サイコパスな鶴海だけれどゲームに関しては素人感まるだしのムムチューべは最早笑いにしか捉えられない
チュートリアルを終えた俺。
そしていつの間にかコッチと合流して鉢合わせる姫乃。そもそも簡単に俺だとわかったというのが驚いた。
お互い別の顔のアバターをしているのにどうして分かったのかという疑問を抱きながら姫乃が何処かへ向かおうとしている場所へと歩きながらこのゲームの中についてを話す。
「なぁ姫乃ここってホラーのゲームの中なんだよな?」
「はいそうですね。」
「だよな。……」
「何か違和感みたいなものでもありましたか?」
「違和感というか、鶴海の言ってる事が腑に落ちなくてな。」
「といいますと?」
「……鶴海がホラーが苦手だというのをお前は知っていたか?」
「はい。昔から怖いのが苦手でしたね。夜は特にお泊まりする際は私の傍で寝ている事が多かった気がします。……それは神楽坂君も知っていた事では?」
「いや鶴海がホラーを苦手としている話しはごく最近聞かされたんだ。アイツがホラーを苦手とは考えもしなかった。寧ろ好むかとも思っていたからな。」
「ああ〜性質的にと言う事でですか?」
「ああ、アレがホラーを苦手とするなんて誰が思うんだよ。」
「あの子が好きなのはオカルトみたいなものであって、お化け一般を苦手としていますよ。つまり鶴海ちゃんは普通の女の子だったと言う事ですね。」
「………」
「あ、今鶴海が普通の女の子?みたいな顔をしましたね。あまりそういった偏見はよくありませんよ。鶴海ちゃんだって中身は一般常識な女の子なんですから…そこの偏見はよくないですね。」
「普通の女の子はこんなイカれたゲームはしない。」
「ごもっともな意見ですが……そうですね。反論ができませんね。」
そこは反論してやれよと思ったりはしたが…姫乃はその類いの人間じゃないからかあまり共感を得られる事ができず言い返せる言葉がなかったのだろうなきっと。
「でもまぁ同じ獲物を狙う者同士一部共感は得られる事もあります。例えば神楽坂君を掻っ攫って独占したいとか♩」
「………」
やっぱり前言撤回。
俺の幼馴染達はまともな奴はいないらしい。
俺を独占したいとかもう束縛の単語でしか聞こえない。俺を独占していったい何をしたいって言うんだ。
「おっと!今の失言失言。鶴海ちゃんと同類にされるのは些か不本意なんで聞かなかった事でお願いします。」
いや無理だろう。
明らかに同類としか思えない発言だったぞ。
姫乃への印象がまた少し変わった気がする。
……いや無鉄砲というか男勝りな部分はもしかして変わってないのかもしれない。
……多分。
「さてとそろそろ話を元に戻しまして…というより鶴海ちゃんがホラーが苦手な話に関してはひとまず置いておくとしましょう。今はこの世界で私達が何をすべきかと言う事です。」
「鶴海を倒す。そして千奈美と風香それに雪羅を助けるというのが俺達のやる事だろう。」
「そうですね。条件通り何も間違っていません。ですが少し思考を変えませんか?」
「何?」
「単に助けるだけじゃなく…コチラで色々と鶴海ちゃんを引っ掻きまわします。」
「掻き回すって……バグを利用してという事でか?」
「そうです。しかしその前に先ほどでの話しでこのワールドについて簡単にお話しさせていただきます。」
まずこの世界は所謂ゾンビを殺し尽くすゲームとなっています。
ゾンビを倒せばミッションを達成して新しいアイテム等が入手できる。
そして自身のスコアやレベルも上がるというホラーアクションワールドゲームです。
ですがここでのホラーアクションワールドゲームでは残念ながらまだ開発されたばかりでバグも多い。
正規品として発売されるのが明日だというのに他の人達はダウンロード版を買ってこのゲームをします。まぁこの話を聞かされるとそれでいいんじゃないという声をあげる人もいますが…実はそうではないのです。
ダウンロード版と正規品版のソフト…コレらにはちゃんとした天秤があります。
「天秤?ダウンロード版と正規品版でそこまでの違いがあるのか?単にバグ要素が多いか多くないとかじゃないのか?」
「いいえ。単純にダウンロード版が多く買う人がいれば正規版を買わなくなってしまう人がいます。それらの人が多数いてしまえば売り上げ的にも製品版よ品質が落ちてしまいます。」
「それがこのゲームといったい何の関わりがあるんだ?あんまり関係ない話しのように聞こえるんだが…」
「関係ありませんよ。この話しはあくまでも売り上げ向上的な話をしているので…そこまで深く関係はありませんね。」
「なら…」
「ですが、ダウンロードと正規品での尺比べという意味合いで今回このゲームは売り出しています。つまりはヤラせみたい感じですね。」
おっとそれは話が変わってくるな。
ダウンロード版も正規品版もちゃんとした形で売り出している。
そしてバグとかもあればアップデートで必ず修正パッチが入って修復されその部分のバグがちゃんと修正される。
でもその2つのうちどちらかが、ゲームの進行度に何かしら干渉をしているんだったらコレは完全にやばいゲームだ。
「いやいやそれはやってる話しだな確かに。そんなゲーム発売してもいいのか?」
「ほとんどの人が気付かないレベルなので多分問題はないと思います。しかしこのゲーム関係に詳しい人物なら直感でこのゲームでの違和感に気付く事になるでしょう。」
「……となると鶴海や千奈美達の事を助けるのは困難という事になるって事か…」
「ふふ、大丈夫ですよ。私達には裏技があるじゃないですか。どうしようもない裏技が…」
バグ要素がある事を裏技って言っちゃったよ。
姫乃は本当にゲームが不得手な奴なんだなと改めて理解した。
………一方その頃の鶴海
「みんな〜見てくれてありがとうね。さっきのもそうだけど、私別にゲーム上級者じゃないからね。ただのムムチューベだからその辺理解してくれると嬉しいな〜」
……コメント
嘘つけ!
あまりにもうますぎない?
絶対このゲーム系得意だろう!
もっとマシな嘘をつけ!
普段は下手なのにね〜
このゲームバグがいっぱいあるから気をつけてね。
幾つかコメントをしてくれる視聴者。
その視聴者のコメントをみつつ鶴海は色々と試行錯誤する。
う〜ん今回はイマイチなコメントばかりだな〜……でも反応がいいコメントはやっぱりいいものだね。
これなら先輩もツルミの事きっと見直してやっぱりお前は俺の物とか何とか言っちゃって……ふふ、下僕にできる事を考えたら笑みが止まらない。
うわ〜顔がニヤけてて気持ち悪い。
それでもムムチューベか!
鏡みた?
「う〜ん……今私に罵声のコメントした人達。……海に沈めるからね。」
………
鶴海の返しのコメントに視聴者達は大受けしながらツボってやたらとコメントの返しが多くなる。
「さ〜てとそれじゃあ次のポイントでもいこうかな。」
まぁ気にかかりのコメントがあったのだけれど……さすがにあのコメントはスルーしても良さそうかな。でも気になるな〜ちょっと遅くなったけれど返してみよう。
「バグが多いとかコメントしてくれた人……因みにどんなバグ要素が多かったの?」
はたしてこのコメントを返してくれるのか…はたまたもう見てないとか…
銃弾バグ。
指定変更バグ。
死んでも死なないバグ。
致命傷狙っても死なないバグ。
ゾンビが襲いかかってこないバグ。
うわめっちゃあるじゃん。
こんなにもバグあったんだ。
……でもよかったこんなバグがあったら流石に姫乃ちゃんをここに呼ばなくてよかったかも。
呼んでたら真っ先にこのゲームでの廃止は決定だもんね。
「うん?でもこのゲーム…そんな大量なバグがあるのにダウンロード版を出していいのかな?寧ろそんな事をしたらチート扱い者がいっぱい出ても不思議じゃないというか。」
いきなりのバグ要素が多めのこのワールド。
絶対先にツルミが見つけて千奈美ちゃん達を解放させてなんかやらないんだから。
ドバババババ!
「へ?」
一瞬何が起こったのか。
何かしらの銃撃みたいなのが乱射されふっと目の前が真っ暗となって何も見えなくなる。
どうやら鶴海は何者かに撃たれたらしい。
サバイバルゲームで鶴海が撃たれてしまってこんな事ありえないと言わんばかりに復活した際にキレる。
「はぁ〜〜〜!マジありえないんですけど!今の何!即死したんですけど!」
ムムチューベからの初見殺しと言わんばかりの驚愕の声をあげる鶴海。
「というか乱射されて死ぬような操作してないんですけど!いやマジでないよ。本当に意味わからないんですけど!」
ありったけの愚痴を溢しながら今の状況に不満を齎す鶴海は何があったのかをコメントを覗く。
今のマジで笑う。
やばい腹が痛い 笑
即死なのマジで受ける。
今のヤバいね距離的にもかなりの距離があったのに即死はヤバいよ。多分バグかな?
およ?まさかの弱い奴にやられた?
あたかも煽る様なコメントばかり。
う〜ん……まぁこうなるっちゃこうなると言うのは分かっていたけれど…この人達にツルミの何がわかるんだよって言いたくなる。
……けどこのコメントも気になるな〜遠距離での乱射って……確かに今のバグとしか言いようが表せないよね。
じゃないと即死なんてまずあり得ないんだもん。
「うーーーん。ひとまず様子見って形で流してみるしかなのかも。こんな酷いゲームは初めてだよ。抗議したいね本当に…というかもしかして視聴者の誰かが分かってて狙ってるというわけじゃないよね?私の邪魔をしているとかそういうわけじゃないよね!」
と言ってもそんなコメントなんて流れる筈がなく。
期待なんてしつつもう一度再復帰しながら武器を回収していく。
「よし!気持ちを切り替えてもう一度…」
ズドン!
「ああ!!!また死んだ!!」




