ワンセットゲーム3年生対鹿島英吉 その3
ノーアドバンテージ…早速1点を取る美森姉チーム。
そして美森姉からまさかのテニスが得意分野と言う。
陸上で天才の美森姉が何故テニスが得意なのかそれを誰しもが奇妙な点で興味を示す。
………外野側
「嘘美森さんってテニスが得意だったんですか。」
「うん。実は陸上での天才を目指すに対して始めにテニスから足腰の基礎体力をあげていたんだよ。」
「確かに…陸上でも体力が要になるものね。そう考えたら妥当かもしれないわ。」
「でも美森さんって、短距離走での個別種目での天才よね。なのに体力をつけたんだったら長距離走で走るんじゃないのかしら。」
「うんそうだね。確かに川兎ちゃんの言う通りそれが正しい行いなんだけど、美森ちゃんの性格上どうしても譲れない部分があるから。」
「ああ〜」
「ああ〜」
川兎と林音は何となく理解したのか美森の本質というものを分かって素直に頷き返す。
「頑張ってください!美森様!いいですよ!その調子です!」
「ちょっと海未ちゃんそんな大きな声で応援しないでください。というよりいいんですか本名を出しても!」
「いいも何も今更じゃないですか。」
「それはそうですが……いえやはり生徒会の一員である私からしたらそこを認めるわけには…」
「名前に関してそんなにくどくど言わない方がいいと思うな。まぁ私からしたらどっちでもいいと思うんだけどね。」
「…… 葛籠谷鶴海さんですか。何なんですか急にあなたもそこのところ言えた立場ではないと思うのですが…」
「あはは確かにそうだね。でもでもツルミはそこの所どうでもいいなって思ってるよ。じゃないとお互いギクシャクのまま日常生活に溶け込まないといけないからね。」
「はぁ〜まさにどうでもいいですね。どうでもいいので、このくだらないゲーム早く終わってくれませんかね。」
周りからの応援もありつつ外野ではそれぞれ言いたい放題と愚痴る者もいれば否定するも者もいる。
そしてテニスコートでの試合では…
「テニスが得意から今の動きができる?……いやいや君陸上部のエースだろ?なのにテニスが得意というのはいかんしがたいんだがな。」
「まぁそう言われても仕方がないわよね。あなたからしたら私にとってはあまりにも分不相応だもの。単に齧っていた相手から1点取られるのはさすがに面白くないものね。」
「確かにそうだね。君の言う通りだ。あまりにも面白くないのはその通り……僕は今のだけで衝撃を受けてしまった。だからどこまで君がその俊敏な動きができるのか見定めさせてもらおうか。」
「……やっぱりこれだけじゃすんなりと心は折れてくれないか。」
「蕾さんあなた。」
「ごめんなさい本当なら直ぐに決着つけるべきだったのだけれど…あなたのサーブであちらの動きに対してちょっとした億劫が出てきちゃったみたいなのよ。こんなの走る時には何もなかったのだけれど…やっぱりちゃんとしたスポーツをしてこなかった影響でもあるのかしらね。」
「いえあなたが普通にテニスでもこなせるのはお見通しでしたよ。寧ろいつになったら本気をだしてくるのかとも思いましたがね。」
「ごめんなさい。次はちゃんとフォローするから。」
今度こその2人との共闘。
この2人で組んでのシングルス&ダブルスでのゲーム。
そして先程までとはうってかわっての勝負になり点差は5対4……後1ポイントを取ればコチラへの勝利となるわけだが……ここでようやくある事に気付きだし俺は悟ってしまう。
「………完敗だな。」
「え?どう言う事ですか先輩。蕾先輩達完全に勝ってるじゃないですか。それに完敗はさすがに言い過ぎなのでは?」
「そうだな。完敗はさすがに言い過ぎたな。……けどこのゲームで悪い点が2つある事が分かった。」
「2つ?え…2つもあるのか!完全にダブルスとシングルでこっちが圧勝してるのにか?」
「そこだよ田中。ダブルスとシングルス…まずそこが着眼点なんだ。」
「どう言う意味だ。」
「この試合形式でここまでこれたというのはある意味奇跡に近い。ダブルスとシングルスで大まかな差があるというのに鹿島英吉はそれをやんなりとこなしている。」
「いやそれはそうかもしれないが…だって相手はあの鹿島英吉だぞ。それがあっての理由なら当然だと俺は思うぞ。」
「因みにだが、千奈…海道はあの鹿島英吉の事を知っているか?」
「勿論っすよ。何せテニスの業界ではイメージ的にも社会的にも有名すからね。」
「まぁあんな感じで外面でしたら、嫌でも憶えられてしまいますもんね。私も別に知りたくはなかったのですが、普通に有名だから知ったってだけですし…」
「けどそのおかげで鹿島英吉さんは強くなったんすよここまで。」
「え?何でそれだけの理由で強くなったの?」
「鹿島英吉さんは昔テニスが物凄く大嫌いだったんすよ。でもあるきっかけでテニスが大好きになって一生懸命頑張って強くなったんす。だから今の鹿島英吉さんはビックタイトルにもなるぐらい世間ではうなぎのぼりになっています。」
「すまん。話の横がすれてしまっている。その話はまた今度にしてくれ。」
「ああ〜すみませんでした。それで私にそれを聞いてどうしたんですか?」
「鹿島英吉は天才なのかどうかを聞きたいんだ。」
「いいえ天才ではないっすよ。」
「な!?天才じゃない。テニスの天才じゃなかったのか!いやそんなわけが…だって、周りからは鹿島英吉はテニスの天才だって広まるぐらいには大ニュースにもなっているぞ。」
「ああ〜それガセネタですね。そんなの本人の口から一切話してませんし。何よりプライドが高いっすからあまり世間の期待に応えたいという気持ちがあったと思いますよ。」
「プライドって……いやそれよりも…じゃあ鹿島英吉は天才でも何でもないのにもかかわらず、シングルスであの2人のダブルスと相対しているってのか!」
「それだけじゃない、2人を相手にしてまるで息を切らしていない。そんな強度な体力普通あるのはおかしいだろ?そしてダブルスの2人の方ではそれぞれが代わりばんこでうっている。2人の体力はちゃんと分け合って温存しながらやっているというのに……鹿島英吉はそれを何ともない形で平気な顔をしている。」
「……まるで化け物だな。でもどちらにせよこっちが圧制なのは間違いない。このままいけば勝利は目前…」
「ではないな。多分負ける。」
「だから何でだよ。さっきのシングルスとダブルスでの差は分かった。でもそれに負けず劣らずにちゃんと蕾先輩達が勝ってるじゃないか。しかも後1ポイント取れば勝ち…こんなのどう転んだって…」
シュン!
スパーン!
ズドン!
「鹿島英吉1点追加!5対5。残り1点で両者のどちらかが勝ちとする。」
「は?1点取られただって?なんで!?」
「……はぁはぁはぁ。」
一星は美森が何やら呼吸で苦しそうにしているのを見て自分の推測が正しいというのを実感した。
「………やっぱりか。」
「やっぱりっていったい何がやっぱりなんだ。」
「蕾先輩。多分もう限界だ。」
「限界って……いやさっき普通にラリーしていたぞ。まぁさっきは見逃して点が入ってしまったが…限界というのはないだろうさすがに…」
「いいえ限界っすね。」
とここで千奈美が割って入ってくる。
「だから何でなんだよ。理由を言えよ理由を…」
「明白な事ですよ。あのおばさんは…そこまで長く動ける体力は持ち合わせていません。だから息切れを起こしているんです。ましてやテニスが得意というのは確かに技術面的には普通ぐらいに上手いでしょう。けれどただそれだけなんすよ。」
「技術面が高ければカバーができやすくなる。だけど蕾先輩はその体力まではカバーができない。」
「そうっす。だからさっきは全然動く事ができなかった。そうですよね神楽坂先輩。」
「ああその通りだ。」
やはりテニスの天才だけであって相手の技量を上手く測れるというわけか…そこまでの判断ができるとなると…テニスをただ毛嫌いしていた理由が思いつかない。なのにテニスという分野のスポーツを自分の物にした。これは…何かあったに他ないが……まだ皆目検討がつかないな。
パン!
パン!
パン!
パン!
ズドン!
「そこまで!最後のポイントは鹿島英吉が点数を取った為三年生は負けとなる。いい経験を得たな。」
「はぁはぁはぁはぁ……全く気に食わないけれど私からしたら確かにいい見聞だったわ。」
「はぁはぁ……ふぅ〜やっぱり負けてしまったわね。」
「いやいや君達ナイスファイトだったよ。先程は驚かされたが中々のテニス対決だった。特に蕾琵心さん。君がここまでやるとは思いもしなかったね。本当に陸上のエースなのかな?」
「残念だけれど私はテニスでの天才ではないわ。まぁもし本当のテニスの対決をしたかったら次の相手に期待する事ね。」
そういいながら美森と茉子はテニスコートからさり後の人達に勝負をたくす。
「ふむ次の試合相手か……となれば本命かなもしかすると…」
「ねぇ蕾さんあなたあのままだったら勝てたんじゃないのかしら?」
「え?何でそう思ったの?」
「だって、まだやれそうにも見えたわよ。いくら体力温存したからといってあのまま体力負けで終わるなんて事はなかったと思うわ。」
「いいえ。完全に負けていたわよ。だって、相手はテニスでの天才私は陸上での天才相手側が息を切らさない時点で敗北は必然だったわよ。」
「………そうなら仕方ないわね。私はてっきりいけそうだと思っていたのは単なる思い上がりだったのかもしれないわね。」
「………」
そうあの状態であれば私は完全に負けている。
けど茉子ちゃんの言い分では可能性として勝てた部分がある。
でもそれは私がただテニスをやめたという言い訳にすぎないというのが致命的な所もあって、正直分からない。
だからあの場では無理な追いかけはやめてサレンダーをした。
「まぁ三年生最後のスポーツでもあったわけだし十分に楽しめたから文句はないわね。」




