付き添いマネージャー?
放課後俺は朝方兎川に正門前で待っておいてくれと言われ兎川が来るまで待っているのだが…
「やばい物凄い視線の圧がいたたまれないんだが…」
この状況で兎川を待つのはやっぱり精神的にも応えるな…一応顔に出さない様に平成を保ってはいるがいかんせん教室での男子からの嫉妬というなの絡みを上手く避けてここまできたんだが…
「………」
未だに俺の事を妬ましく思っているのか物凄い形相でまた絡まれそうな気がする。
「はぁ〜これじゃあ俺友達一生できないんじゃないんだろうかこの残り2年間…」
「え〜と、何この妙な不穏な空気…」
俺1人正門前で待っていたのをようやく迎えに来る兎川。しかし迎えにきた事で周りからの発狂が一斉に増す。
ひょええええ!!!
うひょへへへへ!!!
神楽坂死ぬべし神楽坂死ぬべし神楽坂死ぬべし死ぬべし神楽坂死ぬべし神楽坂死ぬべし神楽坂死ぬべし神楽坂死ぬべし…
「何だか物凄い学園中が発狂しているんだけど…というより何か神楽坂君に対する呪詛みたいなのを言ってる人もいたりしてないかしら?」
「そ、それよりも早く行こう行こう、ここにいたら俺命がいくつあっても足りなくなる。」
「え?本当に何があったの?」
ひとまず兎川がいない間の事を話すのをはぐらかした俺はそのまま駅へと向かって兎川の行くレコーディング会社まで足を運ぶ。
ガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトン!
ピロリン!
「コレが私のIDと番号ちゃんと登録しといてね。」
「…………」
「どうかした?」
「いや……その……」
何だ学園の有名な5人まだ3人しか知らないが、そういう奴は動物アイコンを使うのが当たり前なのか?これまた個性的な動物だし…
「なぁこの動物のアイコン…」
「可愛いでしょう〜私ペンギンが大好きなの、だからアイコンはペンギンにしているのよ。」
「うんそれはいいんだ。それはな…」
「?もしかして何かおかしな部分でもあったのかしら?」
いやありすぎるだろう、何でビックリした感じの…しかも妙にブサイクな顔をしたペンギンをアイコンにしたんだ。明らかに受け狙いで選んだとしか言いようがない…てかコレに関しては兎川の相性とかほぼ関係ない立ち位置にあるなコレ…単純に好きだから選んだだけ…ならアイツらのアイコンも好きで選んだだけ…
「ぐぬぬぬ…」
「どうしたの?何だか難しい顔をしちゃって何か顰めっ面をするほど変な物とかあった?」
「ああ〜何でもない何でもない。」
「何そのやる気のない相槌は、妙に気になるんですけど…」
「そんな事よりも、これから向かう場所なんだが、ちゃんと俺の事は話を通してもらってるんだよな?」
「ええ、勿論よ。私に任せれば簡単に話が通ったわ。是非皆んなも会いたいって言ってたもの。」
何故そんな自身まんまんに威張ってるんだ。しかも是非会いたいっていったいどんな説明をしたんだ。
「本当に大丈夫だよな?何か変な目で見られるなんて事はないんだよな?」
「もう大丈夫だったら大丈夫よ。レコーディングする場所に着いたら嫌でも私の説明がちゃんとしていたって事をその時になって崇めたててももう遅いんだからね。」
「何故俺がそこまでお前に尊重しないといけないんだ。てか頼み事をしてきたのはお前だろ?普通に順序として立場は逆だと思…」
「あ到着駅に着いたみたいね。ここから直ぐ近くの場所だから歩いて数分で着くわよ。」
「いや人の話し聞けよ…」
無理矢理話しを捻じ込ませられた兎川に俺達はそのまま到着駅に降り兎川の歌を録る為のレコーディング会社へと赴く。
「うわ…でっけぇ……」
装甲ビルと言っても過言じゃないほどのデカさで60階ぐらいの高さがある。兎川が聞く話しによれば相当な有名なレコーディング会社であり、俺もよく耳にする事もたまにある。
ピピ!
[認証一致しました。どうぞお入り下さい。]
「え!網膜認証!なんてハイッテクなビルなんだ。てかレコーディング会社なのに網膜認証って意味ある。」
「最近はなにかと物騒なのよ。だからこうやって警戒態勢を怠らない様にして、それぞれのセキリュティー装置を持たなくちゃならないのよ。」
「なのにストーカーがいるかもしれないって…それは最早セキュリティーの意味とはなってならないか?」
「外側のセキュリティーは万全だけど、中に関しては何故かこの会社スカスカなのよね。だから心配で私は神楽坂君にお願いしたの。」
「………うーん、どうにも解せんな。」
セキュリティーが万全な会社なのに中はスカスカってそれは警備の見直しが必要なんじゃないのか?そもそもストーカー対策とかこの会社ってどういった対処法をしているのかその部分も聞きたい節がある。
ピコン!
中へ入った俺達はエレベーターが降りてきたのと同時にそのままエレベーターへ乗りレコーディングとするベースの階30階へとのぼる。
グィーーン!!
「それで?設定上俺はどんな風にお前と接すればいいんだ?」
「そこはぶっつけ本番でお願いするわ。ここで設定がどうのこうのと言ってすぐに応対できるほど何とかなると思ってないもの…」
「いやいや言ってくれなかったら、俺だってお前に関しての質問されたら色々と危ういんだが…」
「まぁそこはそこという事で、ほらもうすぐ30階に着くから私の話に上手く合わせてちょうだいね。」
兎川に言われた通り何処の階にも止まらず一気に30階にまで到達し何の設定も教えてくれないまま兎川がアイドルとして活動する現場の中へ入る。
「おはようございます。」
「あ、おはよう〜菟ちゃん〜う〜ん今日も可愛いわね。」
「ありがとうございます。お褒めの言葉を頂き感謝します。」
戦国時代かよ、お礼の言葉をもらってのお返しの言い方が何故手下風なんだ。
「やだも〜相変わらず口調が大和撫子風なんだから私ほれぼれしちゃう〜」
「あはは、これはこれは失敬しからずですね。」
2人の妙な会話の中に俺はどうしたらいいものかただただ呆然をくらいながらこの腹立つ会話を頭の中で鎮静化させる。
「あら?その子見ない顔ね?もしかしてお友達かしら?」
「ええ、彼は私の付き合いでここでの社会見学をしに連れてきました。所謂一時体験ですね。」
「もしかしてその子もアイドルを?」
「いえまだそこまでは決まっておりません。彼の場合色々となりたい職があるという事なので、私と一緒に付き添いでここを見学したいという形でマネージャーさんには話を通しています。」
おお、なんだかそれっぽい形で上手くいきそうじゃないかな。確かに社会見学なら周りに怪しまれないし妙な目線で周りを見たとしても何も勘繰られやしない…いいぞ兎川よくやった。これでひとまず第1段階クリアだな。
「ん?その話初めて聞くわね。もしかしてもう1人別の子が菟ちゃんの言う例の彼なのかしら?」
ん?例の彼?
「ああ〜それに関してはレコーディングでの集まりの時に話します。どうせなら全員に話したほうが色々と時間も省けますしね。」
「そうね。なら直ぐに集会をしちゃおうかしら、レコーディングする前にこちらから伝えないといけない事があるしね。」
「はい。」
おかまみたいな口調で走るアフロの人はそのまま先にみんなが集まる場所?みたいな所へ入っていき俺達はその場に取り残される。
「………おい、例の彼っていったい何の事だ?まさか別の代わりになるやつがいたりするのか?」
「いないわよ。話を通してるのは神楽坂君だけだもの。」
「じゃあさっきの匂わせる話はいったいなんなんだ?」
「それはまぁ後のお楽しみという事で、あ…神楽坂君もその集会の輪に入ってもらいたいのあなたの事も紹介しないといけないからね。」
まぁ社会見学をする上で側からみてなんだコイツって思われるより兎川の紹介の同級生だって伝えもらったほうがこちらとしても安心感があってたすかる。
………はずだった。
「え〜こちら私の付き添い兼彼氏の神楽坂一星君です。暫くの間色々な仕事現場で携わる事になりますが宜しくお願いします。」
………………
「えーーー!!」
「えーーー!!」
突然彼氏と紹介される俺や場にいた仕事の人達が大きな声を出して叫ぶ。そりゃあ当然だ。有名な女子学生アイドルと付き合ってるって、言ってしまえばスキャンダルになりかねないネタ枠だぞ。いや自分自身にネタ枠なんて言い方もおかしいとは思うが…
「てか何でそっちの人も驚いてるわけ?彼氏さんなんだよね?」
「いやそのえーと……そう!急に彼氏紹介をされたのに驚かされて皆んなと同じ反応をしてしまったんです。」
口が裂けても初耳だなんて言えない。
「にしては驚き方が私達と同じ反応に近かかったような?」
何で目敏い子なんだ。ツインテールの髪型の癖に頭はもしかして冴えてるのか?
「何か私の髪型を見てバカにしたりしませんでしたか?」
「いやそんな事…ナイデスよ。」
「言い方片言じゃないですか!?」
「ごめんなさい皆さん。ですが一応皆さんに教えておこうと思いまして今の現場彼にこうやってここで紹介した事に後悔はありません。なので私達の事を認めてもらえると幸いです。」
「まぁ〜先輩の意思ですから私達が特にどうのこうのと言うわけでもないんですけどね。」
「妙なタイミングで紹介されたから驚いただけだから気にしないで頂戴。」
「そうそう私達は皆んな仕事仲間なんだから、寧ろ祝福する立場なんだから普通にお祝いするわ。」
「ありがとう皆んな、私嬉しいです。」
おい嘘泣きすんな。本人を目の前にしてよくもまぁそんな見えすいた嘘を…
「じゃあさっそくですがこのままミーティングを…」
「あ!すみませんちょっと兎川を借りていきますね。5分だけ時間を下さい!」
ヒューン!
バタン!
慌ただしく出ていく2人を見送るミーティング場のアイドルと現場監督は少し困り果てながら2人が再び入ってくるのを待つ事になる。そして出ていった2人の内容は勿論…




