今と昔…一足早くに片想いしていた四月一日美森
一瞬時が止まったかのように感じてしまい、今何が起こってるのかを頭の中で考えようとするが…まるでフラッシュバックか何かが起こるかのようにして何も考えられずにいた。
しかしハッキリと分かってる事が1つだけある。
俺は目の前の幼馴染に急接近され恐らく一線超えた事が起こっているんだとそう感じとれた。
だがこの行いがいったいどう言う事なのかが鮮明に判断できないためやはり今何がどう起こってる状態なのか理解できない。
「……プハ!み、美森姉。いったい何をして…」
「プハ!へ、へへ。コレで分かったかしら?私があなたにどれだけ夢中になってる事が…」
「いや唐突すぎてわけが分からない。何でこんな事を…」
「私がただ空気に流されてこんな事しているとでも思ってるわけ?そんなわけないでしょう。こんな事をしている理由…その他にもゲームをしていた理由なんて明白でしょうに…」
「……いやただのお遊び程度とか、俺を許す為のお遊びみたいなのしか認識していなかった。」
「そうだからあなたに意識をしてもらう為にこうしたのよ。既に先行している幼馴染がいるから私も打ってでたわけ……本当は秋の大会が終わってからっていう風にも考えていたけれど…やっぱり我慢なんてしちゃいけないわよね。」
「いやいやそれじゃあ何か美森姉は俺の事を…」
「そうよ。山茶花同様私もあなたの事が好きなのよ。……ああもう!面と向かって話すと恥ずかしいわねコレ…」
「男勝りだった…あの美森姉が俺の事を……え…でも今までそんな素振りなんて一度も…」
「あったわよ!あったのにあなたはそれを全部受け流していたじゃないのよ!何であそこまで気付かないわけ。鈍感にも程があるでしょう。」
……いや確かにそうかもなとは思っていたけれど、それどころじの話しじゃなかったしな。
そもそも美森姉達は色々と隠していたという不信感しかないのがあったから今まであった空いた穴が埋まるまで心を開いてくれないかもしれないという幼馴染の想いが消えていたのと思っていた。
それにアイツら…姫乃達まできて余計にややこしくなったわだから…そんな恋愛云々かんぬんの問題じゃなくなっていたんだよな。
てかそんなリソースを割いてる余裕が今の俺には感じ取れなかった。
「………そうか。でも今のキスはさすがに…」
「さすがにないですって?そんなわけないでしょう。こうでもしないとあなたコレもただの遊びでしょうとか思うでしょう。だから体を使ってまでこうしたのよ。どうあなたみたいな鈍感な頭でもコレで本当だって事が分かったはずよ。」
「……あ、ああ理解した。理解はしたが…今俺が出せる答えとしては…」
「ええ分かってるわよ。何も答えを出してほしくてそうしたわけじゃないわ。幸い後5分もすればこの関係は終わるわけだしね。」
「後5分もすれば終わる?……あ。」
彼氏彼女での関係遊び……確かにまだ継続中ではあった。
でももう寝てしまえば関係ないと思っていたのだが、本人からしたらまだちゃんとごっこ関係はしてあるんだったな。
じゃあ美森姉はもしかしてこの告白に対しての意味は今後叶わないかもしれないという意思表示の表しをしているのか?
……だとするなら美森姉は
「本当最後の最後にあなたと言う人は…でもコレで私も心置きなく…」
「諦めるのか?」
「え?」
「諦めるのか?今の持ってる気持ちを諦めるのか?」
「諦めるって、いったい何を言って…」
「……正直言って自分で言うのも恥ずかしいが……それはかえってせこいんじゃないのか?」
「せ、せこくなんかないわよ!キスまでして、自分の気持ちを伝えたじゃないのよ!何がどうせこいっていうのよ!」
「それがせこいって言ってるんだよ。キスして気持ちを伝えるだけ伝えてって…そんなのただ自己満足して逃げてるだけじゃないか。自分だけ納得すればいいってわけじゃないだろう。相手の気持ちはいったいどうする気なんだよ。」
「そ、それは……それなら一星だって、勝手にこの街から出て行って、私達の気持ちすら思ってくれていなかったじゃないのよ。」
「だから無理言わないでくれって…昔は俺にだってどうする事もできなかったんだ。親の事情だから仕方なく一緒についていく他なかったんだよ。」
「それなら私の家に来れば良かったじゃない。私の家だったら喜んで歓迎したわよ。」
「でもそれをしたらきっと俺達は今の関係のままいられなかったはずだ。お互い目指す所もあって明白な目的もできた。昔のその選択肢をしていたとしたら恐らく俺達は全員後悔していたと思う。」
「それをあの子にも同じ事が言えるのかしら?」
「……山茶花の事か?」
「そうよ。あの子は病によって、記憶障害が起こって記憶をなくした。結果的にあなたが望んだ事なら私達はあなたにとっていいこまだったかもしれないわね。」
「……やめてくれ。俺はそんな事1つだって思った事がない。そんな事を考えていたのならここにはお前達の事を蹴落とす意味で帰ってくる。なのに美森姉はそう言う事を言うのか?」
「……冗談よ。今日はやけに騙されてくれるわね。」
「嘘なのかよ。最近達の悪い冗談が多いぞ。」
「そうしないとコレまでの関係性がちゃんとあるのかどうか不安になるのよ。」
「もしかして、さっきのキスのも自分自身を誤魔化してなのか?」
「それは本気のキス。そんなので誤魔化すわけないでしょう。だから本当は一星にこのまま私の事を色々と考えてくれて、悶々としてほしかったのよ。」
悶々って……まるで自分の事をもっと考えて欲しいみたいな事を言うんだな。
「……十分に悶々としているんだけどな。」
「え?それって!私事を意識してくれてるって事でいいのよね!」
「いや意識するも何も…急にキスなんてされたらそうなるだろう。」
「いやいや何とも思ってない相手だったら意識なんてそもそもしないし相手にもしないわよ。それが今の私にときめいてくれるのなら感無量だわ。」
「頭の中お花畑か…いいか?別に今の状況で美森姉の事を好いたり特別にとかそんな風には思っていない。今この段階だけ美森姉の事をちょっとは意識してるかもしれないって話しだ。」
「それって認めてるようなもんじゃないの?ふふ、素直じゃないんだから。」
もう何がなんだか…勝手に怒ったり勝手に機嫌が治ったり…自由気ままな奔放スタイルだから今の美森姉に何が起こってるのかさっぱり分からない。
「はぁ〜もういいや。もう今何を言っても意味がないと感じたしもう寝るわ。」
「ええー!まだお話し足りないわよ。ねぇもう少しお話ししましょうよ。」
「俺はもう寝る。おやすみ。」
そのまま美森姉を無視し美森姉とは顔を合わさずにして眠る。
正直キスされての違和感が口元に残っててあまり眠気が来ないんだが、無理矢理にでも寝ればそのうち眠れるはずだ。
このまま目を瞑っていれば…
……5分後
「ぐ〜すぴ〜」
「え?もう寝たの?寝つき良すぎないかしら?というよりも私が隣にいるのに何でそんな平然と寝られるのかしら?……え?もしかして本当に私意識されてないとかなのかしら?だとしたら私に魅力が感じられない!?ま、まずいわねコレは……早々に何とかしないだわ。……にしても。」
美森は平然と寝ている一星の隣で一星のほっぺをツンツンとつつく。
「……昔の私は確かにおてんばだったけれど…山茶花よりも前からあなたの事を意識していたのよ。その点ちゃんと理解しているのかしらね。……はぁ〜何でこんな男に私の未来を託す事になっちゃったのかしらね。……私の足…ちゃんと守ってよね私の王子様。」
………そうして色々あった1日の彼氏彼女ごっこでのアイシテルゲームは幕を閉じお互い仲直りしつつ次の段階とする美森の足の病について…一星と美森はとある施設の病院へと行く。
「はぁ〜丸々1日を使って…仲違いしていたのをようやくもって自分達の昔の遊びでのセオリー通りをやって何とか仲直りできた。まぁそこまでは別に良しとしよう。君達の関係を特に疑うとかそういった事はしない……でもねなんだその……内容がね。正直言って生々しいんだよね。わかる?聞かされるコッチの身にもなってほしいんだよ。」
いや聞いてきたのはあなたですけどね。
しかもそれをペラペラと話しているのは俺の幼馴染である年上…
「へへ〜そうでしょうか?でも私はそのおかげで、一星とちゃんと心置きなく信用する事が決まったんですよ。」
そしてニヤニヤしながら話す美森姉は何でこう屈託のない笑顔なのだろうか……何も咎められないというのがまた困る話しなんだよな。
「はぁ〜そうなのね。……側から聞いてるもう1人の幼馴染は相当恥ずかしがってるようにも見られるんだけどね。」
「そりゃあそうよ。だって色々と恥ずかしい事をしたんだものね。」
「主に美森姉だと思うんだけどね。……それよりも本題に入ってもいいですか?俺の血で本当に美森姉の足は何とかなるのですか?」
「すぅ〜はぁ〜……ああ。一時凌ぎではあるけどね。少なくとも一生走れないって事はない。ひとまず血清を作ってどこまでいけるか試さないいけない。とりあえず30分時間はもらうよいいね?」
「はい。」
「ああ。」
平川先生に言われた通りにした俺達はそれぞれ間を空けてお互いの血を平川先生から採取してもらい血清を作る研究をしてもらう。
しかしそれで本当に何とかなるのか?
だとするなら他の幼馴染にもそれが有効なんじゃないのだろうかと生半可な期待をしながら平川先生からの成果を聞く。
「いやぁ待たせたね。それじゃあ研究成果を伝えるよ。心して聞く様にね。君達の血を採取して得られた研究成果なんだが…」




