美々と木葉も山茶花達と同じハイスペック人間なのだろうか?
コイツが美森姉との対戦相手…競技での競争相手の奴か……て事は同じ種目競技で合間見える形になるのか…でも一年なら何も問題はなさそうだな。
「そう。なら今年はあなたが世界の陸上競技でのナンバーワンになるって事ね。」
「そう言う木葉ちゃんだって、秋の水泳では一位を取るつもりなんでしょう。お互い競合なのに何で春の方では手を抜いていたの?」
「そんなわけないじゃないですか。相手は私達よりも格上な存在なんですよ。おいそれと一位になったりしたら野谷山先輩に悪いでしょう。」
「ふ〜ん。私は海外に行ってたからわからないけれど…いまのは聞き捨てならないよ。私達3人がちゃんとあの3人を追い越して来年は私達がこの学園での天才格になるんだからね。」
「……今年は別にいいんじゃないのですか?相手は3年…そこまでしてここでの学年トップ5入りに入らなくてもいいと思うのですが…」
「何言ってるんだよ!あの小橋先輩と兎川先輩の間に入れるんだよ。あの憧れの2人の枠に来年私達が入れると思ったらとても光栄で仕方がないんだよ。」
「優勝できればという話しですけどね。それに一位から3位の間に蕾先輩が入らなければそのような話になるからならないかはまだ未確定なはずです。勝手に決めてしまっての判断は後に落胆してしまいますよ。」
「チッチ、甘いですね。羊羹の中に入ってる栗餡が入ってる中より甘いですね。」
それはもう栗羊羹と言っていいやつでは?
なぜ羊羹と栗餡を分けて説明した。
「はい?何がいいたいんですか?」
「相手に気を遣って勝負する。それに何の意味があるのですか?勝負に、ヒーローに、情けは無用なんですよ!」
「そう言う事を言ってるんじゃないんですよ。気を遣うとかではなくて、要領を持って勝負をしてくださいと言っているんです。私達にはまだ2年3年があります。ここでの学園で私達が野谷山先輩達よりも強い所を見せてしまったら私達がまた追いつく為の努力をしなければならない…」
「だから怖気付くというわけですか?」
「いいえセーブをかけてるだけですよ。」
………
な、何か俺の事を外においやって2人で熱烈な会話をしている。
正直勝手に争ってくれとこのまま放置したいんだが……少し気にかかる事ができた。
「2人とももしかしてあの2人より強いのか?」
「え?…いえそう言うわけではありません。強いと言ってしまったらそれは自分を驕ってしまう形になってしまいます。なのでそういった断定の言葉は…」
「何言ってるんですか。木葉ちゃんジュニア水泳で野谷山先輩の記録に並んでいたじゃないですか。」
「!?それは本当なのか?」
「い、いえ…あれはたまたまです。たまたま野谷山先輩の記録と並んだんです。私の力では到底野谷山先輩の記録を越すなんて真似はできません。」
いやそれはお門違いだ。
山茶花は自分の伸び代に対してやたらと悩んでいた
。それを山茶花は俺に相談を持ちかけて復讐とかの話に導入をしていたが…アレは確かに記録を伸ばす工程を改善できずにいた。
そして現在ではこの鳴神木葉がジュニアの方で山茶花の記録と並んでいたのなら…伸び代は確実にコイツにある。
しかしここで気にかかるポイントがある。
何故鳴神は男性と同様の記録で泳ぐ事ができるんだ?
山茶花には病という副作用を持ちつつ自分の体への負荷を覚悟してでの自分のバイタリティを活かしての力を物にした。
結果俺と同様…いやそれ以上の存在になったんだ。
「……質問してもいいかな?君のその身体能力…ただの女性の持つ身体能力じゃないよね?なのに野谷山の記録と並んだって…ただの偶然とは思えられない…もしかして何か自分の体に投与したとかないか?例えば…」
「!私がドーピングをしたとでも言うのですか!あり得ません!そんな事は決してあり得ません!」
かなりの否定だな。
ドーピングをしたかしてないかなんて事を俺の口から言わせる前に自分の口から発した。
つまり彼女は…
「その時記憶に残ってなかったんじゃないのか?」
「……なんであなたにそんな事がわかるのですか?」
「そう言った奴を俺は知ってるからな。自身の身体がハイスペックに成長してまるで超人みたいに体を動かす事ができる。
もしくは何かの才に目覚める。
そしてしらない内に自分の身体が急激なやる気へと満ち溢れていく……このどれかに当て嵌まるならおそらく2人とも俺の知ってる関係者と何かしら関わりがあるのかもしれない。」
「ふん!だから言ってるじゃないですか。そんなの記憶にないと…それに私はそんな非超人みたいな何かによって自分の才が目覚めただなんて思った事もありませんし体もすこぶる元気なんです。それに何かの不調があるのならば私達はここにいる時点でおかしな話しになるんじゃないんですか?」
「そうだそうだ!」
「だからそれは自覚がないだけであって、本当は…」
「くどいです。あなたがそうやって私達のメンタルを剥ぎ落とそうとするのなら私達はあなた達の関係をぶち壊しますよ。」
「そうだそうだ……え?何の話しなのそれ?」
「あなたには関係ありません。……というよりも話しが脱線しましたね。私達はあなたの監視として今ここにいますが…正直何もないとも思っています。だから3日間の間に何もなければ私達も自分の部活に専念させてもらいます。」
「わあはは!私は問題ないのだよ!何せヒーローですからね。どちらとも両立して蕾先輩を倒して見せます。」
「陸上に置いて対決する種目はありませんよ。そもそも同じ競技なのに何を対決すると言うのですか。馬鹿なんですか美々ちゃんは?」
「ば、馬鹿!?私はアホです!」
「………そ、そうですか。」
馬鹿は駄目でアホという言葉はいいって天才感性がもうわかんないな。
「おっと!そろそろ昼休みも終わりますね!それでは私達はコレで!」
「ってこら!廊下を走るんじゃありません。あなた風紀委員の自覚があるのですか!」
そう言って後を追いかける鳴神。
側から見たらいいコンビだなと思ってしまうが……相方としては少々不憫にしか思えないな。
「………アイツらもまさか山茶花達と同じ道に入っているのか……コレまでの経歴で山茶花達みたいな超人はまずいない。今までとして男性と同じ実力の地位に入っているのが山茶花と美森姉ぐらいだ。だから本当に鳴神とあの美々という子がハイスペック人間なら俺はあいつらを見張らなければならない。」
………?
「あ、あれ?別に俺が見張らなくてもアイツらが勝手に俺を見張ってくるからよくないかコレって?」
そんな絶妙な疑問を浮かべながらそのまま昼休みが終わり午後の授業を終わらせ放課後がやってくる。
そして美森姉に先ほどの昼休みで起こった話を病院に向かって歩きながら話す。
「え?美々ちゃんと木葉ちゃんが私達みたいなハイスペック人間になってるですって?」
「ああ。」
「確信な証拠でもあるわけ?」
「明確な証拠というのが俺には確かにないが…水泳ジュニアの方で鳴神は山茶花と同じ記録を出したらしい……」
「そう言えば山茶花ってば妙に嬉しがってた時があったわね。私以外にも自分と同じ境遇に人間がいたんだって…しかもそれがジュニアの方で同じ記録を見て浮き足立ってたというのをちゃんと覚えているわ。」
「………妙だと思わないか?」
「妙?」
「ああ。山茶花の記録と同等の物を出した。小学生で出せるレベルにしてはあまりにもおかしい事だと思う。」
「?だからそれが私達と同じ経緯でなったハイスペック人間みたいな話しを今していたじゃないの。」
「そうじゃない。ハイスペック人間なのは重々承知はしている。俺が言いたいのはそこじゃなくて、何でそれが世間に出回ってなかったって話をしているんだ。」
「それは………確かにそうね。山茶花と同じ結果を出していたならそれなりの評価がつけられて、天才の誕生とかニュースになっていてもおかしくはなかった。でも…」
「それをされてなかったと言う事は何かしらの隠蔽をしているか…はたまたそれをさせないように誰かの意図が働いたか…」
「……ねぇ私達でこの話をしているのもなんだけど、あの子なら分かるんじゃないかしら?」
「林音か?……そうだな。確かに林音に直接話して聞くのが手っ取り早いと言いたい所なんだけど…」
「?」
「何故か本人と連絡がつかないんだよな。」
「え?どう言う事?」
「俺にもさっぱり分からん。まぁ向かうから何かしら連絡がくるのを待つしかないな。」
「………そう言えば。」
美森は周りを見渡し何やら訝しそうにしながら険しくない顔をする。
「………嘘でしょう。いくらなんでも早い気がするわ。」
「え?何の話しだ?」
「え?あ、いや何でもないわ。何でも…でもそうね。そのうちあの子から連絡が来るかもしれないわけだしきっと大丈夫よ。」
何だ?今妙な間があったが…何か林音に関わる事でもあるのか?
変な感じだ。
「さてそろそろ病院に着く頃よ。」
そう言われてどうやらいつのまにか美森姉の言っていた病院に辿りついたようだ。
「え…ここが病院だって?」
「そう。さぁ中に入りましょう。」
「いや待て待て!」
俺は正気か?と言わんばかりに美森姉の肩を無理矢理掴んで引き止める。
「ちょ!何よ急に!」
「美森姉俺達の目の前にある場所…本当にここが病院なのか?」
「え?だからそうだって言ってるじゃないのよ。どうしたの?」
「いやだって……ここって…どう見ても。」
誰がどう見てもボロボロの場所…廃屋にしか見えないんだよな。
ここが病院って言う美森姉の発言に俺は目を疑い自分は眼科にでも行かなきゃいけないんじゃないかと心底不安になりながら早くコッチに来いよと美森姉に無理矢理引きつられていく。




