玄関先でぶつかる少女
「うーーん…」
昨日来ていたメッセージアレはもしかして夢なのか?
確かに昨日かなり眠たかったなのはあったけど…そんな朧げで兎川からのメッセージを誤認として受け取ったなんて事あるのか?いやそもそも俺は何か勘違いしたんじゃないのか?
そう思い一星は朝食の用意をしながらスマホでチャット覧を開き何人かのメッセージの記録を確認するが、昨日の時間にメッセージを送った来たという証拠は何一つなかった。
「………え?もしかしてこれ怪奇現象かなにかなのか?この部屋まさか事故物件とかじゃないよな。」
きみが悪いと感じた一星は母親にメッセージを送り放課後にまた賃貸の人からここが事故物件じゃないのかどうか確認してほしいと送りそのまま玄関から出ようとすると…
うわ!
うわ!
突然目の前に現れた女の子とぶつかりそうになり何とか回避した俺はその子が無事かどうか尋ねる。
「す、すまん…ちょっと考え事をしていてってあれ?君は…」
「あ、ごめんなさい私も少し急いでたもので…まさか人が出てくるとは思いもしませんでした。」
いや玄関前の扉の近くで急いで走っていたってセリフはいくらなんでも無理がある気がするぞ。
「それはいいがこの前もここで確かぶつかってきた子だよね?あまり俺が言うのもあれだがこのアパートがボロいのがわかっててここを通るのもどうかと思うぞ。」
「え?そんな事ありませんよ。普通に住みやすいアパートじゃないですかここに住んでる人は寧ろ羨ましいですよ。」
この前と言ってる事が違う!前はボロクソに貶していたじゃないか。
「えーと、その…そう思っていたならこのまえの発言はいったいなんだったんだ?」
「この前?この前……あ!そうでした!危うく言いそびれそうになりました。」
謝罪の事かなもしかして?なんだかんだでこの前の事気にしてここを通ったって事か?それなら無理な話しで繋ぐなら納得いく…いや納得という妥協はしてはならないな…
「実はここに私の昔の知り合いが住んでるって話しを聞いたんですけど、何故か友達からはここら辺に住んでるから良かったら顔をみせてあげたらって言われたんだけど何か知りませんか?」
「………え?それだけ?」
「え?ああはいそれだけですけど…」
「………」
「………」
いや嘘だろまさかの昔の知り合いがここに住んでるかもしれんから見ず知らずの人にここに住んでるという確認をする為に俺の部屋の前で急いで走って尋ねてきて何か知っていませんかだって?馬鹿にされてるのか俺?
「ああその……俺もここへは最近引っ越して来た身なんだ。だからそっちが今訪ねてきてる質問にはその答えられないというか…」
てかこの前の謝罪はしないのか!
「ああ〜そうなんですね。てっきりここら辺が妥当なのかと思ったんですけど…分かりましたありがとうございます。またお会いしたら会いましょうそれじゃあ!」
「妥当っていったい何の妥当なんだ…つうかマジで何しに来たんだ!」
ブイン!
ビュィーーーン!!
俺に尋ねて来た女の子はシューズから飛び出るフライングでその場から飛び立ち何事も無かったかの様にしてお礼をいいこちらの突っ込みをそのまま無視をした彼女の飛ぶ姿を眺める。
「………シューズから飛び出るフライングか…つまりあの子は今話題殺到のスポーツ…Paradise skyのスポーツ選手かその部活に入ってる子なのか…」
でも胸のあるリボンの色アレは一年の証であるピンク色のリボンだな。今年入り始めた新入部員か?だからあんなはちゃめちゃな元気タイプなんだな。
「てかあの子に俺が何で編入してきたのを知っていたのか聞くのを忘れていた。まぁもう2度と会わなというのもあるかもしれないし別に気にする事はないんだが………同じ学園というのが気になって仕方がない違う意味で…」
…………船橋高校
「やれやれ朝から妙な後輩と会ってしまって疲れたな。」
パン!
「よう!一星朝からシケタ面してんな。どうかしたのか?」
これはまた朝から絡みの強い相手からの挨拶があり気が抜けていた俺はそのまま背中から叩かれた衝撃で倒れるか否か微妙な所で葛藤していたがギリギリ耐え蒼脊に返事をする。
「別に…朝にちょっとしたトラブルがあったぐらいだ。」
「へ〜トラブルね〜毎回トラブル続きな様な気がしないでもない様を思ってるのはまぁ口にしないでおくよ。」
「思いっきり本人の目の前に言うセリフじゃないと思うぞそれは…」
「あははは悪い悪い…それよかどうだった?昨日の件上手くいったか?」
「ああおかげさまでな上手い事1人目を見つける事ができたよ。てかお前も知っていたならさっさっと言ってくれれば良かったじゃないか。」
「そうすると俺がどうなるかって事ぐらい既に分かっているだろ?」
「………そういえば蒼脊って美森姉の事苦手だったか?」
俺達は靴を履き替え自分の教室へと向かいながら昨日の出来事つまり蕾琵心が美森姉だという発覚について話していく。
「苦手というよりは逆らえられないというのが正しいかな?美森姉は俺に対してはマジの弟扱いだから完全に師弟関係か何かだと思ってんだろうな。だからそれが余計に距離感みたいなのが分からなくなるんだ。」
「ああ確かに美森姉はお前に対して何か圧みたいなのがあったよな?俺に対する復讐の念の圧とはまた違うそんな気がするんだが…」
「俺の場合はお前らと一緒に遊ぶという頻度が少なかったからな家の事情もあってあまり付き合いはそこまで良くなかったし何よりも俺がお前とつるんでいるのを見ると大抵のやつは気に食わなかったらしいからな。」
「何で何だ?」
「……それを俺に言わせる気か?」
「え?」
「はぁ〜もういいとりあえず今度飯奢れよな。焼肉食べ放題の所に連れてってもらうから覚悟しとけよ!」
「別にいいけど…さっきの説明をはよしてくれ。」
「お前も変な所で意地張ってんじゃねぇよ。そこは自分で考えるのが話しの流れだろ!てかこの話しはひとまずここでしまいだしまい…教室では流石にできないから気をつけろよ。」
確かに幼馴染関係の事をここでベラベラ話したら美森姉に関しても迷惑がかかってしまう。とりあえず蒼脊と2人っきりになった時にまたさっきの話の続きを聞くとするか何か萎えきれないからな。
ガラガラ!
教室の扉を開けそこでいきなりの人物が一星に声をかける。
「やっときたのね神楽坂君。もう遅かったじゃないの!」
「え?俺?」
ざわざわざわざわ
まさかのいち早く一星に声をかけてくる菟。それを見ていた周りの視線は当然こちらへ向けられ何事かと思うのもいればただの嫉妬で冷たい視線を向けてくる者もいる。
「そうよ他にいったい誰に声をかけるって言うのかしら?」
ヒョイヒョイ
俺は隣にいる蒼脊に指を突き付ける。
「おい俺に指をさすな。」
普通にウザがられる蒼脊に俺はそのまま突き続ける。
「蒼脊君には今特別な様はないわよ。というより興味なんてあるわけがない…」
「まぁそうか蒼脊に頼みがあるならわざわざここで話す事でもないよな。」
「おい何気に本人目の前にいるのに2人してディスるのやめてくれないか。地味に朝から精神削られる意味が俺には分からん。」
「そんな事よりも。」
「そんな事よりもって…」
身近な知り合いを側わらを無視し今は一星に用があると言わんばかりの会話を戻しながらそのまま話しをする。
「実はあなたにお願い事があるのよ。」
お願い事?まさか小橋の件と同じ内容か?
「兎川ここじゃなんだから別の場所で話してもいいか?」
「?ええいいけれど…」
俺は自分の鞄を机の上に置きそのまま兎川と一緒に廊下に出るのだが教室から妬ましい怨念の呪詛みたいなのを俺に浴びさせる連中がいるのを無視しあまり人が通らない隅の端っこの廊下までいき兎川の話しを聞く。
「それでお願い事って言うのは?」
「ええ、実は最近の出来事であなたにお願いしたい事があるのよ。他の誰にも相談できない事だから男の子であるあなたにお願いしたいのよ。」
「それなら蒼脊でもよくないか?身近な知り合いというより前から何か知ってるなら蒼脊に頼んだ方が一番いい気がするんだが…」
「それも考えたのだけれど…前回の陸上の件を聞いてどうも信用が無くなったというかお願いすれば後悔するというか…」
アイツ何をしでかしたんだ。てかまぁ多分サボタージュしたせいというのは既に知りわたっているというか自分から告発したというか…まぁ蒼脊の場合美森姉に揺さぶられていたって自分って言ってたからな。
「じゃあ何で俺なんだ?」
「陸上でのありふれた活躍をみて私はあなたにならこの件を何とかしてくれると思ってお願いしようと思ったの。勿論タダでとは言わないわ私にできる限りの事なら何だってしてあげる。」
「いやそこまでしなくてもいいんだが…」
何だかやけに念押しされてはいるがアレは単に成り行きでそうなったというか…美森姉に上手く嵌められたというか…
「駄目かしら…」
物凄く残念そうな顔をする兎川に少しばつが悪そうに感じる一星ははぁ〜という溜息を漏らしながら菟の潤おった様な目つきに負けそのまま無言で頷く。
「ありがとう神楽坂君。本当は放課後にお願いしようと思ったのだけれど…善は急げって事で話が進んで何よりだわ。」
「いや兎川…確かにお願いに対して頷きはしたがまだ内容を聞いちゃいないぞ。内容に関しては有無によってまた判断が変わるから勝手に話を進められても困る。」
それに状況次第によっては兎川の恋愛事情に関しても何かしら利益を得られる可能だってある。もし恋愛事情に関する事なら即座に承諾するんだが…
「ああ確かそうだったわね。それじゃあ私のお願い事を言うわね…神楽坂君あなたに私の期間限定での専属マネージャーになってほしいの。」
…………は?




