宝探しゲーム 3
コイツ自分の素性を上手く隠し通せたつもりかどうかはわからんが明らかに露骨すぎるだろう。
でもそのおかげで判明できたわけだし楽に事が済みそうではある。
でも1つ懸念点があるとすれば…
「しかしそれが分かった所で俺はお前の偽名については分からんな。学校での自己紹介でもバーチャルムムチャーべーの名前を名乗っていたのか?」
「まさか。普通に本名で名乗らせてもらってるよ。バーチャルムムチャーべーという名前を晒したらツルミみんなから幻滅されるかもしれないしね。」
「いや寧ろこんな可愛い子がバーチャルムムチャーべーだったらみんな喜ぶんじゃないのか。中身は置いといて…」
「それってツルミの事を褒めてるの貶してるのどっちなの!?」
「どっちもどっちだ。……鶴海お前が今俺に望んでいる事はなんだ?」
「え?どうしたの急に?」
「姫乃みたいに俺を連れ戻すみたいな話があったのはお前も既に知っているよな。というより知ってて当然か…」
「う〜んまぁ姫乃ちゃんの場合はそうだね。確かに自身を追い込まれていた事があったから焦ってしまっての行動だったのはどうしようもないよ。でもツルミは違う。ツルミはまた昔みたいに皆んなと仲良く楽しく遊ぶ事ができればそれでいい。」
「………」
鶴海の目は真っ直ぐにして屈託のない表情で言ってきている。
嘘偽りはないんだろうな。
けれども鶴海に関して本当に何もないと言うのならばそれでいい。
だけど…
「分かった。鶴海がそういうのなら本当にそうなんだろう。今はその言葉を信じるよ。」
「ふぅそれなら良かった。だったらツルミ他の2人にも伝えてくるね。先輩がコレからも皆んなと仲良く付き合ってくれるって…きっと喜ぶんだろうな。」
そう言って鶴海はそそくさと急ぎながら何処にいるかも分からないと思われる雪羅と風香の所へと探しに行く。
「………とりあえずは鶴海の事も後回しだ。他の2人に会えばそれはそれで対処はするけれど……さて俺は確実に1人の幼馴染がいる場所へといくとするか。」
10分後俺はとある場所に幼馴染が隠されていると思われる秘密の何かが埋められている所へいく。
「……まぁ時間をおいてという事でここへ戻ってきたわけなんだけどな。」
そう俺は森の中へと入っていった幼馴染達の後を追いかけたわけたじゃなく単に森の中に入って時間を潰しただけにすぎなかった。
そして俺は時間経過と共に神社へ戻って神社のお賽銭近くの方へと近寄る。
その先の木の近くには当然林音と蒼脊はいたがコチラの方へ気付いてないのか森の方へと視線を向けている。
「俺が言うのもあれだがいいのかココを無視して…」
お賽銭付近の床下そこに僅かな窪みがあるのを確認する。
「やっぱりか…正直お賽銭付近の場所で何かをするというのは抵抗あるんだが…もう使われてない場所みたいだし許してくれるよな。」
そう言いながら俺は窪みの場所を拳でひとつきし古くなった床を壊して薄い白色に包装されていたノート?みたいなのを見つける。
「ノート?やたらと古いみたいだが、いったい何がかかれてるんだ?」
名前も書かれていない。
という事は特に見られても問題ないと思った俺はそのまま包装をヤバいて中のノートを取り出しノートを開く。
⚪︎⚪︎月××日
今日私は皆んなと一緒に神社で楽しく遊んだ。
でも私は体を動かすのがあまり上手くないので直ぐに見つかって捕まった。
けど楽しかったら良かった。
「……日記帳か。随分と子ども地味た感想だが…アイツらしい感想と言えばアイツらしいか。でもここから読んでも同じ内容でしかないからもうちょい先の所を読んでみるか。」
ノートを満遍なく流し読みして先のページへと開いて読んでいった俺は空白になっていたページを発見しそこで何故途切れてしまったのかと思いそこから前の日記を読む。
⚪︎⚪︎月△△日
星君が違う所へと行っちゃう。
私は悲しくて悲しくて涙が止まらずにいた。
みんなと一緒に遊べるのももうあと少しだっていうのに私だけ何も知らせてなかったのが許せなくてずっと皆んなとの距離をとってしまった。
「そういえば昔の呼び方だったな。今は普通に下の名前で呼んではいたけど、単に昔のあだ名が恥ずかしくて呼べなくなったという可能性もあるからあまり気にしていなかったな。」
⚪︎⚪︎月△×日
星君が違う所へ行っちゃった。
コレから1人で色々と我慢しなきゃならない。
いつか星君が帰ってきた時にちゃんと笑顔でいられるように頑張らないと…
「はは、あいつちゃんと俺がいなくても頑張っていこうとしていたんだな。……いやちゃんとやれていたんだな。不器用で天然な所が心配ではあったけれど、それでも他の奴等が助けてやってくれたんだろう。何だか俺がいなくても大丈夫そうだな。」
⚪︎×月××日
私は今日私が私じゃなくなった。
皆んなの言う私じゃないって何?
私はいったい誰なの?
この日記はいったい誰に向けての日記なのかな。
「は?」
この文章はどういう意味だ?
私が私じゃなくなった?
どういう事だ。自分じゃ自分じゃなくなったという事なのか?
「そういえばアイツはこの頃に天才として覚醒したって言ってたな。それじゃあアイツは自分がどんどん自分の体じゃなくなっていったからこの文章を書いていたのか。だとしたらある意味ホラーではあるな。」
「残念だけど違うよ一星君。」
その先の続きを読みとろうとしていた俺はそれを遮るかの様にしてこの日記を書いた人物が現れる。
そしてその人物を俺はようやく待ち受けたかのようにしてその人物の方向へ視線を向ける。
「ようやくきたか。わざわざ森の中へ入っていった意味はよくわからなかったが…ここへくる事は容易だと思ったぞ。何かしらの心の準備が必要だったって事か山茶花。」
そうこの日記を書いたのは山茶花だ。
何故この場所でこの日記が隠されていたのかまでは当然分からない。
けどコレが山茶花にとって大事な秘密なのだろう。
そしてここがどうしてピンポイントで分かった理由は単純だ。
「うんそうだね。心の準備が必要だったかな。私自身それが本当に正しいのかどうかはたまたそれを一星君に伝えてもいいかどうか……というよりも一星君がここに本当に来れるかどうかも試したかったという理由はあるかな。」
「1番しっくりくる場所で明確的にわかる場所がここだったのは昔俺とお前は約束をしていたからだ。だから俺はここが怪しいとふんで最初はここに何かある予想をふんだ。というよりなんでそれを林音は知ってるのかが不明なんだけどな。」
「それは私が教えたからだよ。じゃないとそんなアバウトに埋められても分からないでしょう。」
「じゃあ他のみんなも予め林音に言っていたって事なのか?けど美森姉達はなにも分かっていなかった風な態度だったぞ。」
「うん多分美森ちゃん達は本当に分からなかったと思う。こういったゲームを催したのは林音ちゃんと私が仕組んだ事なんだもん。」
「何?」
突然妙な事を言い出す山茶花。
山茶花が林音と結託してこのゲームを仕組んだだと?
とても山茶花がそんな事をする様にも思えないんだが…
「私がこんな事をする事を予想だにしなかったみたいな反応だけど……正直そろそろもう一星君には白状してもいいかなって思っててね。最近ねよく夢にみるんだ私の中にある私があなたに会いたがっているって…」
「は?ちょっと待てどういう意味だ。よく意味が分からないんだが…」
「だよね。でもそれが事実なんだから仕方がない。実はね私記憶喪失なの。」
「記憶喪失……いやいやそんな漫画みたいな話し…」
「本当だよ。コレまでの記憶で私はあの日水泳としての才を手に入れた事で5年間の記憶をなくしちゃってるの。ううん正確には7年間かな。」
「7年……いやでもお前俺と会って俺だと気づいていたじゃないか。その時での出来事はなんだったんだ。まさかまたお前達の仕業か何かって話しじゃないよな。」
「それは既に知らされていたからだよ。ほら私のお母さんと一星君のお母さん…昔から仲良しでしょう。一星君のお母さんから写真を送られてきてたんだ。会った時どうしようかなって思っていずれここへ帰ってくるというのは分かっていたんだ。」
「じゃあ俺に対するあてつけの復讐はなんなんだ。もしお前が記憶喪失だと言うのならコレまでの話しで矛盾が生じる。あたかも俺の事を知っていたかのよう……もしかして。」
そうだ。微妙に違和感を感じていたんだ。
この日記に記されている事…
その事に関して俺の事で書かれている内容がそこまで鮮明ではなかった。
それも当然な事だが、続きが書かれていないという所で切れ端となる所が何枚かあった。
つまり昔の俺と山茶花との何かについて書かれていた文章があったという事それを山茶花は切り取ったという事だとしたら…
「俺に話を合わせる様に昔の山茶花として寄り添っていたという事か…いや真似ようとしていたんだな。」
「正解。本当なら気付いてもらうのがきっともう1人の私の願望だったんだと思う。でも我慢できなくなっちゃったのかな。夢に最近よく出るようになって、最早自問自答しているかのようにして言ってくるんだよ。そろそろ会わせてほしいってね。」
「……けどそれがなんで急な話になるんだ。別にお前自身がこの世からいなくなるわけじゃないんだろ?」
というよりもとんでもない話をぶっ込まれてきたな。単なる後遺症という形だけなのかと思いきや記憶喪失ときたわけか…
俺が思っていた事よりも予想の斜め上の問題が出てきた。
コレは治すというより時間の問題にもなるんじゃないのか。
いやそういう問題の話じゃなくなるよなコレって…既に山茶花には2面想という意味合いで本人にがいる。
言ってしまえば選択肢で分かれるという話だ。
「そうだね。その通り…私が私じゃなくなるというのは当たりだね。でも私が私として私として私じゃなくなるという事もありえるんだよ。コレがどういう意味合いか一星君には理解できるよね。」




