山茶花のお節介
次の土曜日…山茶花に言われて俺はある場所へと行ってほしいと言われその場所へ地図アプリを送られて向かった。
しかしその場所はどうにもみた事のある場所で俺はまさかなと思いながら山茶花からのメッセージを再度見る。
[覚えてるかどうかは分からないけれど、多分懐かしい場所だから気兼ねなくインターホーンを押していいからね。きっと本人も喜ぶと思うし…それじゃあ良い休日を……PS:次は私の我儘を聞いてもらうからね。]
などととんでもないメッセージを送りつけられて未だに困惑してしまう俺はこの誰かの家なのかを頭の中でよぎりながらそのままインターホーンを押す。
すると…
ピンポーン!
「はーい。」
やはり聞き覚えのある声。
コレは間違いなく…
ガチャ…
「は〜い。どちらさま……な!?」
「……よ、よお。」
「ど、どうして一星がここに!というより私の家の場所覚えていたの!」
やっぱり美森姉の家か…山茶花の奴何が私に任せとけだ。
無茶苦茶気まずいんだが…
「………!?」
美森はなぜか自分の服元が気になったのか自身の太もも部分を服で隠そうとする。
「な、何してるんだ?」
「み、見ないでよ変態。」
えーーー!
不可抗力だろう。
何で俺が変態扱いされるんだ。
てか自分の今の姿の方が明らかに…
「あ!今私の格好が露出が多いから私の方が変態とかそう思ったわよね!」
「お、思ってねぇよ。」
「嘘よ。目がエロかったわよ。」
「俺じゃなくても他の男子ならそう見えるだろうよ。」
「……な、何よ。私の体で欲情しないってわけ!」
「やめんかい!今ここが何処か分かってて言ってるのかよ。周りに誤解されるだろう。」
そう聞かされ美森は自分家の周りを見渡しハッとしながら一星を家にいれる。
バタン!
「はぁはぁ…いい私達が誤解のある形でないという事だけはハッキリ言わせてもらうわよ。」
「言われんでも分かってるっつうの。」
「な、何よ!少し気にしないさいよ!」
「はぁ〜〜?」
もう意味のわからない会話をしながら美森姉がいったいどうしたいのかが俺にはさっぱり分からなくなってしまった。
「まぁ家での普段着はそれでいいがあんまし外でそういった格好はするなよ。」
「え?どうしてよ。」
「いやその……嫌だろう何となく。」
「へ?」
美森は一星の何となくという言葉に少し違和感を感じて、もしやと思いながら一星の顔を下から覗き込みニヤける。
「ふ〜ん。へ〜。ほ〜。」
「な、なんだよ。」
「そっかそっか……まぁ一星が言うならなるべくこう言った格好は控えておこうかしらね。……何せこの格好だと効果覿面みたいだし…」
「何を想像したかはわからないが、別に美森姉の貧相な体にドギマギとかしたわけじゃないからな。」
「どう言う意味よ!」
「そのままの意味だよ!」
「どこをどう見たら貧相なのよ!このナイスバディな体を見て何処が貧相だって!」
「………いややっぱり言うのをやめる。」
何か言ってしまったら、俺が変態扱いされそうでやばい。
「ふん!やっぱり言えないじゃないのよ。正直訂正してほしいわね。……っとこんな話で無駄な時間を浪費してる場合じゃないわね。何しにきたのよここに。」
「山茶花に言われるがままここに行ってみればと言われたんだよ。」
そのまま一星は美森に地図アプリを見せ自分の家が表示されているのを確認する。
「………私の家ね。」
「やっぱりか……薄々そんな気はしていたけれど…何で山茶花は俺にここへ向かうよう指示してきたのか未だに分からん。」
結局の所仲直りするというプランみたいなのすらたてられてない状態でここへきたんだ。
美森姉からしたらマジで意味不明だよな。
「山茶花がここへ来るよう指示をしてきたね〜……もしかしてだけど、あなた私達の喧嘩した事あの子に話した?」
「……ああ、ちょっと相談できたらなと思ってついな。」
「ついって……はぁ〜だからあの子がいらぬお節介を焼いたわけね。大体想像がついたわ。」
「想像?いったいなんの?」
「………癪におちないけれど…上がっていく?うち今家族が親戚の家に行ってるのよ。だから今家は私1人よ。」
おいおいなんなんだその言い方は…まるで入ってもいいけど?みたいなニュアンスでどうするかの選択肢を出さないでくれ……しかも現状俺の選択肢はこう出す他ないだろう。仲直りする為にも…
「あ、ああ、じゃあ上がらせてもらう。」
「……エッチ。」
「なんでだよ!」
まさかのこの選択をして俺にエッチという言葉が美森姉から出され…じゃあどう選択すればいいんだと心の中でそう叫ぼうとしたが……やっぱりやめて心を落ち着かせた。
と言うよりもここから平常心を保ちつつ美森姉とちゃんと話さなければならない…言ってしまえばコレは山茶花からくれたチャンスとでも言うべきかな。
一応アイツには感謝だな。
「リビングで待ってて、今のお茶持ってくるから。」
「あ、ああ。」
リビングねー………ん?
この写真…
「はは、懐かしいな。」
俺はリビングの端に置いてある家族写真を見て楽しそうに笑っている美森姉を見る。
なんともまぁ健気というか…今の美森姉とはかけ離れているよなやっぱり…
「しかし何でこうも一変したんだろうか…」
「私の昔の写真を見てな〜にぐちぐち言ってるのかしら?」
美森姉がお盆にお茶の入ったコップを持ってきて、俺の前へ置いてこようとする。
しかし…
「あ!」
美森姉は躓いてしまいコケそうになるのを俺は咄嗟に反応して美森姉の体とお盆を支える。
「だ、大丈夫か?」
「え、ええ…あ、ありがとう。ギリギリセーフだったわ。」
美森姉がつまづいた?
ほとんど何もない場所でつまづいてこけるなんて…いやまぁない事もないかもしれないが……
少し妙なんだよな。
「ね、ねぇ一星。あなたいつまでそうしてるのかしら?」
「え?……あ。」
美森姉を抱えているつもりで助けたんだが、いつのまにかお尻の方に手を当てていたらしく、バランスで腰を抱えていたつもりがお尻の方までズレていたらしい。
「す、すまん。わ、わざとじゃないんだ。」
「………」
コチラをジト目で見てくる美森姉。
うっやましい事はしてないというのに地味に心にくるな。
「はぁ〜もういいから離してちょうだい。そもそもあなたにそんな度胸なんてないものね。ヘタレさんだから私を押し倒そうなんて考えそもそも起こらないものね。」
「こ、コイツ…」
馬鹿にしてる事だけはわかる。
そして挑発していると言うことも…
……いやいやこのまま美森姉のペースに乗るわけにはいかない。
ちゃんとコチラの言い分を聞いてもらって、美森姉の足をどうにかするんだ。
「美森姉。途端の事で驚いたかもしれないが、美森姉に話がある。」
「……私もあなたに話があるわ。」
「美森姉が俺に話?……この前の事か?」
「ええ、とりあえずソファに座ってくれるかしら。」
「ああ。」
そう促され俺はソファに座る。
しかしここである疑問が浮かぶ。
目の前にはテーブル1つ。
ソファはここに1つしかない。
……どうやって面と向かって話すんだ。
向こうが床に座って話すというのなら分かるが…でもそれじゃあお互い対応に話せやしないはず…
じゃあ美森姉は何処に座ってくるんだ?
ポフ
「え?」
「何?」
「いや、何でその…隣に座ってくるんだ?」
「はい?じゃあ私に床で座って話せっていうのかしら?」
「そうじゃないが…コレじゃあ話し辛くないか?」
「別に何処をどう言う風に話すなんて話しはしてないでしょう。もしかして私と隣にいるのが恥ずかしいとかそんな風に思ってたりして…」
「いやただ単に不自然なだけで、そんな風には思ってない。」
「……ねぇ一星私前々から思っていたんだけれど……あなたちゃんとついてるの?」
「は?」
「いやだから男の子としてちゃんとついてるのかって話をしているのよ。」
「待て待て…突然の下ネタすぎて…戸惑ってしまっているんだが…美森姉今自分が何を言ってるのか分かっていってるのか?」
「私はあなたの心配をしているのよ。こんな丸々剥き出し状態の私を見てなんとも思わないわけ?スタイル抜群で出てる所は出ている超絶美人なこの私に対して何も思わないのかしら。」
それはあからさまに遠回しな感じで褒めてほしいとな欲情しているとかそう言わせたいのか……昔の美森姉とは本当絶対に言わないセリフだよな。
「はぁ〜その前にその自分が美人という自覚は改まった方がいいぞ。」
「な!?それは私が美人じゃないっていいたいのかしら。」
「そうやって、ほほを膨らませるな。山茶花じゃないんだから分かるだろう普通……てか察しろよ。」
「いやよ。何で私があなたみたいな鈍感男に気を遣わなくちゃいけないのよ。そもそも普通の男子なら今頃オオカミになって私の事を襲っていたわよ。」
「……それは俺に襲われたいという願望か?」
「ち、ちち、ち、違うわよ!世の中男子なら私に釘付けだからそうなっても仕方がないって話をしているのよ。」
その発言もどうなんだろうな。
それは誰でもよくなるという事になってしまうんじないか。
「あのな~そんなどうでもいい話しをしにきたんじゃないんだ。美森姉ここからは真面目に話さないか。」
「一星……そうね。悪ふざけも大概にしないといけないわね。……ちょっと楽しかったしね。」
「え?今なんて…」
そんな寂しげな顔をして俺の手をそっと絡んでくる美森姉。
そしてゆっくりと顔を上げトロけきった顔をする。




