仲直りする方法
帰宅途中
「………偽善者…自己犠牲。まぁ確かにそうかもしれないな。でもそうしなければアイツらを助けられる事ができないと思ってここまできたんだ。なのになんなんだよ美森姉のやつ…何であんな言い方を…」
「それは私が教えてあげようか?」
「うわ!さ、山茶花。それに海未も!な、なんでここに?」
「イックンこそ何でこんな所に?というよりもあの廃墟を潜り抜けてきてたよね?もしかして…」
「ああいやその…」
俺は一昨日あった事を2人に話し2人は特にこれといった反応はなく何となくな顔をして納得した。
「あ〜美森ちゃん。やっぱりここへ連れてきちゃったんだね。今日久々に早まった診断があったからなんでだろうなって思っていたけれど案の定だったね。」
「うんうん!私もだよ。やたらと質問が多かったからめんどくさかったよ。そうか…美森様がね。……え!?じゃあ私達の事も色々と根掘りほほり聞いたんじゃ…」
「根掘り葉掘りね海未。」
「ああそうでしたそうでした。」
「いやお前達の事に関しては…海未の事と林音の事以外についてを話しをしたかな。ああ〜あと宇佐木田さんもだ。」
林音の方はちらっとしか聞かなかったからアレはノーカンかな。
「それって、モロ私以外の事は話を聞かなかったって事なのかな?」
「そう思ってくれて構わない。」
「ふーーん。……で美森ちゃんと何があったわけ?放課後美森ちゃんを見かけたけど、相当ご立腹だったよ。」
「………」
「話したくない?」
「……なぁお前らからして俺って偽善者か?」
「え?」
「どうしたんですか急に?」
「美森姉から俺はお前達からしたらただの偽善者で…自己犠牲野郎だってそう言ってたんだ。」
山茶花と海未はどう言う事?みたいな反応をしつつお互い顰めっ面をしながら疑問を浮かべ…先に山茶花が俺に質問してくる。
「何があってそう言った経緯な話になったかは知らないけれど…私達がそう言ったって美森ちゃんがそう言ってたの?」
「いやそうじゃない。お前達は今までの俺に対してどう思ってたのか気になって聞いたんだ。美森姉に言われたからこういった質問をしたわけじゃない。」
言われたではなく指摘されたといった方がこの場合正しいかもしれないが…そこはまぁひとまず置いておこう。今問題すべき点は山茶花達が俺に対してどう思ってるかだ。
「だとしたら答えはノーだよ。なんでそんな事を急に気にしたのかな?」
「そうですよ。私が知ってるイックンはそんな弱気な人間じゃありません。いつも堂々とした人です!そこは自信を持ってください。…って言われて納得なんかしませんよね。」
「いや励みになる言葉としてなら受け止められるよ。」
「励みになるか……何だか相当気にしてるみたいだけど…何処か寄っていかない?ちょっと話ておきたいんだよね。さっき言ってた星くんの言葉でのお返しもまだ言ってないしね。」
そう言えば俺の一言に山茶花が反応して教えてあげるとか何とか言ってたな。
じゃあ今までの説明をする意味なんてなかったんじゃないのか?
何か俺の言葉に意図する理由がわかっていたって言うか……山茶花の奴どこまで分かってて発言したんだ。
そのまま俺達はバータスの喫茶店へ行きそれぞれドリンクと食べ物を買ってテーブル席へと座る。
「うーーーん!やっぱりトッピングしたカルミカルモカキャフェ美味しい〜」
「あ、私のも美味しいですよ山茶花ちゃん。」
「本当美味しいそうね。抹茶リフレッシュクリームインパクト……そっちも中々捨てがたい。ねぇ星君。」
「え?ああそうだな。……てかあんましこういうとこ来ないからすんごい新鮮なんだが…」
「まぁまぁこう言った場所こそ…本音を語り合えるってものなんだよ。……多分。」
「多分かよ。」
「まぁまぁイックンはコンを詰めすぎなんですよ。ちょっとは楽になりましょうよ。」
「それは俺の事情を理解して言ってるんだよな海未?」
「いえ全然」
「知らないのに適当に答えるんじゃないよ。」
「はいはい海未はちょっと黙っててね。今は大事な話をしてるんだから。」
そう言われてそっぽを向く海未は買ってきたドリンクを飲みながら不機嫌そうにする。
「でたけど、星君。美森ちゃんが星君に対してそう言った発言をしたのはね…自分の事をもっと大事にしてほしいからなんだよ。」
「あ?俺はちゃんと自分自身の事を考えているぞ。それに伴ってお前達の事も理解しているつもりなんだが…」
「うんうん全く分かってないよ。星君は現状私達の事で色々としてくれているっていうのは分かってる。でも単に私達が星君に復讐していて鬱憤を晴らしてるわけじゃないんだよ。」
「は?じゃあいったいなんの為に復讐をしていたんだ。お前達本来の姿というべきものはちゃんと前を向いて見てるつもりなんだが…」
「つもりだけじゃあ意味がないんだよ。私達は星君との時間をちゃんと大事にしたいと思ってるし…何なら幼馴染としての時間を有効活用したい…でもね、どうしようもできない事だってあるんだよ。
今回私が星君にしてもらった事はとても感謝しているよ。
昔の私と今の私による選択ができた事…コレってどっちかが生き残ってどっちかが死ぬって話しになるもんね。
実際の所昔の私は死んで今の私がいるって形にはなってしまったけれど…それでもちゃんと昔の私はここにいるんだって理解できる。
だからね星君がいまのまま美森ちゃんを助けようとしている気持ちのままだと…多分もっとややこしい事になるかもね。」
「……だとしたらそれは大きな勘違いだな。俺は別に何もしていない。お前が勝手にやって、勝手に克服しただけだ。
俺が何かしたとかそういうは何もないと自負している。」
「そ〜れ〜だ〜よ。全く星君はもっと自分の事を過大評価すべきだよ。……って今そんな話は関係なかったね。
とりあえずちゃんと美森ちゃんと仲直りしてね。じゃないと美森ちゃん頑固だからいつまで経っても謝ってくれるまで話しちゃくれないよ。」
「いや俺に卑下があったとかは絶対ないと思うぞ。アレは勝手に……」
待てよ。
この感覚何か昔を思い出す。
確か何かで美森姉と喧嘩した事あったけか?
何で喧嘩して仲直りしたのか全然思いだせない。
でもお互いちゃんと謝って仲直りしたという事だけは何となくだけど思いだせる。
「………」
「どうかしたんですか?イックン何だか浮かない顔をしていますが…」
「2人も俺昔に美森姉と喧嘩した事ってあったけか?」
「昔にですか?……いっぱいあったと思いますよ。」
「うん。でも主に私が原因だったりするかな。なよなよするな!とかもっとシャッキリしろとか言われて頑なに何度も同じ事を言われたっけかな。……でもそんな時星君がよく私を庇ってくれてたもんね。」
「そうだっけか?」
「そうだよ!もうそう言う所もポイントとして駄目な部分なんだからね。」
「何のポイントだよ。……でもそれじゃあないんだよな。俺が美森姉と喧嘩した理由…とてもじゃないが些細な事で勃発した…何かそんな気がするんだよ。」
「………あ!もしかしてアレじゃないですか。美森様がイックンなしに相談してきた事がありました。確かえ〜と……私の事をもっと見てほしい…とかだったような。」
「あ?ちゃんと見ていただろう。仲間として、チームとして……ん?チーム?」
そうだ。
確か仲間がバラバラになる話をしたのを先に美森姉に話した事があった。
俺がいなくても後の事を任せられると思い込んで頼んでみたけれど…なんだかやるせない顔をして嫌な顔をしていたっけか。
そんで俺の胸ぐらを掴んで殴られた気がする。
正直アレが1番痛かったな。……心が…
「もしかして美森姉も俺が引っ越す事に対して別の意味で切れていたのか?……でもアレは仕方なしだったから本人は納得して謝ってきたはず……いや違うか…そもそも美森姉は何か俺に伝えたかったんだ。それを俺は無理矢理美森姉にさよならを言った。」
「原因は分かんないけど、美森ちゃんがそれに対して怒っていたのかまでは分からないね。でもあるとしたら美森ちゃんと星君の間にある何かだよ。」
「分かってるさ…でも美森姉とどう謝ったらいいか……もう全然わかんねぇ。てかこんなに悩んでるのに何で喧嘩になってしまったんだよ。そもそもあんな勝負がなかったから普通に上手く行ってたかもしれないのに…」
「あ…その話なんだけど、美森ちゃんが勝って、美々ちゃんが負けた話…多分内容的に揶揄っていただけだと思うよ。」
「は?何でそう思うんだ?」
「何でと言われたらちょっと根拠という部分はないんだけど…気持ち的にナイーブになってしまって試合に影響するのは確かにあるかもしれないね。でもそれって自分の気持ちに嘘がないって事にもならない?」
「……すまん。今の心理的すぎてよく話がわからないんだが…」
「単純に考えてよ。今の例えであって、やる気持ちを作ればいいって話し…だから私に考えがあるの。」
「考えだって?……嫌な予感しかしないんだが…」
「ふふ、大丈夫大丈夫。……うーんとそうだな〜〜うん今回は私達からのサービスで、美森ちゃんには大奮発してあげる。正直ライバルに塩を贈る形で嫌なんだけど…美森ちゃんの暗い顔もみたくないしね。」
「お、おい。何勝手に話しを進ませてんだ。いったい何を言ってるんだ。」
「星君。今度の土曜日楽しみにしててね。きっと美森ちゃんは私に感謝するはずだから。」
「???」
美森姉が感謝だって?
俺が山茶花に感謝じゃなくて、美森姉が山茶花に感謝?
やばい…もう完全に嫌な事しか起こる気配しかなくて、とても心配しかしないんだが…




