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俺の幼馴染達が復讐を終えるまで姿を現さない件について  作者: Phantom
第三章 新たな復讐の惨劇新幼馴染達による反撃
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山茶花の想いを引き継ぎ新たな道への一歩を踏み出し自分の新たな生を歩む

山茶花自身どうするかの選択は既に決まった。

ならば俺はそれをちゃんと肯定しないといけなくなる。


「星君。最後に私のお願いをしていいかな?」


「お願い?」


「うん。最後に抱きしめてほしいの。」


「それだけでいいのか?」


「ごめんねあまり時間がないから私のお願いがコレしか思いつかないんだ。」


「わかった。」


俺は山茶花のお願いをされるがまま山茶花を抱きしめる。


「ふふふ、星君の匂いだ〜」


「俺の匂いって…昔と一緒の匂いじゃないから違和感あるだろう。」


「そんな事ないよ。星君は星君。私の大好きな星君の匂いだよ。」


少し気恥ずかしさを感じつつ俺は山茶花を優しく抱き抱えながら上を向く。


「ねぇ星君頭も撫でてほしいな。」


「やっぱりお前は昔ながらの甘えん坊だな。」


「そうだよ〜だって今の私は6歳と7歳の頃の私だもん。そして昔の想いをちゃんと維持している状態の私なんだよ。どうかこの気持ちが元の私に戻っても同じ気持ちであってほしいな。」


「それってどういう事だ?」


「ふふ、内緒。いずれ星君が私の気持ちに気付いてくれるのを待ってるからちゃんと私の事を見つけてくれないとやだよ。」


それはもう告白してる様なもんなんじゃないのか?

というか完全に告白だよな。

俺告白されてんだよな。

幼馴染に告白されている。

でも……今のこの気持ちは昔の山茶花の気持ち。

それをこの場での返事をするのは多分違う。


「すぅ〜はぁ〜………うん大丈夫…もう泣かない。」


そう言って俺に抱きついていた山茶花がゆっくりと離れ爽やかな笑顔を向けて笑う。


「あはは、最後にやっぱ満面の笑顔っていうのも中々きついね。……でもコレでここを安心して離れらるというもんだね。」


山茶花はそのままニコッとしながら目を瞑りまるで何事もなかったかのようにして眠る。


「………疲れて眠ったと言えば簡単かもしれないが…そうじゃないんだよなきっと…」


眠った山茶花を抱き抱え俺は山茶花が起き上がるまでそのまま肩をかす。

恐らく直ぐに起きるんじゃないかというような気がして暫くその場で待ちながらコレまでの事を頭の中で過らせる。


「……俺は山茶花にしてやれる事はしたのだろうか。本当にアイツの為にちゃんとやれたのか……は…俺が1番名残が残ってしまってんじゃねぇか。全くなんなんだよコレって…」


………山茶花の夢の中


「………う、う〜ん。ここは…」


「ようやくお目覚めだね。」


「わあ!ビックリした。」


私そっくりの顔がまんまえに現れ驚いてしまって、そのままバッと起き上がる。

すると…


ゴチン!

ゴチン!


お互いの額と額にぶつかって頭を抑えながら転んで悶えつつくぅ〜〜と唸る。


「ちょっとちょっと起き上がってくるなんて聞いてないよ。頭が痛いじゃないの。」


「それは私のセリフだよ!いきなり顔をだされたら誰だって起き上がるよ。それに同じ顔なら尚更だよ!」


「………それもそうだね。私でもビックリするか…いやでも鏡を前にしたら自分がビクついたりしないのと一緒だからそうでもないかも。」


「それはそうかもしれないけど……うん?いやそうじゃないよ!単に違う動作をしている自分がいたら普通におかしいよね!」


「………うんそりゃあ気持ち悪いか。」


非を認めたもう1人の自分。

というよりも自分のお化けかと思った。


「というよりも前は私が出たからその仕返しか何かのつもりなの?」


「さ〜てどうかな。正直私は消える存在だと思ったからあまり気にしてはいなかっけれど、ここに戻ってきたという事は覚悟を決めたって事でいいんだよね?」


「うん。本当はどうするかなんてたった1日で決められるのは無理だと思っていたんだけど…それをズルズルと伸ばすのはよくないって思ったの。」


「へ〜分かってるじゃないの…ちゃんと自分の事をよく理解している証拠だね。」


「ぶす〜なんか自分にそう言われるとむかつくかも。他の人ならまだしも自分の事を自分に言われるのって、なんだか違和感感じる。」


「そう言った意味の発言をできるのはいったい誰のおかげなのかよく考えて物事を言ってるの?」


「分かってるよ。今唯一この中にいるのは私とあなた…2人の記憶が共有されてるからちゃんと言葉の意味する事も理解できるしちゃんと前向きになって話ができる。だから決めたんだよ。コレから私が消えてもあなたがちゃんと引き継いでくれるならそれでいいって…」


「……後悔はないの?」


「後悔が無いと言えば嘘になるかな。だってまだまだやりたい事がいっぱいあるんだよ。それをこんなあからさまにな1日だけで終わるなんて寂しすぎるよ。」


「だったら1日ぐらいなら何とか堪えられたのに…」


「うんうん…それをしちゃったら多分あなたが消えてしまう。それをしたら恐らくあなたの記憶すらも引き継がれない。」


「!?もしかしてあなたの考えていた事って初めっから。」


「えへへ〜あの時はまだ子どもの私だったけれど、ちゃんとそういったパラレル式の問題については勉強していたから一応分かってて行動してたかな。」


「そう…じゃあ1日中一星君はあなたに振り回されてしまってたって事なんだね。それと上手く美森ちゃんの事も欺けられた。」


「そう!いっつも私に意地悪してた美森ちゃんもようやくという形で見返せる事ができた。まぁその反応を見る事ができなかったのが残念だったんだけどね。」


「ふふ、なら後で私がまた美森ちゃんの様子をみておくね。なんなら遠くでどんなふうに見てるのかも1番楽しみの時間でもあるかもよ。」


「そんな時間何処にあるのよ。もう〜〜………私からの引き継ぎはちゃんともう分かってくれた?」


「うん。後の事は私に任してあなたはゆっくりと休んでいててね。」


「もう戻ってこれない相手に何言ってるの。そこはもうさようならでいいんだよ。」


「よくないよ。正直不安のタネしかないんだもん…ちゃんと一星君と仲良くやっていけるか…それにこの気持ちがあなたと一緒という保証も何処にもないわけだからあなたとの約束を果たせるかどうか…」


「………多分ね星君はこの件だけで解決しようとはしないと思うんだ。」


「え?どういう事?」


「私が記憶喪失だというのをそのままマルっと丸め込んではいわかったという事にはならないと思う。きっと何かをしてくれる未来があると思うんだ。」


「それってつまり一星君はあなたをまたもう一度蘇らせようとしているって事?」


「どうかな?もしかしたら既に誰かが私の事を何処かで大事にしてくれてるというのもある可能性がある。それがいつどんな未来なのかは分からない。ただそんな可能性があってもおかしくないなってそう思いたいんだ。」


「ただの願望じゃない。」


「いいんだよそれで…ただの願望だけで…それだけでも私が今ここで消えたとしてもそれを繋げてくれる何かがあるだけで私は私自身が消えないんだという未来を信じられるんだから。」


「……単なるオカルトオタクじゃないのよ。そんな未来あるわけが………いやもしかしたらできるのかもしれないね。あの子ならきっとそうする事ができるかもしれない。そういった才を持ってたはずだから期待ができないわけじゃないかも。」


「ふふ、だとしたらその子に今後の失った記憶の私を取り戻せる事をお願いでもしようかな。」


そんなあるはずもない未来を心から願いつつ2人の間にある後ろの見えない扉が開かれる。


「……時間か。」


「ごめんね本当に…この記憶と身体は本来ならあなたに返すのが筋だったのに…」


「もう〜またそんな話をする。それをすると堂々巡りになっちゃうでしょう。」


もう1人の私は私に近づき両手をギュッと握る。


「コレからの事任せるからね記憶を失った私!」


そしてそれを応えるかの様にして強く握り返しながらもう1人の山茶花も…


「……うん任せて。ちゃんとあなたの創造させた未来にして見せるから。だからちゃんと見てておいてね。」


記憶を失った山茶花は開かれた扉の方へ前を向きゆっくりと歩いていく。


「すぅはぁ……じゃあ行ってくるね。」


「行ってらっしゃい。もしまた何か迷子になりそうだったら私ここでずっと待ってるからね。」


「うっ人聞きの悪い事言わないで…もう…でもそうならない様に努力はするよ。それと…私は私なりであの人にアタックするから。」


「ふふ、星君は手強いよ。コレから地道にアタックするのは大変だと思うけどね。」


「だとしてもだね。私は私であの人の事を好きになったんだ。だからもう迷わない…私とあなたの気持ちは確かに同じ人間だから一緒なのは間違いない。でも心は違うんだ。だって中身が違ったらまた別の私の側面で彼の事を好きなっちゃったんだもん。同じ人間が同じ人を好きになるというのはおかしくない話し……」


「うんわかってるよ。あなたはあなた…だからちゃんとその気持ちを伝えに行ってね。」


後を振り返らずそのままうんと分かったというジェスチャーをして扉の奥へと入っていく記憶を失った山茶花。

そしてこの夢の世界には記憶を失う前の山茶花が取り残される。


「えへへ〜1人になっちゃった。……また1人か…」


山茶花はコレまで我慢していたのをついに堪え切れる事ができず涙を溢れさせながら泣き叫ぶ。


「うわわーーーん!私また1人になっちゃったよ!もう嫌だよ!なんで!なんで私だけ1人にならなきゃならないの!私が何をしたっていうの!さっきはああいったけれど!やっぱり納得なんてできない!私は私でみんなと一緒に好きな人と一緒にいろんな事ができたはずなのに……どうして、どうしてなの…」


泣き喚く叫び声はこの夢の世界には誰にも届く事等できず山茶花はただ泣きじゃくる他なかった。



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