彼氏彼女恋人ごっこ
とは息巻いてみたものの…別にそこまでする必要はあるのかと思いつつ美森姉のご機嫌どりの為にと言うよりもお互いの仲を取り戻し為…昔ならではの2人のちょっとした大人の遊びが始まる。
「じゃじゃん!」
「いや美森姉…ちょっとそれは…」
「何よ。もしかして照れちゃってるのかしら?しかし困ったわね。いくら彼氏彼女という関係でも一星なら私の事をちゃんとした幼馴染で見てくれると思っていたのに……そんな邪な目でみられちゃったらね。」
何が邪な目だ。
思いっきり際どいラインの格好じゃねぇか。
俺じゃなくても他の男子から目移りするっての…
「それで俺に裸エプロン?みたいな格好で誘惑してくるつもりなら大間違いだぞ。既に俺は美森さんの対策はちゃんと講じているんだからな。」
「ならどうして、この格好で動揺みたいな声をだしたのかしら?それって邪な目で見ていたからじゃないの?」
「誰だってそんな格好すればビックリするだろうよ。なら美森姉は俺が半裸一丁になっても気にならないって言うのかよ。」
「……半裸一丁の一星。……見て、見たいわね。」
「顔を赤らめながら真剣な顔で何を言ってるんだ。そんな事したらこの部屋でやばい絵面になるだろう。」
「でもこの勝負はどっちかが折れるまでの勝負なんだから…私にドキッとしてしまったら負けなのをちゃんと覚悟しておいた方がいいわよ。」
「………え?ちょっと待て何で勝手にゲームみたいな形になってるんだ?ただ彼氏彼女として振る舞うだけの話なんじゃないのか?それで許してくれるって話だろう。」
というよりも俺の自虐のせいで勝手に美森姉が怒っていただけにすぎないんだが……その不愉快差が気に入らないからこの遊びに付き合ってあげる代わりに許すって…あまりにも理不尽な話だよな。
それを本人はどう思ってるかは知らないが……今度どう言った気持ちなのか聞いてみよう。
「それだと面白くないじゃないのよ。やっぱり私達ももう大人なわけだし…ちょっと危ない遊びをしてもいいと思わないかしら?」
「それは美森姉の見解だろ。俺は別に普通の彼氏彼女としての役割での範囲内でやるなら問題ないと思っている。お互い境界線を越えなければいいだけだと俺は自負しているつもりだ。だからそんなくだらない遊びをしなくても…」
「じゃあ試してみましょうよ。本当にそういった気持ちで自分の気持ちを押し殺せるつもりなら…私の色々な手口を使っても乗り越えられるでしょう。」
何か勝手に決めて、勝手に判断されてないか?
コレって既に美森姉の手のひらで転がされていないだろうか。
いやまだそう決まったわけではない。
コッチが美森姉を押し倒せばそれでいいだけの話。美森姉には絶対に何処かしらのスキがあるはず。
それを俺が決めればいい。
「……分かった。もうこの状況で後戻りはできない。覚悟しておけよ。吠えたら欠かせてやるからな。」
「あら怖い怖い。とても目の前にいる裸エプロンの女の子に言うセリフじゃないわね。」
「ふん。どうせエプロンの中には水着か何か着てんだろう。そうやって薄着になって俺を動揺させるなんて浅はかな!?」
そう言ったつもりで論破してやろうとしたのだが…美森は自身の体を一回転して自分の今の姿を晒す。
「はい。残念でした水着じゃなくて、残念だったわね。」
「み、みみ、水着じゃなくてもタチが悪いっての!何故上半身下着なんだよ!尚おかしな話だろう!恥ずかしくないのか!」
「………」
美森は一星に言われ今思うと恥ずかしくなってしまったのか、顔を真っ赤にして赤面する。
「図星かよ。恥ずかしいならやらなきゃいいのに…」
「う、五月蝿いわね!別にいいじゃない!ここ私の家なんだから。」
「じゃあ家ではしょっちゅうそんな格好でうろついてるのか?それって、ただの痴女ってててて!」
「わ・た・し・が!何ですって!」
「いへへへへ、にゃ、にゃんでもありましぇん。」
正直過ぎた感想をいったせいか、美森姉は俺の頬を思いっきりつねりながら苛立ちをぶつけてくる。
「全く…誰の為にやってると思ってるのよ。」
「ん?それって俺の為って事か?え?だったら美森姉は俺の事を意識して…」
「うわあ!うわあ!うわあ!な、何でもないわよ!そう!コレは彼氏彼女としての勝負。あなたにドキッとさせる為にやってる事って意味で言ってたのよ。」
「わ、分かったからあんまり動かないでくれるか…その目のやり場に困るというか…」
「な、なによ!私のこの姿に何かいちゃもんでもあるわけ!スタイルだって抜群にいいのよ!」
「だあ!そう言う事じゃない。というかそんな話ばかりしていてとただの堂々巡りにしかならないだろう。もういいから裸下着エプロンはいいから着替えてこい。」
「何を言ってるのよ。コレは裸じゃなくて、下着エプロンなのよ。そこ間違ってるから訂正なさい。」
「何を冷静に裸エプロンの定義みたいな事を言って訂正してきてるんだ。どうでもいいわ!」
あまりにもインパクトのある姿にお互い恥ずかし差を堪えつつもどうにかして乗り越えて次の勝負?のステップへと入る。
といいつこのままじゃ落ち着かない為どうにかして気を紛らせる事をしなくてはと…美森姉の思うツボにさせるわけにはいかないと思いこのまま俺たちの勝負は続行された。
「でもまぁさすがにこの時間帯でこの姿はないわね。普通に昼時だし意味ないわ。」
じゃあ何でその格好をしてきた?
「お昼お昼……!!ねぇ私今いい事思いついたんだけど、私の話にのってくれるかしら?」
「ロクでもない事ならのらないからな。」
「今日1日は私の彼氏なのよね?なら彼氏らしくちゃんと振る舞ってもらえればそれでいいわ。」
「あ?……ああまぁそう言う事なら…」
もしかして学園で他の男子に対するアピールか?
でもそれはもう勝手に噂が広まってどうにかなったて感じはするんだが……まぁ別れてしまったという話にもなっていたしな。
学園の中でまた俺達の関係を吹聴したいのだろうか?
「……よしっと。それじゃあ一星今からある場所へ向かうわよ。そこでランチしましょう。」
「え?ああ、分かった。」
「ふふ、楽しみね。みんなどんな顔をするかしら。」
「みんな?」
ランチで皆んなに見せつけるって話しなのか?
でも楽しみとはどう言う事だろう。
とりあえずはちゃんと美森姉の従順通りしよう。
しかしこのランチという意味合いがまさかのみんなという人達に俺達の関係性を見せびらかす事になるとは思いもせず…とある皆んなに俺達の今の在り方を見て聞いて驚く。
元バイト先のファミレス
「…………」
…………
あ、圧が凄い。
「え?何々?何なのあの修羅場…あそこだけやたらと雰囲気が怖いというか…」
「おいおいまさか神楽坂のやつあんな可愛い子達と仲が良かったのかよ。……クソ!もっと仲良くしておけばよかったぜ。」
「本音がダダ漏れよ島津川君。……にしても本当に可愛い子達ばかりね。大学での見学でみた子達もいたけれど…レベルが高い子達ばかりよ。」
「美咲さん。」
「何?」
「もし自分があの立ち位置になった場合どう思いますかね?」
「クズで最低で女垂らし野郎今すぐ目の前から消えてほしいわね。」
「………そ、そうですか。」
そう言われて心に来てしまったのか…若干例えでも聞いておいて良かったと島津川は心の中でそう思った。
でもどうしてあの子にそこまで人気なのかが分からないわね。
確かにカッコいい所はあったけれど…美森ちゃんに続いて女の子がまさかの5人か…いやまぁファミレスで3人来ていたからもしかしてとは思っていたけれど………何やら不穏な気配だけがあの席に漂ってるわね。
「ねぇ美森ちゃん。私達なんでここに集められたの?単にお昼だけなら分かるんだけど…」
「ええそうよ。単なるランチの時間よ。ねぇ一星何から食べようか。私はねコレとコレと…」
「いやいやそんなに食べられないだろう。」
「大丈夫よ。お互いシェアし合えばいいんだから、2人で半分こにして食べましょう。」
そういいながら美森は一星の腕に絡みつつ自分の胸を押し当てる。
それを目の前にいた幼馴染達は自分達は何を見せられているんだろうと思いながら2人に指摘をする。
「そういえば2人とも喧嘩していたんじゃないんですか?何かまるで恋人の様に接してませんかね。」
「そうかしら?」
「そうですよ!」
バン!
川兎は勢いよく両手をテーブルにバンとしながら立ち上がりより感情を面にだしながら注意をする。
「川兎ちゃん。声大きいよ。」
「あ、そのごめんなさい。………抜け駆けですか?」
「うん?何の事かしら?」
「それですよ!それ!何で美森さんは神楽坂君の腕を絡んでいるんですか!普通恋人じゃないとしませんよね!」
「え?私はよくしますよ。」
「海未ちゃんは黙ってて!」
横入りしてくる海未に宇佐木田さんは思いっきり睨みつけながら余計な事は言わなくてという様な感じで訴えながら海未は視線を泳がせながら横目にしてスルーする。
「ほら〜海未だってしてるじゃないのよ。別に恋人じゃなくてもする事なんだからそう気をたてないの。」
「だとしてもですよ!何で真っ先に2人は私達の真ん前に座るんですか!そっち側へ行かせないようにしながらわざわざそこからの席を埋めるかの様にしてスペースを遮るし…まるで私達の事を見てと言わんばかりの行動ですよ。」
川兎ちゃんの言い分もわかるんだよね。
確かにこの前まで私が告白したのに2人が付き合うって流れはおかしな流れ…何かしらの美森ちゃんが揶揄ってる可能性はあるけれど…下手に質問をすれば揶揄われちゃうんだもんね。
ここはひとまず様子見…
「うんそうよ。あなた達に私達の関係性を示そうと思ってね。」
「美森様それはいったいどう言う事ですか?単に仲が良くなったという話しであれば私が1番にイックンと仲がいいですよ。」
どんな根拠なのよそれ。
海未の下手な根拠に惑わされないみんなはそのまま美森の言葉の理由を知りたがる。
しかしその理由を聞く前に本人がそのまま口にする。
「私達仲直りを含めて付き合ってるのよ。ごめんなさい。」




