて…
「………!そうだ。なぁ1つ俺と勝負してみないか?」
「勝負?いったいどんな勝負ですか?」
「そうだな。……お!良いところにいい奴を発見したぞ。おーい!」
俺はある2人を見つけ声をかける。
俺がかけよんだ2人というのは…
「神楽坂君。どうかしたの?というよりも珍しい組み合わせだね。」
「………」
1人は俺の幼馴染である山茶花。
そしてもう1人は目元に指を摘みながら相当苦悩している一年の鳴神。
その2人に声をかけこっちに駆け寄ってくる。
「木葉ちゃん。聞いて聞いて!私ね今酷い事になってる状態なんだよ。」
そう言って我先へと抱きつく山崎がコッチにくっついてくるなと言わんばかりの嫌そうな顔をしてひっぺはがそうとする鳴神にしつこくまとわりつく。
「今は私がとても酷い事になりましたけどね。」
持っていた料理のお盆をどうにかして守りながら山崎の行動を回避していたが、そのまま落としてしまい料理が駄目になってしまい2人は沈黙する。
「……」
「……」
「あは。」
「あはじゃありません!本当に本当にあなたと言う人は!」
鳴神は苛立ちながら山崎の頬を思いっきり引っ張る。
「あひ!あひ!あひひ!にゃにゃにしゅるの!」
「この口が悪いんですよ!口が!そもそもあなたは私に対して遠慮がなさすぎなんです。いい加減弁えというのを覚えてください!」
「わひゃひゃ!私と木葉ちゃんの仲じゃないですか!そんな遠慮むひゃむひゃ!あえええ!」
「このこのこの!私のごはん弁償しなさい!」
またもやこの光景…仲がいいのか悪いのか…
「はは、はは…あ、それでどうして私達を呼んだの?美々ちゃんと一緒にご飯食べてたんでしょう。」
「ちょっとな。山崎とちょっとした勝負をする事になって、今その勝負して内容を考えていたんだ。それで2人を見かけて呼び止めたんだよ。」
「ん?それって私達に何か関係があるって事?」
「ああ。山崎は俺がマネージャーになる事を大層嫌ってるみたいだから、その証明が必要なんだって言われててな。だから2人にちょっと話を聞いてもらいたくて…」
「私達に?……答えられるような事はないと思うんだけどな。」
「ああ大丈夫大丈夫。2人にはとある2人を呼んできて欲しいんだ。」
「私達に呼んできてほしい2人?」
「ああ後でメッセ送るからその2人を今日の放課後に来て欲しいって呼んでおいてくれないか?」
「それだったら神楽坂君が呼べばいいんじゃないの?」
「そうしたいんだけどな。でも2人にとってはある意味ではサプライズをしたくてな。」
「サプライズねぇ……妙なサプライズにしか思えないんだけど…」
「あらあら妙な面子がいたものね。せっかくの陸上関係での集まりなのにどうして水泳部の子達がいるのかしら?」
しまった。
まだ山茶花と美森姉は喧嘩の最中だったんだ。
早めに話して美森姉が俺達の飯を買いにってる事を伝えればよかった。
「……大丈夫だよ琵心ちゃん。たまたま通りかかって彼に声をかけられたんだよ。同じクラスメイトだもん。別におかしくなんてないよ。」
「ふ〜ん。にしてはつけ込んだような話にも見えるんだけど……ただのお話しじゃなさそうに見えるわね。」
「それはそっちの見解なだけでしょう。あまりそう言った深掘りの怪しみ方はやめた方がいいと思うよ私は…」
「あはは確かにそうね。でも私の彼氏にちょっかいは出さないでくれるかしらね。」
ゴゴゴゴゴゴ!
や、やべ2人がここまで一触即発な場面見た事がないぞ。
あまり2人の喧嘩なんて見た事がなかったから新鮮で傍観してしまった。
「お、おい2人とも落ち着け。それに蕾先輩もいい加減その話題は…」
「え?今何て言ったんですか?2人が恋人同士ですって?」
「あ…」
な、なんだ?突然長崎の様子が変に…
「うわ〜そうだった。すっかり忘れていました。」
「ふ、ふざけるな!!!!」
も、ものすごい勢い叫び声を上げて、妙なオーラみたいなのが発するのを感じる。
まるでバトル漫画とかで出てくる何かのアニメみたいなのを感じとれるぞ。
「いやいやどう言う事だ。それでどうして怒る事になる。」
「えーとその何と言いますか…美々ちゃんって実は…あっち系でして…」
「は?」
「え?」
「嘘…」
俺と山茶花は驚いたリアクションをし美森姉はうっすら嫌な予感をするリアクションをする。
まぁその辺の話を聞いて確かにそういったリアクションをしてもおかしくはないのだが……ん?待てよ。それじゃあ今まで俺に対して辛辣だったのって…
「そう言う事か……ただ単に嫉妬していたというわけか…」
「ふ、ふふ、ふふふ。決めました。やっぱり私あなたの事が大嫌いです。どんな勝負でもいいとは言いましたが、そんなの関係ありません!私が指名する勝負を受けてもらいます!勿論競技は陸上です!言い逃れも断る理由も一切受け付けませんからね。」
「ちょっと美々ちゃん。落ち着いて、それはもう前の話しだから…今はもう付き合ってないって噂になってますよ……多分。」
おいそこはハッキリと言え。
「だとしても前は付き合っていたという事ですよね!なら尚更許せません。この正義の味方である私が成敗します!」
「付き合っていただけで、成敗されるって…正義の定義おかしくないか?」
「後沸点も低いわね。」
上手く言ったつもりかよ。
それで収まるわけじゃあるまいし…
「だぁもう!話しの腰が折れてるっての…今はそんな事どうでもいいんだよ。俺が何で2人を引き止めたのか今日の放課後分かるからそれでいいよな。」
「いえよくは!…あっ…」
しかしその話をさらに拗らせようとした山崎を鳴神が襟首を掴んでその場から退場する。
「はいはい私達はあちらにいきますよ。ココからは良からぬ事を考えてる先輩方に任せますんで…美々ちゃんは私のご飯を弁償してもらいますから。」
「ふん!私にそんな事をしても無駄です。なぜなら一銭も持ってないですからね。」
「こ、この子は……はぁ〜もういいです。ひとまず私が奢ってあげますから。また今度でいいのでお金返してくださいよ。」
「覚えていましたらね!私正義の味方だから忙しくて覚えていないので!」
「最低な正義の味方ね。」
鳴神のおかげでひとまずこの場は収まってはくれた。しかしもう一つ問題点がある。
鳴神はその場にいるのが余計に悪くなるからとか思っていたのかは分からないがそれで退場したというの1つある。
「あらあらせっかく美々ちゃんの分のご飯も持ってきたのに……一星あなたよかったら二つ分の定食食べられる?」
「あ、ああ。じゃあ遠慮なく…」
ダン!
「さてと後輩ちゃん達にはひとまず引き下がってくれたというのもあって、ここからは私達幼馴染の話になるね。」
こ、怖よう。
さっきまで山崎がゆりかどうかみたいな話しで拗れていたのに…やっぱり話しの振り出しに戻るわけか…でもその話をさせるわけにはいかない。
「こほん!そ、そうだな。えーとだな2人を呼び止めた理由なんだが…」
「それ後でメッセで送ってくるんだよね?なら今その話しなくてもいいんじゃないの?」
「いやでもやっぱり山茶花には話しておいた方がいいだろう。それに美森姉だっているし…なんならココで話した方が色々と説明なしよりかはマシ…」
「一星悪いんだけど、その話はまたにしてくれるかしら。私久々に山茶花とやってみたくなっちゃったのよ。といってもコレが初めてみたいなものでもあるんだけどね。」
いや何でそうなるんだよ。
そんなにマジな喧嘩なんてしてこなかった2人が急にどうしてお互い突きあってるんだ。
マジでどうにかしないとだが……ひとまず落とし所がつくまでは話し合い?みたいな事をさせる他ないか。




