前の学校の男の幼馴染登場は今の幼馴染の女性達に負けない程のイケメンについて
学校当日……月曜日の朝
「なぁなぁ昨日の配信みたか?」
「え?何かやたらとバグとか不具合あったゲームの事?アレやばいよね?」
「何でも配信している最中に文字化けやら音声もバグってたらしいって話だぞ。多分配信者からしたら前代未聞だぞあれって…」
「ホシノ ナナノのゲーム配信とかでもものすごい勢いで視聴率やばかったんでしょう?あのバグだけで視聴者多数ってやばいよね。」
「その中でも結局コラボ要素はあんましなかったみたいだったらしいな。主に配信者と視聴者とのサバイバルゲームだけだったらしい。まぁあんな状態でコラボっていうのも筋違いだろうし…寧ろ誰かとのコラボなんてする必要性はなかったかもしれないな。」
「コラボか〜でもやっぱりゲームは下手くそだったもんね。正直アレだけでも視聴者のツボを狙えられると思うよ。」
「だな。ゲームの下手くそだけはどうしてもそうなってしまうもんな。」
「………」
やたらと鶴海の事に関して、色々と言われてるな。
まぁほとんどはゲームの方なんだけど、それでも鶴海のゲームの下手さに皆んな同情してるのかそれが当たり前だと思ってるらしい……本人がホラーなのが大嫌いというのを知らないでよくもぁ〜あんなけの事を言えたもんだ。
「まぁ知らないから当然と言っちゃあ当然なんだけどね。……うん?つまり学園でのアイツはホシノ ナナノというネーミングで学園に通ってるのか?だとしたら何で俺は今までそれに気付かなかったんだ。普通その教室だけでの秘密にしていたとしても周りの一部…俺のクラスだったら口をわっていてもおかしくはなかった。……まさか俺が無知というだけであってそれに関心がなかったからスルーしてしまったのか……くっだとしたら風香や雪羅ももしかしたら何かしらの偽名での名前で誰かが言っていたんじゃ…」
あまりにも自分の無能差に頭を抱えながら腕を組んで暫し考える。
「にしても急な配信をそのまま中断してあの世界から帰っていったわけだか、鶴海のやつ何ともなかったんだろうか。自分のチャンネルが危うくならなければいいんだが…」
しかしいくら考えた所でもう遅い為済んでしまった事は仕方がないと思いつつ歩き出そうした瞬間。
ポン!
「おはよう!星君!」
久しぶりに聞き覚えのない呼び名でついビクっとしてしまう俺は後ろへと振り返りついこの間まで記憶を失って話していたとは思えない山茶花に俺も返事をする。
「お、おう山茶花。……記憶が戻ったって事でいいんだよな?」
「え〜今更その話。まぁ心配してしまうのは無理もないけれど……ちゃんと昔と今も記憶は共有している山茶花だよ。因みに昨日の晩御飯ひカツ丼を食べました。とてもヘビィではあったけれど、スポーツマンとしてはお腹ぎ急激に減ってしまうのは仕方ないよね。」
「お前そんな性格だったけか?」
「え?コレがいつもの私でしょう。もう星君は何を言ってるんだか…」
「………」
こ、困ったな。
あの時は前の山茶花の記憶が戻ったという程で覚悟をしていたんだが…記憶が混濁していて普通は自分自身に慣れるというのは時間がかかるはず……でも本人はそうではなくありのままを受け止めている。
何も問題はない…何も問題はないんだが…
ガシ!
「お、おい山茶花。」
「どうしたの?何か問題ある?」
「いや大いにあるだろう。俺達はもう昔の関係じゃないんだ。それにお前自身だって今のままの記憶があるんなら人目を気にして…」
「気にするの?星君は大人になったからこうやって抱きつかれるのが恥ずかしいって思うの?」
「そ、そうだよ。普通の幼馴染でもあまりにも仲が良すぎてもこんな距離感はない。それに敢えての妥協点なら手を繋ぐとかそういうのがありきたりとかじゃないのか?」
「寧ろそっちの方が子どもっぽくて恥ずかしくない?」
「………確かにその通りだな。」
かと言って腕を組んで歩くという選択肢も正直どうかしてるとしか言いようがない。
今の山茶花に羞恥心というのがないのか?
いやあるはずだ。あくまでも記憶が合算したというだけであってコレまで培っていった記憶は失われてはいないはず……なのにこの積極的な態度はどうなんだいったい…
うう〜やっぱり直球すぎたかな。
いくら昔の想いがそのまま軽はずみになって星君にダイレクトしようと考えていたけれど…やっぱり恥ずかしい!自分の気持ちは素直にってあの夢で言われたばかりなのに……なのに私ってば…もう何考えてるんだよ!
「大丈夫か?顔が真っ赤だが…熱いなら離れた方がいいんじゃないのか?」
「ふえ!?」
「いやそんな酷い事いったか俺…何もそんな泣きそうな顔をしなくたって…」
「あらあら朝からお熱い事で…」
「あ、美森ちゃん。」
「み、美森姉。」
「朝から公衆の面前で何をやってるのかしらねあなた達は…」
「いやコレその…なんていうか…」
「ふふん!美森ちゃん!私コレから正直な気持ちで行く事にしたの!いくら美森ちゃんからの施しを受けたとしても負けないんだから。」
「はぁ〜本当その性格昔の山茶花そっくりね。より一層記憶が戻って度胸がついたって事かしら。それはそれで厄介だけれど…今のあなたの状況についてもう少し理解した方がいいと思うわよ。」
「へ?どういう事?」
「お前自身の立場本当に理解していないのか?」
「だから何が!?え!2人とももしかしてまた私の事からかってる?もう!大人になってまでどうしてそう意地悪するの!」
「いやそうじゃなくて…外側のお前は学園の中で相当人気者なんだ。学園トップ5の中でお前はその地位の中にいる。」
「え?それって、私が水泳での天才だっていう所での話だよね?」
「そうじゃない。あ〜もう男の俺から言わせるのかよ。お前は幼馴染5人で学園で最も狙われてる女子だって事だよ。」
「へ!?私暗殺されるの!」
「あ〜〜もう〜〜美森姉〜」
「全くそういう時だけ助けを乞う様なら顔をするんじゃないわよ。後で私が山茶花に説明しておくから。ひとまず学園に行くわよ。遅刻してしまうんだから。」
それはそうだな。
こんな話しで学園で遅刻したら洒落にならないしな。
「山茶花。学園についたらお互いの関係について少し詳しく話すから…というよりお前の今の状況についてもな。」
「何で!今話してよ!」
そう言って、グィーーンと俺の腕を引っ張って学園へ行くのを制止する山茶花。
てか力つえーな。コレが水泳女子の腕力か…
「ん?ねぇ何か校門前にやたらとイケニセメンみたいなやつがいるわよ。」
「いやそれよりも…コッチの山茶花を何とかしてくれ、いつにもまして、我儘度が上がってきているわけなんだが……くっ!」
「もう!星君ちゃんと話して!私納得いかないよ!」
「だから、学園で、話すって、言ってるだろう!」
「あなた達いつまでやってるのよ。もう周りに生徒達がいるんだから、少しは慎みなさいよ。」
「ああ、すまないね君達。ちょっと失礼。」
え?何かコッチに来てるんだけど……嫌な予感がするわね。
「やあ〜君は確か蕾琵心さんですね。初めまして、僕の名前は荒谷磨賀といいます。どうぞお見知りおきを…」
「ここの学生じゃない子よね。私が誰かを知って声をかけてるのかしら?」
「はいそれは勿論。この学園でトップ5に美しいと言われている3年B組蕾琵心先輩ですよね。じゃなきゃお声なんてかけませんよ。」
「……そうじゃあ今すぐそこを退いてくれるかしら。私はあなたに声をかけられてもあの子達に恨みを買われる覚えがないから早々にここから離れたいのだけれど…」
「いえいえそういうわけにはいきません。何せ自分あなたに興味がございましてね。」
「私に?変わってるとは言わないけれど…私の事は予め理解しているはずよね?それをわかってそんな事を言ってるのかしら?」
「勿論ですよ。数多の男性からの告白を断り自身は全く興味がないと言いつつ幼馴染の男性と付き合っているホラを吹かせた先輩ですよね。」
「……嫌な奴ね。あからさまに私の事を蔑ろにしているようにしか聞こえないのだけれど…」
「あはは、そんな事はないですよ。寧ろ美として生まれてしまっものなら仕方のない事だって思ってますよ。モテるのは辛いですもんね。何せ自分もそうですから。」
「気に食わないわね。私とあなたとは完全に異なる者だって今確信したわ。そこまで自惚れてはいないわよ私は…」
「え〜自覚ないのにも程がありませんか蕾先輩。あたかも自分はモテますアピールを俺にしたじゃないですか。」
バコン!
「あだ!」
思いっきり鞄で殴ってくる美森姉。
あんたは黙ってなさいと言わんばかりの叩き方。
図星だからってそりゃあねぇだろうに…
「やれやれ、相変わらず女性に対しての謙虚が足りてないなお前は…」
「そういうお前こそ…そうやってひっきりなしに女に迫るのはやめろよ。その悪い癖どうにかならないのか。」
「コレは僕のアイデンティティだ。コレを欠けたら僕の存在は意義が無くなってしまうからね。」
「………」
お前の存在意義なんてほんのカケラすらもないよ。
単にお邪魔虫でしかない。
「ねぇ神楽坂君。あの子知り合いなの?」
「え?ああ、そうですね。知り合いといえば知り合いでしょうか。」
「おいおいそこはちゃんと紹介してほしいところだな。僕と君の仲だろ。そんな寂しい事を言われたら蕾先輩に申し訳ないじゃないか。」
「うう!私やっぱりコイツ嫌だわ。」
「まぁわからなくもないですね。知らない女子からしたらコイツの事を嫌う奴はいませんが…幼馴染からとしたらとんでもない汚れたやつですからね。」
「そうなのね。あなたも相当苦労していたのね……え?今何て言ったの?」
「……コイツ前の学校での幼馴染なんですよ。名前は荒谷磨賀。裏表の中で裏しかないゲスイ奴です。」




