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俺の幼馴染達が復讐を終えるまで姿を現さない件について  作者: Phantom
第三章 新たな復讐の惨劇新幼馴染達による反撃
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後を託した想いは…その人の気持ちまでも動かせる保証は何処にもない

ひとまず2人の行く末を見守る事になった俺と陸上女子……その中でも長崎美々は1年の中でも期待が高い存在らしい…確かに以前鳴神とそう言った話を聞かされ尚且つ走るのが早いという姿を目の当たりにしているから、分からなくもないというのは実感する。

……しかしそれでもまだ美森姉の方が早いと俺は踏んでいるわけだが…果たしてその結果は…


「ま、負けました!」


やっぱりかよ。

結局の所2人が相争ったとしても結果は同じだった。

身体の柔軟による準備運動も特にこれといって何かがあったわけじゃなく…普通にレベルが上がるわけじゃない。

なのにまた勝負したという事での結果では長崎の負けがまたもや目にする。

寧ろ美森姉はそれを全力で走ってる様にも見られたのだが…


「美々ちゃんまた負けちゃったか。さすがに3年先輩に勝つには無理があるよね。」


「………あの〜先輩からはどう見えていましたか?美々ちゃんは当然の様に負けるみたいな形で言ってましたが、美々ちゃんは凄いんだと思いますよ。」


ああ確かに凄いとは思う。

でも美森姉が勝ったというのはまぐれでも何でもない。

全力で走っているとは思うが…それは違う意味での全力での走りなんじゃないかとそう思っている。

しかし注目する所はそこじゃなく…長崎の走るポイントだ。


「長崎は確かにいい形での意味で早く走っていたと思う。そして負けてしまったというのはあくまでも仮定の話しにはなるが……琵心先輩の気力に推し負けたんじゃないかと思うんだ。」


「え?気力に押し負けたって…圧にやられたって事ですか?そんな漫画なんかじゃないんですから。」


「漫画とかじゃなくても人には心というのがあるんだ。その気持ちが少しでも気弱になってしまえばその分の実力はどうなる?」


「弱くなるね。私もそうだったし…あの大会であんな怪我をしなければちゃんとしたモチベーションでやれてたと思う。」


「うっ心が痛む。」


「とまぁこんな仮説を話してはいるが向こうでは今どう言った話をしているかだな。」


………


「はぁはぁはぁ…く、悔しい!!やっぱり負けた!しかも華々しい負け方だった!」


「自分自身で華々しい負け方とか言ったりしないのよ。そこは負けたとかでいいのよシンプルに…」


「それだと美しくないじゃないですか。……それに先輩には色々と吹っ切れた形での走りだったみたいですし私からは特に何も言う事はありません。コレで撤退させていただきます。」


「待ちなさい待ちなさい。勝手に自己完結して終わらせようとしない。コッチはまだ話があるのよ。」


美森は美々の襟首を鷲掴みにしてそのまま行かせないように阻止する。


「うぎゅ!な、なんですか。」


「勝ったら言う事を聞いてもらう。そう約束したわわね?」


「うっ…そ、そうでしたね。仕方がありません。私にできる事ならなんなりとお申し付けよ!」


「どこの天皇陛下様よ。……まぁいいわ。それなら率直で言わせてもらうけど、私の代わりにあなたが秋の大会に二回出なさい。」


「………へ?ど、どど、どう言う事ですか!な、なな、何故!」


「ちょこちょこ言葉がおかしくなるのは何なのいったい…というよりも動揺しすぎ……そのままの意味よ。あなたには私の代わりに出てもらう。それが勝った権利としての命令よ。まぁ部長命令とでも言うわね。」


「いやいや!それはあまりにもおかしすぎますよ。だって私負けたんですよ!負けた人に後を託すってどういった神経してんですか!」


ごめんなさいね。

こんな神経な持ち主の部長で……


「はぁ〜あなたこの前私と勝負した時何か違和感を感じたのよね?」


「あ、ああ、はいそうですね。」


若干うる覚えな感じでそんな事があったのかどうか何となくで返事をする美々。


「自分で言ってたのにもう覚えてないの?……まぁいいわ。そのおかげで色々気付けたのよ。私にはいったい何が足りなかったのか…どうケジメをつけるべきなのか…その事だけを必死になって頭の中で考えていた。そしてこういった結論に至ったてわけなのよ。」


「いや全くもって意味がわかりませんよ。それではいそうですかって頷くとでも思っているのですか。大体私に任せるというのなら何かもっとこじつけた理由を言うんじゃないんですか?」


「走れなくなるのよ。次の大会私は足が使えなくなってしまう。それまでに足をどの様にして改善できる保証なんてどこにもなくなったのよ。」


突然すぎる爆弾発言。

それに美々は空いた口が塞がらないといった形であんぐりとしながら美森の顔を真剣に見る。


「嘘ですよね?そんな…もう走れないなんて…私まだ一度も勝ってないんですよ。そんな勝ち逃げみたいな事って…」


「大丈夫よ。その間にあなたがしたい勝負の日があればいつだって受けてあげるから…だから私の代わりにでてくれるわよね?」


あまりにも惨い話にも聞こえる。

言い換えれば次の強敵かもしれない相手を美森姉はわざと押し退けてこの場から去ろうとしているんだ。

そりゃあずっと追いかけ続けていた相手からそんな事を託されてしまうんだ。

違う意味で心ここに在らずだよな。


「嫌です。嫌に決まってるでしょう!こんな簡単に私に託してどうするんですか!先輩はそれでいいのですか!自分の夢を希望を諦めてもいいのですか!そんな平然と後半に後を託さないでください!私は…私はちゃんとあなたに勝って…あなたに認められて託されたいんです。こんなのってこんなのっ…」


その先の言葉を言おうとしたのを美々は言い淀みながら美森の爽快しきった顔とは言えないがとても清々しい顔をしながら美々の事を見て微笑む。

それが悔いのない笑顔なのかどうかは最早本人しかわからない。


「ごめんね。でももうどうにでもできないのよ。だから……」


「だから?」


「あなたに専属のマネージャーをつけてあげるわ。」


「へ?」

「は?」


専属マネージャーだと?

何を言い出すんだいきなり…そんなの何も聞いてないぞ。

そんなやついったい何処に……


「あ?待てよ。」


そういえば以前に美森姉のマネージャーとしてお願いされた事があったような気がする。

でももうそれは大丈夫だって、あのお泊まりの時に言っていたはずだ。

だからもうあるはずがないとそう思っているんだが…


「い、嫌な予感しかしない。」


「専属マネージャーって…いったい誰を指名するんですか?」


「勿論私達の事を唯一理解してくれる人…それも自分の事を後回しにするぐらいに本気になってくれる人…」


「そ、そんな人がおられるのですか!」


物凄い食い気味じゃねぇか。

てか誰だよ。

そんな奴見た事も聞いた事もねぇぞ。


「ええ。きっと気が合うわよ。」


「だ、誰なんですかその人は!」


「今日のお昼に会わしてあげるから楽しみにしてちょうだいね。」


「わ、分かりました!」


そう言って、ノリに乗る美々は忙しなくしながら後片付けをしだす。


「ふふ、単純な子で助かったわ。あのまま長々と私の事で悩んでくれたら時間が勿体無いもの…やっぱりここはちゃんとした条件を出せばコロっといくのよね〜ああいうタイプは…」


「達が悪いんじゃないんですか琵心先輩。さすがにあんな懇願にしてまで自分の代替わりを断っていたっていうのに…そんな意味の分からない条件なんかを出して…」


一星や他の部員である夢葉を覗く2人組は美森の方へと近づき先の話する。


「ええ〜そうかしら。でもその方がしっくりとくるでしょう。私に勝てないという甘えだけを残して、自分は今ある目標を達成するまではそのお願いは聞けない…なんて我儘がこの世界に通じるとでも思ってるのかしらねあの子は…」


「あのお言葉なんですが、どうして美々ちゃんに後を託したのですか?他にもいると思うんですが…3年の方でもいますよね?蕾先輩みたいな人達が…」


「ええ勿論いるわよ。でもそれは3年の中で培ってきた努力の成果を示してやってた人が出場できる権利があるのよ。それを誰かの後を託して自分がその場に立つなんて事は絶対にしないのよ。何故だかわかる?」


「さ、さぁ…」


「侮辱されるからですか?」


「さすがは一星。やっぱりあなたは理解が早くて助かるわ。……そうこの学園での三年生はどんなきっかけであれ庇護欲なんかで代わっちゃいけないのよ。それを他人からの評価で変わってくるわ。アイツは単なるおさなけで代わっただけにすぎない…または誹謗中傷による荒らしみたいな奴とかいたりしてね。」


「でもそれならそれで結果を示せばいいのでは?」


「それだけならどれだけ楽観的でいられるか…」


「???」


「東郷。別に東郷自体の考えが正しいわけじゃない。確かに代わる奴がいればそれで任せればいいだけの話だ。でも周りの評価からはまず第1に注がれる者といえば誰になる?」


「……最初に出る予定だった人?」


「そう。つまり期待度がMAXで周りからの信用されている人物…その中でいきなりなもしれない奴が出てきたらどう思う?」


「……何様で出てきてるのよって事かしら?」


「そうなるな。けどそれが一年二年ならまだ自分が取りこぼした選手がまだいたのかと詮索する人がいたりする。でもここでの三年生は別だ。既に調べ尽くされてしまっていて尚且つ代わり者なんて存在しないという事を証明する為に頑張ってる奴もいるんだ。それが分からないお前らじゃないだろう。」


「ううん分からない。」

「分からないわね。」


「なん、だと?」


ここでの事を言ってるのに何で理解ができないんだ?

もしかして俺の伝え方に問題でもあったのか?


「ああ大丈夫大丈夫。多分この子達、この学校でのそういったポリシー的な物に関心がない子達なのよ。」


そう言われて、2人は視線を逸らす。

単に覚えるのがめんどくさいだけかよ。


「でも普通なら2人がどうして?という疑問を持つのが当たり前だ。そんなの普通に考えたらやったもん勝ちだからな。」


「そうね。本当ならそうなのだけど…私はもう今更皆んなにあわせる顔がないわね。色々な意味で…」


「というと?」


「いえ。コレは私個人の問題だから何でもないわ。それよりも一星こんな朝早くに来てもらって悪かったわね。こう言っちゃアレだけど、昼休み学食で何か奢るわ。今回の事に関してはひとまずそれでチャラって事にしておいてちょうだい。」


「……ひとまずなんだな。分かったじゃあまた昼休みに…」

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