病院でまさかの人物と出会す
………
「まぁもし続きが気になるなら…」
「あ!いたいた!お姉ちゃん。もういい加減にしてよね。どうしてきちゃうかな〜僕ここへ来なくていいって言ったよね。」
「え〜お姉ちゃん寂しい〜妹の心配するのにどうして来ちゃいけないの〜」
「ぐぬぬ。前もってこないでっていっつも言ってるのに…僕の体は別に……へ?」
「よ、よお。」
「ど、どど、どどどど、どうして一星君がここに!?」
「それはこっちの台詞なんだが…どうして、林音がここに……そう言えばお姉さんがここにいる理由って、まさか…」
「そうで〜す。妹の診察の付き添いで〜す。ふふ、林音には来ないでと言われていたけれど、やっぱり心配しちゃうお姉ちゃんなのでした。」
「心配は僕の方だよ。ここへ来たらお姉ちゃんが勝手に変な事するから、ここでは僕の事を変わったお姉さんだなっていつも言われて恥ずかしんだからね。」
この人ここへ何しにきたんだいったい。
妹が恥ずかしくなるような事をする人にはみえな……いややっぱり見える気がするかも。
「というよりもどうしてここに一星君が?」
「俺は美森姉の付き添いでここへ来たんだ。寧ろ今まで連絡が取れなかったというのもあって、何で林音はここにいるんだって…そうだよな林音もここにいてもおかしくはない。そもそも同じ境遇なんだから別に不思議って事はないか。」
「なんでそんなあからさまな反応をするんだろうね。僕だって難病持ちなんですけどね〜少しは心配してくれてもいいと思うんだけどね!」
「そんな心配をされる達かよ。……でもここへ来たって事は林音も検診か何かって事なのか?まさか本当にやばいとかそういうんじゃ…」
「……そうだね。正直な所ヤバいと思う所はあるかも…最近、記憶力が薄れて来ちゃってるからそのせいもあってお医者さんに見てもらってるんだよね。」
「記憶力?……林音ってさそもそもどんな病なんだ?まさかここに来てまでそれをまだ言えないとか言わないだろうな。ここでのお前らのゲームはもう散々だ。さっさっと白状した方が身の為だぞ。」
「え〜そんな脅しみたいな事〜僕がそう簡単に言うとでも思うのかな〜」
「おい林音俺は…」
「いたいた一星あなた何処に行って……林音ちゃん。あなたもここへって…… 維嶺奈あなたもここへ来ていたのね。」
「まぁ美森ちゃんじゃない。偶然ね。会えて嬉しいわ〜」
「キャンパス見学の時に会ったでしょう。……もしかして、林音ちゃんの付き添いかしら?」
「ええ。可愛い妹の体だもの…そりゃあ勿論心配しに来るわよ。……私の妹の体に不適切な投入を施したこの病院に一帯の現状もついでにね。」
「投入?もしかして天才へと覚醒する為の薬か何かですか?」
「あら?もしかしてあなたもその関係者なのかしら?」
「はい。林音も美森姉も俺のせいで病を持つ体になってしまいました。責任は全て俺にあります。なのでその話しを聞かせて…」
ガシ!
俺がその事についてお話を聞かせてもらうようにお姉さんにお願いをしようとした瞬間。
肩に激しい痛みのお姉さんの鷲掴みをする握力が俺の肩への血流を止めるかのようにして圧迫する力が働く。
「ぐっ…」
「あら?ごめんなさい。もしかして今痛いと感じたかしら?」
「い、いえそんな事は…」
「お、お姉ちゃん!!」
維嶺奈のする行動に林音は姉の名前を呼ぶが、維嶺奈はそれを無視して一星の肩にこめる力を緩めることはなかった。
「ふふ、私ねこれでも砲丸投げの選手もやっていたのよ。でもね単なる力だけじゃどうしようもないって事を林音ちゃんに聞いた時この病院にきたらもっと強い選手になれるよと言われてきてみたのよ。けどそうじゃなかった。ここはある意味では最悪な場所なのよ。」
「ぐっ、ど、どう言う意味ですか?」
更に力を込めてくる。
まずいこのままじゃ肩が潰れてしまう。
てか握力やばくないか…砲丸投げをやっていたとはいえ肩が潰れかけるほど痛くなる要素なんてあるか普通…
「やめなさい維嶺奈。あなたが腹を立てた所でもうどうしようもないわ。それにコレは私達が望んでやった事なのよ。それをあなたにとやかく言われる筋合いはないわ。」
「美森ちゃん。私はね別に一星君に腹を立ててるわけじゃないのよ。寧ろ嬉しくもあるわ。本当なら最初に会った時にこう言った感情を露わにするべきだったのかもしれないけれど……やっぱり妹ちゃんの大切な男の子だもの…そう簡単にのけもの扱いはできないわよね。それにやたらと大言壮語みたいな事を言って期待させているというのが実際の所腹が立って仕方がないのよ。どうしようもできない癖にシャシャリ出てくる子ども風情にいったい何ができるのって、本当に思ってしまうのよね。そうだと思わない美森ちゃん。」
「いい加減にしなさい!」
ガシ!
美森は維嶺奈の腕を掴み無理矢理一星を切り離して距離を取らせる。
美森は一星の腕を掴んで腕を組む形で警戒の体制を整える。
「美森ちゃんもいい加減夢を見るのは諦めた方がいいわ。私が何の為に飛び級して大学に入ったのか忘れたわけじゃないでしょう。」
「そうだとしても大事な幼馴染を傷つけられようとしているのを何もしないで見ているよりはましよ。」
「お姉ちゃん…お願いだからもうやめて…僕の事を大事に思ってくれてるのはありがたいけど、それを一星君に当たるのは間違いだよ。寧ろ僕達はそう言う一星君の事が好きなんだから。」
「……はぁ〜自分達の未来よりも好きな男の子の為なら死ねるか……ふふ!やっぱり可愛いわねあなた達は!」
「ちょ!お姉ちゃん!」
「維嶺奈放しなさい。」
さっきとはまた違って雰囲気がガラっと変わる維嶺奈さん。この人の本当の姿はいったいなんなんだ。
それに俺この人に物凄く嫌われているんじゃ…
「ごめんね一星君。私も大人気なかったわ。それにあなたがいなくても私達がどうかしているんだもの…あなたは気にしなくていいわよ。」
「……すみません意図がよくわからないんですが、俺が気にしなくていいというのはいったいどう言う部分を言っているのですか?」
「ふふ、全部よ全部。あなたは誰1人救えないちっぽけな男の子…だから何もしなくてもいいわ。」
「………」
これは見下されているのだろうか…はたまたお前に出る幕はないといっているのか…どっちみちにしても今のお前には何もできないというのだけは伝わる。はぁ〜なんて最悪な1日なんだろうな。
「お姉ちゃんそれは撤回してほしい。一星君は既に1人救ってるんだよ。結果は本人の問題にはなると思うけど…少なくとも一星君のおかげで僕達の1人は救われた。」
「へ〜因みに誰が救われたのか聞いてもいいかしら?」
「山茶花ちゃん。」
「山茶花ちゃんって……え?あの記憶喪失の女の子よね?……どう言う事かしら…時間が経てばいずれは記憶が戻るみたいな話しを聞いていたけれど…記憶が戻ったって事?」
「うん戻った。でも正確には昔の記憶を維持しつつ今の山茶花ちゃんという意思を持ち続けている。つまり今の山茶花ちゃんはNEW山茶花ちゃって事なんだよ。」
なんだそのニュータイプみたいな感じの新しい山茶花の言い方は…本人はロボットか何かかよ。
「………嘘でしょう。そんな実験例は聞いた事がないわ。昔の記憶が蘇って元の人格に戻るならまだしも…その記憶を維持しつつ今の人格を保つだなんて……いやできない事はないのかしら…単純に記憶への混濁が起こってしまう現象が起こっただけ…となればそれを上手くコントロールすれば本人の意思とは別に…」
「まるで非科学的な事を話しますね。もしかしてお姉さんは科学的な事でどうにかしようと思っていたわけですか?だとしたら俺も同じですよ。自分でも驚いていますからねこういう結果になるって事は…」
「……私とあなたと一緒にしないでくれるかしらね。まぁそうは言うけれど…林音ちゃん達の身体って単に身体的能力を上げるだけと考えてはいるけれど…それでもあまりにも歪なのは確かなのよね。正直非科学的な所があるから何とも言えないわ。でも本当に信じられないのが山茶花ちゃんの事なのよね。あの子に関しては他の誰よりも深刻というのが診断されていたから正直な所記憶バグが起こっても仕方がなかったのよ。いったい何が原因で今のまま記憶をコントロールできたのか興味が湧くわね。」
「お姉ちゃんそれは禁じてだからね。僕達を解剖するみたいな言い方は御法度だって言ったはずだよ。」
「あ〜ん。そんなに怒らないで〜お姉ちゃん。林音ちゃんに嫌われたら生きていけないんだから優しくしてくれなきゃいやよ。」
「うう…我ながらこの姉の体たらくぶりには本当呆れますね。……そう言えば一星君が美森さんの付き添いって事は…美森さんは覚悟してここに来たって事ですか?」
「ええ。私にはもう時間がないのよ。だとしたらもう打ち明けてもいいかなって…」
「最終的なゲームとしてはまだまだコレからだと思うんですけど……本当にいいんですか?」
「今回だけはどうしても駄目なのよ。あなた達と同じ土俵に立ちたかったけれど…やっぱり私が1番駄目な可能性があるわね。」
「……だとしても今いう事ではないのでは?」
「今だから言うのよ。もし今言ったら彼に未来を託せると私は思ったのよ。」
「!?成る程。復讐する私達で共闘を組んだはずでしたが…そう言った考え方もあったのですね。だとしたら一星君はコレからかなり悩んで悩んで決断しないといけなくなるわけか……ふふ果たしてコレが正義の味方としてのやり方なのかどうか…みものになりそうだね。」
「おい2人して何の話をしてるんだ?俺にも分かるように話してくれ。」
「ああ、ごめんごめん。別に一星君を蔑ろにして話していたわけじゃないんだ。ただ美森さんの覚悟にちょっと気に掛かっただけだから……だから僕も覚悟を決めた。一星君…僕も美森さんと同じく僕の病の事についても話すね。だから覚悟をして聞いてね。」




