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俺の幼馴染達が復讐を終えるまで姿を現さない件について  作者: Phantom
第三章 新たな復讐の惨劇新幼馴染達による反撃
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山茶花の覚悟と未来

さて俺がここまで山茶花を追いかけた理由…単なる山茶花を慰めにきたわけじゃない。

ここで決意をする為に追いかけてきたんだ。

俺が決めた事でそれが山茶花に揶揄するならばそれでいいとも思ったりした。

でもコレは恐らく…


「山茶花お前がどうして、俺の為にあそこまでしてくれたまでの理由は特に聞かない。いや聞いたとしても俺がそれを肯定してもいいかどうかそれを判断していいのかも分からない。だからコレだけはハッキリと言わせてもらう。……気にするな。」


一星のその言葉に一瞬だけ山茶花の心は落ち着きを取り戻す。


「どういう事?」


「お前は今恐らく2つの意味で重りがかかってるんだと思う。コレからの事…そして自分の存在が今後どの様な影響をもたらしていくのかを……そして怖いんだろう。今記憶のなかった自分が一緒の記憶になるかもしれないという恐怖。自分が今まで体験して来なかった記憶がその中に入るってある意味じゃ不思議な体験であったりするもんな。」


「……すごいね。星君ってもしかして天才なの?水泳だけじゃなくて、頭の方も天才なんだね。」


「俺はそんな凄いやつじゃない。寧ろお前みたいな奴が天才だと俺は思ってる。コレまでに至る自分との対面を否定せずに受け止めようとしている。そんなの普通だったら意味もわからず家から出ないっていうのが人間ってもんなんだ。」


そう今の現状を受け止めようとしている山茶花は他の誰よりも凄い。

最悪自分じゃ無くなるというのもある可能性だって無い事もないんだ。


「……ねぇずっと疑問に思ってた事聞いてもいい?」


「なんだ?」


「星君はさ久々にコッチに帰ってきてみんなと会ってどんな感じの思いで話したの?」


「え?そりゃあ久しぶりというのもあるし何よりもみんな見栄えが変わったかな。特に美森姉とか昔のやんちゃなボーイシュだったはずだったのにまさかの女っぽくなってんだから、とんでもない変わり身で驚いたさ…」


「ふ、ふ〜ん。そんなに美森ちゃんが綺麗になってたのがそんなに良かったんだ。私だって綺麗になっだからそこはもっと褒めてほしいんだよ。」


「いや山茶花は山茶花で安心したんだよ。昔の面影があったからな。」


「それって昔と何も変わってないって言いたいの。泣き虫山茶花って…」


「泣き虫だったならどれだけ安心したか…寧ろ俺を頼ってくれたりしたらそれこそ報われたと思って感謝しただろうな。」


「……今の私は泣き虫じゃないって事?」


「ああ今成長した山茶花は泣き虫じゃなくなっている。寧ろ昔よりも強くなった。それはある意味記憶を無くす前の山茶花のおかげだと言っても過言じゃないだろう。」


「どうして()のおかげなの?」


「………夢の中でのお前が言っているかどうかは分からないが、お前の昔に書いた日記そこには色々とお前が記憶を無くす前の事が書かれていた。つまり自分の秘密にしている事の部分を赤裸々に曝け出している状態だな。」


「うう……何だか聞いてたら恥ずかしくなってきた。自分の事なのに何故か知らない人に見られてしまった様な感覚だよ。」


「まぁ似たような感じだな。記憶を失った山茶花もそう言ってたしな。」


それに俺は山茶花にケジメをつける為にここまで来たわじゃない。

もちろん山茶花の心配もしてるしコレからどうの様にして人生を歩むのかも見届けなくてはならない。しかし今の山茶花にはある情報を握ってある可能性がある。

それを聞き出せるのは今しかない。


「……山茶花お前に昔の事で覚えてる範囲で構わないんだが聞きたい事がある。」


「聞きたい事?」


「ああお前は6歳か7歳頃に水泳を始めたんだよな?」


「うん確かそうだった気がする。でもその時はあまり上手くなくていっつも毎日頑張ってた記憶があるよ。」


よしならそこから問題についてまだ聞き出せそうだな。


「毎日頑張っていたんだな。その毎日を頑張っていた時何処かしらで自分の記憶がふっとなくなった事は覚えているか?」


「記憶がふっとなくなった時……う〜ん…熱が出た時までは覚えてるけれど、そこから目の前がぐわんぐわんとして眠っちゃったから覚えてないかな。」


やっぱり6、7歳という子どもの記憶はそこはかとなく曖昧だから聞き出すというのは無理か。


「あ、でも私の熱が高くなってお父さんとお母さんはお医者さんを呼んできてみにきてくれたのは覚えてる。何か星君のパパが来てた気がするな。」


「……何?俺の親父だと?」


何で親父が山茶花の家に?

しかも家を引っ越してから2年経ってこの街に戻っていた。

確かに親父は色々と転勤していたのはあったけれど、山茶花達に関しては何も関与してないはずなんじゃ…


「それで親父はどうして山茶花の家に?単なる見舞いとかで立ち寄っただけなのか?それとも親父の知り合いで医者を連れてきたとかか?」


「え?そんな風に見えなかったけどな。1人だったのは間違いないと思うよ。」


親父は1人でこの町に戻って山茶花の熱の発作にかけつけた。

けど山茶花に対するある程度の処置はしたのだとしたら…何故それを俺に言わずにいたんだ。

そして高校でこの町に通うようにも言ったのも親父だ。

正直全てが親父の段取りで裏で操ってるように感じてきた。

まだ未解決な問題もあるし…ここでの山茶花が熱で朦朧としていた記憶は不完全な記憶であるから断定はできない。

でもそれを元に情報を集めるのはできる。


「………分かったありがとう山茶花。」


「いいえどう致しまして。……さてと私もそろそろ覚悟を決めないとだよね。ここまで来てくれて心配してくれて星君にばかり迷惑をかけらないんだもの。わ星君がこの町にちゃんと戻ってきてくれたという事だけでも私はしれて満足だよ。」


そう言ってにこやかにして頬笑みながら立ち上がってトントンとお賽銭近くの階段から少しずつ降りていく山茶花。

でも何の覚悟をしたのだろうか。

俺はまだ山茶花にどういった形でコレからの事を歩むのか聞かされてはいない。

いや寧ろコレから話すのだろうか。

山茶花だけじゃなく俺自身も覚悟必要という事なのは今の山茶花を見てよくわかった。


「……本当か?お前が本当にそれで満足なら俺から言う事はないが……因みにお前の覚悟って言うのはどういう覚悟を決めたんだ。」


「うん。私ねやっぱりここにいない方がいいと思うんだ。あ!別に今ここに戻ってコレからの事に不安があるとかそう言った意味で嫌って事じゃないんだよ。正直楽しみではあるんだ。私のこれまでの10年間というなかった思い出をたくさん作っていければいいそういう風にも思った。でもね…でもねやっぱり今の支えとなってくれているのって記憶を無くした私なんじゃないかとそう思ったりもしたんだ。」


「その答えに関して俺がとやかく言うのもアレかもしれないが……山茶花それはただの思い込みにすぎないんだぞ。ここでお前が消えるような事になればもう2度とお前が帰ってこれるという保証は何処にもない。かえって今の記憶が記憶を無くした山茶花と一緒になるという事もまた言えないんだ。」


「じゃあ星君は前の私は嫌いだったの?」


「え?前って言うと記憶を無くしたお前の事か?」


「そう。」


「いやそんなわけないだろう。記憶を無くした山茶花も元の記憶がある山茶花も俺は同一人物だと思っている。だって根本的に中身は一緒なんだ。性格だってそんな容易く変われるものじゃない。お前はお前…それ以上でもそれ以下でもない。」


「はは、そんな事を言われたら消えたくないな。でももし仮に私が今の記憶を無くした後の私が引き継いでくれるんだったら……ううん何でもない。やっぱりただの我儘だよね。」


「我儘?何言ってんだ。今の状態に我儘も何も……もしかして覚悟っていうのは自分のコレから先の覚悟の事で記憶での共有が不可能だと諦めての覚悟なのか?」


「う〜ん…難しい事は私にもよく分からないんだけど、言ってしまえば私は多分過去に戻るんだと思う。昔のみんなと仲良く一緒にこの町で過ごしたあの日々を私はきっと元に戻るんだなって思うな。」


「………」


自分をこの町でいる事を否定というのをするのではなく潔く今までの生活を取り戻すというのが今の山茶花が唯一選択した道。

そしてそれを自分はここに来た未来から過去へ戻るだけという認識をして後の事を記憶を無くして今まで自分でやってきた自分に任す。

勝手だけれど勝手じゃない……コレが我儘じゃないだと笑わせるなよな。


「……山茶花お前のその言葉は我儘だよ。そう単なる自分を肯定したくないという我儘だ。難しいのを理由にして単に逃げているだけの我儘にすぎない。そんなの今もう1人の中にいるお前が納得するか?」


「………」


俺の言葉に山茶花は黙りしながら俺の言ってる発言に耳を傾ける。


「うん。すると思うよ。」


「根拠はなんだ?」


「だって今もう1人の私はこの中にいるんだもん。」


そう言って胸元に両手を抑えながら何を意味するのかを俺に知らせるようにして指摘をする。


「……いやまさか…お前初めっからもう1人の自分と対話をしていたのか。そんな非科学的な事…」


「何言ってるの星君。既にこう言った事も非科学的じゃないの。2人の人格がいる時点でそれはもう非科学的なんじゃないの?」


「いやコレに関してはまだ説がある。人格の入れ替わりで起こるような現象。所謂二重人格というのがある。それに該当するとなれば話して的にも通じるし何より今のその状態だって…」


「二重人格……うんまぁ最悪それでもいいかな。だってもう私この世にいないんだもん。」


その言葉の意味するのは山茶花が何を言っても無駄だという意味で言ってるのとコレ以上無駄な話でゴタゴタしてほしくないという彼女なりのメッセージ。きっともう俺の言葉は届かないんだろう。

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