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俺の幼馴染達が復讐を終えるまで姿を現さない件について  作者: Phantom
第三章 新たな復讐の惨劇新幼馴染達による反撃
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廃屋なのに病院?

そのまま中へと連れて行かれてしまい美森姉は何も説明なしに俺をズンズンと引っ張っていく。

しかし何故この廃屋が美森姉が言う病院なのかがこの後俺に知る由もない事が起こるというのを余地させる。


「お、おい美森姉。ここ絶対病院とは違う場所な気がするんだが…」


「いいから付いてきて、直ぐに分かるわ。」


そう成すがままに付いてく他がない俺は結局従って奥へ奥へと付いていく。

そして…


ガコン!


古びた扉を開けて、目の前に映る光景…その場所は…


「へ?びょ、病院?」


「そう。実際には地図に載ってない場所にはなるんだけどね。ここは幾つかの学園で特別に建てられた病院施設なのよ。どんな病気でもちゃんとリカバリーできる処置が置いてある。でもそれはちゃんと処置が行える範囲での話しだけれどね。」


「待ってくれ、じゃあここは普通の人達が出入りする場所じゃないって事なのか?」


「いいえ。ちゃんと出入りできるわよ。と言っても普通の外にある場所だもの…まだ世間体には大っぴらに晒されてないってだけの話ね。ほら、あちこちにコンビニとか人が通っていたりするでしょう。」


「た、確かに……ん?じゃあ何で俺達はわざわざあの廃屋から通ってここに出てきたんだ?」


「あそこを通るには訳があるのよ。まぁその話は病院に入ってから話すわね。」


そう言って先々と進む美森姉。

病院と廃屋での関係性?…さっぱり分からないな。

どう見ても無関係にしか見えないが……何か繋がってるのかもしかして?


グィーーン!


自動扉が開き中へと入っていく俺達。

中には沢山の学生やスポーツをしている人…または普通の学生もちらほらいた。

しかしここで気になった事が1つある。


「待ってくれ…いくら何でも名門校の学生服を着た奴等が多くないか?」


「ええそうね。だって、ここを支援している病院は主に名門校が寄附しているから名門校での学生が多いのは当然なのよ。」


「いやしにたって……」


俺が昔通っていた水泳スクールもあるぞ。

まさかクラブやスクールもここへ来ている人もいるのか?


「………やっぱりここは懸念すべき場所なのは間違いないな。」


「はいはいそういった推察は後々…とりあえず受付済ましてくるからあなた何処かで座ってて待ってちょうだい。診察する時間も受付の人と話さないといけないから。」


「お、おう。」


そう言って美森姉は受付へと行く。

しかし受付ではかなりの列になっていた。


「アレは…予約とかしないと入るのキツくないか?……あ?」


あの人は…


俺は何処かで見た事のある人を見つけ小さな女の子と話している面影のある女性を発見する。


「確か林音のお姉さんじゃないか?何でここに?」


わーわーわー

きゃあきゃあきゃあ


「お姉ちゃん。この絵の女の子ってどうして泣いてるの?」


「う〜ん?それはね大好きな男の子とお別れしないといけなくて泣いてるんだよ。」


「何でお別れするの?」


「女の子がどうしても治らない病気にかかっちゃってるからね。それで大好きな男の子にお別れの挨拶をしているんだよ。」


「どう言う事?」


「う〜んちょっと説明が難しいかな〜……あ!例えば君達の家族のお父さんもしくはお母さんがいるよね?何処かに行っちゃったら君達はどんな気持ちになる?」


「寂しい。」


「泣いちゃう。」


「何処へ行ったか探す。」


「うんうん。皆んなそれぞれちゃんとした答えがあるね。……そうその女の子はね今君達の思ってる気持ちなんだ。男の子とお別れするって事はそう言う気持ちになってしまうんだよ。」


「え〜!」


「なんでなんで!」


「そんなのおかしいよ!」


「どうにかしてお別れしない方法とかないの!」


「うんそれができたらその女の子は悲しい顔をしなくて済むと思うよ。それに辛いのはね女の子の方もだけど、男の子方も相当辛い気持ちになってると思う。それも記憶を失くしたいくらいにね。」


???


子ども達は何を言ってるのかがわからない顔をしつつお姉さんの顔を覗き込むようにして顰めっ面をする。


「みんな〜そろそろ検診の時間よ。」


「え〜もう。」


「う〜〜嫌だな。」


「もっとこの絵本を読みたいよ。」


「お姉ちゃんまた読み聞かせしてくれる。」


「うん勿論だよ。君達がちゃんと病院のお姉さんの言う事を聞いたらね。」


わーーい!


林音のお姉さんの言う事を素直に聞く子ども達。

いったいどんな絵本を読んでもらったのだろうか…少し気になるな。

でも本当に何でお姉さんがここに?


「……あの?林音のお姉さんですよね?」


「え?…あら!?あらあら!?」


やたらと食い気味に俺の方へと近づいてくるお姉さん。

何でそこまで食い気味なのかは分からないがとりあえず落ち着かせて話を聞く。


「一星君じゃないの〜どうしたのこんなところで…」


「いやお姉さんの方こそ…ほぼ縁遠い場所にどうしてここへ?」


「う〜ん。成り行きかな。ここへはちょっとした用事できたのよ。寧ろ一星君がここへきているのが驚きよ。病院(・・)とか無縁そうな人なのにね。」


「それはあまりにも偏見じゃないんですか。俺だって病気にだってなりますし普通(・・)の人間でもあります。」


「ああそう言う事じゃなくて、こう言った場所ってという意味ね。一般の人間は絶対にここでは見てくれないわ。なのに普通の人間がここへ立ち寄るかしらね。」


うっ…なんか初めて会った時の感じが少し違うな。

なんて言うか大人びてるというか…


「付き添いできたんですよ。友達がここの病院に通ってるらしくて、それで一緒に来てくれと言われたんです。」


「ふ〜ん。お友達ね。……そのお友達って変わってるよね。」


「え?」


意図がよく分からない俺は彼女がいう言葉に妙な疑問を浮かべる。


「………君ってさここがどんな病院か知ってるのかしら?」


「詳しくは知りません。でも普通の病院とは違うというのだけは分かりますね。何せ廃屋から通ってここへ来ないといけないんですから…何か特別な場所だと言うのは分かりますよ。」


というのは建前で、本当は何の病院かは大体見当がつく。

俺達みたいな人間を治す場所の病院ではなく…その材料の元となる…所謂被検体といえばいいのだろうか…ここはそう言った場所なのだと…美森姉から聞かされて改めてわかった。


「ふふ、そうよね。廃屋から入ってきて扉を開けたらまさかの病院が目の前にあるものね。普通に考えたら何か特別な病院だと勘違いするわよね。まぁそれもお友達から聞かされた事かもしれないけど……ねぇここに何人かの子ども達がいたわよね?ここで何の話をしていたか気にならない?」


「………何の話をしていたのですか?」


「あらあら聞いちゃう感じ?どうしようかな〜話しちゃおうかな〜」


あ、めんどくさ。

こう言うところ本当姉妹だよな。

変な所だけ似ててマジで苛立つ。


「あ、別に言いたくないのなら別に…」


「いいわよ話しても…でもそんな面白い話じゃないから後で聞いて損したと言われても私謝らないからね。」


「いやだから…」


別にどうでもいいと言わんばかりの言葉を放つつもりだったのに何故か林音のお姉さんはそのまま話しを続ける。


「子ども達にねとある絵本を読み聞かせてあげてたのよ。その絵本はね男の子と女の子の幼馴染関係…女の子は重い病気を抱えていて、男の子はその女の子の事が大好きなの…」


「………」


俺はその話を聞き、他人事ではない一部が含まれていそうな気がした為そのまま話を聞き続ける。

お姉さんはそのままにこやかに微笑んで話を続ける。


「でもね幼馴染の関係でいる内に自分達はこの恋が叶わないと思ったのよ。だから女の子はある決心をしたの…男の子の事を自ら手を引こうってね。そうする事で自分の事を忘れてくれるとそう思っていたわ。」


「……男の子の方はどうなんです?気持ち的にはそれで良かったのですか?」


「ふふ、まさか。寧ろ病気を治すんだって息巻いて必死になって勉強をし続けたわ。自分が医者になればその子の事を救えるからって思いながら一生懸命勉強をした。でもねいくら一生懸命した所でいずれ来る病の時間には無理があったのよ。どれだけ待っててもその女の子の体は病に食いしばまれるだけ…」


「ふっ確かに躍起になって、それで好きな女の子の病気を治せたら世話ないですよね。」


そうだ。

俺だって同じだ。

いずれはアイツらの病を治せる為いくつかの手段を用いてても何とかする。

でもその前にアイツらの体に寿命が来たらどうする。

そんなの子どもでも分かるってのに……


「くっ!」


「どうかした?」


「あ、いえちょっと昔の事を思いだしましてね。昔初恋していた人の事を思いだしたんですよ。その人が何処かへ行ったと言う話だけを聞いてそれ以来会わなくなってしまったんですが…きっと何かしら病気か何かがあったんじゃないかって今更悔やんでいたんです。」


「初恋?……そうそれは確かに残念な話ね。」


「す、すみません。今関係ない話しでしたね。そんな身勝手な男の子はもうどうしようもできなかったんでしょうか?やっぱり女の子を救えなかったんでしょうか?」


「さてどうかしらね。そこから先の話はまだ読み聞かせてはいないから私にも分からないわ。」


「え?その話しをしてきて内容を知らないんですか?」


「ええ、だって私その絵本をチラッと読み聞かせてあげてただけだもの…ちょっと目に付いたから気になっただけよ。」


「あ、そうなんですね。」


何か意味ありげな雰囲気を出しといてそれはないだろう。

俺が変に意識していただけかもしれないがちょっとドキッとしてしまった。

でも何故かその絵本と俺は何処か似てるというよりも似た境遇にある気がしてどうにも気になるんだよな。

アイツらの事が好きかどうかはさておき俺は初恋の人に何も告げずに終わってしまった。

まぁ子どもの頃の話しだしな。

何を言った所でシカトされていたのは間違いないし気にする事でもない。

でも……もしも俺があの時もう少し早く立ち直っていたら何か変わったのかもしれないな。

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